貧弱の英雄

カタナヅキ

文字の大きさ
820 / 1,110
王国の闇

第804話 シャドウの居所は……

しおりを挟む
「ヒール」
「ぐふぅっ……あ、あんた……!?」
「シャドウの居場所を教えてください」


ナイは回復魔法を発動させてグシャの治療を行うと、彼女は悔し気な表情を浮かべるが、やがて観念したかのようにオロカから教わった情報を告げる。


「……シャドウの奴は地下にいるわ」
「地下?」
「オロカ様は下水道に白面の拠点があると言っていたわ。この地下には奴等の隠している施設が幾つもあるとか……」
「下水道……」
「あいつに会いに行くのなら覚悟する事ね……シャドウは闇に愛された男よ」
「闇?」


グシャの言葉にナイはどういう意味なのかと思ったが、彼女はこれ以上話すつもりないのか黙り込む。ナイはそれを見て仕方なく彼女の首元に手刀を叩き込み、一瞬で気絶させて地上まで連れて行く――




――シャドウの居場所をグシャから聞き出した後、ナイは警備兵に気絶した彼女を引き渡した後、情報を他の人間にも伝えるように頼む。しばらくすると王都の下水道で大規模の探索が開始された。クーノでも地下の下水道に白面の地下施設があった例もあり、この王都にも白面が拠点にしている施設があるらしい。

イリアやイシは白面を制御するための解毒薬を完成させており、彼等は捕縛した白面を捕まえて解毒薬を渡す代わりに彼等の拠点まで案内する様に伝える。しかし、白面によると王都に存在する施設は複数あり、そのどれにシャドウが隠れているのかは分からないらしい。


「これを見てください、現在判明した地下施設の場所は五つ存在します。東西南北に一つずつ、そして王都の中心地にもあります」
「なるほど……つまり、この5つの施設のどれかにシャドウが隠れているという事か?」
「そういう事になりますね。ですけど、敵も私達の事を待ち構えているはずです。油断はしないでください」
「分かっている。だが、五つの施設か……どのように分けるのかが問題だな」
「ちょうど王国騎士団の数と同じだね、各騎士団同士で別れるのはどうだい?」
「待て、それだと白狼騎士団の戦力は少なすぎるぞ」
「それなら俺達冒険者も一緒に行ってやるよ」


王都の地図上に表記された施設の位置を確認し、それぞれが話し合ってどのように攻めるべきか相談する。その結果、各騎士団が同時に施設を攻める事が決まった。

銀狼騎士団は北、金狼騎士団は東、聖女騎士団は西、白狼騎士団は南、そして最大勢力を誇る猛虎騎士団は中央の施設の捜索を行う事が決定した。この際に数が少ない白狼騎士団の方には黄金級冒険者も同行し、ガオウとリーナとハマーンが名乗り上げた。


「白狼騎士団には俺達が付いて行ってやるよ」
「よろしくね、皆!!」
「は、はい!!頼りにしています!!」
「黄金級冒険者が一緒なら心強い」
「ナイ、あんたも一緒に行くのかい?」
「それは……」
「いや、その少年は我々と一緒に来てもらう」
「ロラン大将軍!?」


ナイは白狼騎士団に同行しようとした時、意外な事にロランが自分の部隊にナイを連れて行く事を提案した。彼の発言には誰もが驚き、各騎士団の中で最も勢力が多いはずの猛虎騎士団にナイを加えるのは戦力過多に思えるが、ロランは本気だった。


「異論はあるか?」
「い、いえ……大将軍が言うのならば私達は別に」
「しかし、どうしてナイさんをロラン大将軍の部隊に?」
「ナイは他の騎士団とは交流があります。常日頃から行動を共にしていた騎士の方が連携が取れやすいと思いますが……」
「分かっている、だがこれはあくまでも勘だが……この中央に奴はいる」
「シャドウ、ですか?」
「ああ、根拠という程ではないが……この中央には父の屋敷がある」


ロランによると彼の父親であるシンの屋敷が中央に存在し、位置的には富豪区の隅の方に存在するという。シンが白面を管理していた事を考えると彼の屋敷に地下施設に繋がる秘密の通路がある可能性も否定できず、そして大将軍としての勘が中央の施設が本命だと見抜く。


「恐らくだが、奴はこの中央の施設に待ち構えているはずだ。そしてシャドウの事に関しては俺も名前は知っているが、実際には見た事すらない。しかし、その少年は聞くところによると闇属性の使い手と何度か戦った事があるそうだな」
「まあ、一応は……」
「俺も闇属性の使い手と戦った経験は一度もない。だからこそ一緒に同行して警戒して貰いたい。無論、その腕に期待しているのも事実だ」
「は、はい。分かりました」


ナイとしてはロランに頼まれれば断る事は出来ず、なにしろ相手はこの国の大将軍なのだ。ナイはロランと同行する事が決まると、この時に不安を抱いたのは他の騎士団の人間だった。


(ロラン大将軍が味方になってくれたのは心強いですけど……)
(何処まで信用できるかだな……)
(もしも猛虎騎士団がまた敵の勢力に寝返ったとしたら、状況は一変する)
(ど、どうすれば……)


ロランはこの国の大将軍ではあるが、同時にあのシンの実の息子であり、完全に信用しろというのは難しい話だった。昔から彼の事を知っているドリス達でさえもロランが本当に味方になってくれたのか不安があり、ナイの身を心配する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

処理中です...