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廃墟編
作戦開始
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「――マカセから報告が届きました。どうやら予定よりも早く、セカンにアルディラの軍勢が訪れたようです」
「え、もうっ!?到着予定は明日ぐらいだったんじゃ……」
「大丈夫です。既に作戦の準備は整えています。マスターとイリス様はここで待機していてください。何かありましたら転移装置で帰還します」
「き、気を付けてくださいね」
マカセとの通信を遮断したシルフィアは二人に報告を行うと、即座に背中に光の翼を発動させ、浮上する。転移装置を利用すれば一瞬で到着できるが、彼女の飛行速度ならば1分程度でセカンの街へとたどり着ける。
「では、行ってまいります」
「気を付けてね……絶対に帰ってきてよ!!」
「了解しました!!」
敬愛する主人の言葉にシルフィアは微笑み、彼女はステルスモードへと移行する。カメレオンの保護色のように周囲の景色と同化し、超音速の速度でセカンの街へ向かう――
――その一方、マカセの方も動き出す。彼は翼を羽ばたかせて上空へと飛翔すると、予想を超える数のゴブリンの軍勢が街に接近している事に気付き、動揺する。想定よりも遥かに多い数のゴブリンが草原を移動しており、その数は1万どころではなかった。
「何だこれは……ゴブリンキングの群れまで存在するのか!?」
軍勢の数は最低でも「2万」は存在し、しかも通常種はその内の3分の1しか存在しない。半分近くがホブゴブリンの群れであり、残りは希少種のゴブリンキングで構成されていた。しかもホブゴブリンに至っては帝国製の鎧を身に付けており、普通のゴブリンも武器を装備している。
「有り得ん……ここら一体のゴブリンを全て呼び寄せたというのか!?何という奴だ……むっ!?」
軍勢の中に存在する一際巨大なゴブリンが存在し、その大きさはゴブリンキングの比ではない。外見は毬のような球体を想像させる肥え太ったゴブリンであり、その頭部には無数の魔物の骨で構成された「王冠」のようなものを身に付けていた。
「あれは……ゴブリンロードか?いや、しかし……何だあの醜く肥え太った姿は……ぬおっ!?」
「なにをさっきからごちゃごちゃと話している」
「うおっ!?」
マカセの背後から女性の声が掛けられ、慌てて彼が振り返ると、そこには吸血鬼のように蝙蝠を想像させる羽根を生やした女性の姿が存在した。外見は20代後半の女性であり、赤色の短髪に肉感的な体型の美しい女性だった。マカセと違う点は彼女には尻尾が生えている。
「報告が遅れているから何をしているかと思えば、こんな所にまだ居たの?」
「あ、アルディラ……」
「何をそんなに怯えているのよ……おかしな奴ね」
「だ、誰が怯えているだと!!」
自分の前に現れた「軍魔将アルディラ」に対し、マカセは動揺を隠しながらも話しかける。予定よりも早くにアルディラと遭遇した事にマカセは内心焦るが、既に作戦の準備は整えている。後は彼女とゴブリンの大群を街の中に誘導すれば作戦成功となる。
「ほ、報告を遅れたのは謝る。だが、こちらにも事情が……」
「そんな事よりも私が貸してあげたゴブリン達はどうしたのよ?この街の状況を見るからに仕事は果たしたようだけど、どうしてあんたがここに留まっているのよ。予定ではもう次の街に向かっているはずでしょう?」
「そ、それはだな……」
当初のアルディラの作戦ではマカセにゴブリンの部隊を貸し与え、先に彼に街に襲撃した後、本隊が街に送り込む予定だった。本隊よりも先にマカセに部隊を預けて街を襲撃させたのは2万を超えるゴブリンの食糧を確保するためであり、先行隊を送り込んで街に存在する食料を先に確保する手筈だった。
しかし、先行を任せたマカセの部隊から連絡が途絶え、本隊が街に到着する前に次の街へ襲撃を仕掛るように命じたにも関わらず、マカセがセカンの街に留まっていた事にアルディラは疑問を抱く。
「質問に答えなさいよ。どうしてあんたがここに居るのよ。預けた部隊は何処へ消えたの?」
「う、うむ……分かった。話すからとりあえず下に降りないか?」
「はあ?何を言ってるのよ。ここでさっさと話しなさい!!」
マカセの言葉にアルディラは苛立ちながら怒鳴りつける。そんな彼女と地上の軍勢の様子を伺いながらマカセは考え込む。
(し、しまった!!ゴブリンの軍勢が殺された事を誤魔化す言い訳など考えていなかった……くそっ!!どうすればいい!?)
予定ではマカセはアルディラを街中に誘い込み、彼女の率いる本隊も呼び寄せるつもりだったのだが、当のアルディラは街に入ろうとせず、むしろ彼の姿に怪しむ。
「ちょっと、何を黙っているのよ!!こっちは疲れてんのよ!!早く言いなさい!!」
「く、くそっ……こうなったら!!」
「えっ……きゃあっ!?」
マカセは一か八かの賭けに出るため、アルディラの身体に飛び込み、彼女の首を腕で絞めつける。
「え、もうっ!?到着予定は明日ぐらいだったんじゃ……」
「大丈夫です。既に作戦の準備は整えています。マスターとイリス様はここで待機していてください。何かありましたら転移装置で帰還します」
「き、気を付けてくださいね」
マカセとの通信を遮断したシルフィアは二人に報告を行うと、即座に背中に光の翼を発動させ、浮上する。転移装置を利用すれば一瞬で到着できるが、彼女の飛行速度ならば1分程度でセカンの街へとたどり着ける。
「では、行ってまいります」
「気を付けてね……絶対に帰ってきてよ!!」
「了解しました!!」
敬愛する主人の言葉にシルフィアは微笑み、彼女はステルスモードへと移行する。カメレオンの保護色のように周囲の景色と同化し、超音速の速度でセカンの街へ向かう――
――その一方、マカセの方も動き出す。彼は翼を羽ばたかせて上空へと飛翔すると、予想を超える数のゴブリンの軍勢が街に接近している事に気付き、動揺する。想定よりも遥かに多い数のゴブリンが草原を移動しており、その数は1万どころではなかった。
「何だこれは……ゴブリンキングの群れまで存在するのか!?」
軍勢の数は最低でも「2万」は存在し、しかも通常種はその内の3分の1しか存在しない。半分近くがホブゴブリンの群れであり、残りは希少種のゴブリンキングで構成されていた。しかもホブゴブリンに至っては帝国製の鎧を身に付けており、普通のゴブリンも武器を装備している。
「有り得ん……ここら一体のゴブリンを全て呼び寄せたというのか!?何という奴だ……むっ!?」
軍勢の中に存在する一際巨大なゴブリンが存在し、その大きさはゴブリンキングの比ではない。外見は毬のような球体を想像させる肥え太ったゴブリンであり、その頭部には無数の魔物の骨で構成された「王冠」のようなものを身に付けていた。
「あれは……ゴブリンロードか?いや、しかし……何だあの醜く肥え太った姿は……ぬおっ!?」
「なにをさっきからごちゃごちゃと話している」
「うおっ!?」
マカセの背後から女性の声が掛けられ、慌てて彼が振り返ると、そこには吸血鬼のように蝙蝠を想像させる羽根を生やした女性の姿が存在した。外見は20代後半の女性であり、赤色の短髪に肉感的な体型の美しい女性だった。マカセと違う点は彼女には尻尾が生えている。
「報告が遅れているから何をしているかと思えば、こんな所にまだ居たの?」
「あ、アルディラ……」
「何をそんなに怯えているのよ……おかしな奴ね」
「だ、誰が怯えているだと!!」
自分の前に現れた「軍魔将アルディラ」に対し、マカセは動揺を隠しながらも話しかける。予定よりも早くにアルディラと遭遇した事にマカセは内心焦るが、既に作戦の準備は整えている。後は彼女とゴブリンの大群を街の中に誘導すれば作戦成功となる。
「ほ、報告を遅れたのは謝る。だが、こちらにも事情が……」
「そんな事よりも私が貸してあげたゴブリン達はどうしたのよ?この街の状況を見るからに仕事は果たしたようだけど、どうしてあんたがここに留まっているのよ。予定ではもう次の街に向かっているはずでしょう?」
「そ、それはだな……」
当初のアルディラの作戦ではマカセにゴブリンの部隊を貸し与え、先に彼に街に襲撃した後、本隊が街に送り込む予定だった。本隊よりも先にマカセに部隊を預けて街を襲撃させたのは2万を超えるゴブリンの食糧を確保するためであり、先行隊を送り込んで街に存在する食料を先に確保する手筈だった。
しかし、先行を任せたマカセの部隊から連絡が途絶え、本隊が街に到着する前に次の街へ襲撃を仕掛るように命じたにも関わらず、マカセがセカンの街に留まっていた事にアルディラは疑問を抱く。
「質問に答えなさいよ。どうしてあんたがここに居るのよ。預けた部隊は何処へ消えたの?」
「う、うむ……分かった。話すからとりあえず下に降りないか?」
「はあ?何を言ってるのよ。ここでさっさと話しなさい!!」
マカセの言葉にアルディラは苛立ちながら怒鳴りつける。そんな彼女と地上の軍勢の様子を伺いながらマカセは考え込む。
(し、しまった!!ゴブリンの軍勢が殺された事を誤魔化す言い訳など考えていなかった……くそっ!!どうすればいい!?)
予定ではマカセはアルディラを街中に誘い込み、彼女の率いる本隊も呼び寄せるつもりだったのだが、当のアルディラは街に入ろうとせず、むしろ彼の姿に怪しむ。
「ちょっと、何を黙っているのよ!!こっちは疲れてんのよ!!早く言いなさい!!」
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