852 / 1,110
王国の闇
第836話 吸血鬼の真の姿
しおりを挟む
「――はあっ、はあっ……どいつもこいつも、僕を馬鹿にしやがって……!!」
昼間にナイに敗れ、拘束されていたはずの吸血鬼はドリス達が地下施設の広間に入り込むのを確認すると、彼はドリス達を広間に閉じ込める。広間の扉の鍵は外側からしか掛けられず、内側からでは絶対に開く事はできない。
吸血鬼はドリス達を閉じ込めた事で少しは気が晴れたが、それでも自分に屈辱を味わわせた人間達の怒りは収まらない。彼は地上に続く階段を上りながらこれまでの出来事を思い返す。
――実を言えばこの地下施設に存在する魔物を解放したのはこの吸血鬼の仕業だった。彼は以前に白猫亭の事件で捕縛されたが、シンが内密に彼を引き取り、吸血鬼の能力を惜しんだ彼は敢えて生かしておいた。
表向きは吸血鬼は闘技場で管理されているはずだったが、密かにシンは地下施設の方に移動させ、吸血鬼を他の魔物と同様に檻の中に閉じ込める。
『くそっ、ここから出せ!!人間めっ!!』
『随分と生きが良い奴が来たな……うるさくてたまらねえな』
『こんな奴、俺達にどうしろってんだよ』
檻の中に捕まっている間は吸血鬼は白面の世話を受けるが、彼等は吸血鬼の事を他の魔物と同列に扱い、決して丁重には扱わなかった。一応はシンの命令で吸血鬼を保護したが、彼等からすれば吸血鬼など魔物と大差ない存在だった。
『ほら、さっさと飯を喰えっ!!』
『うえっ……こんな物、食べられるか!!血を寄越せ!!』
『うるせえ奴だな……おい、こいつを指導しろ!!』
『や、止めろっ!?』
吸血鬼が反抗的な態度を取る度に白面は彼を痛めつけ、檻の中に閉じ込めた。吸血鬼は何度も逆らい、その度に指導という名目の虐待を受けた。やがて吸血鬼は抵抗を諦め、表面上は大人しくして脱走の機会を伺う。
(殺してやる……一人残らず、必ず!!)
捕まった後の吸血鬼は隙を見て自分を殴りつける白面から針金を盗み出す。ただの針金ではなく、恐らくは暗殺用に用いる道具だと思われたが、それを利用して吸血鬼は監視の目がない隙に鍵を針金で開こうとした。
時間は掛かったが吸血鬼は針金を利用して外に脱出する事に成功し、隙を突いて魔物達に餌を与える人間を襲う。吸血鬼にとって幸運だったのは餌を与える人間は白面ではなく、世話係として誘拐された人間だった。
『このっ!!』
『ぐあっ!?』
檻を脱出した吸血鬼は世話係を殺害し、この際に魔物達を解放するために鍵束を盗み出す。その後は吸血鬼は鍵で次々と檻の中に閉じ込められた魔物を解放し、異変を察知した白面達の相手を差せる。
『プギィイイッ!!』
『グギィイイッ!!』
『グオオッ!!』
『な、何だ!?』
『ま、魔物が出てきて……ぐあっ!?』
広間の様子を白面が調べに来た瞬間を逃さず、魔物達は扉が開かれた瞬間に強行突破して白面達へと襲い掛かる。この時に吸血鬼はどさくさに紛れて地上へ脱出しようとした時、彼の前に予想外の人物が現れる。
『やってくれたな、クソガキが』
『お、お前は……シャドウ!?』
吸血鬼の前に現れたのはシャドウであり、彼の存在は吸血鬼もよく知っていた。裏社会の間では最も恐れられる存在であり、吸血鬼でさえも彼の未知の力に恐怖を抱く。
この時に吸血鬼はまだ宰相であるシンとシャドウが繋がりがある事を知らず、シャドウからすれば重要な白面の施設を無茶苦茶にした吸血鬼を逃す事はできなかったが、それでも地力で脱走を試みた事は評価した。
『おい、このまま俺に殺されるか、それとも俺の僕として生きていくか、どちらかを選べ』
『な、何だと……僕は吸血鬼だぞ!?人間なんかの僕なんて……』
『そうか、なら……殺すだけだな』
『ひっ!?』
シャドウは吸血鬼の言葉を聞いて杖を構えると、吸血鬼は彼の放つ闇属性の魔力に恐怖を抱いて腰を抜かしてしまう。その様子を見たシャドウは杖を下ろし、もう一度だけ機会を与える。
『答えろ……俺に忠誠を誓うか?』
『……は、はい……!!』
吸血鬼はその後、シャドウの指示通りに自分の血を利用してリザードマンとゴブリキンラー(後のリザードゴブリン)を配下に加え、彼の言う通りに行動を起こす――
――見下していた人間のシャドウに吸血鬼は従ってしまい、その後はナイと運悪く交戦してしまい、再び彼はナイに敗れてしまった。その後、吸血鬼は騎士達に拘束されて屯所に送り込まれたが、時間帯を夜を迎えた途端に彼の力は覚醒させる。
吸血鬼が真の力を発揮できるのは「満月」の時であり、そして今宵は運よく満月だった。真の力を取り戻した吸血鬼は屯所を地力で脱出した後、シャドウの元へ訪れた。
最初は真の力を取り戻した事で自信を取り戻し、吸血鬼は自分に恥を掻かせたシャドウを殺すつもりで彼の前に戻ってきた。しかし、シャドウも吸血鬼と同様に夜を迎えると魔力が増大し、より圧倒的な存在へと変わり果てていた。
