貧弱の英雄

カタナヅキ

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グマグ火山決戦編

第366話 勝者は……

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「シャアアッ!?」
『ゴアアアッ……!!』


完全に崩れ去ったと思われた大型ゴーレムだったが、どうやら完全に崩れ去る前に地中に潜り込み、火竜を遂に捕える事に成功した。火竜は必死に引き剥がそうとするが、今度は大型ゴーレムも地中に半分埋まった状態なので簡単には持ち上がらない。

大型ゴーレムは全身に亀裂が走り、肉体のあちこちが崩れかけていたが、それでも火竜に攻撃を加える事を辞めない。火竜はもう一度攻撃を行おうと胸元を赤く光り輝かせるが、それを確認した大型ゴーレムは胸元に拳を叩き込む。


『ゴガァッ!!』
「ガハァッ!?」


胸元に衝撃を受けると火竜は苦しそうな表情を浮かべ、口元から火属性の魔力が零れ落ちる。先ほどの火竜の「吐息《ブレス》」は胸元に魔力を蓄積させなければ放てず、それを邪魔をすればもう恐れる事はない。


『ゴオオオッ……!!』
「ギャウッ!?」


火竜を押し倒した大型ゴーレムは遂に地上に出現すると、火竜の首元に目掛けて足を振り下ろす。大型ゴーレムの体重を乗せた足に火竜は悲鳴を上げ、それでも大型ゴーレムは止まらずに執拗に首元を蹴りつける。

最初は抵抗していた火竜だが、首元を蹴りつけられる際に呻き声を漏らし、抵抗する力も失う。やがて大型ゴーレムは火竜を持ち上げると、岩壁に向けて叩き込む。


『ゴガァアアアアッ!!』
「ガハァッ……!?」


大型ゴーレムは火竜を壁に叩きつけた瞬間、遂に限界を迎えたのか火竜は動かなくなり、地面に倒れる。その直後に火山が本当に噴火を引き起こし、火口に溶岩が溢れ出て火竜と大型ゴーレムを包み込む――





――この日、グマグ火山の噴火によって火山の見張りを行っていた王国兵は撤退を余儀なくされた。幸いというべきかグマグ火山の周辺には人が暮らす村や街はなかったので人的被害は最小限に抑えられたが、問題なのは噴火よりも厄介な存在が出現した事だった。

火山の噴火の連絡を受けた王都は即座に行動を起こし、火山に出現した大型ゴーレムの討伐のために軍が派遣される事が決定する。もう一刻の猶予もなく、王国は大型ゴーレムの討伐のために準備を急ぐ。


「国王陛下、黒狼騎士団を筆頭に他の王国騎士団を組み合わせた討伐隊の出発準備が完了致しました」
「そうか……遂にこの時が来たか」


玉座の間にて国王はシン宰相の言葉を聞いて頷き、そして彼の前にはこの王都の誇る最高戦力が集まっていた。

まずは討伐隊を指揮するのはこの国の第一王子であるバッシュであり、彼の補佐役として黒狼騎士団の副団長のドリスと、銀狼騎士団のリンも団員を引き連れて同行する。この3人の他には同じく王国騎士団であるヒイロ、ミイナも参加していた。

そして王都に滞在する黄金級冒険者のリーナ、ハマーン、ガオウの姿も存在し、更に彼等の他にはナイとテンも含まれていた。この二人は一般人ではあるが、ナイは魔法剣が使える事、そしてテンは自ら志願して討伐隊に参加する。


「テンよ、お前は指導官とはいえ、もう引退した身だ。無理に付き合う必要はないぞ?」
「陛下、もしも大型ゴーレムを止められなければこの王都だっていつ危険に晒されるか分かりません。あの時に行動していれば……なんて事態に陥るのは嫌ですからね、あたしも全力を尽くしますよ」
「そうか……感謝するぞ」


テンが同行してくれるのは有難く、引退したとはいえ、彼女は討伐隊の中でも経験豊富で普段から騎士達の指導を行っているので信頼も厚い。むしろ気がかりなのは彼女以外の者達の方であり、流石に討伐隊の大半が顔色が悪い。


「ううっ……緊張してきました。大型ゴーレムに私の魔剣は通用するのでしょうか」
「……相性は最悪だと思う」


ヒイロは不安そうな表情を浮かべ、ミイナも無表情ではあるが身体が僅かに震えていた。彼女達も見習いとはいえ、王国騎士である以上は討伐隊に参加するのは当然だった。その一方で同行する黄金級冒険者達の顔色は対照的に涼しい。


「やれやれ、まさかこの年齢で竜種と戦わされる事になるとはのう……」
「安心しな、爺さん。危なくなったら助けてやるよ……きっちり、金は貰うけどな」
「ふうっ……ドキドキしてきた」


ハマーンはため息を吐き出し、そんな彼にガオウは気さくに肩を叩き、リーナの方は緊張しているが特に怯えている様子はない。そしてナイの方は背中に背負った旋斧と反魔の盾に手を伸ばし、改めてを装着した右腕の確認を行う。


(爺ちゃん、ゴマン……見守っててね)


覚悟を決めたナイは強く拳を握りしめると、国王は遂に討伐隊に火山へ向かい、大型ゴーレムを始末するように命じた。


「行け、誇り高き戦士達よ!!必ずや勝利してここへ戻ってこい!!この国の未来はお前達に任せたぞ!!」
『はっ!!』


――この後、歴史に名を残す最大の決戦が始まろうとしていた。
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