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王国の闇
第731話 最後の力
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「安心せい、お主を越える人間はいずれ現れる。ごく近い将来にな……」
『ほうっ!!それは本当か!?』
「だからその日まで大人しくしておけ……ここは一旦引き返すがいい、馬鹿な真似はもう止めるのじゃ」
『むうっ……そういうわけにはいかん、俺にはもう後がないからな』
ゴウカはマホの言葉を聞いて嬉しそうな声を上げるが、困った風に腕を組む。既にゴウカは何十人もの冒険者や王国騎士を倒してしまった後だった。
ここで退いてしまった場合はゴウカは指名手配され、いずれ王国中の兵士や冒険者の標的にされてしまう。それはそれで別に彼には些細な問題なのだが、この機を逃せば有名な王国騎士や冒険者と戦う機会がいつ訪れるか分からない。
『今日この日ならば余計な邪魔者と遭遇せず、全ての王国騎士と戦える日だと俺は聞いた。残念ながら王都の冒険者の中で俺よりも強い者はいない、だからこそ王国騎士以外に俺の望みを叶える奴はいないだろう』
「なるほど……お主が王国騎士を狙う理由はそれか。だが、生憎と儂が言っているお主を越える人間は王国騎士ではないがな」
『何だと!?それは本当か?そんな猛者がまだ居たとは……』
マホの言葉を聞いてゴウカは驚き、冒険者でもなければ王国騎士でもない人間に自分を越える者がいると言われても見当がつかない。だが、そんな彼に対してマホは言葉を続けた。
「お主は誰に入れ知恵をされた。先ほどの口ぶりだと混乱に乗じて王国騎士を襲うように言われたのであろう?いったい誰の仕業じゃ?」
『顔は分からん。全身が黒い靄のような物に覆われているからな。奴はシャドウと名乗っていた』
「やはり、奴か……それでお主はまんまとシャドウの企みに乗っかったのか」
『うむ、その通りだ!!だが、安心しろ。誰も殺してはいないし、それに白面の奴等も見つけ次第に始末してきた!!』
ゴウカの狙いはあくまでも王国騎士ではあるが、彼は遭遇した全ての白面や王国騎士、あるいは冒険者全員を叩きのめしてここまで来たという。ちなみに誰一人として殺しておらず、先ほどの戦闘に置いてもゴウカが最初から本気ならば聖女騎士団であろうと全員が死んでいてもおかしくはない。
テンを気絶させた時からマホはゴウカの狙いが王国騎士の命を奪う事ではないと察し、一応は彼が殺さない理由を問い質す。
「何故、全員生かして見逃してやった?」
『知れた事よ、生きていればまだ希望はある。敗北を味わっても立ち直る者を俺は何人も見てきた。そして大抵の人間は挫折を乗り越え、より一段と強くなって成長を果たす。だから俺は無暗に敵であろうと殺しはしない、そうすれば何時の日か俺を脅かす存在に成長して俺の元に現れるかもしれないからな!!』
「やれやれ、とんだ戦闘狂じゃな……それならばその武力、正しい事に使おうとは思わんのか?」
『正しい事?』
「……不本意ではあるが、お主に道を示してやろう。お主のせいでここを守る人間が居なくなってしまったからな」
マホは周囲を見渡し、倒れ込んだ王国騎士達の姿を見てこの状態で白面やシャドウが現れた時、ここを守れる人間は残念ながらもういない。マホでさえも今の状態ではまともに戦えず、だからこそ賭けに出た。
「お主の望みは儂が叶えてやろう。その代わりにお主に頼みたいことがある」
『頼み?』
「儂の望みは――」
――同時刻、王都の城門では人が集まっていた。現在は市街地に白面や魔物が現れたという理由で外に逃がさない様に城門は閉じられてしまい、王都を観光するために訪れた商団が立ち往生していた。
「おい、どうなってるだ!?中の方で何が起きているんだ!?」
「わ、我々も把握していないんだ!!だが、急に上からの命令で城門を閉じる様に言われて……」
「現在、王都の内部では事件が多発している!!だから城門を開く事が出来ない!!」
「事件って何だよ!?」
兵士達に商団の人間達が問い質しても彼等は何も答えられず、指揮系統が無茶苦茶になっていた。城壁の兵士達が与えられた命令は何者であろうと王都の出入りを禁じ、王都内の人間すらも外へ出す事が許されていない。
この時に兵士達に命令を与えたのは当然だがシンであり、彼は宰相の立場を利用して何者も城壁を通す事も抜け出す事も許さず、完全にこの王都を隔離した。その様子を見ていた商団の人間の中には「ドルトン」と「イーシャン」も含まれていた。
「はあっ、はあっ……な、中は大変な事になってるぜ」
「イーシャン、大丈夫か?」
「大丈夫とは言えねえが……くそ、いったい何が起きてるんだ」
ドルトンとイーシャンがここにいるのはナイに会うためであり、王都まで尋ねに来ていた。だが、ドルトンよりも先に訪れていたイーシャンは騒ぎに巻き込まれそうになり、命からがら王都から抜け出した途端に城門が閉じてしまう。
王都の騒動はイーシャンも把握しており、ドルトンに事の顛末を話す。何故か見張りの兵士達は中の状況を理解しておらず、とにかく王都へ入ろうとする者や外へ出ようとする者を抑え込む。
『ほうっ!!それは本当か!?』
「だからその日まで大人しくしておけ……ここは一旦引き返すがいい、馬鹿な真似はもう止めるのじゃ」
『むうっ……そういうわけにはいかん、俺にはもう後がないからな』
ゴウカはマホの言葉を聞いて嬉しそうな声を上げるが、困った風に腕を組む。既にゴウカは何十人もの冒険者や王国騎士を倒してしまった後だった。
ここで退いてしまった場合はゴウカは指名手配され、いずれ王国中の兵士や冒険者の標的にされてしまう。それはそれで別に彼には些細な問題なのだが、この機を逃せば有名な王国騎士や冒険者と戦う機会がいつ訪れるか分からない。
『今日この日ならば余計な邪魔者と遭遇せず、全ての王国騎士と戦える日だと俺は聞いた。残念ながら王都の冒険者の中で俺よりも強い者はいない、だからこそ王国騎士以外に俺の望みを叶える奴はいないだろう』
「なるほど……お主が王国騎士を狙う理由はそれか。だが、生憎と儂が言っているお主を越える人間は王国騎士ではないがな」
『何だと!?それは本当か?そんな猛者がまだ居たとは……』
マホの言葉を聞いてゴウカは驚き、冒険者でもなければ王国騎士でもない人間に自分を越える者がいると言われても見当がつかない。だが、そんな彼に対してマホは言葉を続けた。
「お主は誰に入れ知恵をされた。先ほどの口ぶりだと混乱に乗じて王国騎士を襲うように言われたのであろう?いったい誰の仕業じゃ?」
『顔は分からん。全身が黒い靄のような物に覆われているからな。奴はシャドウと名乗っていた』
「やはり、奴か……それでお主はまんまとシャドウの企みに乗っかったのか」
『うむ、その通りだ!!だが、安心しろ。誰も殺してはいないし、それに白面の奴等も見つけ次第に始末してきた!!』
ゴウカの狙いはあくまでも王国騎士ではあるが、彼は遭遇した全ての白面や王国騎士、あるいは冒険者全員を叩きのめしてここまで来たという。ちなみに誰一人として殺しておらず、先ほどの戦闘に置いてもゴウカが最初から本気ならば聖女騎士団であろうと全員が死んでいてもおかしくはない。
テンを気絶させた時からマホはゴウカの狙いが王国騎士の命を奪う事ではないと察し、一応は彼が殺さない理由を問い質す。
「何故、全員生かして見逃してやった?」
『知れた事よ、生きていればまだ希望はある。敗北を味わっても立ち直る者を俺は何人も見てきた。そして大抵の人間は挫折を乗り越え、より一段と強くなって成長を果たす。だから俺は無暗に敵であろうと殺しはしない、そうすれば何時の日か俺を脅かす存在に成長して俺の元に現れるかもしれないからな!!』
「やれやれ、とんだ戦闘狂じゃな……それならばその武力、正しい事に使おうとは思わんのか?」
『正しい事?』
「……不本意ではあるが、お主に道を示してやろう。お主のせいでここを守る人間が居なくなってしまったからな」
マホは周囲を見渡し、倒れ込んだ王国騎士達の姿を見てこの状態で白面やシャドウが現れた時、ここを守れる人間は残念ながらもういない。マホでさえも今の状態ではまともに戦えず、だからこそ賭けに出た。
「お主の望みは儂が叶えてやろう。その代わりにお主に頼みたいことがある」
『頼み?』
「儂の望みは――」
――同時刻、王都の城門では人が集まっていた。現在は市街地に白面や魔物が現れたという理由で外に逃がさない様に城門は閉じられてしまい、王都を観光するために訪れた商団が立ち往生していた。
「おい、どうなってるだ!?中の方で何が起きているんだ!?」
「わ、我々も把握していないんだ!!だが、急に上からの命令で城門を閉じる様に言われて……」
「現在、王都の内部では事件が多発している!!だから城門を開く事が出来ない!!」
「事件って何だよ!?」
兵士達に商団の人間達が問い質しても彼等は何も答えられず、指揮系統が無茶苦茶になっていた。城壁の兵士達が与えられた命令は何者であろうと王都の出入りを禁じ、王都内の人間すらも外へ出す事が許されていない。
この時に兵士達に命令を与えたのは当然だがシンであり、彼は宰相の立場を利用して何者も城壁を通す事も抜け出す事も許さず、完全にこの王都を隔離した。その様子を見ていた商団の人間の中には「ドルトン」と「イーシャン」も含まれていた。
「はあっ、はあっ……な、中は大変な事になってるぜ」
「イーシャン、大丈夫か?」
「大丈夫とは言えねえが……くそ、いったい何が起きてるんだ」
ドルトンとイーシャンがここにいるのはナイに会うためであり、王都まで尋ねに来ていた。だが、ドルトンよりも先に訪れていたイーシャンは騒ぎに巻き込まれそうになり、命からがら王都から抜け出した途端に城門が閉じてしまう。
王都の騒動はイーシャンも把握しており、ドルトンに事の顛末を話す。何故か見張りの兵士達は中の状況を理解しておらず、とにかく王都へ入ろうとする者や外へ出ようとする者を抑え込む。
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