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ゴブリンキングの脅威
第433話 何故、鮫なのか……
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――高速移動を行うフライングシャーク号の船内にてナイ達は窓の外を眺め、本当に自分達が空を飛んでいる事を理解する。空を飛ぶ経験など初めてであるため、流石にドリスやリンさえも戸惑いを隠せない。
「ほ、本当に船が飛んでいますわ……信じられませんわね」
「まさかこんな巨大な船が空を飛ぶとは……だが、この移動速度なら目的地まですぐに辿り着きそうに思うがな」
「何を言っておる、この船が飛べるのは一日に一時間程度じゃ。魔石の補給も行わんと行けないし、整備もしっかりとしておかねばならん」
「1時間!?それだけしか飛べませんの!?」
ハマーンの言葉に全員が驚き、一日の間にそんなに短い時間しか飛ぶことが出来ないのかと思われるが、飛行船の負担を考えると仕方がない事らしい。
「この船を動かすのは十数年ぶりらしいからな。しかもこの船の木材は特殊で簡単に手に入る代物ではない。もしもこの船が大破したら終わりじゃ」
「その通りだ。それに一時間といってもこれだけの移動速度ならば馬で移動するよりも早い、だが問題なのは船が降りた時に他の魔物に襲われない様に警戒せねばならん」
「まあ、儂等が今日降りる場所は湖だから簡単に襲われる心配はないがな……」
「あの、一つ聞いていいですか?」
アッシュたちの会話の際中にナイはどうしても気になる事があり、普通の騎士や兵士ならば彼等の会話に割って入ることなどでいないが、ナイは彼等よりも上の立場の人間として扱われているので誰も咎めはしない。
「この船、鮫……ですよね?どうして鮫の姿を模しているんですか?」
「ふむ……気になるか?」
「えっと、ちょっとだけ……」
「私も気になるな」
ナイの質問に対してアッシュとハマーンは顔を見合わせ、他の者もフライングシャーク号がどうして鮫を模したにした外装《デザイン》なのか気にかかり、返答を待つ。
ハマーンは前に何度か飛行船に乗り込んでおり、そもそも船を動かす度に整備を行っていたのは彼である。アッシュも過去に飛行船に乗った事があり、その理由は知っていた。
「この船が鮫の姿をしているのは決して製作者の趣味ではない、鳥獣型の魔物対策のためじゃ」
「鳥獣型の魔物……?」
「うむ、空を飛ぶ魔物に飛行船を襲われる事を考慮し、飛行船の外装を危険な生物の姿に似せる事で空を飛ぶ魔物達に巨大な飛行生物と勘違いさせ、襲わせないようにさせるために鮫の姿を模したと聞いている」
「あ、なるほど……ちゃんとした理由があったんですね」
「なるほど、魔物を恐れさせるための偽装だったんですの」
「確かにこんな外見ならば知能が低い魔物は巨大な魔物と勘違いするだろう」
意外にもしっかりとした理由がある事にナイ達は納得しかけたが、ここで新しい疑問が生まれる。それはどうして海の生物である鮫を外装に刻んだ事であり、普通なら空を移動するのならば空を飛ぶ魔物に偽装する方が自然である。
「でも、どうして鮫なんですか?空を飛ぶ魔物なら同じく空を飛ぶ魔物の姿に偽装したほうが効果あるんじゃないですか?例えば……火竜とか?」
「いや、それは駄目じゃな。下手に竜種などの姿を模した飛行船の場合、刺激が強すぎる。滅多にない事だが、もしも飛行中の竜種と遭遇した場合、縄張りを侵されたと勘違いされて攻撃を受ける可能性もあるのだ」
「えっ!?」
「外装を海に生息する鮫を選んだ理由は簡単だ、空の魔物が海に生息する鮫の事を知るはずがない。だから空の魔物からすれば得体の知れない恐ろしい生き物が浮かんでいる様にしか見えないだろう」
「なる、ほど……?」
アッシュの説明に何人かが納得しかけるが、どうにも引っかかった。確かに彼等の言葉に嘘はないのだろうが、わざわざ鮫を選んだ理由が分からない。海には多数の危険な生物が存在し、しかも鮫よりも危険な魔物はいくらでも存在する。
敢えて危険生物の中から鮫を選んで船の偽装を行った事に疑問を持つ者は多いが、ハマーンとアッシュは目配せを行い、これ以上の情報を露呈しなかった。
(……言えるわけがあるまい、この船に偽装を行ったのは王妃様であることなど)
(王妃様が鮫好きだから船に塗装した結果、偶然にも魔物に襲われる事がなくなったなどと……言えるはずがない)
――実を言えばフライングシャーク号の外装の変更を命じたのは王妃であり、彼女がまだ生きていた頃に国王が王妃に頼まれ、飛行船に乗せた事があった。
王妃は空を飛ぶ船に乗れた事に興奮するが、飛行船の外見が思っていたよりも普通過ぎてつまらなく思い、国王に頼み込んで船の外装を自分が好きな「鮫」を描く。
フライングシャーク号という名前も王妃が名付けた名前であり、元々はこの飛行船の名前は別の名前があったのだが、鮫の外見をした船になったのでこちらの名前のほうに改名されてしまう。
結果から言えば王妃の言う通りに鮫の姿に模した途端、飛行船は鳥獣型の魔物に襲われる事はなくなった。別に王妃は船の外装がつまらないという理由で鮫の姿に変更したに過ぎない。しかし、まさか本当の事を話すわけにもいかず、真実を知っているハマーンとアッシュは他の者を誤魔化すように説明するしかなかった。
「ほ、本当に船が飛んでいますわ……信じられませんわね」
「まさかこんな巨大な船が空を飛ぶとは……だが、この移動速度なら目的地まですぐに辿り着きそうに思うがな」
「何を言っておる、この船が飛べるのは一日に一時間程度じゃ。魔石の補給も行わんと行けないし、整備もしっかりとしておかねばならん」
「1時間!?それだけしか飛べませんの!?」
ハマーンの言葉に全員が驚き、一日の間にそんなに短い時間しか飛ぶことが出来ないのかと思われるが、飛行船の負担を考えると仕方がない事らしい。
「この船を動かすのは十数年ぶりらしいからな。しかもこの船の木材は特殊で簡単に手に入る代物ではない。もしもこの船が大破したら終わりじゃ」
「その通りだ。それに一時間といってもこれだけの移動速度ならば馬で移動するよりも早い、だが問題なのは船が降りた時に他の魔物に襲われない様に警戒せねばならん」
「まあ、儂等が今日降りる場所は湖だから簡単に襲われる心配はないがな……」
「あの、一つ聞いていいですか?」
アッシュたちの会話の際中にナイはどうしても気になる事があり、普通の騎士や兵士ならば彼等の会話に割って入ることなどでいないが、ナイは彼等よりも上の立場の人間として扱われているので誰も咎めはしない。
「この船、鮫……ですよね?どうして鮫の姿を模しているんですか?」
「ふむ……気になるか?」
「えっと、ちょっとだけ……」
「私も気になるな」
ナイの質問に対してアッシュとハマーンは顔を見合わせ、他の者もフライングシャーク号がどうして鮫を模したにした外装《デザイン》なのか気にかかり、返答を待つ。
ハマーンは前に何度か飛行船に乗り込んでおり、そもそも船を動かす度に整備を行っていたのは彼である。アッシュも過去に飛行船に乗った事があり、その理由は知っていた。
「この船が鮫の姿をしているのは決して製作者の趣味ではない、鳥獣型の魔物対策のためじゃ」
「鳥獣型の魔物……?」
「うむ、空を飛ぶ魔物に飛行船を襲われる事を考慮し、飛行船の外装を危険な生物の姿に似せる事で空を飛ぶ魔物達に巨大な飛行生物と勘違いさせ、襲わせないようにさせるために鮫の姿を模したと聞いている」
「あ、なるほど……ちゃんとした理由があったんですね」
「なるほど、魔物を恐れさせるための偽装だったんですの」
「確かにこんな外見ならば知能が低い魔物は巨大な魔物と勘違いするだろう」
意外にもしっかりとした理由がある事にナイ達は納得しかけたが、ここで新しい疑問が生まれる。それはどうして海の生物である鮫を外装に刻んだ事であり、普通なら空を移動するのならば空を飛ぶ魔物に偽装する方が自然である。
「でも、どうして鮫なんですか?空を飛ぶ魔物なら同じく空を飛ぶ魔物の姿に偽装したほうが効果あるんじゃないですか?例えば……火竜とか?」
「いや、それは駄目じゃな。下手に竜種などの姿を模した飛行船の場合、刺激が強すぎる。滅多にない事だが、もしも飛行中の竜種と遭遇した場合、縄張りを侵されたと勘違いされて攻撃を受ける可能性もあるのだ」
「えっ!?」
「外装を海に生息する鮫を選んだ理由は簡単だ、空の魔物が海に生息する鮫の事を知るはずがない。だから空の魔物からすれば得体の知れない恐ろしい生き物が浮かんでいる様にしか見えないだろう」
「なる、ほど……?」
アッシュの説明に何人かが納得しかけるが、どうにも引っかかった。確かに彼等の言葉に嘘はないのだろうが、わざわざ鮫を選んだ理由が分からない。海には多数の危険な生物が存在し、しかも鮫よりも危険な魔物はいくらでも存在する。
敢えて危険生物の中から鮫を選んで船の偽装を行った事に疑問を持つ者は多いが、ハマーンとアッシュは目配せを行い、これ以上の情報を露呈しなかった。
(……言えるわけがあるまい、この船に偽装を行ったのは王妃様であることなど)
(王妃様が鮫好きだから船に塗装した結果、偶然にも魔物に襲われる事がなくなったなどと……言えるはずがない)
――実を言えばフライングシャーク号の外装の変更を命じたのは王妃であり、彼女がまだ生きていた頃に国王が王妃に頼まれ、飛行船に乗せた事があった。
王妃は空を飛ぶ船に乗れた事に興奮するが、飛行船の外見が思っていたよりも普通過ぎてつまらなく思い、国王に頼み込んで船の外装を自分が好きな「鮫」を描く。
フライングシャーク号という名前も王妃が名付けた名前であり、元々はこの飛行船の名前は別の名前があったのだが、鮫の外見をした船になったのでこちらの名前のほうに改名されてしまう。
結果から言えば王妃の言う通りに鮫の姿に模した途端、飛行船は鳥獣型の魔物に襲われる事はなくなった。別に王妃は船の外装がつまらないという理由で鮫の姿に変更したに過ぎない。しかし、まさか本当の事を話すわけにもいかず、真実を知っているハマーンとアッシュは他の者を誤魔化すように説明するしかなかった。
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