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廃墟編
破壊天使
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「げほっ……痛っ……!!」
『キュロロッ……』
『ゴロォッ……』
レアは全身の痛みを堪えながら身体を起き上げ、傍に倒れているマカセとゴレムに視線を向ける。叩きつけられた衝撃のせいでどちらも目元のレンズにひびが入り、部品も落ちていた。その様子を確認したレアは手を伸ばし、先に二人を修理しようとする。
「待ってろ、今直して……」
「シャアアアアッ!!」
だが、そんなレアの耳元に白竜の怒りの鳴き声が響き渡り、3人の目の前にまで迫る。その光景を確認したレアは舌打ちし、ビゾンからの支配から逃れたことにより、自由に動けるようになった白竜は完全にレア達を標的にしていた。
「くそっ……少しでも同情した俺が馬鹿だったな」
「ガアアッ!!」
ビゾンに従わされていた白竜に対して少しでも同情を抱いていた自分に苛立ち、いくら従わされていたとしても猛獣は猛獣である事に変わりはなく、レアは血の唾を吐いて悪態を吐く。
「この蜥蜴……俺達に近づくなっ!!」
「シャアッ……!?」
拳銃を構えたレアは白竜の頭部に向けて撃ち込み、眼球を執拗に狙う。予想外の攻撃に白竜は怯むが、拳銃の弾丸程度では白銀の鱗を貫通する事は出来ず、金属の様に頑丈な鱗に弾かれてしまう。それでもレアは発砲を繰り返し、必ず現れる救援を待つ。
「頼むからそろそろ来てくれよ……それで様子は見てるんだろ?」
ルノは上空に視線を向けると、ビゾンが死亡した影響なのか街中に漂っていた白霧が薄れており、徐々に霧に覆い隠されていた無数のドローンが姿を現す。まるで天空を覆い隠さないばかりの数のドローンが白竜の元に集まっており、全てのカメラを白竜に向けていた。
「シャアアッ……!?」
白竜も上空の異変に気付き、自分の周囲に滞空するドローンの大群に視線を向け、首を忙しなく動かす。何が起きているのか理解できず、それでも威嚇を行うように白竜は咆哮を放つ。
シャアアアアアアアアアッ!!
街中に白竜の怒声が響き渡るが、そのような光景を目撃しながらもレアは安堵感に包まれ、壊れてしまったマカセを抱き上げながら空から近づいてくる光に視線を向ける。
「マスタァアアアアアッ!!」
「アガァッ!?」
――背中に光の翼を生やしたシルフィアが空から姿を現し、彼女は白竜の顔面に向けて見事な跳び蹴りを喰らわせる。あまりの衝撃に白竜の牙の何本かが落ちてしまい、そのまま巨体は身体を横向きに倒れ、近くに存在した建物ごと巻き込んで倒れこむ。
「ガアアアッ……!?」
「マスター!!御無事ですか!?」
「おおうっ……さ、流石はシルフィア」
『キュロロッ……!?』
『ゴロォッ』
シルフィアは自分が蹴り飛ばした白竜を一瞥すると、即座に地上に着地し、レアの元に訪れる。彼女はレアの姿を確認すると目元を潤ませ、彼に抱き着く。
「ああっ……こんな大怪我をさせるなんて、すぐに治療を行います!!」
「いや、平気だって……ステータスいじればなんとかなるから。それよりも……」
「ウガッ……ガアアアッ!!」
レアの治療を施す前に建物の残骸から白竜が姿を現し、憤怒の表情を浮かべながらシルフィアを睨みつける。そんな白竜に対し、彼女は冷めた目を向け、ゆっくりと立ち上がる。
「何ですかこの「龍」は……最初に倒したワイバーンよりも生体反応は大きいようですが、これもこの世界の魔物という存在なのですか?」
「多分、ね。俺も知らない奴だけど……」
「マスターはここに居て下さい。すぐに終わらせますので……」
「グガアアアアアッ!!」
自分を攻撃された事に怒りを抱いたのか、白竜はシルフィアに向けて尻尾を振り翳し、上空から叩きつけようとする。回避すればレアが押しつぶされると判断したシルフィアは背中の翼を羽ばたかせ、飛翔する。
「はああっ!!」
「アガァッ!?」
「嘘っ……!?」
上空から接近してきた尻尾を両手で受け止めたシルフィアはそのまま上昇し、逆に白竜の巨体を持ち上げる。慌てて尻尾を掴まれた白竜は地面に爪を突き刺すが、彼女は気合の雄たけびを放ちながら白竜の巨体を振り回す。
「はああああっ!!」
「ッ―――!?」
白竜の声にならない悲鳴が響き渡り、まるでハンマー投げのようにシルフィアは白竜の巨体を軽々と振り回し、更に上空へと投げ飛ばす。
「空の彼方まで……吹き飛びなさい!!」
「アアアアアアアアアッ――!?」
言葉通りに白竜の肉体ははるか上空まで吹き飛ばされ、空しい鳴き声が響き渡る。いくら魔物の生態系の中では頂点に位置する竜種であろうと、シルフィアに彼女の世界に生息する下位の「龍」と大差ない存在であり、脅威的な存在ではなかった。
「……まだです」
だが、彼女の怒りはこの程度ではまだ収まらず、シルフィアは胸元の十字架に手を伸ばし、自分の誇る最強の武装を作り出す。
「制限レベル解除……標的認識」
シルフィアは遥か上空にまで吹き飛んだ白竜の姿を捉え、肉体に張り付いた武装を全て解除すると、攻撃だけに魔素のエネルギーを送り込む。
「十字架……砲撃!!」
次の瞬間、彼女の身体から巨大な「光の十字架」が誕生し、上空へ向けて光の柱が誕生した。砲撃は大気圏外にまで迫っていた白竜の身体を包み込み、灰も残さずに白竜の巨体を吹き飛ばした――
※作者の別作品では最強の竜種をこうもあっさりと……( ゚Д゚)ツヨスギル
『キュロロッ……』
『ゴロォッ……』
レアは全身の痛みを堪えながら身体を起き上げ、傍に倒れているマカセとゴレムに視線を向ける。叩きつけられた衝撃のせいでどちらも目元のレンズにひびが入り、部品も落ちていた。その様子を確認したレアは手を伸ばし、先に二人を修理しようとする。
「待ってろ、今直して……」
「シャアアアアッ!!」
だが、そんなレアの耳元に白竜の怒りの鳴き声が響き渡り、3人の目の前にまで迫る。その光景を確認したレアは舌打ちし、ビゾンからの支配から逃れたことにより、自由に動けるようになった白竜は完全にレア達を標的にしていた。
「くそっ……少しでも同情した俺が馬鹿だったな」
「ガアアッ!!」
ビゾンに従わされていた白竜に対して少しでも同情を抱いていた自分に苛立ち、いくら従わされていたとしても猛獣は猛獣である事に変わりはなく、レアは血の唾を吐いて悪態を吐く。
「この蜥蜴……俺達に近づくなっ!!」
「シャアッ……!?」
拳銃を構えたレアは白竜の頭部に向けて撃ち込み、眼球を執拗に狙う。予想外の攻撃に白竜は怯むが、拳銃の弾丸程度では白銀の鱗を貫通する事は出来ず、金属の様に頑丈な鱗に弾かれてしまう。それでもレアは発砲を繰り返し、必ず現れる救援を待つ。
「頼むからそろそろ来てくれよ……それで様子は見てるんだろ?」
ルノは上空に視線を向けると、ビゾンが死亡した影響なのか街中に漂っていた白霧が薄れており、徐々に霧に覆い隠されていた無数のドローンが姿を現す。まるで天空を覆い隠さないばかりの数のドローンが白竜の元に集まっており、全てのカメラを白竜に向けていた。
「シャアアッ……!?」
白竜も上空の異変に気付き、自分の周囲に滞空するドローンの大群に視線を向け、首を忙しなく動かす。何が起きているのか理解できず、それでも威嚇を行うように白竜は咆哮を放つ。
シャアアアアアアアアアッ!!
街中に白竜の怒声が響き渡るが、そのような光景を目撃しながらもレアは安堵感に包まれ、壊れてしまったマカセを抱き上げながら空から近づいてくる光に視線を向ける。
「マスタァアアアアアッ!!」
「アガァッ!?」
――背中に光の翼を生やしたシルフィアが空から姿を現し、彼女は白竜の顔面に向けて見事な跳び蹴りを喰らわせる。あまりの衝撃に白竜の牙の何本かが落ちてしまい、そのまま巨体は身体を横向きに倒れ、近くに存在した建物ごと巻き込んで倒れこむ。
「ガアアアッ……!?」
「マスター!!御無事ですか!?」
「おおうっ……さ、流石はシルフィア」
『キュロロッ……!?』
『ゴロォッ』
シルフィアは自分が蹴り飛ばした白竜を一瞥すると、即座に地上に着地し、レアの元に訪れる。彼女はレアの姿を確認すると目元を潤ませ、彼に抱き着く。
「ああっ……こんな大怪我をさせるなんて、すぐに治療を行います!!」
「いや、平気だって……ステータスいじればなんとかなるから。それよりも……」
「ウガッ……ガアアアッ!!」
レアの治療を施す前に建物の残骸から白竜が姿を現し、憤怒の表情を浮かべながらシルフィアを睨みつける。そんな白竜に対し、彼女は冷めた目を向け、ゆっくりと立ち上がる。
「何ですかこの「龍」は……最初に倒したワイバーンよりも生体反応は大きいようですが、これもこの世界の魔物という存在なのですか?」
「多分、ね。俺も知らない奴だけど……」
「マスターはここに居て下さい。すぐに終わらせますので……」
「グガアアアアアッ!!」
自分を攻撃された事に怒りを抱いたのか、白竜はシルフィアに向けて尻尾を振り翳し、上空から叩きつけようとする。回避すればレアが押しつぶされると判断したシルフィアは背中の翼を羽ばたかせ、飛翔する。
「はああっ!!」
「アガァッ!?」
「嘘っ……!?」
上空から接近してきた尻尾を両手で受け止めたシルフィアはそのまま上昇し、逆に白竜の巨体を持ち上げる。慌てて尻尾を掴まれた白竜は地面に爪を突き刺すが、彼女は気合の雄たけびを放ちながら白竜の巨体を振り回す。
「はああああっ!!」
「ッ―――!?」
白竜の声にならない悲鳴が響き渡り、まるでハンマー投げのようにシルフィアは白竜の巨体を軽々と振り回し、更に上空へと投げ飛ばす。
「空の彼方まで……吹き飛びなさい!!」
「アアアアアアアアアッ――!?」
言葉通りに白竜の肉体ははるか上空まで吹き飛ばされ、空しい鳴き声が響き渡る。いくら魔物の生態系の中では頂点に位置する竜種であろうと、シルフィアに彼女の世界に生息する下位の「龍」と大差ない存在であり、脅威的な存在ではなかった。
「……まだです」
だが、彼女の怒りはこの程度ではまだ収まらず、シルフィアは胸元の十字架に手を伸ばし、自分の誇る最強の武装を作り出す。
「制限レベル解除……標的認識」
シルフィアは遥か上空にまで吹き飛んだ白竜の姿を捉え、肉体に張り付いた武装を全て解除すると、攻撃だけに魔素のエネルギーを送り込む。
「十字架……砲撃!!」
次の瞬間、彼女の身体から巨大な「光の十字架」が誕生し、上空へ向けて光の柱が誕生した。砲撃は大気圏外にまで迫っていた白竜の身体を包み込み、灰も残さずに白竜の巨体を吹き飛ばした――
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