貧弱の英雄

カタナヅキ

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旋斧の秘密

第346話 魔道具職人を目指した切っ掛け

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「今でも思い出しますよ、ハマーン技師が城に招かれた日の事を……」
「ははは、あの時の事は儂も忘れられぬよ。まさか、王子に弟子入りを求められるとは思わんかったからな……」


十数年前、ハマーンは王城に招かれた事がある。理由は彼の鍛冶師としての腕を見込んで国王はかつて彼を呼び出す。ハマーンが呼び出された理由はもうすぐ誕生日を迎えるアルトのために何か特別な玩具を用意して欲しいという事だった。

子供の誕生日のためにわざわざ国一番の鍛冶師を呼び出した国王もたいがいだが、ハマーンの方も依頼を引き受けた以上は仕事に手を抜かず、見事に当時のアルトの心を掴む道具を作り出す。

子供のアルトに対して彼が作ってあげたのは風属性の魔石を取り組んだ水鉄砲だった。筒の中に入っている水に風の魔力を流し込む事で勢いを強化させ、従来の水鉄砲よりも凄まじい威力を誇る。あまりに威力が大きすぎて子供が扱うには危険過ぎるという理由で怒られたが、アルトは初めて見た「魔道具」に興奮した。


「あの時の水鉄砲は今でも大切にしていますよ。子供の頃はよく悪戯に利用させて貰いました」
「ははは、そのせいで儂はよく呼び出されて怒られたぞ。もっとマシな玩具を作れとな」
「爺さん……あんた、王族と繋がりがあったのか」


話を聞いていたガオウは驚いた表情を浮かべ、既にハマーンは王族であるアルトと親しい仲だと知る。そんな彼に対してハマーンはガオウに告げた。


「ガオウよ、悪いが儂等の関係は秘密にしておいてくれ。バレると色々と面倒だからな」
「僕からも頼むよ。えっと、ガオウ君だったね。君の事は覚えておくよ」
「ど、どうも」


ガオウはアルトに対して愛想笑いを浮かべると、アルトはハマーンの隣の席に座る。


「ハマーン技師、丁度良かった。実は最近、僕に友人ができたので後で紹介します」
「ほう、アルト王子の友人か……それは興味があるのう。しかし、わざわざ儂を紹介させるという事はその友人は何者ですかな?」
「それは会ってからのお楽しみという事で……ハマーン技師に見てもらいたい武器もありますから」
「それは楽しみじゃな、ガオウよ。儂と王子はもう行かせてもらうぞ」
「えっ……あ、ああ」


ガオウを置いてハマーンはアルトと共に立ち去り、その様子をガオウは唖然と見送る事しかできなかった――





――アルトは偶然にも再会したハマーンを連れて控室に待機していたナイを迎えに行くと、クロノの姿のままのナイを見てハマーンは驚いた様子を浮かべた。


「アルト王子、この者が王子の友人だったのか!?」
「え?あの……どちら様ですか?」
「ナイ君、この人はハマーン技師と言って僕の師匠みたいな人だよ。ハマーン技師、彼は試合場ではクロノと名乗っていましたが、本当の名前はナイと言います。例の噂の少年……と言った方が分かりやすいかな?」
「ほう、やはりそうだったか!!あの魔牛殺しか!!」
「まぎゅうごろし……?」


ナイが王都で最近噂になっている少年だと知ったハマーンは興奮した様子で握手を行う。ナイは手を握りしめられた途端、その力強さに驚かされ、一方でハマーンは朗らかな笑みを浮かべる。


「お主の噂は儂もよく耳にしていたぞ。なんでも珍しい武器と防具を持っているとか……今度、儂に手入れをさせてくれぬか?」
「あ、あの……」
「ナイ君、ハマーン技師はこの王都一番の鍛冶師なんだ」
「それは違うぞ、アルト王子よ。儂は王都一番ではない、この国一番の鍛冶師じゃ」


アルトの言葉を聞いてハマーンは即座に否定し、自分こそがこの国で一番の鍛冶師である事を自称する。その自信に満ち溢れた態度にナイは呆気に取られ、アルトも笑ってしまう。

実際の所はハマーンが超一流の鍛冶師である事は嘘ではなく、少なくとも王都内では彼を上回る鍛冶師はいないと噂されている。


「ハマーン技師、これから時間はありますか?出来れば見てほしい物が色々とあるんですが……」
「ふむ、アルト王子がそこまで言うならば断わるわけには参りませんな。しかし、条件としてこの者が身に着けている装備を儂に見せてくれんか?」
「ナイ君は構わないかい?」
「え?まあ、見せるだけなら……」
「よし、それなら城に向かおう。ハマーン技師ならば大歓迎ですよ……それに色々と伝えたいことがありますからね」
「……うむ」


ハマーンはアルトの言葉を聞いて只事ではないと判断し、真剣な表情を浮かべる。そして3人は馬車に乗って王城へと向かった。この際、移動している最中にアルトはこの国に迫る危機の内容を伝えた――
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