214 / 1,110
王都での騒動
第213話 折れぬ心
しおりを挟む
「はぁああああっ!!」
『ッ……!?』
気合の雄叫びを上げながらナイは退魔刀を振りかざし、ガーゴイル亜種の背中に目掛けて円斧を繰り出す。子供の頃に巨岩を前に旋斧を叩きつけて破壊してきた事を思い返し、全身の力を込めて刃を放つ。
しかし、背後から聞こえた声に対してガーゴイル亜種は咄嗟に背中の翼を広げ、大きく羽ばたかせる。その結果、刃を繰り出そうとしたナイは風圧を受けて体勢が崩され、思う通りに刃を叩きつける事ができなかった。
「うわっ!?」
『シャアアッ!!』
「危ないっ!?」
「避けてっ!?」
攻撃に失敗して体勢を崩したナイに対して、ガーゴイル亜種は顔面に張り付いた炎を掻き消すと、ナイを見下ろす。ナイの方は全力で繰り出した攻撃が失敗した事により、顔色を青くさせる。
(まずい!!防御しないと……)
咄嗟にナイは退魔刀で身を防ごうとするが、それに対してガーゴイル亜種は右足を大きく振りかざすと、ナイの身体を蹴り飛ばす。そのあまりの威力に盾代わりに利用した退魔刀は吹き飛び、ナイの身体も壁が崩壊した屋敷の方へと飛び込む。
今までの人生で恐らくは最大の衝撃がナイの身体へと襲い掛かり、ナイは屋敷の内部へと転がり込む。その様子を見ていたヒイロとミイナは唖然とするが、すぐに二人は怒りの表情を浮かべる。
「よ、よくもナイさんを!!」
「殺すっ!!」
『シャアアアッ!!』
二人はナイを蹴り飛ばしたガーゴイル亜種に向けて切りかかるが、それに対してガーゴイル亜種は彼女達を押し潰そうと腕を振りかざす。
「がはぁっ……」
その一方でナイの方は建物の中で身体を動かす事もできず、あまりの痛みに気絶しそうになるが、どうにか意識を保つ。ここで気を失えば確実な死が待ち構えており、何としてもナイは生き延びるために精神を集中させる。
(もう一度、身体を治すんだ……)
魔操術を利用してナイは肉体の再生機能を活発化させ、怪我の治療を行おうとした。だが、今回の場合は怪我は表面だけではなく、骨の方も影響を受けている。ここまでの大怪我を魔操術で治した事など一度もない。
ここまでの連戦でナイ自身の魔力も大分消耗しており、怪我を治す事ができても魔力が枯渇すれば意識は保てず、しばらくの間は目を覚まさない。それでもナイはどうにかガーゴイル亜種に立ち向かうために魔力を集中させた。
(このままだと皆、殺される……あいつを倒さないと)
聖属性の魔力全身に駆け巡らせながらナイは肉体の再生機能を強化させ、治療を行う。ナイの全身が光り輝き、再生が行われていく。しかし、魔力が足りないせいか徐々に身体の光が弱まっていく。
(駄目だ、魔力がもう……)
自分には魔力が殆ど残されていない事を自覚したナイは諦めかけた時、誰かが自分を覗き込んでいる事に気付く。いったい誰だと思ったナイは目を開くと、そこには見知った顔があった。
「あ、起きたよ!!良かった、まだ生きてた!!」
「モモ……?」
ナイを抱き上げていたのは先に馬車でヒナと共に逃げたはずのモモであり、どうして彼女がここにいるのかとナイは戸惑うが、この時に遠くの方から聞き覚えのある鳴き声が響く。
――ウォオオンッ!!
