貧弱の英雄

カタナヅキ

文字の大きさ
193 / 1,110
王都での騒動

第192話 地属性の魔石

しおりを挟む
「あ、外れた!!凄~い、ナイ君」
「良かった。意外と簡単に外れて……でも、これどうします?」
「持って行っていいんじゃないの?魔石は高値で買い取ってくれるから、それに何かに使えるかもしれないし……」
「じゃあ、本棚を動かせるか試す」


ナイは取り外した地属性の魔石は一応は回収し、その後はミイナともう一度本棚を動かせるのかを試す。その結果、今度は本棚を簡単に持ち上げる事に成功し、遂に本棚の裏側の通路の出入口を発見する。


「おおっ……本当に動かす事ができた」
「やっぱり、地属性の魔石のせいで本棚の重量が増加していたのね。見てよ、ここの本棚の下の部分だけ鉄板になっているわ」


地属性の魔石を外した途端に動いた本棚の下側は鉄板が敷き詰められており、ヒナの推測だと本棚の重量で圧し潰されない様に設計されていたらしい。恐らくだがこの地属性の魔石が嵌め込まれている間は本棚の重量が増加し、巨人族でも動かせない程の重量を常に維持していたのだろう。

バーリが隠し通路を利用したい時はこの地属性の魔石を逆に利用し、重力を変化させて重量を減らす。重力を操作する術があるのならばどんな重い物体でも軽くする事ができるため、それを利用してバーリは一人で本棚を動かし、中に入っていたのかもしれない。


「あの豚商人が身に付けていた指輪、もしかして全部が魔道具かもしれないわ」
「えっ!?」
「なるほど……あの指輪が全部魔道具だとしたら捕まえる時は気を付けないといけない」
「そうね、あの指輪には気を付けましょう。もしも油断してやられたらひとたまりもないわ」


ナイはバーリの両手に嵌め込まれた指輪を思い返し、あれが全て魔道具だとしたら確かに油断ならない。

魔道具の厄介さはナイも誰よりも知っており、もしもゴマンの盾の様にバーリが身に付けている魔道具の中で身を守る効果を発揮する魔道具があれば、そう簡単には彼を捕まえる事はできなかったのかもしれない。


(もしもあの時にバーリを捕まえようとしていたらまずかったかも……)


次にバーリと遭遇した時は彼が魔道具を使用する前に捕縛する必要があり、自分も改めて武器が必要になると思った。この隠し通路の奥にあるはずの倉庫にミイナが奪われた「如意斧」とは別の武器があればそれを持っていこうと判断する。


「さあ、早く行きましょう。他の奴がここへ来る前に急がないと……」
「それならば私が見張りを行います。ついていっても役に立たないでしょうし……」
「え~?それなら私もここに残るよ。ノイさんも心配だし、それに私なら素手でも戦えるからね!!」
「それもそうね……分かった、ならここは二人に任せましょう。ノイさん、うちの子をお願いします」
「え?あ、はい……わ、分かりました」


ノイは自分にモモを任せるという言葉に戸惑いながらも承諾する。ナイ達は二人を置いて先に通路の奥へ移動する。


「この扉の先が隠し倉庫みたいね……お宝もあるかしら」
「あったら少し持って行こう」
「あの……ミイナさん、王国騎士見習いでしたよね。大丈夫なんですか、それ」
「はっ……しまった、欲望が抑えきれなかった」


治安を守るための王国騎士が悪徳商人とはいえ、堂々と盗みを行う発言をするのは問題がある(それを指摘したナイ本人も地属性の魔石を回収しているのでそれ以上の事は何も言えないが)。

扉の前に立ったヒナは鍵を掛けられていない事を確認すると、二人に確認を取った後に中に入り込む。罠の類が仕込まれているんじゃないのかと警戒したが、それも杞憂だったらしく、部屋の中は割と普通の倉庫だった。


「ここが隠し倉庫……意外と普通ね」
「もっと凄い場所を想像してた」
「確かに……」


隠されていた割には部屋の中は拍子抜けするほどに殺風景であり、倉庫の中には大量の木箱が並べられていた。この木箱の中身がこの国では違法に取り扱われている荷財だと思われ、念のために中身の確認を行う。


「これは……見て、こんな物まで取り扱っているなんて……」
「何ですか、それ?」
「マンドラゴラ……植物型の魔物の一種、取り扱いに気を付けないと命を落としかねない危険な植物」
「えっ!?」


木箱の中に入っていたのは人の形をした根っこの植物であり、それを見たヒナとミイナは顔色を変える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

処理中です...