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最終章
第1047話 アンの計画
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「貴様……我々を利用したのか!!その牙竜を従えるため、ずっと我々を監視していたのか!!」
「そういう事ね。流石に私の配下だけじゃ牙竜を動けないまでに痛めつける事ができるか自信はなかった……だから、私の配下を倒せるだけの力を持つ貴方達に協力してもらったの」
「何だと……!!」
アンの目的は牙竜を服従化させるため、彼女は最初の予定ではブラックゴーレムと黒蟷螂を牙竜と戦わせるつもりだった。アンが魔物を服従させるには魔物の身体に直接触れる必要があり、相手を痛めつけて動けない程度の怪我を追わせなければかなり危険な行為だった。
牙竜のような強大な力を持つ存在を従えるにはそれ相応の戦力を用意する必要があり、残念ながらブラックゴーレムと黒蟷螂だけでは牙竜に返り討ちにされる可能性が高い。そこで彼女はこの二匹を犠牲にして自分を追ってきた討伐隊を利用する事にした。
討伐隊が自分を追跡してきた事を逆に利用し、彼女は敢えて自分の僕であるブラックゴーレムと黒蟷螂を送り込む。討伐隊の戦力を削る目的もあったが、彼女の真の狙いは討伐隊の戦力を測るために送り込む。
「貴方達の力を見極めるため、私は二匹を送り込んだのよ。そして結果は最高だったわ。まさかあの二匹を相手に犠牲も出さずに勝利するなんて、正直に言って貴方達の力を見くびっていたわ」
「では、飛行船を襲ったのは……」
「飛行船を破壊する事ができれば邪魔な貴方達をこの地に足止めする事もできる。それにあの船には仲間を殺されて必死に私を探している聖女騎士団が居る事は知っていたわ」
「ではやはり貴女がレイラさんを!!」
「何をそんなに怒っているのかしら?結果的には聖女騎士団は仇を討つのに成功したでしょう?」
「よくもぬけぬけと……!!」
レイラを殺害したのは黒蟷螂ではあるが、それを命令したのはアンである。聖女騎士団にとって真の仇はアンであり、さも自分が悪くないように語るアンに全員が怒りを抱く。
「おい、お前はどうやって俺達の動きを監視していた!?」
「そんなのいくらでも方法はあるわ。白鼠を利用したり、鳥獣型の魔物を従えて見張らせたり……特にこういう森の中だと私のお仲間になってくれる子はいくらでもいるの。白鼠まで住んでいたのは運が良かったわ」
「くそっ……何で気付かなかったんだ」
「そうそう、コボルト亜種の群れを送り込んだのも私だけど、そこの英雄さんに追い払われたせいで貴方達の力を計る事ができなかったのは残念だったわね。だから飛行船を襲わせて貰ったわ」
アンはムサシ地方に訪れた時に複数の魔物と契約し、それらを利用してずっとナイ達の行動を見張っていた事を明かす。尤もそれらの魔物も既に契約を解除しており、残されたのは牙竜だけとなった。
話し終えたアンはガオウに抱えられているナイに視線を向け、彼女の計画で最も重要な役割を持っていたのはナイだった。彼は討伐隊の中でも実力者であり、もしも自分の目的を果たせるとしたらナイ以外にあり得ないとまで思わされるほどに彼は素晴らしかった。
「英雄さんには色々と働いて貰ったわ。牙竜を従えさせるには邪魔な二匹も倒して貰ったし、こうして牙竜を追い詰めたのも英雄さんのお陰よ」
「邪魔な二匹だと?どういう意味だ?」
「待て……そういえば聞いた事がある。魔物使いは使役できるのは自分の力量《レベル》に見合わせた相手だけだと」
「正解よ。いくら私でも、牙竜を従えさせる場合はあの二匹を同時に操る事ができる保証はなかった」
魔物使いであるネズミが自分以上の「化物」と称する程の魔物使いの才能を持つアンだが、彼女は牙竜を従えさせる時に黒蟷螂とブラックゴーレムは邪魔な存在となる。
黒蟷螂とブラックゴーレムは野生の魔物の中では竜種には及ばないが高い戦闘力と知能を誇り、この二匹を従えさせているせいでアンは魔物使いの力を制限されてしまう。使役する魔物を増やす程に魔物使いは負担が増え、牙竜を服従させるときはどうしても二匹の契約を解除しなければならない。
しかし、アンに魔物達が従っているのはあくまでも親愛の関係でなく、魔物使いの能力で無理やりに従えさせているだけに過ぎない。そのせいでアンは牙竜を服従化させるには黒蟷螂とブラックゴーレムを手放さなければならなかった。
――アンにとって一番の問題は黒蟷螂とブラックゴーレムの始末であり、仮に契約を解除すれば二匹ともアンに躊躇なく襲い掛かってくる。そうなればアンは自分を守る手段がなく、抵抗する暇もなく殺されるのは目に見えていた。
魔物使いのアンは決して戦闘能力は高くはなく、黒蟷螂にもブラックゴーレムにも勝てない。そこで彼女はナイ達の元に送り込み、邪魔な二匹を始末させようと考える。
「貴方達には本当に感謝しているわ。正直、この計画は貴方達がいなければ果たせなかった……特に英雄さんのお陰ね」
「舐めやがって……」
「態度には気を付けた方がいいわよ。貴方達がこうして生きていられるのは私がこの子を抑えているからだという事を思い出しなさい」
「グギャアアアアッ!!」
牙竜は咆哮を放ち、その声を聴いただけでロラン達は冷や汗が止まらない。ナイが戦闘不能に陥った今、状況は圧倒的にロラン達の不利だった。
かなりの時間が経過しているが一向に他の討伐隊が到着する予定はなく、どうやらアンの仕掛けた罠に引っかかって足止めを喰らっているらしい。しかし、アンが従えた牙竜もここまでの戦闘で深手を負っており、特に首元の傷は深い。
(奴の首に一撃を叩き込めば勝機はある……!!)
ロランは牙竜の首元の傷に視線を向け、先ほどナイ達の攻撃によって牙竜は首元に深い傷を負った。この傷口を狙えば十分に勝機があり、ロランは双紅刃を無意識に握りしめるが、それに気づいたアンが声をかける。
「警告しておくわ、もしも貴方が動けば私は遠慮なく、その英雄を殺す」
「何だと!?」
「そうはさせませんわ!!」
「ナイに手を出すな!!」
「うぐっ……!!」
アンの言葉を聞いてドリスとリンは前に出ると、ガオウもナイを抱きかかえて逃げる準備を行う。しかし、牙竜を相手に疲弊した3人では守り切れる保証はなく、ロランは双紅刃を下ろす。
(ナイを殺させるわけにはいかん。だが、この女を放置するわけには……)
ロランはどのように行動するべきか迷っていると、不意に彼はガオウが抱えているナイがわずかに動いた気がした。彼の頭が動いたように見えたロランは視線を向けると、ナイの口元が動いている事に気付く。
最初は自分に何か伝えたい事があるのかと思ったが、すぐにそれは間違いだと悟る。ロランはナイの口元を見て彼が「仙薬」を飲んでいる事に気付き、薬を飲んで回復を行っている事を知る。
(何時の間に仙薬を飲み込んで……いや、それよりもナイが回復すればまだ戦える)
仙薬を口に含んだナイは徐々に身体が回復し、動けるようになるまでそれほど時間は掛からない。ロランはアンの話を長引かせて彼が回復する時間を稼ごうとした。
「アン、貴様の目的はなんだ!?どうしてお前はここまでして我々に盾突く!?父親を処刑した我々への復讐か?」
「復讐?違うわ、そんな物はどうでもいい。あんな父が殺されようと私には何の関係もないわ」
「ならば何故こんな事を……」
「そうね……強いて言えば下剋上よ」
「げ、下剋上……何を言ってるんだ!?」
アンから意外な言葉が出てきた事にガオウは驚き、他の者たちも訝しむ。そんな彼等の表情を見て当然の反応だと思いながらも、アンは自分の最終目標を語る。
「私の目的はこの国の女王となる事、知っているかしら?この国の歴代の王は全員が男性……だから私はこの国で史上初の女王となる」
「女王だと……」
「な、何を馬鹿な事を!?この国を乗っ取るつもりですの!?」
「馬鹿げた事を言ってるんじゃねえよ!!いくら竜種を従えたからって、お前を王と認める奴がいるはずが……」
「牙竜」
「グギャアアッ!!」
ガオウが言葉を言い終える前にアンは牙竜に指示を出し、命令された牙竜はガオウに目掛けて右前脚を繰り出す。その攻撃に対して咄嗟にドリスとリンとガオウは避けようとしたが、ガオウは自分の両手にナイを抱きかかえている事を忘れていた。
(しまった!?避ければ坊主が……くそっ!!)
ナイを見捨てる事はできず、ガオウは彼だけでも逃がそうとした。しかし、ガオウが行動を移す前に既に牙竜の前脚は迫っており、もう駄目かと思われた時に彼に抱えられていたナイが眼を見開く。
牙竜の振り下ろした右前脚が地面に叩き付けられ、周囲に激しい振動が走る。この時にアンはガオウを始末したかと思ったが、攻撃を仕掛けた牙竜は手応えない事に気付いて訝しむ。
「グギャッ……!?」
「はあっ、はあっ……」
「ぼ、坊主……お前!?」
「あら……やっぱり、生きていたのね」
ガオウを救ったのは彼に抱えられていたナイであり、まだ完全に怪我が治ったわけではないが、牙竜が右前脚を振り下ろす前にナイはガオウの身体を抱えて「瞬間加速」を発動させて回避した。そのお陰でガオウは無傷であり、牙竜の攻撃を二人とも避ける事ができた。
(気付かれたか!!)
ロランは二人が無事であった事を喜ぶが、ナイが生きている事と怪我の治療を行っていた事をアンに知られて顔色を青くする。彼が完全復活するまでまだ時間が掛かり、今の状態ではとても戦う事はできない。
しかし、まだ傷が完治していないナイを見てもアンは牙竜に追撃の命令を与えず、彼女は面白い物を見るようにナイに視線を向けて語る。
「そういう事ね。流石に私の配下だけじゃ牙竜を動けないまでに痛めつける事ができるか自信はなかった……だから、私の配下を倒せるだけの力を持つ貴方達に協力してもらったの」
「何だと……!!」
アンの目的は牙竜を服従化させるため、彼女は最初の予定ではブラックゴーレムと黒蟷螂を牙竜と戦わせるつもりだった。アンが魔物を服従させるには魔物の身体に直接触れる必要があり、相手を痛めつけて動けない程度の怪我を追わせなければかなり危険な行為だった。
牙竜のような強大な力を持つ存在を従えるにはそれ相応の戦力を用意する必要があり、残念ながらブラックゴーレムと黒蟷螂だけでは牙竜に返り討ちにされる可能性が高い。そこで彼女はこの二匹を犠牲にして自分を追ってきた討伐隊を利用する事にした。
討伐隊が自分を追跡してきた事を逆に利用し、彼女は敢えて自分の僕であるブラックゴーレムと黒蟷螂を送り込む。討伐隊の戦力を削る目的もあったが、彼女の真の狙いは討伐隊の戦力を測るために送り込む。
「貴方達の力を見極めるため、私は二匹を送り込んだのよ。そして結果は最高だったわ。まさかあの二匹を相手に犠牲も出さずに勝利するなんて、正直に言って貴方達の力を見くびっていたわ」
「では、飛行船を襲ったのは……」
「飛行船を破壊する事ができれば邪魔な貴方達をこの地に足止めする事もできる。それにあの船には仲間を殺されて必死に私を探している聖女騎士団が居る事は知っていたわ」
「ではやはり貴女がレイラさんを!!」
「何をそんなに怒っているのかしら?結果的には聖女騎士団は仇を討つのに成功したでしょう?」
「よくもぬけぬけと……!!」
レイラを殺害したのは黒蟷螂ではあるが、それを命令したのはアンである。聖女騎士団にとって真の仇はアンであり、さも自分が悪くないように語るアンに全員が怒りを抱く。
「おい、お前はどうやって俺達の動きを監視していた!?」
「そんなのいくらでも方法はあるわ。白鼠を利用したり、鳥獣型の魔物を従えて見張らせたり……特にこういう森の中だと私のお仲間になってくれる子はいくらでもいるの。白鼠まで住んでいたのは運が良かったわ」
「くそっ……何で気付かなかったんだ」
「そうそう、コボルト亜種の群れを送り込んだのも私だけど、そこの英雄さんに追い払われたせいで貴方達の力を計る事ができなかったのは残念だったわね。だから飛行船を襲わせて貰ったわ」
アンはムサシ地方に訪れた時に複数の魔物と契約し、それらを利用してずっとナイ達の行動を見張っていた事を明かす。尤もそれらの魔物も既に契約を解除しており、残されたのは牙竜だけとなった。
話し終えたアンはガオウに抱えられているナイに視線を向け、彼女の計画で最も重要な役割を持っていたのはナイだった。彼は討伐隊の中でも実力者であり、もしも自分の目的を果たせるとしたらナイ以外にあり得ないとまで思わされるほどに彼は素晴らしかった。
「英雄さんには色々と働いて貰ったわ。牙竜を従えさせるには邪魔な二匹も倒して貰ったし、こうして牙竜を追い詰めたのも英雄さんのお陰よ」
「邪魔な二匹だと?どういう意味だ?」
「待て……そういえば聞いた事がある。魔物使いは使役できるのは自分の力量《レベル》に見合わせた相手だけだと」
「正解よ。いくら私でも、牙竜を従えさせる場合はあの二匹を同時に操る事ができる保証はなかった」
魔物使いであるネズミが自分以上の「化物」と称する程の魔物使いの才能を持つアンだが、彼女は牙竜を従えさせる時に黒蟷螂とブラックゴーレムは邪魔な存在となる。
黒蟷螂とブラックゴーレムは野生の魔物の中では竜種には及ばないが高い戦闘力と知能を誇り、この二匹を従えさせているせいでアンは魔物使いの力を制限されてしまう。使役する魔物を増やす程に魔物使いは負担が増え、牙竜を服従させるときはどうしても二匹の契約を解除しなければならない。
しかし、アンに魔物達が従っているのはあくまでも親愛の関係でなく、魔物使いの能力で無理やりに従えさせているだけに過ぎない。そのせいでアンは牙竜を服従化させるには黒蟷螂とブラックゴーレムを手放さなければならなかった。
――アンにとって一番の問題は黒蟷螂とブラックゴーレムの始末であり、仮に契約を解除すれば二匹ともアンに躊躇なく襲い掛かってくる。そうなればアンは自分を守る手段がなく、抵抗する暇もなく殺されるのは目に見えていた。
魔物使いのアンは決して戦闘能力は高くはなく、黒蟷螂にもブラックゴーレムにも勝てない。そこで彼女はナイ達の元に送り込み、邪魔な二匹を始末させようと考える。
「貴方達には本当に感謝しているわ。正直、この計画は貴方達がいなければ果たせなかった……特に英雄さんのお陰ね」
「舐めやがって……」
「態度には気を付けた方がいいわよ。貴方達がこうして生きていられるのは私がこの子を抑えているからだという事を思い出しなさい」
「グギャアアアアッ!!」
牙竜は咆哮を放ち、その声を聴いただけでロラン達は冷や汗が止まらない。ナイが戦闘不能に陥った今、状況は圧倒的にロラン達の不利だった。
かなりの時間が経過しているが一向に他の討伐隊が到着する予定はなく、どうやらアンの仕掛けた罠に引っかかって足止めを喰らっているらしい。しかし、アンが従えた牙竜もここまでの戦闘で深手を負っており、特に首元の傷は深い。
(奴の首に一撃を叩き込めば勝機はある……!!)
ロランは牙竜の首元の傷に視線を向け、先ほどナイ達の攻撃によって牙竜は首元に深い傷を負った。この傷口を狙えば十分に勝機があり、ロランは双紅刃を無意識に握りしめるが、それに気づいたアンが声をかける。
「警告しておくわ、もしも貴方が動けば私は遠慮なく、その英雄を殺す」
「何だと!?」
「そうはさせませんわ!!」
「ナイに手を出すな!!」
「うぐっ……!!」
アンの言葉を聞いてドリスとリンは前に出ると、ガオウもナイを抱きかかえて逃げる準備を行う。しかし、牙竜を相手に疲弊した3人では守り切れる保証はなく、ロランは双紅刃を下ろす。
(ナイを殺させるわけにはいかん。だが、この女を放置するわけには……)
ロランはどのように行動するべきか迷っていると、不意に彼はガオウが抱えているナイがわずかに動いた気がした。彼の頭が動いたように見えたロランは視線を向けると、ナイの口元が動いている事に気付く。
最初は自分に何か伝えたい事があるのかと思ったが、すぐにそれは間違いだと悟る。ロランはナイの口元を見て彼が「仙薬」を飲んでいる事に気付き、薬を飲んで回復を行っている事を知る。
(何時の間に仙薬を飲み込んで……いや、それよりもナイが回復すればまだ戦える)
仙薬を口に含んだナイは徐々に身体が回復し、動けるようになるまでそれほど時間は掛からない。ロランはアンの話を長引かせて彼が回復する時間を稼ごうとした。
「アン、貴様の目的はなんだ!?どうしてお前はここまでして我々に盾突く!?父親を処刑した我々への復讐か?」
「復讐?違うわ、そんな物はどうでもいい。あんな父が殺されようと私には何の関係もないわ」
「ならば何故こんな事を……」
「そうね……強いて言えば下剋上よ」
「げ、下剋上……何を言ってるんだ!?」
アンから意外な言葉が出てきた事にガオウは驚き、他の者たちも訝しむ。そんな彼等の表情を見て当然の反応だと思いながらも、アンは自分の最終目標を語る。
「私の目的はこの国の女王となる事、知っているかしら?この国の歴代の王は全員が男性……だから私はこの国で史上初の女王となる」
「女王だと……」
「な、何を馬鹿な事を!?この国を乗っ取るつもりですの!?」
「馬鹿げた事を言ってるんじゃねえよ!!いくら竜種を従えたからって、お前を王と認める奴がいるはずが……」
「牙竜」
「グギャアアッ!!」
ガオウが言葉を言い終える前にアンは牙竜に指示を出し、命令された牙竜はガオウに目掛けて右前脚を繰り出す。その攻撃に対して咄嗟にドリスとリンとガオウは避けようとしたが、ガオウは自分の両手にナイを抱きかかえている事を忘れていた。
(しまった!?避ければ坊主が……くそっ!!)
ナイを見捨てる事はできず、ガオウは彼だけでも逃がそうとした。しかし、ガオウが行動を移す前に既に牙竜の前脚は迫っており、もう駄目かと思われた時に彼に抱えられていたナイが眼を見開く。
牙竜の振り下ろした右前脚が地面に叩き付けられ、周囲に激しい振動が走る。この時にアンはガオウを始末したかと思ったが、攻撃を仕掛けた牙竜は手応えない事に気付いて訝しむ。
「グギャッ……!?」
「はあっ、はあっ……」
「ぼ、坊主……お前!?」
「あら……やっぱり、生きていたのね」
ガオウを救ったのは彼に抱えられていたナイであり、まだ完全に怪我が治ったわけではないが、牙竜が右前脚を振り下ろす前にナイはガオウの身体を抱えて「瞬間加速」を発動させて回避した。そのお陰でガオウは無傷であり、牙竜の攻撃を二人とも避ける事ができた。
(気付かれたか!!)
ロランは二人が無事であった事を喜ぶが、ナイが生きている事と怪我の治療を行っていた事をアンに知られて顔色を青くする。彼が完全復活するまでまだ時間が掛かり、今の状態ではとても戦う事はできない。
しかし、まだ傷が完治していないナイを見てもアンは牙竜に追撃の命令を与えず、彼女は面白い物を見るようにナイに視線を向けて語る。
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