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王都の異変
第597話 強盗
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地上へと降りたナイは白猫亭へと向かう途中、街道の人の流れが変化した事に気付く。何故か焦った表情の一般人が進行方向から駆けつけ、不思議に思ったナイは足を止めて様子を伺う。
「ひいいっ!?」
「に、逃げろ!!」
「強盗だ!!こっちに来るぞ!!」
「……強盗?」
駆け抜ける人々の声を聞いてナイは疑問を抱き、逃げ出す人々の反対方向を確認する。すると、そこには見覚えのあるメイド服姿をした女性が三人と、一般人と思われる少女を抱えた男性が立っていた。
「う、動くんじゃねえっ!!動いたらこのガキを殺すぞ!?」
「ひいいっ!?は、離してぇっ……お母さぁんっ!!」
「黙れ!!暴れるな、静かにしないと本当にぶっ殺すぞ!?」
「止めなさい!!」
メイド服の女性の中で一番身長が高い人物が男性を注意する。この時にナイはその女性の正体が以前にも会った事がある人物だと知り、黒狼騎士団副団長のドリスの親衛隊である「リンダ」という名前の女性で間違いなかった。
リンダはドリスの親衛隊の隊長を務めており、普段はメイドとしての業務を行っているが、その実力は高くて並の王国騎士でも相手にならない一流の格闘家でもある。しかし、現在は男に子供を人質に取られて迂闊に動けず、男の指示に従う。
「ち、近づくんじゃねえぞっ!!一歩でも近づいたらこのガキを本当に殺すからな!!」
「隊長……」
「言う通りにしなさい……お嬢さん、大丈夫ですからね」
「ううっ、ぐすっ……」
男に捕まっている少女を安心させるようにリンダは微笑み、男の言う通りに従う。ナイは放ってはおけず、どうにか強盗を捕まえるために自分ができる事を考える。
(隠密でこっそり近付く?それとも投擲で男の武器を弾くか……いや、投擲は駄目だ)
以前にナイは暗殺者に対して刺剣を放り込んだ時、予想以上の威力で暗殺者の身体に大怪我を負わせた事を思い出す。強くなり過ぎたせいで手加減するのも難しく、未だに大怪我を負わせた暗殺者の顔を思い出してしまう。
隠密を発動させて存在感を消し去り、無音歩行の技能で足音を消せば強盗に気付かれずに近づける。しかし、男は興奮していて今にも子供に手を出しかねない雰囲気だった。
「近づくんじゃねえっ!!お、お前等が悪いんだ……大人しく金を渡していれば良かったのに!!」
「止めなさい、その子は関係ないでしょう!!」
「うるせえっ!!俺に指図するなっ!!」
「うわああんっ!!」
「泣くな、うるせえだろ!!」
男は正気ではなく、精神的に追い込まれ過ぎて冷静さを失っていた。人質である子供を失えば自分も無事では済まないと考える余裕もなく、男は短剣を振りかざす。
「も、もういい!!全員、ぶっ殺してやる!!」
「止めっ……!?」
短剣を男は振りかざすと、まずは自分が人質にしている少女に対して突き刺そうとした。それを見たナイは我慢できず、今から走っても間に合わないと判断して刺剣に手を伸ばす。
(武器を狙えっ!!)
男の身体に当たれば大怪我を負わせるかもしれず、ナイは狙いを男の持っている短剣に定め、この際に「命中」の技能を発動させて放つ。
ナイの手元から離れた刺剣は男が少女を突き刺す前に短剣に的中し、金属音が鳴り響く。男は悲鳴を上げ、少女を手放してしまう。
「うぎゃぁあああっ!?」
「きゃあっ!?」
「危ないっ!!」
リンダは咄嗟に男が手放した少女を抱き上げ、即座に他のメイド二人が倒れた男を拘束する。短剣を弾かれた際に男は柄を握っていた指が折れたらしく、呻き声を漏らしながらも抑えつけられる。
「いでぇ、いでぇよぉっ……!!」
「大人しくしろ!!」
「リンダ様、確保しました!!」
「分かりました……もう大丈夫ですからね」
「ううっ……ぐすっ」
男が捕らえられたのを確認すると、リンダは抱きかかえた子供を安心させるように微笑み、その様子を見ていたナイは安堵する。リンダはすぐにナイがいる方向へ振り返り、彼の顔を確認すると驚く。
「貴方は……前にドリス様の誕生会でお会いしましたよね」
「あ、はい……ナイです」
「ええ、覚えております。貴方があの男の武器を弾いてくれたのですね、感謝します」
「いでぇっ……いでぇよおっ……!!」
メイドに抑えつけられた強盗は折れた指の痛みで泣き叫び、その様子を見てナイは表情を歪める。そんな彼を見てリンダは不思議に思うが、置いている刺剣を拾い上げてナイへと渡す。
「ご助力、感謝します。貴方のお陰でこの子は助かりました」
「あ、いや……気にしないでください」
「ひっくっ……あ、ありがとう、お姉ちゃん」
「貴女を助けたのはこのお兄ちゃんですよ」
助けられた子供はリンダに抱きつきながらお礼を言うが、彼女は優しく頭を撫でながらナイに礼を言うように促す。助かった子供を見てナイは少し安心し、自分が間違った事はしていないのだと思う。
それでも怪我をした男を見てナイは無視する事は出来ず、倒れている男に近付いてせめて怪我を治そうと回復魔法を施そうとしたが、他のメイド二人が止めた。
「ひいいっ!?」
「に、逃げろ!!」
「強盗だ!!こっちに来るぞ!!」
「……強盗?」
駆け抜ける人々の声を聞いてナイは疑問を抱き、逃げ出す人々の反対方向を確認する。すると、そこには見覚えのあるメイド服姿をした女性が三人と、一般人と思われる少女を抱えた男性が立っていた。
「う、動くんじゃねえっ!!動いたらこのガキを殺すぞ!?」
「ひいいっ!?は、離してぇっ……お母さぁんっ!!」
「黙れ!!暴れるな、静かにしないと本当にぶっ殺すぞ!?」
「止めなさい!!」
メイド服の女性の中で一番身長が高い人物が男性を注意する。この時にナイはその女性の正体が以前にも会った事がある人物だと知り、黒狼騎士団副団長のドリスの親衛隊である「リンダ」という名前の女性で間違いなかった。
リンダはドリスの親衛隊の隊長を務めており、普段はメイドとしての業務を行っているが、その実力は高くて並の王国騎士でも相手にならない一流の格闘家でもある。しかし、現在は男に子供を人質に取られて迂闊に動けず、男の指示に従う。
「ち、近づくんじゃねえぞっ!!一歩でも近づいたらこのガキを本当に殺すからな!!」
「隊長……」
「言う通りにしなさい……お嬢さん、大丈夫ですからね」
「ううっ、ぐすっ……」
男に捕まっている少女を安心させるようにリンダは微笑み、男の言う通りに従う。ナイは放ってはおけず、どうにか強盗を捕まえるために自分ができる事を考える。
(隠密でこっそり近付く?それとも投擲で男の武器を弾くか……いや、投擲は駄目だ)
以前にナイは暗殺者に対して刺剣を放り込んだ時、予想以上の威力で暗殺者の身体に大怪我を負わせた事を思い出す。強くなり過ぎたせいで手加減するのも難しく、未だに大怪我を負わせた暗殺者の顔を思い出してしまう。
隠密を発動させて存在感を消し去り、無音歩行の技能で足音を消せば強盗に気付かれずに近づける。しかし、男は興奮していて今にも子供に手を出しかねない雰囲気だった。
「近づくんじゃねえっ!!お、お前等が悪いんだ……大人しく金を渡していれば良かったのに!!」
「止めなさい、その子は関係ないでしょう!!」
「うるせえっ!!俺に指図するなっ!!」
「うわああんっ!!」
「泣くな、うるせえだろ!!」
男は正気ではなく、精神的に追い込まれ過ぎて冷静さを失っていた。人質である子供を失えば自分も無事では済まないと考える余裕もなく、男は短剣を振りかざす。
「も、もういい!!全員、ぶっ殺してやる!!」
「止めっ……!?」
短剣を男は振りかざすと、まずは自分が人質にしている少女に対して突き刺そうとした。それを見たナイは我慢できず、今から走っても間に合わないと判断して刺剣に手を伸ばす。
(武器を狙えっ!!)
男の身体に当たれば大怪我を負わせるかもしれず、ナイは狙いを男の持っている短剣に定め、この際に「命中」の技能を発動させて放つ。
ナイの手元から離れた刺剣は男が少女を突き刺す前に短剣に的中し、金属音が鳴り響く。男は悲鳴を上げ、少女を手放してしまう。
「うぎゃぁあああっ!?」
「きゃあっ!?」
「危ないっ!!」
リンダは咄嗟に男が手放した少女を抱き上げ、即座に他のメイド二人が倒れた男を拘束する。短剣を弾かれた際に男は柄を握っていた指が折れたらしく、呻き声を漏らしながらも抑えつけられる。
「いでぇ、いでぇよぉっ……!!」
「大人しくしろ!!」
「リンダ様、確保しました!!」
「分かりました……もう大丈夫ですからね」
「ううっ……ぐすっ」
男が捕らえられたのを確認すると、リンダは抱きかかえた子供を安心させるように微笑み、その様子を見ていたナイは安堵する。リンダはすぐにナイがいる方向へ振り返り、彼の顔を確認すると驚く。
「貴方は……前にドリス様の誕生会でお会いしましたよね」
「あ、はい……ナイです」
「ええ、覚えております。貴方があの男の武器を弾いてくれたのですね、感謝します」
「いでぇっ……いでぇよおっ……!!」
メイドに抑えつけられた強盗は折れた指の痛みで泣き叫び、その様子を見てナイは表情を歪める。そんな彼を見てリンダは不思議に思うが、置いている刺剣を拾い上げてナイへと渡す。
「ご助力、感謝します。貴方のお陰でこの子は助かりました」
「あ、いや……気にしないでください」
「ひっくっ……あ、ありがとう、お姉ちゃん」
「貴女を助けたのはこのお兄ちゃんですよ」
助けられた子供はリンダに抱きつきながらお礼を言うが、彼女は優しく頭を撫でながらナイに礼を言うように促す。助かった子供を見てナイは少し安心し、自分が間違った事はしていないのだと思う。
それでも怪我をした男を見てナイは無視する事は出来ず、倒れている男に近付いてせめて怪我を治そうと回復魔法を施そうとしたが、他のメイド二人が止めた。
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