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外の世界へ
第12話 変わり果てた村
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――マリアの元を離れてからしばらく歩いた後、ナオは改めて魔法を発動させてステータス画面の確認を行う。一年前から表示される文章には得に変わりはなく、相変わらず数字の部分だけが文字化けしていた。
「う~ん……結局、何なんだろうこれ?」
画面に記されている文字にナオは首を傾げ、母親から教わった日本語で記されているのは間違いないが、書いている内容の意味が良く分からない。
「まあ、いいか……師匠の言っていた通り、これは防御魔法なんだ」
深く考えるのを辞めたナオは森から抜け出した後はどうするか考えていると、近くの茂みからゴブリンが飛び出し、頭に目掛けて石斧を振りかざす。
「ギギィッ!!」
「おっと」
自分に攻撃を仕掛けてきたゴブリンに対してナオは冷静に画面を操作して石斧を防ぐと、ゴブリンは目に見えない壁の様な物に阻まれて驚愕する。その隙を逃さずにナオは画面を縮小化させ、手元で高速回転させる。
これまでナオは画面をブーメランの要領で投げ飛ばす攻撃しかしてこなかったが、接近戦用に新しい使い方を見出す。それは右手の甲の部分に縮小化させた画面を高速回転させ、丸鋸のように相手に切り付ける攻撃方法だった。
「おらぁっ!!」
「ギャインッ!?」
拘束回転が加えられた画面で胸元を切りつけられたゴブリンは悲鳴を上げて倒れ込み、容赦なくナオは顔面に目掛けて全体重を乗せて踏みつける。もう昔の彼とは違い、戦う力を身に着けたナオは魔物が相手でも怯えたりはしない。
「ふうっ……もうお前等なんか怖くないぞ」
「ギィイッ……!?」
顔面と胸元から大量の血を噴き出しながらゴブリンは動かなくなり、それを見届けたナオは血の臭いにつられて他の魔物が押し寄せる前に退散した。もうゴブリン程度の魔物では彼の相手にもならなかった。
(俺、強くなってる。師匠の言う通り、今なら他の奴等に何と言われようと気にしないぞ)
村に暮らしていた頃は髪の毛の色が不気味という理由で村人から距離を置かれ、子供の頃は他の子からいじめられていた。だが、恐ろしい魔物を倒せるだけの力を手に入れた今の自分なら他の人間に負ける気がしない。
(性懲りもなく俺を虐めようとしたら仕返ししてやる!!)
魔法の力で今まで嫌がらせをしてきた人間に返り討ちにしてやろうかと考え、森を脱出するために歩き続けた――
――数時間後、森を抜け出したナオは久々に自分の生まれ故郷である村に辿り着いた。だが、村に辿り着いたナオは愕然とした。帰ってきた村はまるで廃村のように建物は崩れ、村人どころか家畜の姿さえ見えなかった。
「な、何だよこれ……どうなってるんだ?」
変わり果てた村の光景にナオは唖然とするが、とりあえずは人間を探すために村中を探し回る。しかし、いくら探しても村人は誰も見つからず、代わりに人骨と思われる骨が村のあちこちに散らばっていた。
大量の骨の山を前にしてナオは愕然とするが、状況から考えて魔物の仕業だとしか考えられない。恐らくは村は魔物の群れに襲われ、村人は全滅して死体は食いつくされたのだろう。
「嘘だろ……皆死んじゃったのか?」
変わり果てた故郷にナオは膝を崩し、村の人間は嫌な連中だったが別に死んでほしいとまでは考えた事もない。まさか自分がいない間に魔物が村を壊滅させたという事実にナオは涙を流す。
(何だよこれ……なんで泣いてるんだよ)
村の人間に思い入れがあったわけではないが、唯一の自分の帰る場所が魔物のせいで失われたという事実にナオは悔しく思う。今すぐにマリアがいる森に帰りたいと思ったが、こんなにも早くに森に戻ったらマリアに情けない男と思われるのが嫌だった。
「くそっ……泣いている場合じゃないだろ!!」
自分自身を叱咤してナオは立ち上がり、とりあえずは自分の家に帰る事にした。一年ぶりに戻ってきた家は他の建物と同様に酷い有様だったが、それでも使えそうな道具を探して集める。
「この風呂敷は使えそうだな……包丁とかは武器になりそうだけど、ちょっと錆びてるな。まあ、武器は最悪なくてもいいか」
魔法が扱えるナオは武器は必要とせず、とりあえずは金目になりそうな物をまとめて風呂敷に包むと、ついでに他の家に入り込んで役立ちそうな物を探す。
(皆、悪く思わないでくれよ。これも生き延びるためなんだ)
他の人間の家で物色するのは火事場泥棒をしているようで気分は悪いが、見つかった人骨は罪滅ぼしも兼ねて地面に埋めて墓を作る。大分時間はかかってしまったが、夕方を迎える頃にはナオは村人全員の墓を作り出す。
「……義理は通したよ」
村人全員の人骨をまとめて地面に埋めた後、墓標の代わりにナオは木の杭を差し込む。両手を合わせて彼等の冥福を祈った後、井戸の水で身体を洗い流す。
今日は遅くなったので今晩は自分の家で過ごす事にした。毛布に包まりながらナオは自分の部屋で最後の夜を過ごし、早くも森で暮らしていた頃が懐かしく思う。
(何だか一人だと寂しいな……早く寝よう)
マリアが傍にいないだけでナオは孤独感に苛まれ、寂しさを誤魔化すために早々に眠る事にした――
――翌朝、目を覚ましたナオは森から出る前に持参した干し肉を食べる。これが最後の食料であり、今日中に別の村に辿り着かなければ食事にもありつけない。
「ここから一番近い街は……流石に遠いな」
村長の屋敷に残っていた地図を確認してナオは街が存在する方向を確認し、地図を見る限りでは相当に距離が離れているらしく、徒歩での移動だと半日以上はかかってしまう。
「う~ん……歩いて行くと疲れそうだな」
徒歩で移動の場合だと街に辿り着く前に体力が尽きる可能性があり、しかも草原には魔物も生息しているらしい。疲れて動けない時に魔物に襲われたらひとたまりもなく、どうにか草原を安全に抜ける方法がないのかを考える。
ナオは空を見上げると渡り鳥の群れを見かけた。自分が鳥ならば街まで一飛びできるのにと考えた時、森で練習していたステータス画面を利用した移動法を思い出す。
「あ、そうだ。画面に乗って移動すればすぐに辿り着けるかも……いや、どうせ途中で転んで大怪我を負うだけだな」
これまでに何度かナオは画面に乗った状態での移動を試みたが、バランスを保つのが難しすぎて全て失敗に終わった。せめて画面と自分を固定するような道具があればと考えた時、昨日の内に集めて置いた道具を思い出す。
「待てよ……もしかしたらあれを使えば飛べるかも」
ナオは道具の中から取り出したのは「草取り鎌」と「ロープ」であり、この二つの道具を上手く利用すれば空も飛べるようになるのではないかと考えた――
「う~ん……結局、何なんだろうこれ?」
画面に記されている文字にナオは首を傾げ、母親から教わった日本語で記されているのは間違いないが、書いている内容の意味が良く分からない。
「まあ、いいか……師匠の言っていた通り、これは防御魔法なんだ」
深く考えるのを辞めたナオは森から抜け出した後はどうするか考えていると、近くの茂みからゴブリンが飛び出し、頭に目掛けて石斧を振りかざす。
「ギギィッ!!」
「おっと」
自分に攻撃を仕掛けてきたゴブリンに対してナオは冷静に画面を操作して石斧を防ぐと、ゴブリンは目に見えない壁の様な物に阻まれて驚愕する。その隙を逃さずにナオは画面を縮小化させ、手元で高速回転させる。
これまでナオは画面をブーメランの要領で投げ飛ばす攻撃しかしてこなかったが、接近戦用に新しい使い方を見出す。それは右手の甲の部分に縮小化させた画面を高速回転させ、丸鋸のように相手に切り付ける攻撃方法だった。
「おらぁっ!!」
「ギャインッ!?」
拘束回転が加えられた画面で胸元を切りつけられたゴブリンは悲鳴を上げて倒れ込み、容赦なくナオは顔面に目掛けて全体重を乗せて踏みつける。もう昔の彼とは違い、戦う力を身に着けたナオは魔物が相手でも怯えたりはしない。
「ふうっ……もうお前等なんか怖くないぞ」
「ギィイッ……!?」
顔面と胸元から大量の血を噴き出しながらゴブリンは動かなくなり、それを見届けたナオは血の臭いにつられて他の魔物が押し寄せる前に退散した。もうゴブリン程度の魔物では彼の相手にもならなかった。
(俺、強くなってる。師匠の言う通り、今なら他の奴等に何と言われようと気にしないぞ)
村に暮らしていた頃は髪の毛の色が不気味という理由で村人から距離を置かれ、子供の頃は他の子からいじめられていた。だが、恐ろしい魔物を倒せるだけの力を手に入れた今の自分なら他の人間に負ける気がしない。
(性懲りもなく俺を虐めようとしたら仕返ししてやる!!)
