1,104 / 1,110
最終章
第1085話 その頃の獣人国では……
しおりを挟む
獣人国の宰相のシバイは王国に送り込んだ間諜から送り届けられた報告書を受け取り、その内容に頭を悩まされる。またしても王国はとんでもない事を仕出かした。
「数百のマグマゴーレムの討伐の成功、それに超大型のゴブリンキングの討伐に成功だと……いったい、あの国の戦力は何なのだ!!」
報告書を読み終えたシバイは苛立ちを隠せずに羊皮紙を机の上に叩き付け、彼は頭を抱えてしまう。世界異変によって魔物が活性化して問題を引き起こしているのは実は王国だけではなく、他の国々でも似たような被害が多発している。
巨人国で土鯨が現れたのも世界異変が原因である事は間違いなく、獣人国の方でも竜種級の魔物の出現はまだ確認されていないが、各地で大型の魔物が出現している。一応は冒険者ギルドと協力して問題の対応を行っているが、それでも被害を最小限に収めるのが原因で根本的な解決には至っていない。
「おのれ、おのれおのれ!!いったい何故、こんな事に……!!」
王国は自国内の問題を解決したという報告にシバイは頭を掻きむしり、少し前までは彼は王国を攻め入る算段を企てていた。しかし、その計画が狂い始めたのは王国の宰相であったシンが死亡したのが切っ掛けだった。
シバイはシンと手を組み、彼の管理する白面を利用して王国から情報を得る。その代わりにシバイは獣人国に暮らす子供達を誘拐し、それを王国に送り込む。誘拐した子供達は特殊な訓練を受けさせて暗殺者に育て上げ、彼等を制御するために特別な毒を仕込む。そして白面の暗殺者が誕生し、お互いの国の情報を共有する。
しかし、数年前にシンが死亡してから白面は実質的に解散し、昔のように王国の情報を手にするのは難しくなった。更には火竜の首が届けられた一件で国王は王国に恐れを為して敵対するよりも同盟関係を維持する事に拘る。
「あと少しで私は王になれたというのに……あの英雄さえいなければ!!」
シバイの真の目的は軍隊を王国に派遣させ、国を乗っ取った後に国王を暗殺して自分が王位に就く予定だった。だが、彼の計画はこうなっては完全に頓挫し、もう取り返しは付かない。
彼の計画ではシンも途中で裏切り、彼を亡き者にするはずだった。しかし、そのシンが自分が事を起こす前に自決し、更には弟のシャドウも討ち取られた。それもこれも全て「貧弱の英雄」なる存在のせいであり、彼は机を叩き割る勢いで拳を繰り出す。
「何が英雄だ!!くそぉおおおおっ!!」
英雄《ナイ》さえ存在しなければ少なくともシバイはここまで追い詰められる事はなかった。実は彼は自分の立場を保つのも怪しく、そもそも彼は宰相に昇格できたのはシンの協力があってこそだった。
彼はシンと協力していたお陰で王国の有益な情報を掴み、それを利用して獣人国の宰相の地位にまで上り詰めた。しかし、現在ではシンがいなくなった事で情報の提供元を失い、今の所は宰相の座にいるが彼を貶めようとする人物は数多くいる。
「……もう、手遅れか」
この数年の間にシバイは一気に老け込み、実年齢以上に彼は年老いたような姿をしていた。最近は体調も悪く、彼は咳き込みながら座り込む。
「……あの英雄さえいなければ」
気が狂ったようにシバイは虚ろな瞳で天井を見上げ、同じ言葉を何度も繰り返した――
「数百のマグマゴーレムの討伐の成功、それに超大型のゴブリンキングの討伐に成功だと……いったい、あの国の戦力は何なのだ!!」
報告書を読み終えたシバイは苛立ちを隠せずに羊皮紙を机の上に叩き付け、彼は頭を抱えてしまう。世界異変によって魔物が活性化して問題を引き起こしているのは実は王国だけではなく、他の国々でも似たような被害が多発している。
巨人国で土鯨が現れたのも世界異変が原因である事は間違いなく、獣人国の方でも竜種級の魔物の出現はまだ確認されていないが、各地で大型の魔物が出現している。一応は冒険者ギルドと協力して問題の対応を行っているが、それでも被害を最小限に収めるのが原因で根本的な解決には至っていない。
「おのれ、おのれおのれ!!いったい何故、こんな事に……!!」
王国は自国内の問題を解決したという報告にシバイは頭を掻きむしり、少し前までは彼は王国を攻め入る算段を企てていた。しかし、その計画が狂い始めたのは王国の宰相であったシンが死亡したのが切っ掛けだった。
シバイはシンと手を組み、彼の管理する白面を利用して王国から情報を得る。その代わりにシバイは獣人国に暮らす子供達を誘拐し、それを王国に送り込む。誘拐した子供達は特殊な訓練を受けさせて暗殺者に育て上げ、彼等を制御するために特別な毒を仕込む。そして白面の暗殺者が誕生し、お互いの国の情報を共有する。
しかし、数年前にシンが死亡してから白面は実質的に解散し、昔のように王国の情報を手にするのは難しくなった。更には火竜の首が届けられた一件で国王は王国に恐れを為して敵対するよりも同盟関係を維持する事に拘る。
「あと少しで私は王になれたというのに……あの英雄さえいなければ!!」
シバイの真の目的は軍隊を王国に派遣させ、国を乗っ取った後に国王を暗殺して自分が王位に就く予定だった。だが、彼の計画はこうなっては完全に頓挫し、もう取り返しは付かない。
彼の計画ではシンも途中で裏切り、彼を亡き者にするはずだった。しかし、そのシンが自分が事を起こす前に自決し、更には弟のシャドウも討ち取られた。それもこれも全て「貧弱の英雄」なる存在のせいであり、彼は机を叩き割る勢いで拳を繰り出す。
「何が英雄だ!!くそぉおおおおっ!!」
英雄《ナイ》さえ存在しなければ少なくともシバイはここまで追い詰められる事はなかった。実は彼は自分の立場を保つのも怪しく、そもそも彼は宰相に昇格できたのはシンの協力があってこそだった。
彼はシンと協力していたお陰で王国の有益な情報を掴み、それを利用して獣人国の宰相の地位にまで上り詰めた。しかし、現在ではシンがいなくなった事で情報の提供元を失い、今の所は宰相の座にいるが彼を貶めようとする人物は数多くいる。
「……もう、手遅れか」
この数年の間にシバイは一気に老け込み、実年齢以上に彼は年老いたような姿をしていた。最近は体調も悪く、彼は咳き込みながら座り込む。
「……あの英雄さえいなければ」
気が狂ったようにシバイは虚ろな瞳で天井を見上げ、同じ言葉を何度も繰り返した――
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる