698 / 1,110
王都の異変
第687話 逃げられぬ運命
しおりを挟む
「な、何故だ!?どうしてお前がこれを!?」
「い、入れ墨?」
「この気味の悪い髑髏、暗殺者の人たちも刻んでたよね?」
「いいえ、これは入れ墨じゃないの……毒なのよ」
「毒!?」
髑髏の入れ墨を想像させる紋様が腕に浮かんだヒメによると、彼女はこの紋様がただの入れ墨ではなく、自分をこの場所に縛り付ける原因だと説明する。
「私がこの植物園の管理を任された際、あいつらに毒を打ち込まれたの。私は腕に毒を注入された後、この髑髏のような紋様が浮かんできた……これは奴等が独自に開発した特別な毒で、一定の周期で特別な薬を打ち込まないと死んでしまうの」
「ば、馬鹿なっ……」
「その薬は別の場所で製造されていて定期的にここへ送り込まれるの。だけど、その薬がないと私は一か月程度で毒に侵されて死んでしまうわ。暗殺者が普段から所持している毒薬は知っている?」
ヒメの言葉を聞いてナイ達は先ほど調合室で回収した毒薬の事を思い出し、ヒメによるとあの毒薬もただの毒ではない事が発覚した。
「あれは普通の人間に使っても猛毒だけど、実は死ぬほどの毒じゃないの。でも、事前にこの髑髏が浮かんだ人間に使用すると……たちまちに体内に入り込んだ毒と反応して即座に死に至るわ」
「ば、馬鹿な……」
「仮面の人たちの話によると毒薬を飲んだ後でも、あの仮面を身に付けていると毒の周りが遅くなるらしいの。特別な樹木で作り出された仮面らしくて、ほんの少しだけど解毒作用があって毒を飲んだ後でも1時間ぐらいなら普通に活動できるそうだわ。でも、仮面を外すとその反動で一気に毒が回るらしいけど……」
「そんな……」
ナイ達はヒメの話を聞いて顔を青くさせ、その話が事実ならばヒメは毒薬を飲めば他の暗殺者のようにすぐに死んでしまうだけではなく、仮に逃げだとしても一か月の命だと判明する。
ゴエモンは話を聞いてその場で膝を着き、そんな彼をヒメは寂し気な表情を浮かべて彼を抱きしめる。折角再会できたのにここから連れ出せば妻の命が助からないという事にゴエモンは嘆く。
「どうして、どうしてお前だけがこんな目に……」
「そんな事を言っては駄目よ……ここには私以外にも苦しんでいる人たちがいる。それはあの暗殺者の人たちも同じなのよ」
「え?」
「彼等も好きで人を殺しているわけじゃないの、だけど逆らえば自分達が死んでしまう。誰かを殺さないと生きられないから戦っているのよ……」
「そんな……」
「最も、彼等も人を殺す以上は自分達も殺される覚悟は抱いているはずだわ。だから……躊躇しては駄目よ、貴方達がもしもここから逃げ出す時、戦う事になれば全力で戦いなさい」
「何を言っている……まさか、お前はここに残るつもりか?」
「ええ、そうよ……でも、それは生き残るためじゃない。私はここで彼等と共に死ぬわ」
ヒメは覚悟を決めたように彼女は花壇に視線を向け、決意を抱いた表情を浮かべる。その姿を見てゴエモンは何をするつもりなのか問い質す。
「おい、何を考えている!?」
「……貴方、私が家で花壇を育てていた事を覚えている?」
「あ、当たり前だ。忘れるわけがないだろう、お前はいつも肥料代わりに地属性の魔石を粉末になるまで磨り潰して花壇の土に混ぜていたからな……」
「そう、覚えていてくれたのね。でも、この花壇を見て何か違和感を感じないかしら?」
「何だと……?」
「え?花壇?」
「……きらきらした物が散らばっているようにしか見えないけど」
「ぷるぷるっ……ぷるんっ!?」
花壇に視線を向けたナイ達は魔石の粉末が花壇の地面に散らばっている事に気付き、この時に真っ先に反応したがのプルミンだった。
プルミンが唐突に震え出したのを確認すると、ナイは疑問を抱いて観察眼を発動させてもう一度確認する。すると、赤色に輝く粉末が混じっている事に気付き、ナイは疑問を抱く。
通常の地属性の魔石は茶色であり、赤色に輝く事はない。それならばどうして赤色の粉末が混じっているのか、その事実にナイは衝撃の表情を浮かべた。
「これはまさか……火属性の魔石の粉末!?」
「な、何だと!?」
「ええ、その通りよ……よく分かったわね」
「ちょ、ちょっと待って……ここにあるの全部に魔石の粉末が!?」
「ええええっ!?」
ナイはすぐに植物園を見渡し、あちこちの花壇に赤色の粉末らしき物が振りかけられている事に気付く。地属性の魔石の粉末と混じっているので見分けるのは難しく、指摘されなければ絶対に気付かない。
どうしてヒメが地属性だけではなく、危険な火属性の魔石の粉末を花壇にふりまいているのかとナイ達は戸惑うと、彼女は覚悟を決めた表情で告げた。
「私はここで彼等と共に心中するわ……この場所を燃やされたら彼等は毒薬も、そして解毒薬も作り出す事が出来なくなる。だからこの街から白面はいなくなるわ」
「なっ……!?」
「でも、貴方達まで死ぬ必要はない……さあ、早く逃げなさい。夫の事をどうかよろしくお願いします」
ヒメはナイ達に頭を下げると、ゴエモンの事を彼等に託す。そんな彼女の言葉にゴエモンは信じられぬ表情を浮かべ、ナイ達も唖然とした。
「い、入れ墨?」
「この気味の悪い髑髏、暗殺者の人たちも刻んでたよね?」
「いいえ、これは入れ墨じゃないの……毒なのよ」
「毒!?」
髑髏の入れ墨を想像させる紋様が腕に浮かんだヒメによると、彼女はこの紋様がただの入れ墨ではなく、自分をこの場所に縛り付ける原因だと説明する。
「私がこの植物園の管理を任された際、あいつらに毒を打ち込まれたの。私は腕に毒を注入された後、この髑髏のような紋様が浮かんできた……これは奴等が独自に開発した特別な毒で、一定の周期で特別な薬を打ち込まないと死んでしまうの」
「ば、馬鹿なっ……」
「その薬は別の場所で製造されていて定期的にここへ送り込まれるの。だけど、その薬がないと私は一か月程度で毒に侵されて死んでしまうわ。暗殺者が普段から所持している毒薬は知っている?」
ヒメの言葉を聞いてナイ達は先ほど調合室で回収した毒薬の事を思い出し、ヒメによるとあの毒薬もただの毒ではない事が発覚した。
「あれは普通の人間に使っても猛毒だけど、実は死ぬほどの毒じゃないの。でも、事前にこの髑髏が浮かんだ人間に使用すると……たちまちに体内に入り込んだ毒と反応して即座に死に至るわ」
「ば、馬鹿な……」
「仮面の人たちの話によると毒薬を飲んだ後でも、あの仮面を身に付けていると毒の周りが遅くなるらしいの。特別な樹木で作り出された仮面らしくて、ほんの少しだけど解毒作用があって毒を飲んだ後でも1時間ぐらいなら普通に活動できるそうだわ。でも、仮面を外すとその反動で一気に毒が回るらしいけど……」
「そんな……」
ナイ達はヒメの話を聞いて顔を青くさせ、その話が事実ならばヒメは毒薬を飲めば他の暗殺者のようにすぐに死んでしまうだけではなく、仮に逃げだとしても一か月の命だと判明する。
ゴエモンは話を聞いてその場で膝を着き、そんな彼をヒメは寂し気な表情を浮かべて彼を抱きしめる。折角再会できたのにここから連れ出せば妻の命が助からないという事にゴエモンは嘆く。
「どうして、どうしてお前だけがこんな目に……」
「そんな事を言っては駄目よ……ここには私以外にも苦しんでいる人たちがいる。それはあの暗殺者の人たちも同じなのよ」
「え?」
「彼等も好きで人を殺しているわけじゃないの、だけど逆らえば自分達が死んでしまう。誰かを殺さないと生きられないから戦っているのよ……」
「そんな……」
「最も、彼等も人を殺す以上は自分達も殺される覚悟は抱いているはずだわ。だから……躊躇しては駄目よ、貴方達がもしもここから逃げ出す時、戦う事になれば全力で戦いなさい」
「何を言っている……まさか、お前はここに残るつもりか?」
「ええ、そうよ……でも、それは生き残るためじゃない。私はここで彼等と共に死ぬわ」
ヒメは覚悟を決めたように彼女は花壇に視線を向け、決意を抱いた表情を浮かべる。その姿を見てゴエモンは何をするつもりなのか問い質す。
「おい、何を考えている!?」
「……貴方、私が家で花壇を育てていた事を覚えている?」
「あ、当たり前だ。忘れるわけがないだろう、お前はいつも肥料代わりに地属性の魔石を粉末になるまで磨り潰して花壇の土に混ぜていたからな……」
「そう、覚えていてくれたのね。でも、この花壇を見て何か違和感を感じないかしら?」
「何だと……?」
「え?花壇?」
「……きらきらした物が散らばっているようにしか見えないけど」
「ぷるぷるっ……ぷるんっ!?」
花壇に視線を向けたナイ達は魔石の粉末が花壇の地面に散らばっている事に気付き、この時に真っ先に反応したがのプルミンだった。
プルミンが唐突に震え出したのを確認すると、ナイは疑問を抱いて観察眼を発動させてもう一度確認する。すると、赤色に輝く粉末が混じっている事に気付き、ナイは疑問を抱く。
通常の地属性の魔石は茶色であり、赤色に輝く事はない。それならばどうして赤色の粉末が混じっているのか、その事実にナイは衝撃の表情を浮かべた。
「これはまさか……火属性の魔石の粉末!?」
「な、何だと!?」
「ええ、その通りよ……よく分かったわね」
「ちょ、ちょっと待って……ここにあるの全部に魔石の粉末が!?」
「ええええっ!?」
ナイはすぐに植物園を見渡し、あちこちの花壇に赤色の粉末らしき物が振りかけられている事に気付く。地属性の魔石の粉末と混じっているので見分けるのは難しく、指摘されなければ絶対に気付かない。
どうしてヒメが地属性だけではなく、危険な火属性の魔石の粉末を花壇にふりまいているのかとナイ達は戸惑うと、彼女は覚悟を決めた表情で告げた。
「私はここで彼等と共に心中するわ……この場所を燃やされたら彼等は毒薬も、そして解毒薬も作り出す事が出来なくなる。だからこの街から白面はいなくなるわ」
「なっ……!?」
「でも、貴方達まで死ぬ必要はない……さあ、早く逃げなさい。夫の事をどうかよろしくお願いします」
ヒメはナイ達に頭を下げると、ゴエモンの事を彼等に託す。そんな彼女の言葉にゴエモンは信じられぬ表情を浮かべ、ナイ達も唖然とした。
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる