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外の世界へ
第16話 悪いスライム?
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「あ、危なかった……くそ、やっぱり悪い魔物だったのか!!見た目が可愛いから油断してたよ!!」
「ぷるんっ!?」
自分が吹きかけた熱湯が見えない壁のような物に阻まれたスライムは動揺するが、ナオは反撃も兼ねて自らの前に作り出したステータス画面を押し込む。
「喰らえっ!!画面体当たり!!」
「ぷるるるっ!?」
画面に押し込まれたスライムは素っ頓狂な悲鳴を上げ、大岩をも動かせるナオの魔法の力には対抗できず、どんどんと奥側へと追い詰められていく。だが、スライムは押し込まれながらも口元をすぼめて下方向に噴き出す。
「ぷるしゃあああっ!!」
「うわっ!?」
体内に取り込んでいた大量の水分を吐き出し、反動で上空へ跳びあがる。大分小さくなったが今度は自らの身体でナオを押し潰そうとする。
「ぷるんっ!!」
「うわっ!?」
空から落ちて来たスライムに対してナオは画面を操作して受け止めるが、スライムは身体を弾ませてさらに高く跳ね上がる。スライムの弾力性に驚く一方、ナオは何をする気かと警戒すると、空中に浮かんだスライムは身体を回転させながら再び迫る。
「ぷるるるんっ!!」
「結局体当たりか!?」
再び落ちて来たスライムに突っ込みながらもナオは画面を構えるが、高速回転するスライムを見て嫌な予感を抱く。仮に画面で衝突を免れたとしてもスライムが身体を回転させる事で画面の裏側に回り込まれたら無防備なナオは押し潰されてしまう。
偶然かあるいは野生の本能かは不明だが、スライムはナオに対して友好的な攻撃を加えようとしていた。だが、それに対してナオは考えがあり、相手が回転を加えるのならばこちらも回転の力で対処するだけだった。
(今こそ先生と考えたあの必殺技を試す時だ!!)
マリアとの生活を送る中、魔法の実験も兼ねて様々な修行を行った。そしてナオは画面を高速回転させる術を身に着けた。
「回転防御!!」
「ぷるるるんっ!?」
これまでは攻撃の際に利用していた回転の力を今度は防御に利用し、高速回転が加えられた画面にスライムは衝突した瞬間、あらぬ方向に吹き飛んでしまう。スライムは橋の下に流れる川に落ちると、そのまま水面に浮かんでくる事はなかった。
「ふうっ……強敵だった」
「あ、あの……大丈夫ですか?」
「魔物は追い払ったんですかい!?」
橋の入口から様子を見ていたドルトンと御者はナオに声をかけると、もう危険な魔物は追い払ったとナオは伝えようとした。だが、橋の下から水飛沫が上がり、さらに巨大化したスライムがナオの前に降り立つ。
『ぷるるんっ!!』
「うわっ!?で、でかっ!?」
「お気を付けください!!スライムは水分を吸収すると巨大化するそうです!!」
巨大化したスライムを前にしてナオは焦り、後方からドルトンが注意した。スライムの生態を知らなかったナオはまんまと川に落としたせいで逆に窮地に追い込まれた。
『ぷるんっ!!』
「くそっ……しつこい奴だな。こうなったら真っ二つにするしかないか?」
『ぷ、ぷるるんっ……!?』
ナオの言葉にスライムは怯えた表情を浮かべて距離を取り、やはり人語は理解している様子だった。しかし、話が通じるはずなのに頑なに橋の奥に進ませないスライムにナオは疑問を抱く。
「お前、どうしてこんな橋の上に居座ってるんだ?もしかして理由があるのか?」
『ぷるんっ?』
「どうしても橋を通らせたくないのなら理由を教えろよ」
「ちょ、ちょっと坊ちゃん!!魔物相手に話なんて通じませんぜ!?」
「いや……もしかしたら」
遠くから様子を伺っていたドルトンは馬車に戻ると、木箱を抱えて橋に近付いて来た。急にやってきたドルトンにナオは驚くが、彼は木箱を開くと中から青色の宝石のような物を取り出す。
「ドルトンさん?それは?」
「おや?ナオさんは魔術師なのに知らないのですか?これは水属性の魔石ですよ」
「あ、そうなんですか……いや、見るのは初めてだったので」
『ぷるんっ?』
魔石と聞いてナオはマリアの話を思い出す。魔術師は魔法の力を強化する際に魔石と呼ばれる宝石を利用し、魔石を使用すれば本来の力量以上の魔法を使いこなす事もできるという。
エルフであるマリアは自前の魔力だけで魔法を発現させていたが、人間の魔術師はエルフよりも魔力量が少ないため、大抵の魔術師は魔石を装備して魔法の強化や補助を行う。ドルトンは商品として取り扱っている魔石を差し出す。
「スライムの好物は水属性の魔石と聞いております。どうかこの魔石を差し上げるので我々を先に進ませてくれませんか?」
「ちょ、ちょっと会長!!本気で言ってるんですか!?その魔石を手に入れるのにどれだけ苦労したか……」
魔石をスライムに渡そうとするドルトンを見て御者は信じられない表情を浮かべ、ナオはマリアから聞いた話では人間社会では魔石は高級品であり、最高品質の魔石ならば小さな屋敷を立てられる程の高額な値段で売買されているという。
ドルトンは貴重な魔石を差し出してスライムに引いてもらうように頼み込むが、スライムは彼が差し出した魔石を覗き込む。強い興味を抱いているように見えたが、何故かスライムは身体を揺らして拒否した。
『ぷるるんっ!!』
「……いらないみたいですね」
「やはりそうですか……恐らく、このスライムは橋の奥に何かを隠しているようですな」
「隠しているって……何を?」
魔石を差し出そうとしてもスライムは橋を通る事は許さず、今の所は攻撃の意思は感じられない。先ほどナオに攻撃を仕掛けたのは不用意に近づいたせいであり、仮に本当にスライムが悪い魔物ならばドルトンの話など聞かずに彼から魔石を奪い取ろうとしただろう。
(この奥に何かあるのか?ちょっと様子を見てみようかな……)
埒が明かないと思ったナオは画面を足元に移動させると、その上に乗り込んで上昇させる。他の人間の視点ではナオが急に空に浮き上がったようにしか見えずに驚く。
「ナ、ナオ殿!?」
「す、すげぇっ!?空を飛ぶ魔法まで使えたんですかい!?」
『ぷるんっ!?』
「し、静かに……」
少しでも集中力を乱すと画面から滑り落ちそうになるため、ナオは慎重に画面を浮上させて上空から橋を伺う。その結果、橋の反対側の方に得体の知れない怪物が待ち構えている事に気づいた。
(何だ!?あの牛の化物!?)
橋の前に寝転がっているのは全身が毛皮で覆われた怪物であり、牛のような顔面と尻尾を生やしていた。一目見ただけでナオは正体に気が付き、魔物の中でも有名な存在だった。
(小さい頃に絵本で見たことがある。名前は確か……そうだ、ミノタウロスだ!!)
