文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ

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廃墟編

戦技

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「待てよ、攻撃系のスキルとかもあるんじゃないのか?」


レアは移動を中断してステータス画面を開き、未収得スキル一覧の画面を開いて攻撃系の能力を探す。バルトの話では戦技の項目が攻撃に特化した能力に辺り、SPを確認して習得を試みる。


「あ、そういえばスキルを覚える度にSPの消費量が増えるんだっけ……まあ、俺の場合は関係ないか」


スキルを習得する度にSPの消費量が「1」追加される事をレアは思い出すが、これまでに2つのスキルを覚えた彼は次のスキルに習得するには「3」のSPを消費する必要がある。但し、文字変換の能力を所持しているレアの場合はSPを消費した所で即座に数値を変化させれば問題ない。


「格闘家とかの職業があるかもしれないし、もしかしたら素手で発動出来る戦技もあるかも。というか、魔法を覚えれば手っ取り早そうだな」


画面に表示された無数のスキルの中からレアは「戦技」の項目に視線を向け、色々と種類があるが現状でも扱えそうな能力を厳選する。


「とりあえず適当に覚えてみるか、色々と種類があるようだけど、一先ずは攻撃魔法を覚えてみようかな」


魔法を覚える事を決めたレアはSPを消費して覚えると、ステータス画面が更新され、戦技の項目に新しいスキルが追加された。


「よし……火球!!」


ステータス画面を確認したレアは表示された魔法の名前を告げた瞬間、彼の掌の先から球体状の炎の塊が出現し、前方の建物に向けて放たれた。砲弾のように放たれた球体は建物に衝突した瞬間に貫通し、建物の内部で爆発音が生じる。


「うわぁっ!?」


爆発の衝撃がレアの身体にも走り、彼は後方に倒れ込む。慌てて起き上がって前方に視線を向けると、既に半壊していた建物から全壊した光景が広がっていた。


「な、何だこの威力!?」


自分の掌を確認しながら崩壊してしまった建物に視線を向け、能力値を改竄した影響なのか凄まじい威力を誇り、予想以上の威力に動揺を隠せない。


「人間に使ったら木っ端微塵だな……ん?何だこれ、熟練度?」


ステータス画面を確認すると何時の間にか戦技の項目に「熟練度」という文字が追加されており、能力値のように数値が右側に表示されていた。


――――――――

戦技

・火球――火属性の初級魔法 熟練度:1


――――――――


「何だこれ……上げたらどうなるのかな?」


熟練度という文字にレアは疑問を抱き、試しに彼は文字変換の能力を使用して「火弾」の熟練度の数値を変化させる。念のために高め過ぎないように数値を「3」に変化させると、彼は先程とは別の建物に視線を向け、試しにもう一度だけ魔法を発動させるために掌を構える。


「今度は吹き飛ばされないようにしないとな……火球!!」


レアが発音した瞬間、彼の掌から先ほどと同様に火炎の球体が誕生する。但し、今回は即座に射出されず、彼の掌の前に誕生した「火球」の形状が徐々に変化を行い、やがて「弾丸」のように変化を果たすと回転を行いながら前方に向けて射出された。


「うわっ!?」


撃ち出された炎の弾丸は建物の壁を貫通し、更にレアが狙った建物だけではなく、後方に存在した建物を次々と貫通する。最終的には4つの建物を貫通した炎の弾丸は爆発し、最後に衝突した5つ目の建物が崩壊してしまう。


「な、何だよこれ……ロケットランチャー?」


自分の生み出した魔法に対してレアは冷や汗を流し、同時に疑問を抱く。最初に魔法を発動した時は身体に激しい衝撃が走ったのだが、今回は凄まじい威力を誇る魔法を放ったにも関わらず、身体に走る振動すら起きない事に気付く。


「熟練度……単純に威力が上がるわけじゃなさそうだな」


先程の魔法と比べると単純に威力が上昇しただけでもないらしく、撃ち出す際に時間は掛ったが肉体の負担が軽減されている事に気付き、レアは不思議に思いながらも「戦技」の項目に視線を向け、熟練度の項目の考察を行う。


「これは……もしかして技術力が示しているのか?」


威力が上昇したのは間違いないが、正確に言えば力の使い方が正しくなったように感じられ、最初の魔法の時は訳も分からずに炎の塊を撃ち出したが、二回目の時は炎の形状を変化させて撃ち込んだように感じられた。


「熟練度か……まあ、とりあえずはこっちの方が使いやすいけど、流石に威力が大きすぎるな……魔法威力の数値は下げておこうかな」


魔法を発動させる度に重火器を使用したような被害が生じしてしまうため、レアは問題があるようなら魔法威力の数値を変化させようかと考えた時、お腹の音が鳴り響く。


「うっ、お腹空いてきたな……さっきの魔法の影響かな」


魔法を使用した影響なのか空腹に襲われ、レアは溜息を吐き出す。どうやらスキルを使用する度に体力を消耗するらしく、彼は早急に食料と水を確保するために先を急ごうとした時、聞き覚えのある鳴き声が周囲から響いてきた。


『ギィイイイイッ!!』
「な、何だっ!?」


レアの周囲に先程遭遇した「ゴブリン」が出現し、しかも今度は単体ではなく大群が彼を取り囲む。先程の魔法で周辺に存在したゴブリンが異変を察して姿を現れたらしく、人間であるレアの姿を見て興奮したようにゴブリンの群れは鳴き声を上げる。


「ギィイッ!!」
「ギィアッ!!」
「ギギィッ!!」
「くそっ……集まり過ぎだろっ!!」


完全に周囲を取り囲まれたレアは掌を構えるが、魔法を発現した光景を見ていないゴブリン達は躊躇せずに彼に襲い掛かる。だが、最初の個体と比べるとレアの目にはゴブリン達の動作が鈍くなっているように感じられ、冷静に飛び掛かってきた1体に戦技を発動させた。


「このっ!!」
「グゲェッ!?」


レアが拳を突き出した瞬間、ゴブリンの頭部に的中し、遥か後方まで吹き飛ばす。その光景に他のゴブリンは目を見開き、一方で攻撃を仕掛けたレアも驚きを隠せない。


「あ、そうか。腕力を10倍に上げていたんだっけ……これなら!!」
「グギィッ!?」


後方に存在した個体にレアは腹部に蹴りを繰り出して吹き飛ばし、次々と殴り飛ばす。ゴブリン達は驚異的な身体能力を誇るレアに次々と蹴散らされ、更に彼は一か所に集まっているゴブリン達に魔法を放つ。


「火球!!」
「グギィイイイイッ!?」
「ギャアッ!?」
「ギギィッ!?」


掌から放たれた火の塊がゴブリンの群れに衝突した瞬間、肉体を貫通して背後に存在した個体を巻き込み、近くの建物に衝突して爆発を引き起こす。そのあまりの威力に熱風が周囲に放たれ、魔法を撃ち出したレア自身も危うく吹き飛ばされかけた。
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