貧弱の英雄

カタナヅキ

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ゴブリンキングの脅威

第493話 子の成長は早い

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「どうですか?」
「お、おおっ……こいつは凄いな、痛みがなくなったぜ」
「うむ、心なしか体力も戻ったような……」
「良かった……あれ?」
「お、おい!!どうした!?」


二人に回復魔法を施すと、ナイは身体の力が抜けて膝を着き、その様子を見た二人は慌てる。ナイはここで自分が思っていたよりも魔力を消耗した事に気付き、頭を抑えた。


(そういえば強化術を使ったのを忘れてた……魔力を回復させないと)


ここでナイは以前にイリアから受け取った魔力回復薬の事を思い出し、それを取り出そうとした。だが、魔力回復薬がいつの間にかなくなっている事に気付いて戸惑う。


(あれ、確かにここにいれていたはずなのに……まさか、落とした!?)


先の巨人との戦闘の際中に魔力回復薬を落としてしまったのか、いくら探しても薬は見当たらずに困っていると、ここで後ろから誰かが声を掛けてきた。


「ナイさん、これ落ちてましたよ」
「えっ……イリア?」
「ほら、ちゃんと持ってないと駄目じゃないですか」
「あんたは……誰だ?」
「あ、どうも……通りすがりの魔導士ですよ」
「ま、魔導士?」


後方を振り返るとそこにはイリアが立っており、彼女の手には魔力回復薬が握りしめられていた。それを見たナイは薬を受け取って安堵した。

どうやら何時の間にか落としていた魔力回復薬をイリアがにも拾っていたらしく、ナイはそれを口元に含んで飲み込む。ここでイリアはナイが薬を飲んだ事を確認すると、僅かに口元に笑みを浮かべる。


「んぐっ……!?」
「ナイ、どうした?」
「おい、大丈夫か?」
「……ぷはぁっ!!」


飲み込んでいる最中にナイは目を見開き、その態度にドルトンとイーシャンは驚くが、すぐにナイは薬瓶を口元から離すとすっきりした表情を浮かべる。


「この魔力回復薬、凄く飲みやすい!!」
「そうでしょう?市販の魔力回復薬はどろどろでうまく飲み込めませんからね。その点は私の改良した魔力回復薬はゼリーのように飲みやすくしていますからね」
「な、何だ……驚かせるなよ」
「一瞬、驚いたぞ……」
「じゃあ、私はもう行きますね。今度からは様に気を付けてください」


魔力回復薬の喉越しが爽やかっただった事にナイは驚いたらしく、すぐに効果が現れたのか立ち上がれる程に体力が回復した。自称薬師でもあるイリアの作り出す薬は市販の物よりも効果が高く、ナイの魔力は急速的に回復する。

その様子を見届けたイリアは満足気に頷き、彼女はその場を離れた。ナイは魔力回復薬を拾ってくれたお礼を告げようとしたが、それを言う暇もなく彼女は人込みに紛れて消えてしまう。


「あ、行っちゃった……お礼を言いたかったのに」
「何だか変わった女の子だったな……それよりもナイ、お前さん前に会った時よりでかくなってないか?」
「え?そうですか?」
「うむ、ここを発つときと比べて身長が伸びておるな」


旅立つ前のナイはドルトンよりも身長が低かったが、現在は二人ともだいたいは同じ大きさであり、いつの間にかナイの肉体も成長していたらしい。

年齢的に考えればナイはまだ成長期であり、あと少し経てば16才を迎える。ナイの正確な誕生日は不明だが、彼はアルに拾われた日を誕生日にしている。


(アルよ……天国から見守っているか?お前の息子は立派に成長したぞ)


ドルトンはナイの頭を撫でやり、その彼の行動にナイは驚くが嫌がる素振りは見せない。大人になりかけているナイを天国にいるはずの親友が見守っている事を信じ、ドルトン達は久しぶりの再会を楽しむ――





――同時刻、飛行船では修理が行われ、巨人によって破壊された帆の修復をハマーンと彼の弟子たちが行う。飛行船の被害は帆が破壊された事以外は特に問題はないが、飛行船に必要な動力の魔石の方が問題だった。


「親方!!やっぱり、魔石の方はもう駄目ですぜ!!無理やり船を飛ばし過ぎたせいで殆どの魔石が魔力が切れちまってる!!」
「運んできた予備の魔石だけだと数が足りません!!」
「そうか……魔石ばかりは儂等でもどうにもならんからのう」


破壊された帆の修復はハマーン達でも何とかなるが、飛行船の移動のために利用された魔石の魔力に関しては彼等でもどうしようもできない。飛行船を浮上させるには相当数の魔石を必要とするのだが、事前に船内に詰め込んでいた予備の魔石だけでは数が足りなかった。

王都を出発する際は往復分の魔石を用意していたが、思いもよらずに交戦する事になった巨人との戦闘で飛行船を無理に動かした影響で魔石を消耗し、これではすぐには王都へ戻る事はできそうにない。そもそも被害を受けたイチノの事後処理もあり、他にも色々と問題が残っていた。
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