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外の世界へ
第15話 世界異変
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――ドルトンの馬車に乗せてもらったナオは街に辿り着くまで色々な話を聞かせてもらう。ずっと村の中で暮らしていたナオは街で暮らす人間の常識に疎く、話を聞く中で驚くべき事実を知った。
「えっ!?そんなに大変な事になってるんですか!?」
「大変なんてもんじゃないですよ。魔物共のせいで何十もの村がなくなっちまった。今では頑丈な城壁に囲まれている街以外の集落は魔物に滅ぼされたと言われてるんだ」
「我が国だけではなく、他の国々でも魔物の被害で悩まされています。噂によれば世界異変の前触れではないかと言われてますな」
「世界異変……」
世界異変とは数百年に一度起きると言われる大災害の事であり、マリアからナオも話を聞いていた。理由は不明だが世界中で魔物が大増殖し、生態系に大きな乱れが生じる。かつて起きた世界異変では人類が滅びかける程の被害を受けたという。
これまでは魔物が確認されなかった地域でも魔物が現れるようになり、ナオの村のように魔物の群れによって滅ぼされた集落は数知れない。マリアが暮らす森でも魔物が数を増やしている傾向はあったが、まさか世界規模で魔物が増え続けているなどナオも予想はできなかった。
「これから向かう街は大丈夫なんですか?」
「ご安心ください。他の街から派遣された冒険者達の活躍もあって、今までに一度も魔物の侵入を許した事はありません」
「冒険者……」
冒険者とは魔物退治を生業としている職業であり、特殊な訓練を受けた人間だけがなれる職業だと聞いていた。街には警備兵も配備されているが、彼等はあくまでも治安を維持するための存在であり、冒険者のように魔物退治を専門にしているわけではない。だから街では冒険者を雇って警備を任せるのは当たり前となっていた。
昔と比べて魔物の被害が激増化しているため、冒険者を増員させて各地の警備を強化しているらしく、これからナオ達が向かう「イチノ」という街は冒険者のお陰で一度も魔物の被害を受けていないという。
「現在は何処の街でも冒険者の募集していますからな。もしかしてナオさんも冒険者になられるために街に向かってるのでは?」
「え?いや、そういうわけじゃ……」
「おや、そうでしたか。あれほど恐ろしい魔物を倒せるナオさんならば冒険者に向いていると思いますが……」
「そうですぜ。あんな化物を一発でぶっ倒す腕があれば冒険者になれば一気に稼げますよ」
「そんなに冒険者は儲かるんですか?」
ナオは冒険者は魔物退治の専門家という認識だが、ドルトン達の話によると魔物が数を増やし続けているせいで冒険者は昔よりも優遇されているらしい。
「今の世の中、魔物に対抗できる冒険者こそが希望の象徴として見られています。国の軍隊も魔物の相当に全力を尽くしておりますが、彼等は冒険者と違って魔物退治を生業としていたわけではないのであまり当てにはされておりません。実際に1000人の兵士よりも冒険者を100人雇う方が安心できると言われておりますからな」
「そこまで魔物の被害は凄いんですか……」
国を守る兵士よりも冒険者の方が頼りとされている世の中であり、ナオは自分が冒険者になれば魔物に困っている人たちを助けられるのかと考えた。
(先生からはあまり目立つなと忠告されたけど、俺の力なら魔物から人を救う事もできるんだ。なら冒険者を目指すのも悪くないかも……けど、どうやったら冒険者になれるんだ?)
冒険者を目指すと言ってもナオは手順が分からず、ドルトンから詳しく話を聞こうとしたところ、唐突に馬車が停止した。
「うわわっ!?」
「わっ!?」
「これっ!!急に止まるな!!」
「す、すいやせん……でも、あれを見てくださいよ!!」
急停止した御者にドルトンは叱りつけるが、御者は前方を指差す。何事かとナオとドルトンは御者が指差した方向に視線を向けると、そこには草原に流れる川に架けられた橋が存在した。
「川?」
「この川を渡ればイチノに辿り着けるのですが……いったいどうしたというだ?」
「だからあれを見てくださいよ!!橋がとんでもない事になってるんですよ!?」
御者が橋の中間を示すと、そこには異様な光景が広がっていた。全身が青色に染まった巨大な塊が橋を封じており、正体不明の物体を見てナオは驚く。
「な、なんですかあれ?」
「あれはもしや……スライムでは?」
「スライム!?あの有名な魔物ですか!?」
スライムは魔物の中でも比較的に危険度が低く、危害を加えなければ人間には手を出さない魔物の中でも珍しい温厚な性格の生物だった。スライムの見た目は楕円形で頭の部分に角のような触角を二つ生やしており、愛らしい姿をしている事から子供には人気が高い。
しかし、橋を封鎖するスライムは体長が三メートルを超えており、通常のスライムの十倍近くの大きさを誇る。橋を封鎖しているせいで馬車が渡れず、困り果てた御者はナオに話しかけた。
「坊ちゃん!!あの魔物を何とかできませんか?」
「何とかと言われても……」
「ううむ、スライムは滅多に人間に危害を加える存在ではないですが、怒らせたら熱湯を吐き出して攻撃を仕掛ける性質を持ち合わせております。下手に刺激するのは止めた方がいいかもしれません」
「ですけど、この川を渡るためにはこの橋を通るしかないんですよ?あれを何とかしないと先に進めませんぜ」
御者の言葉は最もであり、イチノへ向かうためには橋を渡らなければならない。だが、巨大なスライムが橋を封鎖しているせいで馬車が渡り切れず、流石のナオの魔法でも馬車を運び出すのはできない。
(大きいけど結構可愛らしい見た目だな……あんなのと戦うのは気が引けるけど、とりあえずは様子を見に行くか)
ナオは馬車から降りると自分一人で橋に向かい、念のために魔法をいつでも発動できるように右手を構えて置く。そして橋の上を封鎖する巨大スライムの元に辿り着くと、改めてその大きさに目を見張る。
(さっきのボアもデカかったけど、こっちもかなり大きいな……けど、やっぱり可愛い顔してるな)
スライムはあどけない瞳と口元にナオは和みそうになるが、仮にも魔物である事を思い出して警戒を緩めずに話しかけた。
「ね、ねえ……君、何してるの?」
「ぷるんっ?」
ナオが話しかけるとスライムは鳴き声なのか擬音なのか分からない返事を行い、不思議そうな表情を浮かべる。ナオは言葉が通じるのかは分からないが、とりあえずは水面を指差す。
「そこに居座られると通行する人に迷惑だから下りて欲しいんだけど……」
「ぷるるんっ……」
「えっと、嫌という事かな?」
人語を理解できるるのかスライムはナオの話を聞いて身体を弾ませ、橋の上から退く様子はない。困ったナオは右手を構えて脅しをかけた。
「ど、退かないと魔法で無理やり落としちゃうぞ!!」
「ぷるんっ!?」
魔法と聞いてスライムは驚いた表情を浮かべるが、即座に怒った表情を浮かべて全身の色が赤く染まる。嫌な予感を抱いたナオは魔法を発動させて身を守った。
「ステータス!!」
「ぷるしゃああっ!!」
スライムは口元をすぼめると水を吐き出し、慌ててナオはステータス画面を展開して防いだ。どうやらスライムが吐き出したのはたたの水ではなく「熱湯」である事が判明し、攻撃を仕掛けられたと判断したナオは臨戦態勢に入った。
「えっ!?そんなに大変な事になってるんですか!?」
「大変なんてもんじゃないですよ。魔物共のせいで何十もの村がなくなっちまった。今では頑丈な城壁に囲まれている街以外の集落は魔物に滅ぼされたと言われてるんだ」
「我が国だけではなく、他の国々でも魔物の被害で悩まされています。噂によれば世界異変の前触れではないかと言われてますな」
「世界異変……」
世界異変とは数百年に一度起きると言われる大災害の事であり、マリアからナオも話を聞いていた。理由は不明だが世界中で魔物が大増殖し、生態系に大きな乱れが生じる。かつて起きた世界異変では人類が滅びかける程の被害を受けたという。
これまでは魔物が確認されなかった地域でも魔物が現れるようになり、ナオの村のように魔物の群れによって滅ぼされた集落は数知れない。マリアが暮らす森でも魔物が数を増やしている傾向はあったが、まさか世界規模で魔物が増え続けているなどナオも予想はできなかった。
「これから向かう街は大丈夫なんですか?」
「ご安心ください。他の街から派遣された冒険者達の活躍もあって、今までに一度も魔物の侵入を許した事はありません」
「冒険者……」
冒険者とは魔物退治を生業としている職業であり、特殊な訓練を受けた人間だけがなれる職業だと聞いていた。街には警備兵も配備されているが、彼等はあくまでも治安を維持するための存在であり、冒険者のように魔物退治を専門にしているわけではない。だから街では冒険者を雇って警備を任せるのは当たり前となっていた。
昔と比べて魔物の被害が激増化しているため、冒険者を増員させて各地の警備を強化しているらしく、これからナオ達が向かう「イチノ」という街は冒険者のお陰で一度も魔物の被害を受けていないという。
「現在は何処の街でも冒険者の募集していますからな。もしかしてナオさんも冒険者になられるために街に向かってるのでは?」
「え?いや、そういうわけじゃ……」
「おや、そうでしたか。あれほど恐ろしい魔物を倒せるナオさんならば冒険者に向いていると思いますが……」
「そうですぜ。あんな化物を一発でぶっ倒す腕があれば冒険者になれば一気に稼げますよ」
「そんなに冒険者は儲かるんですか?」
ナオは冒険者は魔物退治の専門家という認識だが、ドルトン達の話によると魔物が数を増やし続けているせいで冒険者は昔よりも優遇されているらしい。
「今の世の中、魔物に対抗できる冒険者こそが希望の象徴として見られています。国の軍隊も魔物の相当に全力を尽くしておりますが、彼等は冒険者と違って魔物退治を生業としていたわけではないのであまり当てにはされておりません。実際に1000人の兵士よりも冒険者を100人雇う方が安心できると言われておりますからな」
「そこまで魔物の被害は凄いんですか……」
国を守る兵士よりも冒険者の方が頼りとされている世の中であり、ナオは自分が冒険者になれば魔物に困っている人たちを助けられるのかと考えた。
(先生からはあまり目立つなと忠告されたけど、俺の力なら魔物から人を救う事もできるんだ。なら冒険者を目指すのも悪くないかも……けど、どうやったら冒険者になれるんだ?)
冒険者を目指すと言ってもナオは手順が分からず、ドルトンから詳しく話を聞こうとしたところ、唐突に馬車が停止した。
「うわわっ!?」
「わっ!?」
「これっ!!急に止まるな!!」
「す、すいやせん……でも、あれを見てくださいよ!!」
急停止した御者にドルトンは叱りつけるが、御者は前方を指差す。何事かとナオとドルトンは御者が指差した方向に視線を向けると、そこには草原に流れる川に架けられた橋が存在した。
「川?」
「この川を渡ればイチノに辿り着けるのですが……いったいどうしたというだ?」
「だからあれを見てくださいよ!!橋がとんでもない事になってるんですよ!?」
御者が橋の中間を示すと、そこには異様な光景が広がっていた。全身が青色に染まった巨大な塊が橋を封じており、正体不明の物体を見てナオは驚く。
「な、なんですかあれ?」
「あれはもしや……スライムでは?」
「スライム!?あの有名な魔物ですか!?」
スライムは魔物の中でも比較的に危険度が低く、危害を加えなければ人間には手を出さない魔物の中でも珍しい温厚な性格の生物だった。スライムの見た目は楕円形で頭の部分に角のような触角を二つ生やしており、愛らしい姿をしている事から子供には人気が高い。
しかし、橋を封鎖するスライムは体長が三メートルを超えており、通常のスライムの十倍近くの大きさを誇る。橋を封鎖しているせいで馬車が渡れず、困り果てた御者はナオに話しかけた。
「坊ちゃん!!あの魔物を何とかできませんか?」
「何とかと言われても……」
「ううむ、スライムは滅多に人間に危害を加える存在ではないですが、怒らせたら熱湯を吐き出して攻撃を仕掛ける性質を持ち合わせております。下手に刺激するのは止めた方がいいかもしれません」
「ですけど、この川を渡るためにはこの橋を通るしかないんですよ?あれを何とかしないと先に進めませんぜ」
御者の言葉は最もであり、イチノへ向かうためには橋を渡らなければならない。だが、巨大なスライムが橋を封鎖しているせいで馬車が渡り切れず、流石のナオの魔法でも馬車を運び出すのはできない。
(大きいけど結構可愛らしい見た目だな……あんなのと戦うのは気が引けるけど、とりあえずは様子を見に行くか)
ナオは馬車から降りると自分一人で橋に向かい、念のために魔法をいつでも発動できるように右手を構えて置く。そして橋の上を封鎖する巨大スライムの元に辿り着くと、改めてその大きさに目を見張る。
(さっきのボアもデカかったけど、こっちもかなり大きいな……けど、やっぱり可愛い顔してるな)
スライムはあどけない瞳と口元にナオは和みそうになるが、仮にも魔物である事を思い出して警戒を緩めずに話しかけた。
「ね、ねえ……君、何してるの?」
「ぷるんっ?」
ナオが話しかけるとスライムは鳴き声なのか擬音なのか分からない返事を行い、不思議そうな表情を浮かべる。ナオは言葉が通じるのかは分からないが、とりあえずは水面を指差す。
「そこに居座られると通行する人に迷惑だから下りて欲しいんだけど……」
「ぷるるんっ……」
「えっと、嫌という事かな?」
人語を理解できるるのかスライムはナオの話を聞いて身体を弾ませ、橋の上から退く様子はない。困ったナオは右手を構えて脅しをかけた。
「ど、退かないと魔法で無理やり落としちゃうぞ!!」
「ぷるんっ!?」
魔法と聞いてスライムは驚いた表情を浮かべるが、即座に怒った表情を浮かべて全身の色が赤く染まる。嫌な予感を抱いたナオは魔法を発動させて身を守った。
「ステータス!!」
「ぷるしゃああっ!!」
スライムは口元をすぼめると水を吐き出し、慌ててナオはステータス画面を展開して防いだ。どうやらスライムが吐き出したのはたたの水ではなく「熱湯」である事が判明し、攻撃を仕掛けられたと判断したナオは臨戦態勢に入った。
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