196 / 1,110
王都での騒動
第195話 ダンの能力の秘密
しおりを挟む
「さあ、どうするお坊ちゃん?降参するなら……今の内だぜ?」
「誰が降参なんて……」
「そうか、なら仕方ない……次は手加減抜きだ」
ダンと向かい合ったナイは彼の気迫を受けて冷や汗を流し、今回は手加減抜きで殺しにかかる事は分かっていた。前回の時はバーリの命令でナイを気絶させようとしたが、その気になればダンはナイを殺す事はできたはずである。
ナイは前回の戦闘を思い返し、ダンが唐突に自分の視界から消え、次の瞬間には首の裏に攻撃を加えられて危うく気絶する所だった。その事を思い返して今回はダンの様子を「観察眼」で捉え、さらに「気配感知」を発動させる。
(人間が本当に消えるわけがない……なら、考えられるとしたらダンの能力はきっとあの技能だ)
ナイはダンが仕掛けるのを待ち、両足に力を込める。そんなナイに対してダンは短剣を構えた状態から彼を見つめ、遂に動き出す。
「――じゃあな」
「っ……!?」
一瞬にしてダンの姿がナイの姿から消え去り、この時にナイは気配感知の技能からもダンの反応が消えたのを確認する。だが、反射的にナイは「跳躍」の技能を発動させて後方へと跳ぶ。
「ここだっ!!」
「っ!?」
「何っ!?」
「きゃっ!?」
「わああっ!?」
後ろに跳んだナイは勢いよく壁に激突してしまい、その様子を見て他の者達は呆気に取られる。だが、ナイは痛みをこらえながら視線を向けると、先ほどまで自分が立っていた場所にダンが短剣を振り抜こうとした状態で立っている姿を捕える。
観察眼を発動していたにも関わらず、ナイはダンの姿を捉える事はできなかった。しかし、事前に後方へ跳ぶ準備はしており、彼が消えたと理解した瞬間にナイは後ろに跳ぶ事で攻撃を回避する事に成功した。
「いててっ……ちょっと力を込め過ぎたかな」
「坊主……お前、何者だ?」
「ナイ君、大丈夫!?怪我してないの!?」
「平気だよ!!さあ、続きだ!!」
ナイはダンに対して退魔刀を構えると、その態度にダンは疑問を抱き、先ほどのナイの行動が気にかかる。だが、すぐに彼は気を取り直したように短剣を構える。
「なるほど、事前に避ける準備をしていれば俺の秘剣から逃れられると思ったのか。だが、甘いな……最初から逃げる事を分かっていればいくらでも対応できる。次は……確実に殺す」
「秘剣?笑わせないでよ……その技の正体はもう掴んでいる」
「……何だと?」
ダンはナイの言葉を聞いて表情を変え、ただのハッタリだと思いたい所だが、ナイが自分の攻撃を避けた事は事実だった。ナイは自分の言葉に明らかに動揺したダンに彼の能力の秘密を語る。
「あんたが消えた様に見える理由……それは「隠密」の技能を習得しているからでしょ?」
「っ……!?」
「攻撃の際に隠密の技能を発動して存在感を消す、すると相手はあんたの事が認識できなくなる。つまり、消えた様に錯覚してしまう。それがあんたの能力の秘密だ」
「隠密……なるほど、そういう事だったのね」
「まさか暗殺者の技能を扱えるなんて……」
「おい、ダン……お前、やばいんじゃないのか?」
どうやらナイの推理は当たっていたらしく、ダンの相方であるゴウが少し心配したように声をかけるが、肝心のダンはナイの話を聞いて冷や汗を流す。しかし、すぐに気を取り直したように首を振った。
「……正解だ、半分だけな。だが、隠密の技能だけだと俺の秘密を全て見抜いたとは言えないだろう?」
「分かっている。隠密を発動しても姿が消える様に見えるのはせいぜい一瞬、だけどその一瞬の間にあんたは敵に近付く術を持っている。その秘密は……「跳躍」でしょ?」
「っ……!?」
ナイの言葉に今度こそダンは狼狽し、まさかそこまで見抜かれているとは思いもしなかった。たった二度の攻撃でナイが自分の戦法を見抜いた事にダンは動揺を隠しきれず、その一方でナイの方も彼の反応から当たっていた事に安堵する。
――ダンの戦法とはまずは相手と向き合い、十分に近づいた後に「隠密」を発動させて相手の意識から一瞬の間だけ自分の存在を消す。その後は跳躍の技能を発動させ、相手が自分の姿を捉えられないうちに近付いて仕留める。これが彼の必勝戦法だった。
タネを明かせば二つの技能を生かした戦法でしかないが、この戦法だけでダンは数々の標的を倒し、いつの間にか「姿が見えない程に素早く敵を討つ」という存在として噂され、彼は「疾風のダン」という異名が付けられた。
実際にはダン自身は異名のように疾風の如き速さで動けるわけではない。彼が消えているように見えるのは目にも止まらぬ速さで動いているわけではなく、実際には相手が自分の姿が見えないように錯覚させているだけに過ぎない。
その秘密をまだ成人年齢にも達していない少年に見抜かれた事にダンは非常に焦り、この秘密を知られた以上はこの場に存在する者は始末しなければならない。その行為がバーリの機嫌を損ねるとしても、彼としては自分の能力の秘密を知られた以上は誰一人生かしておくわけにはいかなかった。
「誰が降参なんて……」
「そうか、なら仕方ない……次は手加減抜きだ」
ダンと向かい合ったナイは彼の気迫を受けて冷や汗を流し、今回は手加減抜きで殺しにかかる事は分かっていた。前回の時はバーリの命令でナイを気絶させようとしたが、その気になればダンはナイを殺す事はできたはずである。
ナイは前回の戦闘を思い返し、ダンが唐突に自分の視界から消え、次の瞬間には首の裏に攻撃を加えられて危うく気絶する所だった。その事を思い返して今回はダンの様子を「観察眼」で捉え、さらに「気配感知」を発動させる。
(人間が本当に消えるわけがない……なら、考えられるとしたらダンの能力はきっとあの技能だ)
ナイはダンが仕掛けるのを待ち、両足に力を込める。そんなナイに対してダンは短剣を構えた状態から彼を見つめ、遂に動き出す。
「――じゃあな」
「っ……!?」
一瞬にしてダンの姿がナイの姿から消え去り、この時にナイは気配感知の技能からもダンの反応が消えたのを確認する。だが、反射的にナイは「跳躍」の技能を発動させて後方へと跳ぶ。
「ここだっ!!」
「っ!?」
「何っ!?」
「きゃっ!?」
「わああっ!?」
後ろに跳んだナイは勢いよく壁に激突してしまい、その様子を見て他の者達は呆気に取られる。だが、ナイは痛みをこらえながら視線を向けると、先ほどまで自分が立っていた場所にダンが短剣を振り抜こうとした状態で立っている姿を捕える。
観察眼を発動していたにも関わらず、ナイはダンの姿を捉える事はできなかった。しかし、事前に後方へ跳ぶ準備はしており、彼が消えたと理解した瞬間にナイは後ろに跳ぶ事で攻撃を回避する事に成功した。
「いててっ……ちょっと力を込め過ぎたかな」
「坊主……お前、何者だ?」
「ナイ君、大丈夫!?怪我してないの!?」
「平気だよ!!さあ、続きだ!!」
ナイはダンに対して退魔刀を構えると、その態度にダンは疑問を抱き、先ほどのナイの行動が気にかかる。だが、すぐに彼は気を取り直したように短剣を構える。
「なるほど、事前に避ける準備をしていれば俺の秘剣から逃れられると思ったのか。だが、甘いな……最初から逃げる事を分かっていればいくらでも対応できる。次は……確実に殺す」
「秘剣?笑わせないでよ……その技の正体はもう掴んでいる」
「……何だと?」
ダンはナイの言葉を聞いて表情を変え、ただのハッタリだと思いたい所だが、ナイが自分の攻撃を避けた事は事実だった。ナイは自分の言葉に明らかに動揺したダンに彼の能力の秘密を語る。
「あんたが消えた様に見える理由……それは「隠密」の技能を習得しているからでしょ?」
「っ……!?」
「攻撃の際に隠密の技能を発動して存在感を消す、すると相手はあんたの事が認識できなくなる。つまり、消えた様に錯覚してしまう。それがあんたの能力の秘密だ」
「隠密……なるほど、そういう事だったのね」
「まさか暗殺者の技能を扱えるなんて……」
「おい、ダン……お前、やばいんじゃないのか?」
どうやらナイの推理は当たっていたらしく、ダンの相方であるゴウが少し心配したように声をかけるが、肝心のダンはナイの話を聞いて冷や汗を流す。しかし、すぐに気を取り直したように首を振った。
「……正解だ、半分だけな。だが、隠密の技能だけだと俺の秘密を全て見抜いたとは言えないだろう?」
「分かっている。隠密を発動しても姿が消える様に見えるのはせいぜい一瞬、だけどその一瞬の間にあんたは敵に近付く術を持っている。その秘密は……「跳躍」でしょ?」
「っ……!?」
ナイの言葉に今度こそダンは狼狽し、まさかそこまで見抜かれているとは思いもしなかった。たった二度の攻撃でナイが自分の戦法を見抜いた事にダンは動揺を隠しきれず、その一方でナイの方も彼の反応から当たっていた事に安堵する。
――ダンの戦法とはまずは相手と向き合い、十分に近づいた後に「隠密」を発動させて相手の意識から一瞬の間だけ自分の存在を消す。その後は跳躍の技能を発動させ、相手が自分の姿を捉えられないうちに近付いて仕留める。これが彼の必勝戦法だった。
タネを明かせば二つの技能を生かした戦法でしかないが、この戦法だけでダンは数々の標的を倒し、いつの間にか「姿が見えない程に素早く敵を討つ」という存在として噂され、彼は「疾風のダン」という異名が付けられた。
実際にはダン自身は異名のように疾風の如き速さで動けるわけではない。彼が消えているように見えるのは目にも止まらぬ速さで動いているわけではなく、実際には相手が自分の姿が見えないように錯覚させているだけに過ぎない。
その秘密をまだ成人年齢にも達していない少年に見抜かれた事にダンは非常に焦り、この秘密を知られた以上はこの場に存在する者は始末しなければならない。その行為がバーリの機嫌を損ねるとしても、彼としては自分の能力の秘密を知られた以上は誰一人生かしておくわけにはいかなかった。
11
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる