846 / 1,110
王国の闇
第830話 敵として
しおりを挟む
「マジク魔導士……何故だ、どうして貴方がこんなっ……!!」
「アッシュよ……敵を前にしてそのような表情を浮かべるな。例えどんなに親しい間柄の相手だとしても、敵として遭遇した時は躊躇するなとあれほど教えただろう!!」
「っ……!?」
まだアッシュが10代の頃、彼はマジクに教えを受けていた事がある。教えと言っても彼から教わったの魔法でも武術でもなく教訓だった。
若く未熟だったアッシュは自分の腕前に過信し、立場も考えずに色々と問題ばかりを起こしてきた。そのせいで危うく公爵家から追放されそうになった事もあったが、その時にマジクが色々と手助けしてくれた。
アッシュにとってはマジクは恩師であり、人生の師として誰よりも尊敬していた。それはリンも同様であり、彼女もマジクの事は尊敬に値すべき人だと信じていた。それなのに死霊人形として蘇ったマジクは二人に対して容赦なく攻撃を行う。
「アッシュよ、この儂を倒してみせろ。そうせねば……この国は救えぬぞ」
「マジク魔導士……」
「もう儂は魔導士ではない、この国の害敵じゃ!!」
マジクの気迫を受けたアッシュは圧倒され、やがて覚悟を決める様に彼が横に落ちていた薙刀に手を伸ばす。
「はああっ!!」
「ふっ……やっとやる気がおきたか」
アッシュの振り払った薙刀をマジクは後ろに跳んで回避すると、彼は老人とは思えない身軽さで距離を取る。死霊人形と化した現在のマジクは肉体の負担など関係なく、若い頃の様に自由に動く事ができる。
更に彼の魔法の最大の弱点は魔力消耗が激しい事だたが、現在の彼は死霊石を通して大量の闇属性の魔力を纏い、それを利用する事で魔力の消耗を抑える。杖から黒色の電流を迸らせ、リンに向けて魔法を放つ。
「ほれ、お返しじゃ……サンダーアロー!!」
「ぐぅっ!?」
杖先から先ほどよりも規模が大きい電撃が放出され、しかも闇属性の魔力を取り込んだ事で「黒雷」と化す。その攻撃に対してリンは避ける暇もなく、彼女は暴風で受けた。
「このぉっ!!」
「ほうっ……前よりも魔法剣を使いこなしておるな、相当に修行を積んだと見える」
暴風に纏わせた風の魔力を利用してリンは電撃を正面から受けるのではなく、上空へと軌道を反らす。風属性は雷属性の魔法とは相性的に有利であり、仮にドリスならば今の攻撃は防ぐ事はできなかった。
風属性の場合は渦を巻くように魔力が流動しており、雷属性の魔力は直線的な攻撃しかできず、渦巻く魔力に対して攻撃が受け流されやすい。しかし、マジクは3人の魔導士の中でも最強と謳われ、その実力はマホも上回る。
「ならばこれはどう受ける?」
「なっ……まさか!?」
「マジク魔導士、止めろ!!」
マジクが右手の杖を上空に掲げた瞬間、黒雲が誕生して徐々に周囲に広がり始め、それを目撃したリンとアッシュは彼が「広域魔法」を発動させようとしている事に気付いて顔色を青ざめた。市街地で広域魔法を発動させればどれほどの被害が生まれるのか想像するだけで恐ろしい。
「さあ、どうする……このままだと周辺の住民ごと巻き込んで死ぬしかないぞ」
「マジク!!止めろっ!!」
「うおおおっ!!」
二人は何としても広域魔法の発動を止めるため、マジクを止めるために駆け出す。しかし、そんな二人に対してマジクは冷めた表情を浮かべ、右手の杖を下ろす。
杖が降りた途端に上空に広がっていた黒雲は薄れ、やがて完全に消失してしまう。その光景を見たリンとアッシュは驚愕し、どうして彼が魔法を中断させたのかと思ったが、既にマジクは二人に対して両手の杖を構えていた。
「愚か者が、敵から目を離すとは何事だ!!」
「「っ!?」」
マジクの言葉を聞いて二人は自分達の過ちに気付き、彼が広域魔法を解除した際に二人はマジクから視線を外して隙を見せてしまう。その隙をマジクが逃すはずもなく、彼は両手に握りしめた杖を構え、砲撃魔法を発動させた。
「ライトニングスピア!!」
「ぐああっ!?」
「がはぁっ!?」
二人の身体に槍の形をした電撃が放たれ、二人の身体を貫通した。アッシュとリンは全身に高圧電流が流れ込み、二人は耐え切れずに倒れ込む。その様子を見たマジクは黙って目を閉じると、その場を後にした。
「未熟者共が……お主等は器ではなかったか」
最後に一言だけ言い残すと動けなくなった二人を置いてマジクは暗闇の中に姿を消す――
「アッシュよ……敵を前にしてそのような表情を浮かべるな。例えどんなに親しい間柄の相手だとしても、敵として遭遇した時は躊躇するなとあれほど教えただろう!!」
「っ……!?」
まだアッシュが10代の頃、彼はマジクに教えを受けていた事がある。教えと言っても彼から教わったの魔法でも武術でもなく教訓だった。
若く未熟だったアッシュは自分の腕前に過信し、立場も考えずに色々と問題ばかりを起こしてきた。そのせいで危うく公爵家から追放されそうになった事もあったが、その時にマジクが色々と手助けしてくれた。
アッシュにとってはマジクは恩師であり、人生の師として誰よりも尊敬していた。それはリンも同様であり、彼女もマジクの事は尊敬に値すべき人だと信じていた。それなのに死霊人形として蘇ったマジクは二人に対して容赦なく攻撃を行う。
「アッシュよ、この儂を倒してみせろ。そうせねば……この国は救えぬぞ」
「マジク魔導士……」
「もう儂は魔導士ではない、この国の害敵じゃ!!」
マジクの気迫を受けたアッシュは圧倒され、やがて覚悟を決める様に彼が横に落ちていた薙刀に手を伸ばす。
「はああっ!!」
「ふっ……やっとやる気がおきたか」
アッシュの振り払った薙刀をマジクは後ろに跳んで回避すると、彼は老人とは思えない身軽さで距離を取る。死霊人形と化した現在のマジクは肉体の負担など関係なく、若い頃の様に自由に動く事ができる。
更に彼の魔法の最大の弱点は魔力消耗が激しい事だたが、現在の彼は死霊石を通して大量の闇属性の魔力を纏い、それを利用する事で魔力の消耗を抑える。杖から黒色の電流を迸らせ、リンに向けて魔法を放つ。
「ほれ、お返しじゃ……サンダーアロー!!」
「ぐぅっ!?」
杖先から先ほどよりも規模が大きい電撃が放出され、しかも闇属性の魔力を取り込んだ事で「黒雷」と化す。その攻撃に対してリンは避ける暇もなく、彼女は暴風で受けた。
「このぉっ!!」
「ほうっ……前よりも魔法剣を使いこなしておるな、相当に修行を積んだと見える」
暴風に纏わせた風の魔力を利用してリンは電撃を正面から受けるのではなく、上空へと軌道を反らす。風属性は雷属性の魔法とは相性的に有利であり、仮にドリスならば今の攻撃は防ぐ事はできなかった。
風属性の場合は渦を巻くように魔力が流動しており、雷属性の魔力は直線的な攻撃しかできず、渦巻く魔力に対して攻撃が受け流されやすい。しかし、マジクは3人の魔導士の中でも最強と謳われ、その実力はマホも上回る。
「ならばこれはどう受ける?」
「なっ……まさか!?」
「マジク魔導士、止めろ!!」
マジクが右手の杖を上空に掲げた瞬間、黒雲が誕生して徐々に周囲に広がり始め、それを目撃したリンとアッシュは彼が「広域魔法」を発動させようとしている事に気付いて顔色を青ざめた。市街地で広域魔法を発動させればどれほどの被害が生まれるのか想像するだけで恐ろしい。
「さあ、どうする……このままだと周辺の住民ごと巻き込んで死ぬしかないぞ」
「マジク!!止めろっ!!」
「うおおおっ!!」
二人は何としても広域魔法の発動を止めるため、マジクを止めるために駆け出す。しかし、そんな二人に対してマジクは冷めた表情を浮かべ、右手の杖を下ろす。
杖が降りた途端に上空に広がっていた黒雲は薄れ、やがて完全に消失してしまう。その光景を見たリンとアッシュは驚愕し、どうして彼が魔法を中断させたのかと思ったが、既にマジクは二人に対して両手の杖を構えていた。
「愚か者が、敵から目を離すとは何事だ!!」
「「っ!?」」
マジクの言葉を聞いて二人は自分達の過ちに気付き、彼が広域魔法を解除した際に二人はマジクから視線を外して隙を見せてしまう。その隙をマジクが逃すはずもなく、彼は両手に握りしめた杖を構え、砲撃魔法を発動させた。
「ライトニングスピア!!」
「ぐああっ!?」
「がはぁっ!?」
二人の身体に槍の形をした電撃が放たれ、二人の身体を貫通した。アッシュとリンは全身に高圧電流が流れ込み、二人は耐え切れずに倒れ込む。その様子を見たマジクは黙って目を閉じると、その場を後にした。
「未熟者共が……お主等は器ではなかったか」
最後に一言だけ言い残すと動けなくなった二人を置いてマジクは暗闇の中に姿を消す――
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる