文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ

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廃墟編

街の様子

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「こちらが私の発見した街の様子です」
「ちょ、何ですかこれ?ステータス画面みたいのが出てきたんですけど……」
「これもSF映画ではよく見る奴だな……」


シルフィアが掌を翳すと映写機のように空中に画面が表示され、彼女が記録したと思われる映像が映し出された。どうやらシルフィアの視界の映像が記録されていたらしく、超高速で空を飛行する映像が表示された。


「こちらが1分前の映像です。この世界には衛星が存在しないため、生体反応を感知して街を捜索していました」
「あ、そうか。シルフィアは生体レーダーというのを内蔵しているんだっけ?」
「はい。私は生体エネルギーを感知して生物の反応を確認できます。そのため、数多くの反応が存在する場所に向かっていたのですが、発見したのはこのような街でした」
「あ!!ここがセカンの街ですよ!!間違いありません!!」


映像に街の光景が映し出され、イリスが声を上げる。どうやらシルフィアが発見した街は彼女が元々滞在していたセカンの街で間違いはないようだが、何故か街の各所では火災が起きており、黒煙が舞い上がっていた。空を飛んでいたシルフィアが降下したらしく、街を取り囲む防壁部分に映像が移り変わる。


「ここから先は空を飛ぶと目立つと判断し、ステルス機能を作動して探索を行いました。ちなみにここまでが出発から10秒の映像です」
「え?どういう事?」
「人間のお二人に分かりやすいようにスローモーション映像となっています。この調子なら記録の映像が3分ほど続きますが、通常速度に戻しますか?」
「いや、大丈夫。あんまり早すぎると分からないし……」
「分かりました。映像を続けます」


街に着地したシルフィアは空を飛ぶことを辞めて建物の屋根の上を飛び移り、街の様子を観察していた。映像では相当な速度で移動しているように見えるが、実際には3分の1の速度で進んでおり、現実の彼女は三倍速で移動していた事になる。シルフィアは神人の中でも特別に運動機能が優れているわけではないはずだが、今現在のレアよりも高い身体能力を持っている事は間違いない。


「生体反応を探した結果、私が見つけ出したのはこの人型の生物です。私の記録している「龍」とは異なる生物の事から、恐らくはお二人が話した魔物と呼ばれる生物だと思われますが……」
「これは……」
「ゴブリン!?しかも、ホブゴブリンの団体じゃないですか!!」


街の広間に到着したシルフィアが発見したのは大量のゴブリンの姿であり、しかも通常のゴブリンではなく、進化したホブゴブリンだった。しかもレア達が遭遇したホブゴブリンよりも体格が大きく、人間のように鎧や兜を武装していた。


「どうしてゴブリンがセカンの街に……しかも、全員が武装してるなんて……」
「俺達と出会ったゴブリンよりも強そうだな……」
「これを見てください。特にこの個体は生体反応が大きかったです」


映像に映し出されるホブゴブリンの集団の中には一際巨大なゴブリンが存在し、その体長は8メートルは存在した。こちらのゴブリンは特に筋肉質であり、鎧や兜の類は身に着けておらず、樹木を引き抜いて削り取ったと思われる棍棒を所持していた。


「ちょっ……これはゴブリンキングじゃないですか!?ホブゴブリンよりも希少なゴブリンですよ!!」
「ゴブリンキング?」
「ゴブリンの中でもありえない成長速度を誇る化物です!!突然変異種と呼ばれる程に滅多に存在しない奴ですよ!!」
「そこまで珍しいゴブリンだったのですか?」


イリスの焦り様からレアが遭遇したゴブリンとは比べ物にならない程の強さを誇るらしく、レアはゴブリンキングに視線を向け、確かにその風貌は「キング」に相応しく普通のゴブリンよりも凛々しさを感じさせた。しかし、問題なのはどうしてゴブリンキングとホブゴブリンの集団が街中に存在するかであり、街の状況から考えても彼等が襲撃したとしか考えられない。


「恐らく、この街はこのゴブリンの襲撃を受けたのではないでしょうか?この場所に訪れるまでに無残に食い荒らされた住民の死体も多数発見しました」
「うえっ……マジですか?」
「そんな……生き残りはいないの?」
「どうやら襲撃を受けたのは数日前のようだったので、生存者が居る可能性は限りなく低いです。私も探索しましたが、反応は全てこのホブゴブリンとゴブリンキングと呼ばれる個体だけでした」


シルフィアの調査によると人間の生存者は確認されず、既に殺されたか街を抜け出したとしか考えられないという。しかし、街を抜け出したとしても魔物が生息する草原に放り出されては戦闘能力を持たない人間は生き残れるはずがなく、住民の生存は絶望的だろう。


「数日前という事は……もしかしたら私が調査に向かったすぐ後に襲撃を受けていた可能性もありますね。こういうのは不謹慎かもしれませんが、私は運が良かったんですね……」
「まあ、確かにね」
「映像をご覧ください。このゴブリンキングはホブゴブリンに何か指示を出しています」


シルフィアの言葉にレアとイリスは映像に視線を戻し、ゴブリンキングがホブゴブリン達に語り掛けるように鳴き声を上げる様子が表示されていた。
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