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プロローグ
第8話 ステータスは攻撃魔法?
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――ナオがマリアの元に訪れてから半年の月日が経過した頃、滝の中でナオはステータス画面を頭上に展開した状態で座禅を行う。半年前は右手を突き出した方向にしかステータス画面を展開できなかったが、以前よりも魔力操作の技術を身に着けた事で現在は右手を使わずともステータス画面を自由に操作できるようになった。
「ふうっ……」
拡張化した画面を頭上に展開する事で降り注ぐ滝の水を防ぎながら既に一時間近くが経過した。最初の頃はステータス画面を十分も展開すれば疲れて動けなくなったが、以前よりもナオ自身の魔力も高まっていた。
マリアの修業のお陰でナオは魔術師としても着実に成長しており、他の魔法は覚えられない代わりに唯一に自分が扱える古代魔法を極めるために励んでいた。
「よし、今日はこれぐらいでいいかな」
座禅を辞めてナオが歩き始めると、頭上に展開されたステータス画面も移動を行う。そして水面に向けて足を踏み出した瞬間、画面が即座に足元に移動して足場となって岸辺に移る。
「ふうっ、流石に寒くなってきたな」
季節は冬を迎えようとしており、水場での修行は酷になってきた。ナオは濡れた身体を拭おうとした時、聞き覚えのある鳴き声を耳にした。
「ギィイイッ!!」
「うわっ!?」
森の奥から現れたのはゴブリンであり、ナオに目掛けて突っ込んできた。急に現れた魔物にナオは驚愕するが、即座に右手を構えて魔法を発動させる。
「ステータス!!」
「ギャウッ!?」
正面から突っ込んできたゴブリンに対してナオはステータス画面を展開すると、壁のように立ちはだかる画面に衝突したゴブリンは悲鳴を上げて倒れ込む。このステータス画面を利用した防御法をナオは「画面防御」と名付けていた。
「び、びっくりした……たくっ、驚かせるなよ!!」
「ギ、ギィイッ……!?」
画面防御で突進を防がれたゴブリンは困惑した表情を浮かべ、ゴブリンからすれば見えない壁に阻まれたような感覚で戸惑う。それでもゴブリンは立ち上がると手に持っていた石斧を振りかざす。
「ギィイッ!!」
「だから無駄だって……」
ゴブリンは画面に目掛けて幾度も石斧を叩き込むが、いくら攻撃しようと画面は傷一つ付かない。必死になって攻撃を仕掛けるゴブリンに対してナオは哀れに思いながらも容赦はしない。
「邪魔!!」
「ギャアアアッ!?」
右手を構えた状態でナオは意識を集中させると、画面を前方に動かしてゴブリンを突き飛ばす。以前よりも魔力操作の技術が格段に上がった事により、今までは防御に利用していた画面を攻撃にも利用できるようになった。
画面に吹き飛ばされたゴブリンは派手に転がり込み、そんなゴブリンに対してナオはゆっくりと迫る。このままゴブリンが逃げ出すのならば見逃すつもりだったが、ゴブリンは身体中が泥だらけになりながらも起き上がり、血走った目で睨みつけてきた。
「ギィイイイッ!!」
「逃げる気なしか……なら、容赦はしないぞ!!」
言葉とは裏腹にナオはゴブリンに背中を向けて滝の方に駆け出す。いきなり逃げ出したナオにゴブリンは驚き、慌てて後を追いかけようとした。
「ギィイイッ!!」
「こっちだ!!」
水面に目掛けてナオは飛び込むと、先ほどのように画面を足元に移動させて着地を行う。ゴブリンも後を追いかけて飛び込むが、ナオと違って画面を足場にできないゴブリンは水中へと沈む。
「ブフゥッ!?」
「よし、引っかかった!!」
ゴブリンが溺れている間にナオは岸辺へ移動すると、相手が水中から這い出すまで待つ。ゴブリンは泳ぐのに邪魔となる石斧を捨てて必死に岸辺まで泳ぎ切ると、全身水浸しにした状態でナオを睨みつけた。
「ギィイイッ……!!」
「しつこい奴だな……これ以上来るなら本当に始末するぞ」
「ギギィッ!?」
再び掌を構えて来たナオに対してゴブリンは両手で顔を塞ぐが、魔法を繰り出すふりをしてナオは足元の泥を蹴り上げて浴びせる。
「喰らえっ!!」
「ギャアアッ!?」
顔面に泥を浴びたゴブリンは悲鳴を上げ、その隙を逃さずにナオは蹴りを喰らわせる。この半年間の間に学んだのは魔法の技術だけではなく、魔法に頼らずとも身を守る術も教えてもらっていた。
「沈んでろ!!」
「ギャウッ!?」
ゴブリンの腹を蹴りつけて再び滝の中に落とすと、追いかけてくる前にナオは逃げ出す。始末しようとすれば始末する事もできたが、魔物は血の臭いに敏感のため、下手に殺すと他の魔物を引き寄せる恐れがある。だから森の中で魔物と遭遇した時はできる限りに殺さずに逃げるようにマリアから注意されていた。
水に沈んでいる間にゴブリンを撒くためにナオは森の中を駆け抜け、マリアが暮らす家に帰りつく。この場所まで辿り着ければどんな魔物も負ってくる事はないため、ようやく安心して身体を休ませる。
「はあっ、はあっ……助かった」
「……おかえりなさい。今日は随分と早かったわね」
「あ、先生……ただいま」
ナオが帰ってきた事に気づいたマリアが家の中から姿を現し、汗だくの彼を見て掌を構える。すると強風が舞い込んでナオの身体を包み込み、汗だけを吹き飛ばした。
「うわっ!?」
「これで涼しくなったでしょう。次は稽古の時間よ、早く立ちなさい」
「は、はい!!」
マリアの手を借りてナオは立ち上がると、森の中に流れている川がある場所まで移動した。ここへ来た目的はナオの魔法を攻撃に利用する方法を見出すためにマリアは大きな岩を指差す。
「今日はあの岩を動かしてみなさい」
「あの岩ですか……や、やってみます!!」
マリアが指差した岩の前にナオは移動すると、右手を構えて魔法を発動させた。
「ステータス!!」
呪文を唱えた瞬間、掌に構えた方向に目掛けて画面が突き進む。しかし、岩に当たった途端に動きが止まり、ゴブリンを吹き飛ばす事はできても数トンはある岩を動かす事はできなかった。
「ふぎぎぎっ……だ、駄目だぁっ!!やっぱり動かせませんよこんな大きい岩……」
「貴方が力を込めて意味ないでしょう。それに動かせないと思い込んでいるのも減点ね、魔法の力は想像力によって左右するのよ。貴方が岩を動かす想像ができるようになれば動かせるようになるはずよ」
「そう言われても……」
画面を操作できるようになったナオだが、自分よりも大きくて重い岩を動かす事はできなかった。だが、マリアは岩を動かす想像《イメージ》ができれば大岩でも動かす事ができるという。
マリアは古代魔法は扱えないが何百年も生きている魔術師であり、先生である彼女の言葉を信じてナオは右手を構えたまま念じる。
(重い物を押し込むと考えるから駄目なのかも……そうだ。目を閉じてゴブリンを吹き飛ばした時の事を思い出せば上手くいくかも)
魔法において重要なのは想像力であり、ナオは敢えて目を閉じる事で岩を見ないようにする。そしてゴブリンに襲われた時の出来事を思い出し、画面でゴブリンを吹き飛ばした光景を思い描きながら一気に押し込む。
「はああっ!!」
ナオが気合を込めた大声を上げると、今までは微動だにしなかった岩を押し込む。それを見てマリアは笑みを浮かべ、ナオも目を開くと岩がずれた跡を見て信じられない表情を浮かべる。
「ふうっ……」
拡張化した画面を頭上に展開する事で降り注ぐ滝の水を防ぎながら既に一時間近くが経過した。最初の頃はステータス画面を十分も展開すれば疲れて動けなくなったが、以前よりもナオ自身の魔力も高まっていた。
マリアの修業のお陰でナオは魔術師としても着実に成長しており、他の魔法は覚えられない代わりに唯一に自分が扱える古代魔法を極めるために励んでいた。
「よし、今日はこれぐらいでいいかな」
座禅を辞めてナオが歩き始めると、頭上に展開されたステータス画面も移動を行う。そして水面に向けて足を踏み出した瞬間、画面が即座に足元に移動して足場となって岸辺に移る。
「ふうっ、流石に寒くなってきたな」
季節は冬を迎えようとしており、水場での修行は酷になってきた。ナオは濡れた身体を拭おうとした時、聞き覚えのある鳴き声を耳にした。
「ギィイイッ!!」
「うわっ!?」
森の奥から現れたのはゴブリンであり、ナオに目掛けて突っ込んできた。急に現れた魔物にナオは驚愕するが、即座に右手を構えて魔法を発動させる。
「ステータス!!」
「ギャウッ!?」
正面から突っ込んできたゴブリンに対してナオはステータス画面を展開すると、壁のように立ちはだかる画面に衝突したゴブリンは悲鳴を上げて倒れ込む。このステータス画面を利用した防御法をナオは「画面防御」と名付けていた。
「び、びっくりした……たくっ、驚かせるなよ!!」
「ギ、ギィイッ……!?」
画面防御で突進を防がれたゴブリンは困惑した表情を浮かべ、ゴブリンからすれば見えない壁に阻まれたような感覚で戸惑う。それでもゴブリンは立ち上がると手に持っていた石斧を振りかざす。
「ギィイッ!!」
「だから無駄だって……」
ゴブリンは画面に目掛けて幾度も石斧を叩き込むが、いくら攻撃しようと画面は傷一つ付かない。必死になって攻撃を仕掛けるゴブリンに対してナオは哀れに思いながらも容赦はしない。
「邪魔!!」
「ギャアアアッ!?」
右手を構えた状態でナオは意識を集中させると、画面を前方に動かしてゴブリンを突き飛ばす。以前よりも魔力操作の技術が格段に上がった事により、今までは防御に利用していた画面を攻撃にも利用できるようになった。
