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廃墟編
一角狼
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「それでは反響石はこれに入れて下さい」
「何それ?ランタン……?」
イリスがランタンを想像させる道具を取り出し、反響石を硝子の容器に入れる。彼女の行動にレアは不思議がるが、ランタンの中に放り込まれた反響石が重力が消失したように浮揚した。
「うわ、なにこれ?」
「これは反響石を収納出来る特別製のランタンです。正式名称は反響石の色に因んでグレイランタンと呼ばれています。反響石は壊れやすい魔石ですが、このランタンに入れると見ての通りに水の中に入れたように反響石が浮き上がります。この状態なら多少強い衝撃を受けても壊れる事はありませんし、魔物が近づいたら反響石が振動と同時に光り輝き続けるので夜間の間でも魔物の接近に気付く事が出来ます」
「へえ……これも冒険者の必需品?」
「そうですね。でも、ランタンが壊れる程の衝撃を受けると中身の反響石も壊れるので油断しない下さい。予備もありませんので正真正銘これが私達の命綱です」
「それはどうかな……」
グレイランタンと呼ばれる魔道具をイリスは馬車に取り付けると、彼女は遂に馬を走らせた。事前の言葉通りに馬の操作は得意らしく、二頭の馬はイリスの指示通りに走り始める。その間にレアは食料と飲料水の用意を行い、ついでに新しい武器の制作を行う。
「拳銃と刀だけだと不安だな……もう少し武器を増やすか」
ゴブリン程度ならば今のレアなら武器がなくとも脅威ではないが、草原にはゴブリン以外の魔物が多数生息するらしく、彼は能力を使用して弾丸を利用して食料と飲料水を作り出した後、新しい武器の制作を開始する。次に作り出すのは現在の拳銃よりも殺傷能力が高い武器が良いと判断し、彼は「ハンドガン」以外の銃器の製作を開始した。
「マシンガンは扱える自信がないな。誤射してイリスに当てたら大変だし……」
「え?ちょっと待ってください。意味は良く分からないですけど、不穏な事を言いませんでした?」
「ソンナコトナイヨ」
「なんで片言なんですかっ」
リリスが不安気に振り返り、レアは誤魔化すように作り笑いを浮かべる。ずっと一人で過ごしていたせいなのか独り言が癖になっており、今度は考えたことを口にしないように気を付けながらレアは武器の製作を開始する。
どのような武器を作り出すのか色々と考えた結果、最初に考えた「機関銃」ならば大多数の魔物と遭遇した時は非常に役立つのは確かだが、味方の人間に誤射してしまう可能性も否定できない。それにこちらの世界の魔物には拳銃は必ずしも驚異的な力を発揮するわけではなく、実際にホブゴブリンやゴブリンメイジには拳銃の弾丸では致命傷は与えられなかった。
拳銃を使用した時の反動に関してはステータスの能力値を伸ばしたレアには特に問題にはならず、反動が強くても強力な銃器を扱える事は間違いない。
(無難に散弾銃にするかな。それとも拳銃をもう一つ作り出して二丁拳銃で戦うとか……いや、幾ら何でも二丁拳銃は無理か)
西部劇のガンマンのように二つの拳銃を的確に敵に当てる自信はないため、ここは接近戦で役立ちそうな「散弾銃」を作り出そうと考えた時、前方のイリスが話しかけてきた。
「あの……レアさん。何か考え込んでいる所を悪いんですけど、後ろの事態に気付いてますか?」
「え、急にどうしたの?」
「いやいやいや!!どうしたのじゃないですよ!!後ろから明らかに何か追いかけて来てますよね!?」
「後ろ……?」
――ウォオオオンッ!!
イリスの言葉にレアは馬車の後方に視線を向けた瞬間、狼のような咆哮が草原に響き渡った。
「えっ……何あれ?」
「一角狼ですよ!!よりにもよって最悪な奴が来ましたっ!!」
「一角……狼?」
レアとイリスが乗車している馬車の後方から額に角を生やした狼が追跡しており、徐々に距離を縮めていた。
「ウォンッ!!」
「ガァアッ!!」
既に先頭の個体は馬車の後輪に迫っており、レアは拳銃を構える。明らかに敵意を向けているのは間違いないのだが、常に動き回る相手を狙い撃つのは難しく、イリスに魔物の特徴を伺う。
「こいつらはゴブリンよりやばいの?」
「やばいですよ!!だから逃げてるんじゃないですかっ!?」
「反響石を取り付けたばっかりなのに現れたけど、本当にそれ効果あるの?」
「角が生えている魔物は亜種や進化種なんです!!反響石は基本的に通常種にしか効かないんですよ!!」
会話を行っている間にも馬車の後方から一角狼が近付いており、先頭の個体が馬車に目掛けて飛び掛かる。
「ガアッ!!」
「帰れっ」
「ギャンッ!?」
「ええっ!?」
馬車の中に入り込もうとした狼にレアは拳を突き出して殴り飛ばし、腕力の数値が1万を超えるレアの一撃を受けた一角狼は派手に吹き飛び、衝撃を受けた拍子で折れた角が車内に落ちる。その様子を確認したレアは自分の攻撃が通じた事にそれほど驚異的な相手ではないと判断し、拳銃を構える。だが、銃声で馬達が驚くことを警戒し、念のために拳銃の改造を施す。
「よし、これでいいかな」
『拳銃――サプレッサー機能付きのハンドガン 状態:弾数は無限』
文字変換の能力を発動した瞬間、手元の拳銃が消音機能が装着したオートマチックのハンドガンに変換した。レアは拳銃を確認すると接近してくる一角狼に向けて発砲する。常に動き回る相手を狙い撃つのは難しいが、相手の行動パターンを読み取り、動作を見抜いて相手が移動する位置に向けて弾丸を放つ。
「ギャンッ!?」
「ガウッ!?」
「ギャウンッ!?」
「最後の奴だけ可愛い鳴き声だな!!」
「おお、何だか知りませんけど戦ってくれているんですか!?」
「いいから走って!!」
車体が揺れ動く馬車の中で狼を狙い撃つのは困難だが、能力値が高い影響なのかレアの動体視力も高まっているらしく、接近する一角狼を撃ち抜く。それでも拳銃程度の弾丸では怯ませるのが限度らしく、殺傷にまでは至らない。
「あいつら、そんなに頭は良くないんだな。馬車の側面や前方に回り込まれたら打つ手はないのに……」
「所詮は獣ですからね……でも、このままだと不味いですよ。馬が疲れたらお終いです」
「分かってるよ。仕方ない、上手く行けよ」
イリスの言葉にレアは拳銃から弾丸を引き抜き、即座に彼は「解析」の能力を発動させて画面を表示させる。文字変換の能力を発動させて新しい中を作り出す。
「えっと……よし、これだ!!」
「あの、何をしてるんですか!?こっちは運転に集中しているんで本当に何も見えないんですけどっ!!」
「ああ、話し掛けないでよ!!集中してるんだから……おっけい!!」
『狙撃銃――消音機能とスコープ付きのスナイパーライフル 状態:弾数は無限』
弾丸が光り輝き、やがてレアがFPSのゲームで多用していた銃器に変化する。即座に拳銃を放り投げ、狙撃銃を構えると、一角狼を狙い撃とうとする。
「よし、喰らえっ……あれ、これどうやって撃つんだ?」
「ちょっと!?」
比較的に扱いやすい拳銃と比べて狙撃銃の場合は安全装置の解除も分かりにくく、レアは狙撃銃を覗き込んで調べようとすると、一角狼が一気に接近する。
「ああ、これをこうすればいいのかな……よし!!」
――ギャンッ!?
どうにか狙撃銃の安全装置を外し、スコープ越しにではなく目視で狙いを定め、近付いてきた一角狼の頭部を撃ち抜く。拳銃よりも威力は大きく、撃たれた一角狼は悲鳴を上げながら地面に倒れ込む。後方から続いて近付いていた別の個体も先頭を走っていた仲間の肉体に足を引っかけて転倒してしまう。
「よっしゃっ!!」
「え?何が起きたんですか?」
「いいからそのまま走ってて……次っ!!」
消音機能が搭載された狙撃銃は発砲音を限りなく抑えており、そのお陰で馬達が発砲音で混乱する事もなく、レアは次々と馬車を追跡する一角狼達を撃ち抜く。最初は執拗に追いかけていた狼達も次々と仲間たちが倒される事に危機感を抱いたらしく、合計で5体目の仲間が倒れた時点で完全に諦めてしまったのか立ち止まる。
――ウォオオオンッ……!!
悲し気な一角狼の咆哮が響き渡り、無事にレア達は草原を駆け抜けて一角狼の追跡を逃れる事に成功した。
「何それ?ランタン……?」
イリスがランタンを想像させる道具を取り出し、反響石を硝子の容器に入れる。彼女の行動にレアは不思議がるが、ランタンの中に放り込まれた反響石が重力が消失したように浮揚した。
「うわ、なにこれ?」
「これは反響石を収納出来る特別製のランタンです。正式名称は反響石の色に因んでグレイランタンと呼ばれています。反響石は壊れやすい魔石ですが、このランタンに入れると見ての通りに水の中に入れたように反響石が浮き上がります。この状態なら多少強い衝撃を受けても壊れる事はありませんし、魔物が近づいたら反響石が振動と同時に光り輝き続けるので夜間の間でも魔物の接近に気付く事が出来ます」
「へえ……これも冒険者の必需品?」
「そうですね。でも、ランタンが壊れる程の衝撃を受けると中身の反響石も壊れるので油断しない下さい。予備もありませんので正真正銘これが私達の命綱です」
「それはどうかな……」
グレイランタンと呼ばれる魔道具をイリスは馬車に取り付けると、彼女は遂に馬を走らせた。事前の言葉通りに馬の操作は得意らしく、二頭の馬はイリスの指示通りに走り始める。その間にレアは食料と飲料水の用意を行い、ついでに新しい武器の制作を行う。
「拳銃と刀だけだと不安だな……もう少し武器を増やすか」
ゴブリン程度ならば今のレアなら武器がなくとも脅威ではないが、草原にはゴブリン以外の魔物が多数生息するらしく、彼は能力を使用して弾丸を利用して食料と飲料水を作り出した後、新しい武器の制作を開始する。次に作り出すのは現在の拳銃よりも殺傷能力が高い武器が良いと判断し、彼は「ハンドガン」以外の銃器の製作を開始した。
「マシンガンは扱える自信がないな。誤射してイリスに当てたら大変だし……」
「え?ちょっと待ってください。意味は良く分からないですけど、不穏な事を言いませんでした?」
「ソンナコトナイヨ」
「なんで片言なんですかっ」
リリスが不安気に振り返り、レアは誤魔化すように作り笑いを浮かべる。ずっと一人で過ごしていたせいなのか独り言が癖になっており、今度は考えたことを口にしないように気を付けながらレアは武器の製作を開始する。
どのような武器を作り出すのか色々と考えた結果、最初に考えた「機関銃」ならば大多数の魔物と遭遇した時は非常に役立つのは確かだが、味方の人間に誤射してしまう可能性も否定できない。それにこちらの世界の魔物には拳銃は必ずしも驚異的な力を発揮するわけではなく、実際にホブゴブリンやゴブリンメイジには拳銃の弾丸では致命傷は与えられなかった。
拳銃を使用した時の反動に関してはステータスの能力値を伸ばしたレアには特に問題にはならず、反動が強くても強力な銃器を扱える事は間違いない。
(無難に散弾銃にするかな。それとも拳銃をもう一つ作り出して二丁拳銃で戦うとか……いや、幾ら何でも二丁拳銃は無理か)
西部劇のガンマンのように二つの拳銃を的確に敵に当てる自信はないため、ここは接近戦で役立ちそうな「散弾銃」を作り出そうと考えた時、前方のイリスが話しかけてきた。
「あの……レアさん。何か考え込んでいる所を悪いんですけど、後ろの事態に気付いてますか?」
「え、急にどうしたの?」
「いやいやいや!!どうしたのじゃないですよ!!後ろから明らかに何か追いかけて来てますよね!?」
「後ろ……?」
――ウォオオオンッ!!
イリスの言葉にレアは馬車の後方に視線を向けた瞬間、狼のような咆哮が草原に響き渡った。
「えっ……何あれ?」
「一角狼ですよ!!よりにもよって最悪な奴が来ましたっ!!」
「一角……狼?」
レアとイリスが乗車している馬車の後方から額に角を生やした狼が追跡しており、徐々に距離を縮めていた。
「ウォンッ!!」
「ガァアッ!!」
既に先頭の個体は馬車の後輪に迫っており、レアは拳銃を構える。明らかに敵意を向けているのは間違いないのだが、常に動き回る相手を狙い撃つのは難しく、イリスに魔物の特徴を伺う。
「こいつらはゴブリンよりやばいの?」
「やばいですよ!!だから逃げてるんじゃないですかっ!?」
「反響石を取り付けたばっかりなのに現れたけど、本当にそれ効果あるの?」
「角が生えている魔物は亜種や進化種なんです!!反響石は基本的に通常種にしか効かないんですよ!!」
会話を行っている間にも馬車の後方から一角狼が近付いており、先頭の個体が馬車に目掛けて飛び掛かる。
「ガアッ!!」
「帰れっ」
「ギャンッ!?」
「ええっ!?」
馬車の中に入り込もうとした狼にレアは拳を突き出して殴り飛ばし、腕力の数値が1万を超えるレアの一撃を受けた一角狼は派手に吹き飛び、衝撃を受けた拍子で折れた角が車内に落ちる。その様子を確認したレアは自分の攻撃が通じた事にそれほど驚異的な相手ではないと判断し、拳銃を構える。だが、銃声で馬達が驚くことを警戒し、念のために拳銃の改造を施す。
「よし、これでいいかな」
『拳銃――サプレッサー機能付きのハンドガン 状態:弾数は無限』
文字変換の能力を発動した瞬間、手元の拳銃が消音機能が装着したオートマチックのハンドガンに変換した。レアは拳銃を確認すると接近してくる一角狼に向けて発砲する。常に動き回る相手を狙い撃つのは難しいが、相手の行動パターンを読み取り、動作を見抜いて相手が移動する位置に向けて弾丸を放つ。
「ギャンッ!?」
「ガウッ!?」
「ギャウンッ!?」
「最後の奴だけ可愛い鳴き声だな!!」
「おお、何だか知りませんけど戦ってくれているんですか!?」
「いいから走って!!」
車体が揺れ動く馬車の中で狼を狙い撃つのは困難だが、能力値が高い影響なのかレアの動体視力も高まっているらしく、接近する一角狼を撃ち抜く。それでも拳銃程度の弾丸では怯ませるのが限度らしく、殺傷にまでは至らない。
「あいつら、そんなに頭は良くないんだな。馬車の側面や前方に回り込まれたら打つ手はないのに……」
「所詮は獣ですからね……でも、このままだと不味いですよ。馬が疲れたらお終いです」
「分かってるよ。仕方ない、上手く行けよ」
イリスの言葉にレアは拳銃から弾丸を引き抜き、即座に彼は「解析」の能力を発動させて画面を表示させる。文字変換の能力を発動させて新しい中を作り出す。
「えっと……よし、これだ!!」
「あの、何をしてるんですか!?こっちは運転に集中しているんで本当に何も見えないんですけどっ!!」
「ああ、話し掛けないでよ!!集中してるんだから……おっけい!!」
『狙撃銃――消音機能とスコープ付きのスナイパーライフル 状態:弾数は無限』
弾丸が光り輝き、やがてレアがFPSのゲームで多用していた銃器に変化する。即座に拳銃を放り投げ、狙撃銃を構えると、一角狼を狙い撃とうとする。
「よし、喰らえっ……あれ、これどうやって撃つんだ?」
「ちょっと!?」
比較的に扱いやすい拳銃と比べて狙撃銃の場合は安全装置の解除も分かりにくく、レアは狙撃銃を覗き込んで調べようとすると、一角狼が一気に接近する。
「ああ、これをこうすればいいのかな……よし!!」
――ギャンッ!?
どうにか狙撃銃の安全装置を外し、スコープ越しにではなく目視で狙いを定め、近付いてきた一角狼の頭部を撃ち抜く。拳銃よりも威力は大きく、撃たれた一角狼は悲鳴を上げながら地面に倒れ込む。後方から続いて近付いていた別の個体も先頭を走っていた仲間の肉体に足を引っかけて転倒してしまう。
「よっしゃっ!!」
「え?何が起きたんですか?」
「いいからそのまま走ってて……次っ!!」
消音機能が搭載された狙撃銃は発砲音を限りなく抑えており、そのお陰で馬達が発砲音で混乱する事もなく、レアは次々と馬車を追跡する一角狼達を撃ち抜く。最初は執拗に追いかけていた狼達も次々と仲間たちが倒される事に危機感を抱いたらしく、合計で5体目の仲間が倒れた時点で完全に諦めてしまったのか立ち止まる。
――ウォオオオンッ……!!
悲し気な一角狼の咆哮が響き渡り、無事にレア達は草原を駆け抜けて一角狼の追跡を逃れる事に成功した。
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