屋敷の中に狼の声が響き、驚いたナイはモモに抱き上げられた状態で顔を向けると、そこにはガーゴイル亜種と向き合うビャクの姿が存在した。ビャクはガーゴイル亜種に対して威嚇する様に毛を逆立たせた状態で睨みつけていた。
どうして宿屋に置いてきたはずのビャクがここにいるのかと思ったナイだが、その間にもモモはナイの身体を抱き上げ、彼の胸元に手を伸ばす。
「ノイちゃんはもう大丈夫、あの悪いおじさん達もヒナちゃんが警備兵に突き出してくれたからもう平気だよ」
「警備兵に……?」
「うん、もう屋敷の近くまで警備兵の人たちが集まってたんだ。だから私達もすぐに保護されそうになったんだけど……ビャク君がナイ君の剣と盾を持ってここへ駆けつけてきたの」
モモによると屋敷を抜け出した後、すぐに彼女達は屋敷の近くにまで迫っていた警備兵の集団と遭遇したらしい。そこでヒナはバーリを突き出し、彼の悪事をノイとモウタツが証明した。
バーリは即座に拘束され、モウタツは自首してノイは無事に保護されたという。そのままヒナとモモも事情聴取という名目で彼等に連れて行かれようとしたが、この時にモモは偶然にもビャクを見かけたという。
ビャクはどうやらガーゴイル亜種の咆哮を耳にしてナイの危険を感じ取り、彼の武器と防具を持ちだして出てきたらしい。それを知ったモモはヒナに後の事は任せて自分もビャクの後に続き、戻って来たことを告げた。
『ッ……!?』
気合の雄叫びを上げながらナイは退魔刀を振りかざし、ガーゴイル亜種の背中に目掛けて円斧を繰り出す。子供の頃に巨岩を前に旋斧を叩きつけて破壊してきた事を思い返し、全身の力を込めて刃を放つ。
しかし、背後から聞こえた声に対してガーゴイル亜種は咄嗟に背中の翼を広げ、大きく羽ばたかせる。その結果、刃を繰り出そうとしたナイは風圧を受けて体勢が崩され、思う通りに刃を叩きつける事ができなかった。
「うわっ!?」
『シャアアッ!!』
「危ないっ!?」
「避けてっ!?」
攻撃に失敗して体勢を崩したナイに対して、ガーゴイル亜種は顔面に張り付いた炎を掻き消すと、ナイを見下ろす。ナイの方は全力で繰り出した攻撃が失敗した事により、顔色を青くさせる。
(まずい!!防御しないと……)
咄嗟にナイは退魔刀で身を防ごうとするが、それに対してガーゴイル亜種は右足を大きく振りかざすと、ナイの身体を蹴り飛ばす。そのあまりの威力に盾代わりに利用した退魔刀は吹き飛び、ナイの身体も壁が崩壊した屋敷の方へと飛び込む。
今までの人生で恐らくは最大の衝撃がナイの身体へと襲い掛かり、ナイは屋敷の内部へと転がり込む。その様子を見ていたヒイロとミイナは唖然とするが、すぐに二人は怒りの表情を浮かべる。
「よ、よくもナイさんを!!」
「殺すっ!!」
『シャアアアッ!!』
二人はナイを蹴り飛ばしたガーゴイル亜種に向けて切りかかるが、それに対してガーゴイル亜種は彼女達を押し潰そうと腕を振りかざす。
「がはぁっ……」
その一方でナイの方は建物の中で身体を動かす事もできず、あまりの痛みに気絶しそうになるが、どうにか意識を保つ。ここで気を失えば確実な死が待ち構えており、何としてもナイは生き延びるために精神を集中させる。
(もう一度、身体を治すんだ……)
魔操術を利用してナイは肉体の再生機能を活発化させ、怪我の治療を行おうとした。だが、今回の場合は怪我は表面だけではなく、骨の方も影響を受けている。ここまでの大怪我を魔操術で治した事など一度もない。
ここまでの連戦でナイ自身の魔力も大分消耗しており、怪我を治す事ができても魔力が枯渇すれば意識は保てず、しばらくの間は目を覚まさない。それでもナイはどうにかガーゴイル亜種に立ち向かうために魔力を集中させた。
(このままだと皆、殺される……あいつを倒さないと)
聖属性の魔力全身に駆け巡らせながらナイは肉体の再生機能を強化させ、治療を行う。ナイの全身が光り輝き、再生が行われていく。しかし、魔力が足りないせいか徐々に身体の光が弱まっていく。
(駄目だ、魔力がもう……)
自分には魔力が殆ど残されていない事を自覚したナイは諦めかけた時、誰かが自分を覗き込んでいる事に気付く。いったい誰だと思ったナイは目を開くと、そこには見知った顔があった。
「あ、起きたよ!!良かった、まだ生きてた!!」
「モモ……?」
ナイを抱き上げていたのは先に馬車でヒナと共に逃げたはずのモモであり、どうして彼女がここにいるのかとナイは戸惑うが、この時に遠くの方から聞き覚えのある鳴き声が響く。
――ウォオオンッ!!
屋敷の中に狼の声が響き、驚いたナイはモモに抱き上げられた状態で顔を向けると、そこにはガーゴイル亜種と向き合うビャクの姿が存在した。ビャクはガーゴイル亜種に対して威嚇する様に毛を逆立たせた状態で睨みつけていた。
どうして宿屋に置いてきたはずのビャクがここにいるのかと思ったナイだが、その間にもモモはナイの身体を抱き上げ、彼の胸元に手を伸ばす。
「ノイちゃんはもう大丈夫、あの悪いおじさん達もヒナちゃんが警備兵に突き出してくれたからもう平気だよ」
「警備兵に……?」
「うん、もう屋敷の近くまで警備兵の人たちが集まってたんだ。だから私達もすぐに保護されそうになったんだけど……ビャク君がナイ君の剣と盾を持ってここへ駆けつけてきたの」
モモによると屋敷を抜け出した後、すぐに彼女達は屋敷の近くにまで迫っていた警備兵の集団と遭遇したらしい。そこでヒナはバーリを突き出し、彼の悪事をノイとモウタツが証明した。
バーリは即座に拘束され、モウタツは自首してノイは無事に保護されたという。そのままヒナとモモも事情聴取という名目で彼等に連れて行かれようとしたが、この時にモモは偶然にもビャクを見かけたという。
ビャクはどうやらガーゴイル亜種の咆哮を耳にしてナイの危険を感じ取り、彼の武器と防具を持ちだして出てきたらしい。それを知ったモモはヒナに後の事は任せて自分もビャクの後に続き、戻って来たことを告げた。
11
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる