貧弱の英雄

カタナヅキ

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グマグ火山決戦編

第378話 破られた魔法剣

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「ナイ君、悪いけど蒼月を使うしかないよ……この魔物を倒すにはそれしかないと思う」
「えっ!?」
「ゴオオッ……!!」


リーナは冷や汗を流しながらレッドゴーレムと向き合い、明らかにこれまでに遭遇した個体と比べて異質な存在感を放つレッドゴーレムに彼女は危機感を抱く。

冒険者としてリーナは今までに様々な魔物と対峙し、膨大な戦闘経験を培ってきた。しかし、目の前に現れたレッドゴーレムは今までの魔物とは雰囲気が明らかに異なり、彼女は蒼月を構える。


「ナイ君、ここは僕に任せて!!早く離れて!!」
「くっ……」


先ほどした約束を思い出したナイはこの場はリーナに任せるしかないかと思った時、ここで彼女の蒼月と自分の旋斧を見つめた。そしてある考えが浮かび上がり、ナイはリーナに告げた。


「いいや、僕に構わずに能力を使って!!」
「ナイ君!?」
「その能力、発動するのに時間が掛かるんでしょ!?なら、僕が足止めする!!」
「ゴアアッ!!」


蒼月を発動させる際にリーナは意識を集中するため、数秒ほど瞼を閉じていた。その事からナイは彼女が蒼月を発動するには相当な集中力が必要だと見抜き、その間にレッドゴーレムが襲い掛からない様に彼は時間を稼ぐ。

レッドゴーレムに対してナイは旋斧を叩きつける。しかし、昼間に遭遇したレッドゴーレムと比べても非常に硬く、旋斧でさえも弾かれてしまう。純粋な高度ならばガーゴイル亜種にも劣らず、更に腕力の方も侮れない。


「ゴアッ!!」
「くっ……このぉっ!!」
「ゴオッ……!?」


前蹴りを繰り出してきたレッドゴーレムに対して咄嗟にナイは「迎撃」を発動させ、身体を回転させるように蹴りを避けながらレッドゴーレムの脇腹に旋斧を叩き込む。

しかし、昼間のレッドゴーレムならば剛力の技能が無しでもナイの攻撃で破壊できたが、両腕と比べて胴体の異様に硬くて掠り傷を負わせるのが限界だった。


(何なんだこいつ……硬さだけならガーゴイル亜種よりも硬い!?)


ガーゴイル亜種ほどの素早さはないが、純粋な硬度ならばナイが戦ってきた相手の誰よりも硬い。ここは仕方がないのでナイは魔法腕輪を通して水属性の魔力を旋斧に送り込み、魔法剣を発動させた。


「これならどうだ!!」
「ゴガァッ……!?」


刃から冷気を発しながらナイは旋斧を振り払うと、今度はレッドゴーレムも警戒したように右腕で攻撃を防ぐ。その結果、右腕に刃が食い込んで徐々に変色していく。


(やった!!これなら……何だ!?)


しかし、昼間のレッドゴーレムの時はナイの魔法剣を受けてからしばらくしたら肉体が固まったが、今回現れたレッドゴーレムの腕が発熱し、あろう事か旋斧を弾き返す。


「ゴガァッ!!」
「うわぁっ!?」
「ナイ君!?」


水属性の魔法剣を受けたにも関わらず、レッドゴーレムはナイを吹き飛ばした光景を見てリーナは信じられない声を上げる。しかし、吹き飛ばされながらもナイは空中で体勢を整えて着地する。その間にレッドゴーレムの肉体に異変が起きていた。


「ゴァアアアアッ……!!」
「あ、熱い!?」
「何て熱気……!?」


信じられない事にレッドゴーレムは全身から凄まじい熱量を放ち、全身の岩石が更に赤みを増していた。まるで溶岩その物に変化したように錯覚するほどの熱量であり、ナイとリーナはあまりの熱気に近寄れない。


(こいつ……まさか、火属性の魔力を高めて魔法剣に対抗したのか!?)


レッドゴーレムの胸元の宝石が光り輝き、その様子を見てナイは即座にレッドゴーレムが体内の火属性の魔力を活性化させ、自分の魔法剣を防いだと判断した。

水属性の魔法剣ならば確かにレッドゴーレムの体内の火属性の魔力を無効化できるが、レッドゴーレムはナイが放った水属性の魔法剣に宿った魔力以上の火属性の魔力を生み出し、完全に打ち消される前に攻撃を弾き返したのだ。

その証拠にナイは旋斧に視線を向けると、いつの間にか旋斧が赤みを増しており、火属性の魔力を吸収した時と同じ状態に陥っていた。これは水属性の魔力が消耗し、レッドゴーレムの火属性の魔力を吸収した事を意味している。


(まさか、火属性の魔力で水属性の魔力を打ち消すなんて……いや、今のは水属性の魔力が少なかったからだ。打ち消されない様に常に水属性の魔力を流し込み続ければ……)


ナイは自分の魔法剣が敗れたのは水属性の魔力の出力が弱かったからだと判断し、改めて水属性の魔法剣を発動しようとした。だが、ここでナイは旋斧がまだ火属性の魔力を宿している事に気付き、この状態では別の魔法剣に切り替える事は出来ない事を思い出す。


(しまった!?旋斧の魔力が……早く発散させないと!!)


慌ててナイは旋斧に宿した火属性の魔力を解放しようとしたが、その前にレッドゴーレムが大きく口元を開き、徐々に全身の輝きが失う。
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