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王国の闇
第735話 宰相の目的
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――時刻は深夜を迎え、シンは自室に訪れるとそこには黒仮面を被った人物が待っていた。それを見たシンはすぐに「シャドウ」だと気付き、お互いに顔合わせる様に座り込む。
机の上にはワイングラスが二つ置かれており、普段は滅多に酒を飲まないシンだが、シャドウが訪れる時は必ず酒を用意する。
「王女はどうした?まだ見つからんのか?」
『居所は掴んでいる、だがちょっと手が出せない状況でな……』
「手が出せない……何故だ?」
『安心しろ、王女の始末は必ず行う。あんたは自分の仕事に集中していろ』
シンからすれば王女はもう邪魔者でしかなく、シャドウに対して排除するように指示していた。彼を通して城下町に潜伏していた白面にも彼女を見つけ次第に抹殺するように伝えたが、未だに彼女が生きている事にシンは訝しむ。
白面を利用して街中で騒ぎを起こしたのは邪魔者の王国騎士団を引き寄せるためであり、計画通りに王都内の王国騎士団に大打撃を与える事に成功した。もう王都の戦力は格段に落ちており、猛虎騎士団が到着すれば宰相の計画は果たされる。
「明日には猛虎騎士団が到着する。猛虎騎士団が到着すればもうこの王都で我々に対抗できる存在はいない、黒狼騎士団も銀狼騎士団も聖女騎士団でさえも今の状況ではどうする事も出来ぬ」
『なるほど、あんたがその気になればこの国の王にもなれるという事か』
「勘違いするな、我々はあくまでも影の一族……この国を裏から支えるのが我々の役目だ。王の座に興味はない」
『……そうだったな』
猛虎騎士団はシンの息子であるロランが統率しており、当然だが彼もシンと同じ一族であるため、シンの命令ならば必ず従う。もしもシンが王都を攻め落とせと命じればロランはそれを実行し、王都を掌握する事も容易い。
しかし、シンはあくまでも今回の白面を利用した計画は邪魔者である王女を排除するためであり、その後は自分も死ぬつもりだった。猛虎騎士団を呼び出したのは乱心したシンを殺させ、実の親子であろうと国に仇を為す者は許されてはならない事を知らしめるつもりためである。
――宰相であるシンの目的はこの国の秩序を保つためであり、決して私利私欲で動いているわけではない。この国のためならば自らを犠牲にする事を躊躇わず、そのために今回の大がかりな計画を立てた。
彼の目的は獣人国との争いの火種になりかねない王女を始末し、そして自分が王女の暗殺を計画した事を自白するつもりだった。多くの人間の前で自分の罪を告白した後、自分の息子であるロランに自分を討たせる。
ロランもこの事は承知済みであり、だからこそ彼は重要な国境の守備を離れて王都へ戻って来た。獣人国とは既にシンが裏で交渉済みであり、王女の命を奪う事を条件に獣人国は王国に手を出さない様に取引を終えている。
今回の計画はシンは自分一人だけが罪を背負い、王女の暗殺を計画したのが自分だと暴露して息子に討たせる。そうすれば邪魔者の王女を抹殺し、ロランは父親であろうと国の忠義のために戦った騎士として国王から信頼を得られる。そして次の宰相はロランが選ばれる手筈だった。
家臣の中にはシンの計画に加担する者も多く、彼等はシンの死後に次の宰相はロランを推挙する予定だった。元々ロランはこの国の大将軍にして王国騎士筆頭を務める程の男であり、宰相の座を兼任してもそれほどおかしくない。
国の秩序を保つためならばシンは手段を選ばず、自分と同じ一族であるシャドウの協力の元、今回の計画を実行した。
「バッシュ王子は非常に惜しかった……もしも一日でも早くに王子が国王陛下に儂が謀反を企てていると報告すれば、儂等の計画は破綻していたであろう」
『儂等の計画、か……だが、その時はその時であんたも手を打ってたんだろう?』
「無論、その時はもう一つの計画を実行していたがな」
シャドウの言葉にシンは笑みを浮かべ、シンはありとあらゆる事態に備え、用心深く複数の計画を練っていた。
「……それよりも、いつまでそんな物を身に付けておる。その状態では酒も飲む事もできんだろう、ここに人が来る事は絶対にない。今のお主は本体なのであろう?」
『分かるのか?』
「当たり前だ……儂等は実の双子なのだからな」
『……そうか』
――シャドウは黒仮面を外すと、ここで彼は初めて全身を包み込んでいた闇属性の魔力を消し去り、正体を現す。その顔はシンであるシンと全く同じ顔をしており、もしも来ている服が同じならば見分けがつかないほどであった。
シンとシャドウは実の兄弟であり、しかも双子として生まれた。だからこそ小さい時から容姿は瓜二つであり、実の家族でさえも彼等を見分ける事はできなかった。だが、片方は表の世界に生きていくのに対し、もう片方は裏の世界へと赴く。