魔法の力で今まで嫌がらせをしてきた人間に返り討ちにしてやろうかと考え、森を脱出するために歩き続けた――
――数時間後、森を抜け出したナオは久々に自分の生まれ故郷である村に辿り着いた。だが、村に辿り着いたナオは愕然とした。帰ってきた村はまるで廃村のように建物は崩れ、村人どころか家畜の姿さえ見えなかった。
「な、何だよこれ……どうなってるんだ?」
変わり果てた村の光景にナオは唖然とするが、とりあえずは人間を探すために村中を探し回る。しかし、いくら探しても村人は誰も見つからず、代わりに人骨と思われる骨が村のあちこちに散らばっていた。
大量の骨の山を前にしてナオは愕然とするが、状況から考えて魔物の仕業だとしか考えられない。恐らくは村は魔物の群れに襲われ、村人は全滅して死体は食いつくされたのだろう。
「嘘だろ……皆死んじゃったのか?」
変わり果てた故郷にナオは膝を崩し、村の人間は嫌な連中だったが別に死んでほしいとまでは考えた事もない。まさか自分がいない間に魔物が村を壊滅させたという事実にナオは涙を流す。
(何だよこれ……なんで泣いてるんだよ)
村の人間に思い入れがあったわけではないが、唯一の自分の帰る場所が魔物のせいで失われたという事実にナオは悔しく思う。今すぐにマリアがいる森に帰りたいと思ったが、こんなにも早くに森に戻ったらマリアに情けない男と思われるのが嫌だった。
「くそっ……泣いている場合じゃないだろ!!」
自分自身を叱咤してナオは立ち上がり、とりあえずは自分の家に帰る事にした。一年ぶりに戻ってきた家は他の建物と同様に酷い有様だったが、それでも使えそうな道具を探して集める。
「この風呂敷は使えそうだな……包丁とかは武器になりそうだけど、ちょっと錆びてるな。まあ、武器は最悪なくてもいいか」
魔法が扱えるナオは武器は必要とせず、とりあえずは金目になりそうな物をまとめて風呂敷に包むと、ついでに他の家に入り込んで役立ちそうな物を探す。
(皆、悪く思わないでくれよ。これも生き延びるためなんだ)
他の人間の家で物色するのは火事場泥棒をしているようで気分は悪いが、見つかった人骨は罪滅ぼしも兼ねて地面に埋めて墓を作る。大分時間はかかってしまったが、夕方を迎える頃にはナオは村人全員の墓を作り出す。
「……義理は通したよ」
村人全員の人骨をまとめて地面に埋めた後、墓標の代わりにナオは木の杭を差し込む。両手を合わせて彼等の冥福を祈った後、井戸の水で身体を洗い流す。
今日は遅くなったので今晩は自分の家で過ごす事にした。毛布に包まりながらナオは自分の部屋で最後の夜を過ごし、早くも森で暮らしていた頃が懐かしく思う。
(何だか一人だと寂しいな……早く寝よう)
マリアが傍にいないだけでナオは孤独感に苛まれ、寂しさを誤魔化すために早々に眠る事にした――
――翌朝、目を覚ましたナオは森から出る前に持参した干し肉を食べる。これが最後の食料であり、今日中に別の村に辿り着かなければ食事にもありつけない。
「ここから一番近い街は……流石に遠いな」
村長の屋敷に残っていた地図を確認してナオは街が存在する方向を確認し、地図を見る限りでは相当に距離が離れているらしく、徒歩での移動だと半日以上はかかってしまう。
「う~ん……歩いて行くと疲れそうだな」
徒歩で移動の場合だと街に辿り着く前に体力が尽きる可能性があり、しかも草原には魔物も生息しているらしい。疲れて動けない時に魔物に襲われたらひとたまりもなく、どうにか草原を安全に抜ける方法がないのかを考える。
ナオは空を見上げると渡り鳥の群れを見かけた。自分が鳥ならば街まで一飛びできるのにと考えた時、森で練習していたステータス画面を利用した移動法を思い出す。
「あ、そうだ。画面に乗って移動すればすぐに辿り着けるかも……いや、どうせ途中で転んで大怪我を負うだけだな」
これまでに何度かナオは画面に乗った状態での移動を試みたが、バランスを保つのが難しすぎて全て失敗に終わった。せめて画面と自分を固定するような道具があればと考えた時、昨日の内に集めて置いた道具を思い出す。
「待てよ……もしかしたらあれを使えば飛べるかも」
ナオは道具の中から取り出したのは「草取り鎌」と「ロープ」であり、この二つの道具を上手く利用すれば空も飛べるようになるのではないかと考えた――
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