画面に吹き飛ばされたゴブリンは派手に転がり込み、そんなゴブリンに対してナオはゆっくりと迫る。このままゴブリンが逃げ出すのならば見逃すつもりだったが、ゴブリンは身体中が泥だらけになりながらも起き上がり、血走った目で睨みつけてきた。
「ギィイイイッ!!」
「逃げる気なしか……なら、容赦はしないぞ!!」
言葉とは裏腹にナオはゴブリンに背中を向けて滝の方に駆け出す。いきなり逃げ出したナオにゴブリンは驚き、慌てて後を追いかけようとした。
「ギィイイッ!!」
「こっちだ!!」
水面に目掛けてナオは飛び込むと、先ほどのように画面を足元に移動させて着地を行う。ゴブリンも後を追いかけて飛び込むが、ナオと違って画面を足場にできないゴブリンは水中へと沈む。
「ブフゥッ!?」
「よし、引っかかった!!」
ゴブリンが溺れている間にナオは岸辺へ移動すると、相手が水中から這い出すまで待つ。ゴブリンは泳ぐのに邪魔となる石斧を捨てて必死に岸辺まで泳ぎ切ると、全身水浸しにした状態でナオを睨みつけた。
「ギィイイッ……!!」
「しつこい奴だな……これ以上来るなら本当に始末するぞ」
「ギギィッ!?」
再び掌を構えて来たナオに対してゴブリンは両手で顔を塞ぐが、魔法を繰り出すふりをしてナオは足元の泥を蹴り上げて浴びせる。
「喰らえっ!!」
「ギャアアッ!?」
顔面に泥を浴びたゴブリンは悲鳴を上げ、その隙を逃さずにナオは蹴りを喰らわせる。この半年間の間に学んだのは魔法の技術だけではなく、魔法に頼らずとも身を守る術も教えてもらっていた。
「沈んでろ!!」
「ギャウッ!?」
ゴブリンの腹を蹴りつけて再び滝の中に落とすと、追いかけてくる前にナオは逃げ出す。始末しようとすれば始末する事もできたが、魔物は血の臭いに敏感のため、下手に殺すと他の魔物を引き寄せる恐れがある。だから森の中で魔物と遭遇した時はできる限りに殺さずに逃げるようにマリアから注意されていた。
水に沈んでいる間にゴブリンを撒くためにナオは森の中を駆け抜け、マリアが暮らす家に帰りつく。この場所まで辿り着ければどんな魔物も負ってくる事はないため、ようやく安心して身体を休ませる。
「はあっ、はあっ……助かった」
「……おかえりなさい。今日は随分と早かったわね」
「あ、先生……ただいま」
ナオが帰ってきた事に気づいたマリアが家の中から姿を現し、汗だくの彼を見て掌を構える。すると強風が舞い込んでナオの身体を包み込み、汗だけを吹き飛ばした。
「うわっ!?」
「これで涼しくなったでしょう。次は稽古の時間よ、早く立ちなさい」
「は、はい!!」
マリアの手を借りてナオは立ち上がると、森の中に流れている川がある場所まで移動した。ここへ来た目的はナオの魔法を攻撃に利用する方法を見出すためにマリアは大きな岩を指差す。
「今日はあの岩を動かしてみなさい」
「あの岩ですか……や、やってみます!!」
マリアが指差した岩の前にナオは移動すると、右手を構えて魔法を発動させた。
「ステータス!!」
呪文を唱えた瞬間、掌に構えた方向に目掛けて画面が突き進む。しかし、岩に当たった途端に動きが止まり、ゴブリンを吹き飛ばす事はできても数トンはある岩を動かす事はできなかった。
「ふぎぎぎっ……だ、駄目だぁっ!!やっぱり動かせませんよこんな大きい岩……」
「貴方が力を込めて意味ないでしょう。それに動かせないと思い込んでいるのも減点ね、魔法の力は想像力によって左右するのよ。貴方が岩を動かす想像ができるようになれば動かせるようになるはずよ」
「そう言われても……」
画面を操作できるようになったナオだが、自分よりも大きくて重い岩を動かす事はできなかった。だが、マリアは岩を動かす想像《イメージ》ができれば大岩でも動かす事ができるという。
マリアは古代魔法は扱えないが何百年も生きている魔術師であり、先生である彼女の言葉を信じてナオは右手を構えたまま念じる。
(重い物を押し込むと考えるから駄目なのかも……そうだ。目を閉じてゴブリンを吹き飛ばした時の事を思い出せば上手くいくかも)
魔法において重要なのは想像力であり、ナオは敢えて目を閉じる事で岩を見ないようにする。そしてゴブリンに襲われた時の出来事を思い出し、画面でゴブリンを吹き飛ばした光景を思い描きながら一気に押し込む。
「はああっ!!」
ナオが気合を込めた大声を上げると、今までは微動だにしなかった岩を押し込む。それを見てマリアは笑みを浮かべ、ナオも目を開くと岩がずれた跡を見て信じられない表情を浮かべる。
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