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王国の闇
第747話 脱出成功
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「ふうっ……意外と上手くいきましたね」
「ふふふ、中々そういう格好も似合っておるぞ」
クロネに化けていたのはエルマであり、実はこの二人は背格好が良く似ており、それを利用してヒナはエルマに化粧を施す。この際に髪の毛の色も染め、服もクロネの予備の服を借りる。
戦闘能力がない従業員ならば警戒される事もないと判断し、しかも暗闇で碌に顔を見れない状況ならば尚更だった。警備兵は体調を崩したマホに注目するため、彼女を運ぶ際にクロネを演じたエルマの顔をよく見ようとはせず、そもそもエルマの顔を知る兵士自体が少ないはずである。
三人の警備兵を車内で倒したヒナ達は御者を脅し、王城を向かうのを中断して外部にいるはずのランファンと連絡を取るために行動を開始した。
「止まりなさい、下手な動きをしたら命はないわよ!!」
「ひいっ!?」
「ヒ、ヒナさん……その台詞だと私達が悪党のように聞こえますが」
「そういう所はしっかりとテンに似ておるのう」
ヒナに脅された警備兵は慌てて馬車を止めると、彼も気絶させて他の兵士と共に車内に隠すとヒナ達は外へ出る。まだ安心できる状況ではないが、一刻も早くランファンと合流する必要があった。
「老師、無理はされないでください。これからどうしますか?」
「うむ……とりあえず、儂は王城へと戻る。城内で情報を探る事にしよう」
「えっ!?でも、危険なんじゃ……」
「そうとも限らん。どうやら宰相は儂に死なれると困るみたいだからのう、それにこのままでは儂はお主等の足手まといになる……エルマ、これを持っていけ」
「老師!?」
結局はマホは王城に戻る事を告げると、彼女は杖を差し出す。マホが現在所有している杖は彼女が数十年も使い続けた大切な杖であり、それを渡されたエルマは戸惑う。
「その杖は儂の半身と言っても過言ではない。必ず、後で儂に返すのじゃぞ」
「……分かりました!!必ずお返しします!!」
「うむ、ではな……」
「マホさん……」
マホはヒナとエルマと別れると一人で王城へ向かう。その様子を見送り、心配そうな表情を浮かべながらもヒナとエルマは行動を開始した――
――同時刻、王城の方でも動きはあった。イリアとイシは気絶させたオロカを連れ出し、医療室へと足を踏み入れる。そこにはシンの姿があり、そして姿を隠蔽したシャドウの姿もあった。
全員が揃うと事前に用意していた円卓に座り込み、王都の地図を広げる。地図上には闘技場と白猫亭の上に駒が置かれ、闘技場には金と銀の駒、白猫亭には赤の駒、そして王都の外の方には白の駒が置かれていた。これは各王国騎士団を現す駒であり、最も王都から離れた場所には虎の模様が刻まれた駒が置かれる。
「王都の種戦力である金狼騎士団、銀狼騎士団、そして聖女騎士団はこれで排除した。残るのはアルト王子が率いる白狼騎士団と冒険者達だが……問題にもならんだろう」
「それはどうですかね、白狼騎士団は侮れませんよ。特にあの人は……」
「例の坊主か……」
地図を確認してシンは自分の計画が間もなく果たされると確信を抱くが、イリアはまだ不安要素が残っている事を指摘する。彼女は白色の駒を取り上げて掌の上で転がすと、イシも反応を示す。
「ナイさんの実力は宰相だってご存じでしょう?あの人は若いですけど、私の見立てでは実力は王国騎士団の副団長に近しい実力者です」
「なるほど、確かにお主の言う言葉が本当ならば彼もまたこの国の有能な人材に成りえるな」
「そうでしょう?あの時、私がナイさんを抹殺しなかったのは正しい事だったと認めてくれますか?」
飛行船に乗り合わせた際、実はイリアはナイの抹殺をシンに命じられていた。理由としてはナイが王族との関係が多く、今後彼が他の王族に何らかの悪影響を与える可能性もあった。
実際にナイと遭遇してからアルトは以前以上に活発的に行動するようになり、彼のために貴重な魔石を利用して魔剣(旋斧)の実験まで始めた。当時のナイはシンからすれば不安要素が大きく、排除する事を命じる。
――しかし、その命令に対してイリアは個人的な判断で反故し、逆に彼を助けるような真似までした。イチノでのナイの戦いぶりを見て彼は殺すよりも生かし他方が面白い事になるというイリアの判断であり、それに対してシンも止む無く認めた。
イチノから帰還した後もナイは成長を続け、そして現在では王国騎士や黄金級冒険者にも劣らぬ実力を身に付けた。だが、シンからすればナイは味方に引き込めれば心強い存在だが、その反面に彼のせいでシンの勢力も大分削られてしまった。
「件の少年が確かに実力を身に付けた事は認める。しかし、少々やり過ぎた。これ以上は見逃す事はできん、我々の施設を潰された以上はな」
