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王都の異変
第654話 サイクロプス
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「そ、それは貴族様のメダル!?しかもこの紋様は確か王都の公爵家の……し、失礼しました!!」
「わっ……別に頭を下げなくても」
「おお、黄金級冒険者の方とは知らず、失礼な態度を取ってしまい、誠に申し訳ございません!!」
「あ、いや……別にそんなにかしこまらなくてもいいよ。別に階級が上だからって君達よりも立場が上というわけじゃないんだから」
ナイ達の正体を知った途端に商団と冒険者の集団は態度を改め、頭を下げてきた。それに対してアルトは頷き、彼等に注意を行う。
「王国の法律では荷物の運搬の際は中身を確認する事が義務付けられている。それを破った君達は犯罪を犯しているという事になるが、まだ情状酌量の余地はある。僕達に協力すれば今回の一件は僕の方から話を通して見逃してもいい」
「ほ、本当ですか!?」
「但し、君達には責任を以てあのサイクロプスを運んでもらうよ。本当に闘技場に送り込まれる予定の魔物だった場合、見逃す事はできないからね」
アルトはサイクロプスに視線を向け、この橋にサイクロプスに居座られると王都へ向かう人間からすれば迷惑が掛かる。サイクロプスはミノタウロスと同程度の危険性を誇り、決して放置はできない。
見逃す事が許されない理由は他にもあり、サイクロプスは元々王国には存在しない魔物である。ここでサイクロプスに逃げられた場合は生態系を乱す可能性もあるため、王都に送り込んで闘技場で管理する方が都合が良い。
「じゃあ、あのサイクロプスを何とかするか……と言ってもどうするべきかな」
「あの……あいつ、まだ薬で眠らされていたので影響が残っているのか、さっきからああして動かないんです。でも、下手に触れて目を覚ましたら怖くて……」
「なるほど、確かに様子がおかしいな」
眠り薬の類で眠らされていたのかサイクロプスは橋の真ん中で横たわり、瞼を少し開いて薄目の状態のまま動く気配がない。完全に意識を失っているのならば運び出せるかもしれないが、下手に刺激をして目を覚まさせれば取り返しのつかない事態に陥る。
「王子様、サイクロプスを始末するのは駄目なのですか?」
「それは駄目だな。サイクロプスは魔人族の中でも数が少ないし、それに基本は刺激を与えなければ襲い掛からない温厚な生き物だ」
「温厚?あんなに怖いのに……」
「確かにサイクロプスは一つ目鬼と言われるほどに恐ろしい外見だが、怒らせなければ人間にも友好的な生き物だ。餌を与えれば懐く場合もある」
「餌、ですか……でも、何を与えればいいんですか?」
「サイクロプスは動物の肉よりも果物を好むと聞いた事はあるが……誰か、持っているかい?」
「あ、それなら運んでいる荷物の中にあります!!」
話を聞いていた商人が慌てて自分達の荷物の中から果物を取り出し、アルトはそれを見てサイクロプスを引き寄せる事ができると判断した。
「よし、これだけの果物があれば十分だ。橋の上からどうにか誘導するんだ」
「あの橋に居られると厄介ですからね……戦闘になった場合、橋が落ちてしまう可能性もあります」
「こっち側まで引き寄せればどうにでもなる」
「できれば殺したくはないが……最悪の場合は戦うしかないと思ってくれ」
「うん、分かった」
アルトの指示の元に橋の出入口に集まっていた商団の馬車は移動すると、果物を籠に摘めてサイクロプスを端から離れさせるように誘導するため、ここでナイがゆっくりと近づく。
誘導役を志願したのはナイであり、彼は荷物を手にするとゆっくりと橋の中央に寝そべるサイクロプスに近付く。ある程度の距離まで移動するとサイクロプスは鼻を引くつかせ、果物の匂いを嗅ぎ取ったのかナイに振り返る。
「キュロロッ……?」
「わっ……そんな鳴き声をするのか」
「ナイ君、果物を一つずつ置くんだ!!そのままゆっくりと戻ってきてくれ!!」
アルトがナイに指示を出し、そんな彼の言う事にナイは従い、橋の上に一つずつ果物を置いていく。それを確認したサイクロプスは不思議そうな表情を浮かべながらも果物を拾い上げ、口の中に放り込む。
「アガァッ……」
「うわ、凄い牙……ほら、こっちだよ」
「キュロロッ……」
まるで赤ん坊のように這いずりながらサイクロプスは橋に置かれた果物を口の中に放り込み、ゆっくりと近付いていく。この調子ならば橋から誘導できると思われた瞬間、ここで商人の一人が声を上げた。
「あっ……し、しまった!!その紫色の果物は駄目だ!?」
「えっ?」
橋の上に置かれた果物の中には一つだけ紫色の色合いの果実が混じっており、それに気づいた商人は声を上げる。だが、時は既に遅く、既にサイクロプスは紫色の果実に手を伸ばしていた。
「わっ……別に頭を下げなくても」
「おお、黄金級冒険者の方とは知らず、失礼な態度を取ってしまい、誠に申し訳ございません!!」
「あ、いや……別にそんなにかしこまらなくてもいいよ。別に階級が上だからって君達よりも立場が上というわけじゃないんだから」
ナイ達の正体を知った途端に商団と冒険者の集団は態度を改め、頭を下げてきた。それに対してアルトは頷き、彼等に注意を行う。
「王国の法律では荷物の運搬の際は中身を確認する事が義務付けられている。それを破った君達は犯罪を犯しているという事になるが、まだ情状酌量の余地はある。僕達に協力すれば今回の一件は僕の方から話を通して見逃してもいい」
「ほ、本当ですか!?」
「但し、君達には責任を以てあのサイクロプスを運んでもらうよ。本当に闘技場に送り込まれる予定の魔物だった場合、見逃す事はできないからね」
アルトはサイクロプスに視線を向け、この橋にサイクロプスに居座られると王都へ向かう人間からすれば迷惑が掛かる。サイクロプスはミノタウロスと同程度の危険性を誇り、決して放置はできない。
見逃す事が許されない理由は他にもあり、サイクロプスは元々王国には存在しない魔物である。ここでサイクロプスに逃げられた場合は生態系を乱す可能性もあるため、王都に送り込んで闘技場で管理する方が都合が良い。
「じゃあ、あのサイクロプスを何とかするか……と言ってもどうするべきかな」
「あの……あいつ、まだ薬で眠らされていたので影響が残っているのか、さっきからああして動かないんです。でも、下手に触れて目を覚ましたら怖くて……」
「なるほど、確かに様子がおかしいな」
眠り薬の類で眠らされていたのかサイクロプスは橋の真ん中で横たわり、瞼を少し開いて薄目の状態のまま動く気配がない。完全に意識を失っているのならば運び出せるかもしれないが、下手に刺激をして目を覚まさせれば取り返しのつかない事態に陥る。
「王子様、サイクロプスを始末するのは駄目なのですか?」
「それは駄目だな。サイクロプスは魔人族の中でも数が少ないし、それに基本は刺激を与えなければ襲い掛からない温厚な生き物だ」
「温厚?あんなに怖いのに……」
「確かにサイクロプスは一つ目鬼と言われるほどに恐ろしい外見だが、怒らせなければ人間にも友好的な生き物だ。餌を与えれば懐く場合もある」
「餌、ですか……でも、何を与えればいいんですか?」
「サイクロプスは動物の肉よりも果物を好むと聞いた事はあるが……誰か、持っているかい?」
「あ、それなら運んでいる荷物の中にあります!!」
話を聞いていた商人が慌てて自分達の荷物の中から果物を取り出し、アルトはそれを見てサイクロプスを引き寄せる事ができると判断した。
「よし、これだけの果物があれば十分だ。橋の上からどうにか誘導するんだ」
「あの橋に居られると厄介ですからね……戦闘になった場合、橋が落ちてしまう可能性もあります」
「こっち側まで引き寄せればどうにでもなる」
「できれば殺したくはないが……最悪の場合は戦うしかないと思ってくれ」
「うん、分かった」
アルトの指示の元に橋の出入口に集まっていた商団の馬車は移動すると、果物を籠に摘めてサイクロプスを端から離れさせるように誘導するため、ここでナイがゆっくりと近づく。
誘導役を志願したのはナイであり、彼は荷物を手にするとゆっくりと橋の中央に寝そべるサイクロプスに近付く。ある程度の距離まで移動するとサイクロプスは鼻を引くつかせ、果物の匂いを嗅ぎ取ったのかナイに振り返る。
「キュロロッ……?」
「わっ……そんな鳴き声をするのか」
「ナイ君、果物を一つずつ置くんだ!!そのままゆっくりと戻ってきてくれ!!」
アルトがナイに指示を出し、そんな彼の言う事にナイは従い、橋の上に一つずつ果物を置いていく。それを確認したサイクロプスは不思議そうな表情を浮かべながらも果物を拾い上げ、口の中に放り込む。
「アガァッ……」
「うわ、凄い牙……ほら、こっちだよ」
「キュロロッ……」
まるで赤ん坊のように這いずりながらサイクロプスは橋に置かれた果物を口の中に放り込み、ゆっくりと近付いていく。この調子ならば橋から誘導できると思われた瞬間、ここで商人の一人が声を上げた。
「あっ……し、しまった!!その紫色の果物は駄目だ!?」
「えっ?」
橋の上に置かれた果物の中には一つだけ紫色の色合いの果実が混じっており、それに気づいた商人は声を上げる。だが、時は既に遅く、既にサイクロプスは紫色の果実に手を伸ばしていた。
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