貧弱の英雄

カタナヅキ

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旋斧の秘密

第317話 各騎士団の実力

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「駄目じゃないかナイ君!!女性を相手に本気で剣を振るなんて!!」
「え、でもヒイロやミイナならこれぐらいは……」
「ヒイロとミイナはこう見えても剣の腕は確かなんだ!!そうでもなければ二人の年齢で王子である僕の騎士団に入れるわけがないだろう?」
「あの、王子……その言い方だと私達は女性として扱われていないように聞こえるのですが」
「怒っていい?」


ナイが本気で戦った事にアルトは叱責し、彼によるとヒイロとミイナの実力は他の騎士団の団員を上回るという。彼女達は王国騎士見習いという立場ではあるが、それはあくまでもアルトの都合で彼女達は見習いという立場にいる事を告げる。

ヒイロもミイナも年齢が若く、未熟な点も多いが他の王国騎士団の団員と比べれば実力は高い。彼女達に勝てる相手がいるとすればそれこそ団長や副団長級の騎士達しかおらず、少なくとも他の騎士とは一線を画す実力者である。


「迂闊だった、ナイ君はそういえばヒイロやミイナやテン指導官としか訓練をしてこなかったんだ……最初から手加減するように注意しておくべきだった」
「……いや、彼は何も悪くはありません。ただの一撃で敗れたこの者が悪いのです。全く、誰か運んでやれ」
「は、はい!!」
「大丈夫か?すぐに医療室に運んでやるからな!!」


リンの言葉を受けて他の団員が気絶した団員を運び込み、その様子を見送るとナイは申し訳なさそうな表情でリンに謝罪した。


「あの……すいませんでした」
「いや、そちらが謝る必要はない。それよりも訓練を続けよう」
「えっ!?いや、流石にこれ以上に迷惑をかけるわけには……」
「ナイの相手なら私達がする」


訓練の再開を告げたリンに対して慌ててヒイロとミイナが止めようとするが、リンとしても自分の騎士団の団員が無様にやられたままでは彼女の沽券に関り、他の団員に声を掛ける。


「ラン、お前達が相手をしてやれ」
「はっ……分かりました」


ランと呼ばれた団員は甲冑とランスを装備しており、闘技台の上へあがり込む。銀狼騎士団の団員の中で一番大柄な女性であり、団員の中では指折りの実力者であった。

闘技台の上でナイはランと向かい合い、強い気迫を感じたが怯みはしない。確かに普通の人間と比べれば只者ではない雰囲気を纏っているが、今までにガーゴイル亜種やミノタウロスと相手をしてきたせいで怖くもなんともない。


「よろしくお願いします」
「遠慮は無用です、かかってきなさい」


ナイが丁寧に挨拶を行うのに対してランの方は戦闘態勢を整え、ナイを迎え撃つ準備を行う。それを見たナイは先ほどの女性団員と比べ、彼女の方が強い事を直感で察する。

ランスを構えるランに対してナイは岩石剣を構え、どのように仕掛けるのかを考える。普通ならば正面から挑んでも大剣よりも攻撃範囲《リーチ》が長いランスが有利に思われるが、敢えてナイは不利を承知で正面から挑む。


「はああっ!?」
「なっ!?」
「正面から挑むつもりですか!?」
「ナイ君、それは無謀だぞ!!」
「大丈夫、ナイは負けない」


岩石剣を構えた状態でナイは駆け出すと、それに対してランは驚愕の声を上げながらもランスを突き出す。ナイに向けてランスが突き刺さると思われた瞬間、ナイは「跳躍」の技能を発動させた。


「ここだっ!!」
「えっ!?」
「馬鹿なっ!?」


ランスがナイに突き刺さると思われた瞬間、ナイは上空へ跳躍を行うとランスを空中で躱し、更に突き出されたランスを足場にしてランの元へ近寄ると、今度は手加減した一撃を放つ。


「てりゃっ」
「あうっ!?」


兜越しに大剣の腹の部分を叩き込まれたランは闘技台の端まで追い込まれ、しばらくの間は身体をばたつかせていたが、限界を迎えて闘技台の下に落ちてしまう。

またもや自分の団員が敗れた姿を見てリンは呆気に取られ、その一方でナイは困った様子で闘技台の下に待機している他の団人に声を掛けた。


「すいませんこの人も医療室まで運んでくれませんか?」
「は、はい…!!」
「ラン、大丈夫か!?」
「信じられない、まさかランさんまで敗れるなんて……」
「…………」


二人目の団員が敗れた事で他の団員達も動揺を隠せず、その一方でリンも険しい表情を浮かべる。仮にも他の騎士団の団員に敗れたならばともかく、ナイの場合は名目上は彼はアルトの協力者であって配下ではない。

ナイはあくまでも一般人であり、王国騎士でもなければヒイロやミイナのような見習い騎士でもない。そんな人物にいくら訓練とはいえ、王国騎士の位を与えられている自分の団員が敗れた事でリンの面子は丸潰れだった。


(この少年……やはり、強い)


だが、リンとしては自分の面子や団員が敗れた事よりもナイの実力を素直に認め、やはりバッシュ王子が先日の試合で敗北したのはまぐれではない事を実感する。その一方でナイの実力をもっと確かめたいと思い、彼女は背中に抱えていた大太刀に手を伸ばす。
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