クーノの白面が管理されていた施設はナイ達によって壊滅されたという報告はシャドウから受けており、シンとしてはもうナイ達を放置する事はできず、彼は始末する方向で話を進めた。
「ふふふ、中々そういう格好も似合っておるぞ」
クロネに化けていたのはエルマであり、実はこの二人は背格好が良く似ており、それを利用してヒナはエルマに化粧を施す。この際に髪の毛の色も染め、服もクロネの予備の服を借りる。
戦闘能力がない従業員ならば警戒される事もないと判断し、しかも暗闇で碌に顔を見れない状況ならば尚更だった。警備兵は体調を崩したマホに注目するため、彼女を運ぶ際にクロネを演じたエルマの顔をよく見ようとはせず、そもそもエルマの顔を知る兵士自体が少ないはずである。
三人の警備兵を車内で倒したヒナ達は御者を脅し、王城を向かうのを中断して外部にいるはずのランファンと連絡を取るために行動を開始した。
「止まりなさい、下手な動きをしたら命はないわよ!!」
「ひいっ!?」
「ヒ、ヒナさん……その台詞だと私達が悪党のように聞こえますが」
「そういう所はしっかりとテンに似ておるのう」
ヒナに脅された警備兵は慌てて馬車を止めると、彼も気絶させて他の兵士と共に車内に隠すとヒナ達は外へ出る。まだ安心できる状況ではないが、一刻も早くランファンと合流する必要があった。
「老師、無理はされないでください。これからどうしますか?」
「うむ……とりあえず、儂は王城へと戻る。城内で情報を探る事にしよう」
「えっ!?でも、危険なんじゃ……」
「そうとも限らん。どうやら宰相は儂に死なれると困るみたいだからのう、それにこのままでは儂はお主等の足手まといになる……エルマ、これを持っていけ」
「老師!?」
結局はマホは王城に戻る事を告げると、彼女は杖を差し出す。マホが現在所有している杖は彼女が数十年も使い続けた大切な杖であり、それを渡されたエルマは戸惑う。
「その杖は儂の半身と言っても過言ではない。必ず、後で儂に返すのじゃぞ」
「……分かりました!!必ずお返しします!!」
「うむ、ではな……」
「マホさん……」
マホはヒナとエルマと別れると一人で王城へ向かう。その様子を見送り、心配そうな表情を浮かべながらもヒナとエルマは行動を開始した――
――同時刻、王城の方でも動きはあった。イリアとイシは気絶させたオロカを連れ出し、医療室へと足を踏み入れる。そこにはシンの姿があり、そして姿を隠蔽したシャドウの姿もあった。
全員が揃うと事前に用意していた円卓に座り込み、王都の地図を広げる。地図上には闘技場と白猫亭の上に駒が置かれ、闘技場には金と銀の駒、白猫亭には赤の駒、そして王都の外の方には白の駒が置かれていた。これは各王国騎士団を現す駒であり、最も王都から離れた場所には虎の模様が刻まれた駒が置かれる。
「王都の種戦力である金狼騎士団、銀狼騎士団、そして聖女騎士団はこれで排除した。残るのはアルト王子が率いる白狼騎士団と冒険者達だが……問題にもならんだろう」
「それはどうですかね、白狼騎士団は侮れませんよ。特にあの人は……」
「例の坊主か……」
地図を確認してシンは自分の計画が間もなく果たされると確信を抱くが、イリアはまだ不安要素が残っている事を指摘する。彼女は白色の駒を取り上げて掌の上で転がすと、イシも反応を示す。
「ナイさんの実力は宰相だってご存じでしょう?あの人は若いですけど、私の見立てでは実力は王国騎士団の副団長に近しい実力者です」
「なるほど、確かにお主の言う言葉が本当ならば彼もまたこの国の有能な人材に成りえるな」
「そうでしょう?あの時、私がナイさんを抹殺しなかったのは正しい事だったと認めてくれますか?」
飛行船に乗り合わせた際、実はイリアはナイの抹殺をシンに命じられていた。理由としてはナイが王族との関係が多く、今後彼が他の王族に何らかの悪影響を与える可能性もあった。
実際にナイと遭遇してからアルトは以前以上に活発的に行動するようになり、彼のために貴重な魔石を利用して魔剣(旋斧)の実験まで始めた。当時のナイはシンからすれば不安要素が大きく、排除する事を命じる。
――しかし、その命令に対してイリアは個人的な判断で反故し、逆に彼を助けるような真似までした。イチノでのナイの戦いぶりを見て彼は殺すよりも生かし他方が面白い事になるというイリアの判断であり、それに対してシンも止む無く認めた。
イチノから帰還した後もナイは成長を続け、そして現在では王国騎士や黄金級冒険者にも劣らぬ実力を身に付けた。だが、シンからすればナイは味方に引き込めれば心強い存在だが、その反面に彼のせいでシンの勢力も大分削られてしまった。
「件の少年が確かに実力を身に付けた事は認める。しかし、少々やり過ぎた。これ以上は見逃す事はできん、我々の施設を潰された以上はな」
クーノの白面が管理されていた施設はナイ達によって壊滅されたという報告はシャドウから受けており、シンとしてはもうナイ達を放置する事はできず、彼は始末する方向で話を進めた。
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