399 / 1,110
グマグ火山決戦編
第389話 火竜の戦慄
しおりを挟む
――この男だけはここで殺さなければならない、そのように判断した火竜の行動は素早かった。ナイに対して火竜は確実に殺すため、跡形もなく焼き尽くそうと胸元に火属性の魔力を集中させる。
火竜は胸の中に経験石が存在し、その経験石に膨大な火属性の魔力を蓄積させている。この魔力は長年の間、火竜が摂取し続けてきた火属性の魔石から吸収した魔力であり、いざという時は攻撃のために利用できる。
胸元に蓄積させた魔力を口に移動させて外部に放つ、それが火竜の誇る最大の攻撃「火球《ブレス》」だが、魔力を蓄積させるのに多少の時間が掛かった。
「アガァアアアッ……!!」
「くぅっ……!?」
自分に向けて口元を開き、胸元を赤く発光させる火竜を見てナイは膝を着く。強化術はまだ切れていないが、旋斧が火竜の体内に食い込んで抜け出せない。
逃げる事もできずにナイは火竜を見上げると、十分に魔力が集まったのか火竜は火球を放とうとした。しかし、口元から吐き出す寸前で火竜は異様な感覚に襲われる。
「アアッ――!?」
唐突に火竜は身体に力が入らなくなり、巨体が傾いて見当違いの方向に火球を放つ。火球は空へ向けて放たれ、そのまま遥か上空にまで移動し、空中で四散した。
「シャアアッ……!?」
「……何とか、間に合ったな」
火竜は何が起きているのか理解できずに戸惑っていると、ここでナイは笑みを浮かべた。彼の視線の先には尻尾に食い込んだ旋斧が存在し、現在の旋斧の刃は黒色に変色していた。
――ナイが旋斧を手放す寸前、彼は魔法腕輪から闇属性の魔力を引き出し、魔法剣を発動させた。その結果、火竜の体内には現在闇属性の魔力が流れ込む。
聖属性の魔法が生命力を活性化させる能力を持つのに対し、闇属性の魔力はその真逆の生命力を奪う効果を持つ。闇属性の魔力が体内に流れ込んだ火竜はまるで「猛毒」を流し込まれたように生命力が低下し、思うように動けない。
あまりにも危険な力なのでナイも普段は闇属性の魔法剣は控えていたが、相手は竜種となると手段は選べない。ナイは地面にめり込んだ岩砕剣に手を伸ばし、片手で引き抜く。
「うおおおおっ!!」
「シャアアッ!?」
岩砕剣を手にしたナイは火竜に向けて叩き込むと、火竜は悲鳴を上げて地面に倒れ込む。通常状態の火竜ならばナイの攻撃を受けても怯みもしないだろうが、現在の火竜は身体が麻痺したかのように思うように動けない。
(こいつを倒すには……あそこを狙うしかない!!)
ナイは左腕を構え、腕鉄鋼に内蔵されたフックショットを構える。狙いは火竜の頭部であり、命中の技能を発動させて放つ。
「当たれぇええっ!!」
「アギャアアアッ!?」
火竜の瞳に目掛けてミスリル製の刃が放たれ、見事に瞳に的中した。火竜は右目を貫かれて悲鳴を上げ、この際に首を激しく動かしてしまう。
ナイの放ったフックショットが火竜の目玉に食い込んだ際、火竜が首を動かすと鋼線を通じてナイの身体も引っ張り上げられる。それを逆に利用してナイは岩砕剣を握りしめた状態で火竜の顔面へと迫る。
「くたばれぇっ!!」
「ッ――!?」
火竜に目掛けてナイは突っ込むと、この時に火竜は身を防ごうとしたが、背中の翼や尻尾は既に存在しない。迫りくるナイを翼で叩き落す事も尻尾で叩きつける事もできず、このまま頭を切り裂かれると思われた瞬間、咄嗟に火竜は口元を開く。
「アガァッ!!」
「うわっ!?」
悪あがきとばかりに火竜は口元から煙を放ち、それによってナイは視界を封じられて攻撃に失敗してしまう。先ほどは火球を出す際に失敗したが、口内から煙を吐き出す事でどうにか火竜は一命を取り留めた。
攻撃が失敗したナイはそのまま地面に向かい、この際、フックショットの鋼線が切れてしまう。そのままナイは地面に倒れ込み、強化術まで切れてしまう。
「がはぁっ!?」
「シャアアッ……!!」
強化術が切れた反動でナイは全身に筋肉痛を負い、急いで魔法腕輪の聖属性の魔石から魔力を吸収して再生術を発動させようとした。だが、倒れ込んだナイを見て火竜が見逃すはずがなく、片目から血を流しながらも火竜は牙を繰り出す。
「シャアアッ!!」
「ぐぅっ……!?」
「ウォンッ……!?」
ナイを救うために地面に叩きつけれて倒れていたビャクは起き上がろうとするが、彼が動く前に火竜の元に接近する影が存在し、それは蒼月を構えたリーナとミイナだった。
「ミイナちゃん、僕を飛ばして!!」
「んっ!!」
ミイナは如意斧を振りかざすと、柄を伸ばす。この際にリーナは如意斧の刃の腹の部分に足を付けると、ミイナは持ち前の怪力を生かしてリーナを火竜の元へ飛ばす。
火竜は胸の中に経験石が存在し、その経験石に膨大な火属性の魔力を蓄積させている。この魔力は長年の間、火竜が摂取し続けてきた火属性の魔石から吸収した魔力であり、いざという時は攻撃のために利用できる。
胸元に蓄積させた魔力を口に移動させて外部に放つ、それが火竜の誇る最大の攻撃「火球《ブレス》」だが、魔力を蓄積させるのに多少の時間が掛かった。
「アガァアアアッ……!!」
「くぅっ……!?」
自分に向けて口元を開き、胸元を赤く発光させる火竜を見てナイは膝を着く。強化術はまだ切れていないが、旋斧が火竜の体内に食い込んで抜け出せない。
逃げる事もできずにナイは火竜を見上げると、十分に魔力が集まったのか火竜は火球を放とうとした。しかし、口元から吐き出す寸前で火竜は異様な感覚に襲われる。
「アアッ――!?」
唐突に火竜は身体に力が入らなくなり、巨体が傾いて見当違いの方向に火球を放つ。火球は空へ向けて放たれ、そのまま遥か上空にまで移動し、空中で四散した。
「シャアアッ……!?」
「……何とか、間に合ったな」
火竜は何が起きているのか理解できずに戸惑っていると、ここでナイは笑みを浮かべた。彼の視線の先には尻尾に食い込んだ旋斧が存在し、現在の旋斧の刃は黒色に変色していた。
――ナイが旋斧を手放す寸前、彼は魔法腕輪から闇属性の魔力を引き出し、魔法剣を発動させた。その結果、火竜の体内には現在闇属性の魔力が流れ込む。
聖属性の魔法が生命力を活性化させる能力を持つのに対し、闇属性の魔力はその真逆の生命力を奪う効果を持つ。闇属性の魔力が体内に流れ込んだ火竜はまるで「猛毒」を流し込まれたように生命力が低下し、思うように動けない。
あまりにも危険な力なのでナイも普段は闇属性の魔法剣は控えていたが、相手は竜種となると手段は選べない。ナイは地面にめり込んだ岩砕剣に手を伸ばし、片手で引き抜く。
「うおおおおっ!!」
「シャアアッ!?」
岩砕剣を手にしたナイは火竜に向けて叩き込むと、火竜は悲鳴を上げて地面に倒れ込む。通常状態の火竜ならばナイの攻撃を受けても怯みもしないだろうが、現在の火竜は身体が麻痺したかのように思うように動けない。
(こいつを倒すには……あそこを狙うしかない!!)
ナイは左腕を構え、腕鉄鋼に内蔵されたフックショットを構える。狙いは火竜の頭部であり、命中の技能を発動させて放つ。
「当たれぇええっ!!」
「アギャアアアッ!?」
火竜の瞳に目掛けてミスリル製の刃が放たれ、見事に瞳に的中した。火竜は右目を貫かれて悲鳴を上げ、この際に首を激しく動かしてしまう。
ナイの放ったフックショットが火竜の目玉に食い込んだ際、火竜が首を動かすと鋼線を通じてナイの身体も引っ張り上げられる。それを逆に利用してナイは岩砕剣を握りしめた状態で火竜の顔面へと迫る。
「くたばれぇっ!!」
「ッ――!?」
火竜に目掛けてナイは突っ込むと、この時に火竜は身を防ごうとしたが、背中の翼や尻尾は既に存在しない。迫りくるナイを翼で叩き落す事も尻尾で叩きつける事もできず、このまま頭を切り裂かれると思われた瞬間、咄嗟に火竜は口元を開く。
「アガァッ!!」
「うわっ!?」
悪あがきとばかりに火竜は口元から煙を放ち、それによってナイは視界を封じられて攻撃に失敗してしまう。先ほどは火球を出す際に失敗したが、口内から煙を吐き出す事でどうにか火竜は一命を取り留めた。
攻撃が失敗したナイはそのまま地面に向かい、この際、フックショットの鋼線が切れてしまう。そのままナイは地面に倒れ込み、強化術まで切れてしまう。
「がはぁっ!?」
「シャアアッ……!!」
強化術が切れた反動でナイは全身に筋肉痛を負い、急いで魔法腕輪の聖属性の魔石から魔力を吸収して再生術を発動させようとした。だが、倒れ込んだナイを見て火竜が見逃すはずがなく、片目から血を流しながらも火竜は牙を繰り出す。
「シャアアッ!!」
「ぐぅっ……!?」
「ウォンッ……!?」
ナイを救うために地面に叩きつけれて倒れていたビャクは起き上がろうとするが、彼が動く前に火竜の元に接近する影が存在し、それは蒼月を構えたリーナとミイナだった。
「ミイナちゃん、僕を飛ばして!!」
「んっ!!」
ミイナは如意斧を振りかざすと、柄を伸ばす。この際にリーナは如意斧の刃の腹の部分に足を付けると、ミイナは持ち前の怪力を生かしてリーナを火竜の元へ飛ばす。
10
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる