文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ

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廃墟編

氷魔将の影

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「失せろ」
『ゴロォッ!?』


片腕を振り払う動作だけで殴りかかった機械人形を吹き飛ばし、ゴウカは防壁の残骸を踏みつぶしながら歩み寄る。彼の視線の先にはレアとイリスの姿があり、彼等に尋ねる。


「答えろ、貴様は何者だ?」
「えっ……」
「どうして人間がここにいる。答えなければ……」
『ゴロォッ!!』


ゴウカが言葉を言い切る前に周囲の機械人形が動き出し、彼を拘束するために取り囲もうとする。しかし、そんな彼等に対してゴウカは笑みを浮かべ、両腕を広げて咆哮した。


「雑魚がっ……消え失せろっ!!」
『ゴロォッ!?』
「何だっ!?」


ゴウカが地面に拳を殴りつけた瞬間、爆発が生じて彼の姿を爆炎が覆い隠す。接近していた機械人形も吹き飛ばされ、ゴレムは咄嗟に爆風からレアとイリスを守る為に庇う。


「何なんだくそっ!!イリス、逃げよう……イリス?」
「はあ、はあっ……」


イリスと共に逃げようとしたレアは彼女に視線を向けると、頭を抑えながら跪いており、慌ててレアは彼女の身体を抱き上げる。何が起きているのかは不明だが、先ほどよりも顔色が悪く、とても話せる状況じゃなかった。


「イリス、抱えるぞ!!」


彼女が動けないと判断したレアはイリスを両手で抱え上げ、そのまま走り去る。ゴレムが後ろに続き、他の機械人形は彼等を守る為に爆煙の中から姿を現したゴウカの前に立ち塞がる。


「逃すかっ!!」
『ゴロロロロッ!!』


ゴウカは逃走しようとするレアとイリスを追いかけようとするが、大量の機械人形が邪魔をする。しかし、ゴウカが殴りつける度に爆発が生じ、機械人形を吹き飛ばす。


「退けっ!!」
『ゴロロッ……!!』


爆発を受けた機械人形は吹き飛ばされるが、彼等の頑丈な武装を破壊するまでには至らず、起き上がってゴウカを抑えつけようとする。その間にレアはイリスを抱えた状態で駆け抜け、シルフィアが戻ってくるのを待つ。


「早く戻ってこい……!!」
『ゴロロッ!!』


二人の背後からゴレムが鳴き声を上げ、振り返ると彼は両足のキャタピラを利用してローラースケートのように移動しており、二人に背中に乗るように指図する。レアは頷いてイリスを抱えたままゴレムの背中に移動し、指示を出す。


「このまま街を出る!!シルフィアと合流するんだ!!」
『ゴロロッ!!』


シルフィアと連絡がない理由は彼女が既に交戦中だと判断し、レアは彼女が戻ってくるまでイリスを守り抜くために街の外へ向かう。機械人形達が街道の舗装を行っていた事が幸いし、障害物となる物は全て排除済みのため、最高速度で街の外へ向かう。


「よし、このまま行けば……うわっ!?」
『ゴロォッ!?』


だが、移動の最中にゴレムが唐突に体勢を崩し、危うく転倒しかける。何事かとレアはゴレムの足元に視線を向けると、地面が凍り付いている事に気付く。


『ゴロロッ!!』


ゴレムは足元を滑らせないように近くの建物に移動し、壁に張り付く。何事か起きたのか理解するのに時間が掛かり、レアはイリスを落とさないように抱き締めながら様子を伺う。


「なんで地面が凍り付いて……」


言葉を口にした瞬間、吐く息さえも白い事に気付き、レアは周囲の温度が急速に下がっている事に気付く。この世界にも四季は存在し、イリスの話では現在は夏を迎えているはずなのだが、まるで真冬のように気温が低下する。あまりの寒さにレアは身体を震わせるが、それよりも問題なのは気温の変化の元凶である。


「まさか……」


レアの脳裏に先ほどの炎魔将の姿が思い浮かび、同時にマカセの話を思い出す。彼の話では残りの魔将は「妖魔将イルミナ」と「氷魔将セツナ」だけであり、炎魔将がこの場に現れた事を考えても嫌な予感しかしない。


「氷魔将の仕業なのか!?」
『ゴロロッ?』


地面が氷結化した原因をレアは氷魔将が現れたと判断し、周囲を警戒する。幸いというべきか人影は見当たらないが、あまりの寒さにレアはイリスを抱き締め、このままでは凍死しかねない。


「くそっ……どうなってるんだ。どうして魔将が二人も……」
「レア、さん……教会です」
「イリス!?」


抱えられていたイリスが頭を抑えながらも意識を取り戻し、彼女はレアが最初に隠れていた教会に移動するように告げる。それを聞いたレアは教会の建物が近くに存在する事に気付き、ゴレムに指示を出す。


「ゴレム!!あの教会へ向かえっ!!」
『ゴロロッ!!』


イリスの言葉を信じてゴレムは足の裏にスパイクのような棘を作り出し、教会に向けて移動する。時間が経過するごとに気温が下がり、レアはイリスの身体を抱えながら周囲の警戒を行い、彼女を一刻も早く安全な場所へ移動させるために戦う準備も整えた。
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