表と裏の世界でそれぞれシンとシャドウは成り上がり、片方は国の宰相まで上り詰め、もう片方は裏社会を牛耳る闇ギルドさえも恐れる存在へと変貌した。そして今回の計画はお互いの強力があったからこそ実行できた。
机の上にはワイングラスが二つ置かれており、普段は滅多に酒を飲まないシンだが、シャドウが訪れる時は必ず酒を用意する。
「王女はどうした?まだ見つからんのか?」
『居所は掴んでいる、だがちょっと手が出せない状況でな……』
「手が出せない……何故だ?」
『安心しろ、王女の始末は必ず行う。あんたは自分の仕事に集中していろ』
シンからすれば王女はもう邪魔者でしかなく、シャドウに対して排除するように指示していた。彼を通して城下町に潜伏していた白面にも彼女を見つけ次第に抹殺するように伝えたが、未だに彼女が生きている事にシンは訝しむ。
白面を利用して街中で騒ぎを起こしたのは邪魔者の王国騎士団を引き寄せるためであり、計画通りに王都内の王国騎士団に大打撃を与える事に成功した。もう王都の戦力は格段に落ちており、猛虎騎士団が到着すれば宰相の計画は果たされる。
「明日には猛虎騎士団が到着する。猛虎騎士団が到着すればもうこの王都で我々に対抗できる存在はいない、黒狼騎士団も銀狼騎士団も聖女騎士団でさえも今の状況ではどうする事も出来ぬ」
『なるほど、あんたがその気になればこの国の王にもなれるという事か』
「勘違いするな、我々はあくまでも影の一族……この国を裏から支えるのが我々の役目だ。王の座に興味はない」
『……そうだったな』
猛虎騎士団はシンの息子であるロランが統率しており、当然だが彼もシンと同じ一族であるため、シンの命令ならば必ず従う。もしもシンが王都を攻め落とせと命じればロランはそれを実行し、王都を掌握する事も容易い。
しかし、シンはあくまでも今回の白面を利用した計画は邪魔者である王女を排除するためであり、その後は自分も死ぬつもりだった。猛虎騎士団を呼び出したのは乱心したシンを殺させ、実の親子であろうと国に仇を為す者は許されてはならない事を知らしめるつもりためである。
――宰相であるシンの目的はこの国の秩序を保つためであり、決して私利私欲で動いているわけではない。この国のためならば自らを犠牲にする事を躊躇わず、そのために今回の大がかりな計画を立てた。
彼の目的は獣人国との争いの火種になりかねない王女を始末し、そして自分が王女の暗殺を計画した事を自白するつもりだった。多くの人間の前で自分の罪を告白した後、自分の息子であるロランに自分を討たせる。
ロランもこの事は承知済みであり、だからこそ彼は重要な国境の守備を離れて王都へ戻って来た。獣人国とは既にシンが裏で交渉済みであり、王女の命を奪う事を条件に獣人国は王国に手を出さない様に取引を終えている。
今回の計画はシンは自分一人だけが罪を背負い、王女の暗殺を計画したのが自分だと暴露して息子に討たせる。そうすれば邪魔者の王女を抹殺し、ロランは父親であろうと国の忠義のために戦った騎士として国王から信頼を得られる。そして次の宰相はロランが選ばれる手筈だった。
家臣の中にはシンの計画に加担する者も多く、彼等はシンの死後に次の宰相はロランを推挙する予定だった。元々ロランはこの国の大将軍にして王国騎士筆頭を務める程の男であり、宰相の座を兼任してもそれほどおかしくない。
国の秩序を保つためならばシンは手段を選ばず、自分と同じ一族であるシャドウの協力の元、今回の計画を実行した。
「バッシュ王子は非常に惜しかった……もしも一日でも早くに王子が国王陛下に儂が謀反を企てていると報告すれば、儂等の計画は破綻していたであろう」
『儂等の計画、か……だが、その時はその時であんたも手を打ってたんだろう?』
「無論、その時はもう一つの計画を実行していたがな」
シャドウの言葉にシンは笑みを浮かべ、シンはありとあらゆる事態に備え、用心深く複数の計画を練っていた。
「……それよりも、いつまでそんな物を身に付けておる。その状態では酒も飲む事もできんだろう、ここに人が来る事は絶対にない。今のお主は本体なのであろう?」
『分かるのか?』
「当たり前だ……儂等は実の双子なのだからな」
『……そうか』
――シャドウは黒仮面を外すと、ここで彼は初めて全身を包み込んでいた闇属性の魔力を消し去り、正体を現す。その顔はシンであるシンと全く同じ顔をしており、もしも来ている服が同じならば見分けがつかないほどであった。
シンとシャドウは実の兄弟であり、しかも双子として生まれた。だからこそ小さい時から容姿は瓜二つであり、実の家族でさえも彼等を見分ける事はできなかった。だが、片方は表の世界に生きていくのに対し、もう片方は裏の世界へと赴く。
表と裏の世界でそれぞれシンとシャドウは成り上がり、片方は国の宰相まで上り詰め、もう片方は裏社会を牛耳る闇ギルドさえも恐れる存在へと変貌した。そして今回の計画はお互いの強力があったからこそ実行できた。
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