貧弱の英雄

カタナヅキ

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ゴブリンキングの脅威

第425話 戦力過多

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「話が脱線しましたね、さっきはマホ魔導士が王都に残れば安心できると言いましたが、やはり飛行船を動かす以上はマホ魔導士も同行してくれないと不安がありますね。でも、他に説得できる人なんていませんしね……」
「王都に残った戦力で一番力になりそうなのは……バッシュ王子ぐらいかい」
「この国最強の猛虎騎士団も現在は北の国境から離れられませんしね。かといって我が国の将軍達は頼りにならないし……うちの国の弱点は騎士が強すぎて将軍達の影が薄い事ですね」


王国にも一応は将軍職の人間は存在するが、この国では王国騎士の方が権力を有しており、実際に国王が一番に信頼しているのは騎士達である。

この国の大将軍は猛虎騎士団の団長が務めており、彼は騎士と将軍を兼任している。しかし、他の将軍達では王都の守護は任せるには力不足であり、やはり遠征するとなると不安は残る。そこでイリアはテンに提案を行う。


「やっぱり、ここはテン指導官が現役に復帰して王都に残るのはどうですか?未だにテン指導官の名声は有名ですし、それなら王都の悪党どもも何も出来ませんよ」
「……嫌だね、あたしはもう王国騎士に戻るつもりはないよ」
「どうしてですか?テン指導官の功績を考えれば騎士団を設立する事だって許されますよ」



聖女騎士団の副団長であったテンは数々の功績を残しており、国王からの信頼も厚い。現役の王国騎士達よりも国王は彼女の事を信頼している節もあり、そうでもなければ既に半ば引退しているテンを協力者という名目で任務に同行させるはずがない。

だが、テンは王国騎士に戻るつもりはなく、仮に騎士団の設立を許されたとしても彼女は騎士に戻る事はないと告げた。


「聖女騎士団がまだ健在だったのならあたしだって喜んで騎士に戻るけどね、もう聖女騎士団は存在しない。だからあたしは騎士に戻るつもりはない」
「それはおかしいですね、聖女騎士団が自分の居場所だと言い張るつもりなら、どうして貴方は聖女騎士団を解散させたんですか?」
「えっ……解散?」
「……小娘、あんまり調子に乗るんじゃないよ」


解散という言葉にナイはどういう意味なのかとイリアに尋ねる前にテンが彼女を睨みつけ、今にも胸倉を掴みかからない迫力を放つ。しかし、イリアは臆さずに彼女が聖女騎士団を解散させる原因を作った事を指摘する。


「王妃様の亡きあと、国王様は聖女騎士団を貴女に任せるつもりだったはずです。それなのに貴女はそれを拒否して聖女騎士団を解散させ、自分は騎士を辞めて白猫亭の主人の跡を継いだ……つまり、聖女騎士団を解散させたのは貴女じゃないですか」
「はんっ、聖女騎士団は王妃様が団長だからこそ成り立つんだ!!あたしが団長に就いたところで他の奴等は誰も納得するはずがない!!あの騎士団に集まった連中は王妃様だからこそ従っていたんだ、何も知らない小娘が偉そうに語るんじゃないよ!!」
「きゃっ!?」
「テ、テンさん!?」
「お、落ちついて下さい!!」


イリアの言葉にテンは怒鳴り散らし、彼女は壁に向けて拳をめり込ませる。その際に壁に亀裂が走り、テンの拳に血が滲んだのを見て慌てて他の者達が落ち着かせようとした。


「なるほど、噂通りの人ですね。貴方が忠誠を誓う相手は国王様ではなく、王妃様ですか……」
「荒くれ者だったあたし達を受け入れ、立派な騎士にまでしてくれたのは王妃様だ。その王妃様がもういなくなった以上、あたし達は騎士に拘り続ける理由なんてなくなったんだよ……聖女騎士団は王妃様の騎士団だ、だからあたしはあの騎士団を解散させた。例え、それが自分の居場所を捨てる事になったとしても王妃様以外の人間があの騎士団を纏める事が我慢ならなかったのさ」


テンは自分が団長の座を継ぐ事を承諾しなくても他の人間が団長の座に就く事を恐れ、半ば無理やり聖女騎士団を解散させた事を告げる。当時所属していた団員達も彼女の意見に賛同し、騎士団は解散した。

結果から言えば当時は王国最強と謳われた騎士団は王妃が団長を務めていたからこそ成り立ち、彼女が死んだ時点で聖女騎士団は存在価値を失い、解散するしかなかった。だが、イリアは本当にテンがそれだけの理由で騎士団を解散させたのかを問い質す。


「理由はそれだけですか?聖女騎士団をまとめる事ができるのは王妃様だけ、だから解散した……それだけが理由じゃないはずです」
「……何が言いたいんだい」
「貴女は逃げたんでしょう。王妃様がいない騎士団に居る事が耐え切れなくて逃げてしまった。そして今でもそれを後悔している……そうでもなければ未練がましく未だに王国騎士や兵士の指導官なんて立場に就く必要はありませんよ」
「あんたね……!!」
「テン指導官、落ち着いて!!イリアも煽るような言葉は止めるんだ!!」


話を聞いていたアルトが間に割って入り、そうでもしなければテンはイリアに殴り掛かる勢いだった。
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