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王都の異変
第582話 魔剣の相性
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「風鞭!!」
「なっ!?」
刀身に渦巻いていた風の魔力が突如として鞭のように変化すると、イゾウは風魔を振り抜いた瞬間、風の鞭が周囲へと襲い掛かる。それに対してナイは反魔の盾を構えるが、鞭は盾に当たる直前で軌道を変化させ、ナイの背後へと回り込む。
「無駄だ!!」
「ぐはっ!?」
「ナイ殿……うわっ!?」
「ギャインッ!?」
反魔の盾を避けた風の鞭はナイの背中に衝突し、廃墟の壁に叩きつけられる。それを見てクノは助けに向かおうとしたが、彼女の足元にも風の鞭が通過し、ビャクも近づけなかった。
壁に叩き込まれたナイは眉をしかめるが、背中を痛めた程度で傷はない。しかし、イゾウは風魔から生み出している風の鞭を振りかざし、ナイに何度も叩きつけた。
「くたばれ!!」
「うぐっ!?」
「ナ、ナイ!!くそっ……!!」
「馬鹿、無茶をするんじゃないよ……そんな状態で動いたら死ぬよ!?」
何度も風の鞭を叩きつけられるナイを見てテンは助けに向かおうとするが、今の彼女は薬のせいで身体が麻痺しており、しかも両手と両足は針で突き射されて碌に動けない。そんなテンを見てネズミが引き留めようとするが、クノはナイの様子を見て違和感を抱く。
(これは……!?)
傍目から見るとナイが一方的にやられているように見えるが、風の鞭に対してナイは旋斧を盾代わりに身を隠して攻撃を防いでいる。その様子を見てイゾウは執拗に攻撃を繰り返し、怒鳴りつける。
「先ほどまでの威勢はどうした!?所詮、この程度かっ!!」
「……っ!!」
イゾウの言葉を聞いてナイは目を閉じると、ここで心眼を発動させて風の鞭の軌道を正確に捉える。そして旋斧を構えると、強く念じながら刃を振り抜く。
「喰らえ!!」
「なぁっ……!?」
「風を……斬った!?」
旋斧の刃が風魔から放たれる「風鞭」に届いた瞬間、風の魔力が吸収され、まるで風の鞭が切り裂かれた様に消えてしまう。イゾウはその光景を見て驚愕の表情を浮かべ、一方で風の魔力を吸い上げた旋斧の刀身に炎が宿る。
魔剣「旋斧」は外部から魔力を吸収する能力を持ち合わせ、しかも現在は火竜の膨大な火属性の魔力を宿しており、火属性と相性が良い風属性の魔力を吸い上げると炎を宿す。刃に火炎を纏った旋斧を構えたナイはイゾウへ向けて振り下ろす。
「放てっ!!」
「うおおおおっ!?」
「やったでござる!!」
「ウォンッ!!」
旋斧が振り下ろされた瞬間に刃に纏っていた火炎が放出され、イゾウへと迫る。風属性の魔力を吸い上げると火炎放射のように放出できるため、炎に包まれるイゾウを見てクノとビャクは勝利を確信した。
だが、イゾウは迫りくる炎に対して反射的に風魔を構え、風属性の魔力を放出させる。竜巻の如く刃から魔力を放ち、彼は旋斧が放つ火炎を防ごうとした。
「ぐぅうっ……まだだ!!」
「くっ……!?」
「し、しぶとい奴だね……!!」
「当り前さ、腐ってもそいつは最強の暗殺者なんだよ!!」
イゾウがナイの火炎を防ぐ光景を見てテンは焦り、ネズミは警告する。竜巻と火炎がせめぎ合い、相性的にはナイの旋斧が有利のはずだが、イゾウの風魔には風属性の魔石一つ分の魔力が宿されている。
竜巻の力でどうにかイゾウは火炎を抑え込み、懐に手を伸ばして瓶を取り出す。それは先に使用した身体を麻痺させる煙を噴き出す物ではなく、ほんの少しでも煙を吸い込めば相手を確実に始末できる猛毒が仕込まれた小瓶だった。
「くたばれ!!」
「なっ!?」
猛毒が入った小瓶をイゾウは放り込むと、風魔から発生した竜巻に小瓶は飲み込まれ、緑色の煙が噴き出す。そして煙は竜巻に巻き込まれると、ナイの元へと迫る。ナイは毒耐性の技能を身に着けているが、イゾウが持ち出した猛毒は毒耐性の技能を身に着けていても耐えられる代物ではない。
毒の煙を巻き上げた竜巻がナイへと迫り、もう駄目かと思われた時、ここでクノはクナイを取り出す。彼女はナイに意識を集中させているイゾウに向けて放つ。
「投っ!!」
「ちっ、邪魔をするな!!」
クノがクナイを放つと、咄嗟にイゾウはクナイを弾き返そうとした。だが、彼は針がもうない事を忘れており、反射的に風魔でクナイを弾く。
「しまっ……!?」
「うおおおっ!!」
一瞬だけクノに意識を反らしたせいでイゾウは隙を作ってしまい、それを逃さずにナイは魔法腕輪から風属性の魔力を引き出すと、刀身に送り込んで火炎を更に拡大化させる。
毒煙を巻き込んだ竜巻を火炎が飲み込み、そのままイゾウの元へ迫る。ここでイゾウにとっては運が悪かったのは、先に吸収させた風属性の魔石の魔力が切れてしまい、刀身から生み出していた竜巻が消えてしまう。
「はぁあああっ!!」
「がぁああああっ!?」
火炎と毒煙にイゾウは巻き込まれ、彼は全身を焼かれながら倒れ込む。それを確認したナイは旋斧に魔力を送り込むのを辞めると、刃に纏っていた炎が消え去り、残されたのは毒を吸い込んで炎に包まれたイゾウのもがき苦しむ姿だけだった。
「なっ!?」
刀身に渦巻いていた風の魔力が突如として鞭のように変化すると、イゾウは風魔を振り抜いた瞬間、風の鞭が周囲へと襲い掛かる。それに対してナイは反魔の盾を構えるが、鞭は盾に当たる直前で軌道を変化させ、ナイの背後へと回り込む。
「無駄だ!!」
「ぐはっ!?」
「ナイ殿……うわっ!?」
「ギャインッ!?」
反魔の盾を避けた風の鞭はナイの背中に衝突し、廃墟の壁に叩きつけられる。それを見てクノは助けに向かおうとしたが、彼女の足元にも風の鞭が通過し、ビャクも近づけなかった。
壁に叩き込まれたナイは眉をしかめるが、背中を痛めた程度で傷はない。しかし、イゾウは風魔から生み出している風の鞭を振りかざし、ナイに何度も叩きつけた。
「くたばれ!!」
「うぐっ!?」
「ナ、ナイ!!くそっ……!!」
「馬鹿、無茶をするんじゃないよ……そんな状態で動いたら死ぬよ!?」
何度も風の鞭を叩きつけられるナイを見てテンは助けに向かおうとするが、今の彼女は薬のせいで身体が麻痺しており、しかも両手と両足は針で突き射されて碌に動けない。そんなテンを見てネズミが引き留めようとするが、クノはナイの様子を見て違和感を抱く。
(これは……!?)
傍目から見るとナイが一方的にやられているように見えるが、風の鞭に対してナイは旋斧を盾代わりに身を隠して攻撃を防いでいる。その様子を見てイゾウは執拗に攻撃を繰り返し、怒鳴りつける。
「先ほどまでの威勢はどうした!?所詮、この程度かっ!!」
「……っ!!」
イゾウの言葉を聞いてナイは目を閉じると、ここで心眼を発動させて風の鞭の軌道を正確に捉える。そして旋斧を構えると、強く念じながら刃を振り抜く。
「喰らえ!!」
「なぁっ……!?」
「風を……斬った!?」
旋斧の刃が風魔から放たれる「風鞭」に届いた瞬間、風の魔力が吸収され、まるで風の鞭が切り裂かれた様に消えてしまう。イゾウはその光景を見て驚愕の表情を浮かべ、一方で風の魔力を吸い上げた旋斧の刀身に炎が宿る。
魔剣「旋斧」は外部から魔力を吸収する能力を持ち合わせ、しかも現在は火竜の膨大な火属性の魔力を宿しており、火属性と相性が良い風属性の魔力を吸い上げると炎を宿す。刃に火炎を纏った旋斧を構えたナイはイゾウへ向けて振り下ろす。
「放てっ!!」
「うおおおおっ!?」
「やったでござる!!」
「ウォンッ!!」
旋斧が振り下ろされた瞬間に刃に纏っていた火炎が放出され、イゾウへと迫る。風属性の魔力を吸い上げると火炎放射のように放出できるため、炎に包まれるイゾウを見てクノとビャクは勝利を確信した。
だが、イゾウは迫りくる炎に対して反射的に風魔を構え、風属性の魔力を放出させる。竜巻の如く刃から魔力を放ち、彼は旋斧が放つ火炎を防ごうとした。
「ぐぅうっ……まだだ!!」
「くっ……!?」
「し、しぶとい奴だね……!!」
「当り前さ、腐ってもそいつは最強の暗殺者なんだよ!!」
イゾウがナイの火炎を防ぐ光景を見てテンは焦り、ネズミは警告する。竜巻と火炎がせめぎ合い、相性的にはナイの旋斧が有利のはずだが、イゾウの風魔には風属性の魔石一つ分の魔力が宿されている。
竜巻の力でどうにかイゾウは火炎を抑え込み、懐に手を伸ばして瓶を取り出す。それは先に使用した身体を麻痺させる煙を噴き出す物ではなく、ほんの少しでも煙を吸い込めば相手を確実に始末できる猛毒が仕込まれた小瓶だった。
「くたばれ!!」
「なっ!?」
猛毒が入った小瓶をイゾウは放り込むと、風魔から発生した竜巻に小瓶は飲み込まれ、緑色の煙が噴き出す。そして煙は竜巻に巻き込まれると、ナイの元へと迫る。ナイは毒耐性の技能を身に着けているが、イゾウが持ち出した猛毒は毒耐性の技能を身に着けていても耐えられる代物ではない。
毒の煙を巻き上げた竜巻がナイへと迫り、もう駄目かと思われた時、ここでクノはクナイを取り出す。彼女はナイに意識を集中させているイゾウに向けて放つ。
「投っ!!」
「ちっ、邪魔をするな!!」
クノがクナイを放つと、咄嗟にイゾウはクナイを弾き返そうとした。だが、彼は針がもうない事を忘れており、反射的に風魔でクナイを弾く。
「しまっ……!?」
「うおおおっ!!」
一瞬だけクノに意識を反らしたせいでイゾウは隙を作ってしまい、それを逃さずにナイは魔法腕輪から風属性の魔力を引き出すと、刀身に送り込んで火炎を更に拡大化させる。
毒煙を巻き込んだ竜巻を火炎が飲み込み、そのままイゾウの元へ迫る。ここでイゾウにとっては運が悪かったのは、先に吸収させた風属性の魔石の魔力が切れてしまい、刀身から生み出していた竜巻が消えてしまう。
「はぁあああっ!!」
「がぁああああっ!?」
火炎と毒煙にイゾウは巻き込まれ、彼は全身を焼かれながら倒れ込む。それを確認したナイは旋斧に魔力を送り込むのを辞めると、刃に纏っていた炎が消え去り、残されたのは毒を吸い込んで炎に包まれたイゾウのもがき苦しむ姿だけだった。
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