牛と人間が合わさったような化物の正体は「ミノタウロス」と呼ばれる魔物であり、これまでにナオが相手をしてきたどんな魔物よりも恐ろしくて危険な存在だった。
ミノタウロスがどうしてこんな場所にいるのかは分からないが、橋を封鎖していたスライムは通行の邪魔をしていた理由は判明した。スライムは誰かが橋を通ったらミノタウロスと遭遇して襲われると判断し、誰も橋を通さない様にしていたのだ。それを知ったナオは下に降りると、巨大化したスライムに笑顔を浮かべる。
「そういう事だったのか……お前、良いスライムだったんだな」
『ぷるんっ……ぷるしゃあああっ』
事情に気が付いたナオにスライムはこれ以上に邪魔をする必要はないと判断したのか、体内の水を吐き出してどんどんと縮小化していく。最終的には三十センチ程の大きさとなった。
「ぷるんっ!?」
自分が吹きかけた熱湯が見えない壁のような物に阻まれたスライムは動揺するが、ナオは反撃も兼ねて自らの前に作り出したステータス画面を押し込む。
「喰らえっ!!画面体当たり!!」
「ぷるるるっ!?」
画面に押し込まれたスライムは素っ頓狂な悲鳴を上げ、大岩をも動かせるナオの魔法の力には対抗できず、どんどんと奥側へと追い詰められていく。だが、スライムは押し込まれながらも口元をすぼめて下方向に噴き出す。
「ぷるしゃあああっ!!」
「うわっ!?」
体内に取り込んでいた大量の水分を吐き出し、反動で上空へ跳びあがる。大分小さくなったが今度は自らの身体でナオを押し潰そうとする。
「ぷるんっ!!」
「うわっ!?」
空から落ちて来たスライムに対してナオは画面を操作して受け止めるが、スライムは身体を弾ませてさらに高く跳ね上がる。スライムの弾力性に驚く一方、ナオは何をする気かと警戒すると、空中に浮かんだスライムは身体を回転させながら再び迫る。
「ぷるるるんっ!!」
「結局体当たりか!?」
再び落ちて来たスライムに突っ込みながらもナオは画面を構えるが、高速回転するスライムを見て嫌な予感を抱く。仮に画面で衝突を免れたとしてもスライムが身体を回転させる事で画面の裏側に回り込まれたら無防備なナオは押し潰されてしまう。
偶然かあるいは野生の本能かは不明だが、スライムはナオに対して友好的な攻撃を加えようとしていた。だが、それに対してナオは考えがあり、相手が回転を加えるのならばこちらも回転の力で対処するだけだった。
(今こそ先生と考えたあの必殺技を試す時だ!!)
マリアとの生活を送る中、魔法の実験も兼ねて様々な修行を行った。そしてナオは画面を高速回転させる術を身に着けた。
「回転防御!!」
「ぷるるるんっ!?」
これまでは攻撃の際に利用していた回転の力を今度は防御に利用し、高速回転が加えられた画面にスライムは衝突した瞬間、あらぬ方向に吹き飛んでしまう。スライムは橋の下に流れる川に落ちると、そのまま水面に浮かんでくる事はなかった。
「ふうっ……強敵だった」
「あ、あの……大丈夫ですか?」
「魔物は追い払ったんですかい!?」
橋の入口から様子を見ていたドルトンと御者はナオに声をかけると、もう危険な魔物は追い払ったとナオは伝えようとした。だが、橋の下から水飛沫が上がり、さらに巨大化したスライムがナオの前に降り立つ。
『ぷるるんっ!!』
「うわっ!?で、でかっ!?」
「お気を付けください!!スライムは水分を吸収すると巨大化するそうです!!」
巨大化したスライムを前にしてナオは焦り、後方からドルトンが注意した。スライムの生態を知らなかったナオはまんまと川に落としたせいで逆に窮地に追い込まれた。
『ぷるんっ!!』
「くそっ……しつこい奴だな。こうなったら真っ二つにするしかないか?」
『ぷ、ぷるるんっ……!?』
ナオの言葉にスライムは怯えた表情を浮かべて距離を取り、やはり人語は理解している様子だった。しかし、話が通じるはずなのに頑なに橋の奥に進ませないスライムにナオは疑問を抱く。
「お前、どうしてこんな橋の上に居座ってるんだ?もしかして理由があるのか?」
『ぷるんっ?』
「どうしても橋を通らせたくないのなら理由を教えろよ」
「ちょ、ちょっと坊ちゃん!!魔物相手に話なんて通じませんぜ!?」
「いや……もしかしたら」
遠くから様子を伺っていたドルトンは馬車に戻ると、木箱を抱えて橋に近付いて来た。急にやってきたドルトンにナオは驚くが、彼は木箱を開くと中から青色の宝石のような物を取り出す。
「ドルトンさん?それは?」
「おや?ナオさんは魔術師なのに知らないのですか?これは水属性の魔石ですよ」
「あ、そうなんですか……いや、見るのは初めてだったので」
『ぷるんっ?』
魔石と聞いてナオはマリアの話を思い出す。魔術師は魔法の力を強化する際に魔石と呼ばれる宝石を利用し、魔石を使用すれば本来の力量以上の魔法を使いこなす事もできるという。
エルフであるマリアは自前の魔力だけで魔法を発現させていたが、人間の魔術師はエルフよりも魔力量が少ないため、大抵の魔術師は魔石を装備して魔法の強化や補助を行う。ドルトンは商品として取り扱っている魔石を差し出す。
「スライムの好物は水属性の魔石と聞いております。どうかこの魔石を差し上げるので我々を先に進ませてくれませんか?」
「ちょ、ちょっと会長!!本気で言ってるんですか!?その魔石を手に入れるのにどれだけ苦労したか……」
魔石をスライムに渡そうとするドルトンを見て御者は信じられない表情を浮かべ、ナオはマリアから聞いた話では人間社会では魔石は高級品であり、最高品質の魔石ならば小さな屋敷を立てられる程の高額な値段で売買されているという。
ドルトンは貴重な魔石を差し出してスライムに引いてもらうように頼み込むが、スライムは彼が差し出した魔石を覗き込む。強い興味を抱いているように見えたが、何故かスライムは身体を揺らして拒否した。
『ぷるるんっ!!』
「……いらないみたいですね」
「やはりそうですか……恐らく、このスライムは橋の奥に何かを隠しているようですな」
「隠しているって……何を?」
魔石を差し出そうとしてもスライムは橋を通る事は許さず、今の所は攻撃の意思は感じられない。先ほどナオに攻撃を仕掛けたのは不用意に近づいたせいであり、仮に本当にスライムが悪い魔物ならばドルトンの話など聞かずに彼から魔石を奪い取ろうとしただろう。
(この奥に何かあるのか?ちょっと様子を見てみようかな……)
埒が明かないと思ったナオは画面を足元に移動させると、その上に乗り込んで上昇させる。他の人間の視点ではナオが急に空に浮き上がったようにしか見えずに驚く。
「ナ、ナオ殿!?」
「す、すげぇっ!?空を飛ぶ魔法まで使えたんですかい!?」
『ぷるんっ!?』
「し、静かに……」
少しでも集中力を乱すと画面から滑り落ちそうになるため、ナオは慎重に画面を浮上させて上空から橋を伺う。その結果、橋の反対側の方に得体の知れない怪物が待ち構えている事に気づいた。
(何だ!?あの牛の化物!?)
橋の前に寝転がっているのは全身が毛皮で覆われた怪物であり、牛のような顔面と尻尾を生やしていた。一目見ただけでナオは正体に気が付き、魔物の中でも有名な存在だった。
(小さい頃に絵本で見たことがある。名前は確か……そうだ、ミノタウロスだ!!)
牛と人間が合わさったような化物の正体は「ミノタウロス」と呼ばれる魔物であり、これまでにナオが相手をしてきたどんな魔物よりも恐ろしくて危険な存在だった。
ミノタウロスがどうしてこんな場所にいるのかは分からないが、橋を封鎖していたスライムは通行の邪魔をしていた理由は判明した。スライムは誰かが橋を通ったらミノタウロスと遭遇して襲われると判断し、誰も橋を通さない様にしていたのだ。それを知ったナオは下に降りると、巨大化したスライムに笑顔を浮かべる。
「そういう事だったのか……お前、良いスライムだったんだな」
『ぷるんっ……ぷるしゃあああっ』
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