昼間にナイに敗れ、拘束されていたはずの吸血鬼はドリス達が地下施設の広間に入り込むのを確認すると、彼はドリス達を広間に閉じ込める。広間の扉の鍵は外側からしか掛けられず、内側からでは絶対に開く事はできない。
吸血鬼はドリス達を閉じ込めた事で少しは気が晴れたが、それでも自分に屈辱を味わわせた人間達の怒りは収まらない。彼は地上に続く階段を上りながらこれまでの出来事を思い返す。
――実を言えばこの地下施設に存在する魔物を解放したのはこの吸血鬼の仕業だった。彼は以前に白猫亭の事件で捕縛されたが、シンが内密に彼を引き取り、吸血鬼の能力を惜しんだ彼は敢えて生かしておいた。
表向きは吸血鬼は闘技場で管理されているはずだったが、密かにシンは地下施設の方に移動させ、吸血鬼を他の魔物と同様に檻の中に閉じ込める。
『くそっ、ここから出せ!!人間めっ!!』
『随分と生きが良い奴が来たな……うるさくてたまらねえな』
『こんな奴、俺達にどうしろってんだよ』
檻の中に捕まっている間は吸血鬼は白面の世話を受けるが、彼等は吸血鬼の事を他の魔物と同列に扱い、決して丁重には扱わなかった。一応はシンの命令で吸血鬼を保護したが、彼等からすれば吸血鬼など魔物と大差ない存在だった。
『ほら、さっさと飯を喰えっ!!』
『うえっ……こんな物、食べられるか!!血を寄越せ!!』
『うるせえ奴だな……おい、こいつを指導しろ!!』
『や、止めろっ!?』
吸血鬼が反抗的な態度を取る度に白面は彼を痛めつけ、檻の中に閉じ込めた。吸血鬼は何度も逆らい、その度に指導という名目の虐待を受けた。やがて吸血鬼は抵抗を諦め、表面上は大人しくして脱走の機会を伺う。
(殺してやる……一人残らず、必ず!!)
捕まった後の吸血鬼は隙を見て自分を殴りつける白面から針金を盗み出す。ただの針金ではなく、恐らくは暗殺用に用いる道具だと思われたが、それを利用して吸血鬼は監視の目がない隙に鍵を針金で開こうとした。
時間は掛かったが吸血鬼は針金を利用して外に脱出する事に成功し、隙を突いて魔物達に餌を与える人間を襲う。吸血鬼にとって幸運だったのは餌を与える人間は白面ではなく、世話係として誘拐された人間だった。
『このっ!!』
『ぐあっ!?』
檻を脱出した吸血鬼は世話係を殺害し、この際に魔物達を解放するために鍵束を盗み出す。その後は吸血鬼は鍵で次々と檻の中に閉じ込められた魔物を解放し、異変を察知した白面達の相手を差せる。
『プギィイイッ!!』
『グギィイイッ!!』
『グオオッ!!』
『な、何だ!?』
『ま、魔物が出てきて……ぐあっ!?』
広間の様子を白面が調べに来た瞬間を逃さず、魔物達は扉が開かれた瞬間に強行突破して白面達へと襲い掛かる。この時に吸血鬼はどさくさに紛れて地上へ脱出しようとした時、彼の前に予想外の人物が現れる。
『やってくれたな、クソガキが』
『お、お前は……シャドウ!?』
吸血鬼の前に現れたのはシャドウであり、彼の存在は吸血鬼もよく知っていた。裏社会の間では最も恐れられる存在であり、吸血鬼でさえも彼の未知の力に恐怖を抱く。
この時に吸血鬼はまだ宰相であるシンとシャドウが繋がりがある事を知らず、シャドウからすれば重要な白面の施設を無茶苦茶にした吸血鬼を逃す事はできなかったが、それでも地力で脱走を試みた事は評価した。
『おい、このまま俺に殺されるか、それとも俺の僕として生きていくか、どちらかを選べ』
『な、何だと……僕は吸血鬼だぞ!?人間なんかの僕なんて……』
『そうか、なら……殺すだけだな』
『ひっ!?』
シャドウは吸血鬼の言葉を聞いて杖を構えると、吸血鬼は彼の放つ闇属性の魔力に恐怖を抱いて腰を抜かしてしまう。その様子を見たシャドウは杖を下ろし、もう一度だけ機会を与える。
『答えろ……俺に忠誠を誓うか?』
『……は、はい……!!』
吸血鬼はその後、シャドウの指示通りに自分の血を利用してリザードマンとゴブリキンラー(後のリザードゴブリン)を配下に加え、彼の言う通りに行動を起こす――
――見下していた人間のシャドウに吸血鬼は従ってしまい、その後はナイと運悪く交戦してしまい、再び彼はナイに敗れてしまった。その後、吸血鬼は騎士達に拘束されて屯所に送り込まれたが、時間帯を夜を迎えた途端に彼の力は覚醒させる。
吸血鬼が真の力を発揮できるのは「満月」の時であり、そして今宵は運よく満月だった。真の力を取り戻した吸血鬼は屯所を地力で脱出した後、シャドウの元へ訪れた。
最初は真の力を取り戻した事で自信を取り戻し、吸血鬼は自分に恥を掻かせたシャドウを殺すつもりで彼の前に戻ってきた。しかし、シャドウも吸血鬼と同様に夜を迎えると魔力が増大し、より圧倒的な存在へと変わり果てていた。
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる