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外の世界へ
第17話 ミノタウロスの脅威
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「うわっ!?急に小さくなった……これがお前の正体だったのか?」
「ぷるるんっ」
「スライムは水分を吸い上げる事で巨大化するとは聞いたことがありますが、まさかあれほど大きくなるとは……もしかしたら特別な能力を持つスライムなのかもしれません」
「ぷるるっ!!」
ドルトンの言葉を肯定するかのようにスライムはドヤ顔を浮かべ、そんなスライムを抱きかかえたナオは橋の向こう側に存在する「ミノタウロス」に視線を向けた。
「一先ずあの怪物をどうやって追い払うか……」
「あ、あれはミノタウロス!?まさか本当にこんな場所にいるとは……」
「会長!!あんな怪物がいるのなら橋は迂回するべきです!!いくらナオさんだって敵いませんよ!!」
「うむむ……」
ミノタウロスを遠目に確認したドルトンの御者は激しく動揺し、二人の反応からミノタウロスはナオの想像通りに恐ろしい魔物として認識しているらしい。だが、ナオは寝そべったまま動かないミノタウロスを見て正気はあると考えた。
(あいつ、ずっと寝たきりだな……今なら不意打ちを仕掛ける事が出来るかも)
ナオの繰り出すステータス画面は彼以外の存在には認知できず、背後から攻撃を仕掛ければ避けられる可能性は低い。今のナオの力量ならば大岩をも切断する事もできる。いくら相手が怪物のような見た目をしていようと急所に当たれば致命傷を与えられる自信はあった。
幸いにもミノタウロスはナオ達から顔を背けた状態で寝そべっており、首元を狙って攻撃を当てる事ができれば勝機はあった。
「ドルトンさん、こいつの事を頼みます」
「ぷるんっ?」
「ナオ殿!?いったいなにを!?」
「まさか挑むつもりですか!?そんなの無理だ!!気付かれたら殺されちまいますよ!!」
スライムをドルトンに預けてナオは橋を渡り始めると、ドルトン達は慌てて止めようとした。だが、彼等を巻き込まないためにナオは魔法を発動してステータス画面で橋を塞ぐ。
「大丈夫です。ちゃんと作戦はありますから」
「作戦って……うわっ!?な、何だ!?」
「前に進めない……いったい何を!?」
「ぷるるんっ!!」
橋の上で画面に阻まれたドルトン達は訳も分からずに立ち往生し、その間にナオはミノタウロスへ接近した。攻撃を仕掛けるまでに画面を手元に戻せばいいだけであり、ドルトン達と十分に距離を離れると魔法を解除して再び画面を作り出す。
(回転力を限界まで上げるんだ……もっと小さく、早く、正確に切り付ける)
画面を縮小化させて回転速度を限界まで上昇させると、残像によって四角形の画面が円形へと変化したように見える。尤も見えるのは術者であるナオだけであり、彼は二十メートルは離れた距離からミノタウロスに右手を振りかざす。
(これだけ離れていればあいつが攻撃を避けたとしても、こっちに来る前に次の攻撃が仕掛けられる……大丈夫だ、先生の魔法を信じろ!!)
マリアの修業の日々を思い出しながらナオは画面を高速回転させた状態で放ち、寝そべっているミノタウロスの首元に目掛けて放つ。すると野生の本能で危機を察知したのか、ミノタウロスは起き上がると不可視の画面の刃を回避した。
「ブモォオオオッ!!」
「そんな!?」
衝突の直前に上空に跳躍して回避したミノタウロスにナオは愕然とするが、相手が逃げ場のない空に逃げたのを見て追撃の好機だと判断した。
(画面を引き戻す時間はない!!だったら新しく作り出す!!)
魔法を解除して画面を一旦消去させると、再び手元に画面を作り出して二度目の攻撃を仕掛ける。だが、空中に浮かんだ状態でミノタウロスは状態を仰け反らして直撃を回避した。
「ブモォッ!?」
「外した!?」
絶対に当たると思った攻撃が二度も失敗したナオは自信を失いかけるが、二度目の攻撃に関してはミノタウロスも完全には避け切れず、片方の角が折れてしまう。ミノタウロスは自分の折れた角を見て目を見開き、地上に着地すると落ちた角を拾い上げて鳴き声を上げた。
「オオオオオオオッ!!」
「な、何だ!?」
「いけません!!ミノタウロスにとっては角こそが戦士の証なのです!!もしも角を傷つけられた場合、ミノタウロスは怒り狂って暴れますぞ!!」
「ええっ!?」
ミノタウロスの習性を初めて知ったナオは慌てふためき、自慢の角をへし折られたミノタウロスは怒りと憎しみで血走った目を向ける。そして全身の毛を逆立たせてナオに目掛けて突っ込んできた。
――ウオオオオオッ!!
誇りを傷つけられたミノタウロスは全速力で橋を駆け抜け、瞬く間にナオの元に辿り着く。一瞬で距離を詰めて来たミノタウロスにナオは目を見開き、そんな彼にミノタウロスは拳を繰り出す。しかし、直前にナオの後方からスライムが飛び出してミノタウロスの顔面に体当たりを仕掛けた。
「ぷるんっ!!」
「ブモォッ!?」
「ひえっ!?」
スライムがミノタウロスの顔面に当たったお陰で攻撃が逸れてナオの頭上に拳が空振りする。ナオは隙を見せたミノタウロスに掌を構えて縮小化させた画面を押し込む。
「うわあああっ!?」
「ブモォオオッ!?」
ミノタウロスの胸元に四角形の窪みが生まれる程の強烈な一撃がさく裂し、画面に押し込まれたミノタウロスは橋の外まで吹き飛ばされる。その光景を見てナオは回転させずともミノタウロスを押し込めるだけの力がある事に気が付く。
(そ、そうか……小細工なんて必要ない!!この魔法ならミノタウロス相手にも通じるんだ!!)
ミノタウロスの力でも画面を押し返す事はできないと確信したナオは画面を拡大化させ、怯んでいるミノタウロスに目掛けて繰り出す。先ほどの十倍以上の大きさの画面が押し寄せられ、ミノタウロスは訳も分からずに必死に押し留めようとした。
「ブフゥッ!?」
「無駄だ……力比べなら負けないぞ!!」
画面を押し返そうとしてくるミノタウロスに対してナオは両手を構えた状態で意識を集中させ、さらに画面を押し込む力を増す。遂にミノタウロスは惜し負けて吹き飛ぶ。
「ブモォオオオオッ!?」
「おっしゃあっ!!」
「ぷるるるんっ!!」
ナオの魔法でミノタウロスは無様に地面に転がり込み、それを見ていたスライムは喜んでいるのか彼の頭の上で跳び跳ねる。ミノタウロスは鼻血を流しながらも立ち上がり、戦意を喪失したのか背中を向けて逃げ出した。
――ブモォオオオッ……
悲し気なミノタウロスの鳴き声が響き渡り、去っていくミノタウロスの後ろ姿を見てナオは呆然と見送る。あれほど恐ろしい魔物が自分の魔法に恐れを為して逃げ出す有様が信じられなかった。
「は、ははっ……逃げちゃったよ」
「ぷるんっ♪」
「す、すげぇっ!!」
「なんという事だ……あの化物を追い返すとは!!」
一部始終を見ていたドルトンと御者は信じられない表情を浮かべるが、一番驚いているのはナオの方だった。まさか古代魔法がこれほどの力があるとは思わず、彼は握り拳を作る。
「ぷるるんっ」
「スライムは水分を吸い上げる事で巨大化するとは聞いたことがありますが、まさかあれほど大きくなるとは……もしかしたら特別な能力を持つスライムなのかもしれません」
「ぷるるっ!!」
ドルトンの言葉を肯定するかのようにスライムはドヤ顔を浮かべ、そんなスライムを抱きかかえたナオは橋の向こう側に存在する「ミノタウロス」に視線を向けた。
「一先ずあの怪物をどうやって追い払うか……」
「あ、あれはミノタウロス!?まさか本当にこんな場所にいるとは……」
「会長!!あんな怪物がいるのなら橋は迂回するべきです!!いくらナオさんだって敵いませんよ!!」
「うむむ……」
ミノタウロスを遠目に確認したドルトンの御者は激しく動揺し、二人の反応からミノタウロスはナオの想像通りに恐ろしい魔物として認識しているらしい。だが、ナオは寝そべったまま動かないミノタウロスを見て正気はあると考えた。
(あいつ、ずっと寝たきりだな……今なら不意打ちを仕掛ける事が出来るかも)
ナオの繰り出すステータス画面は彼以外の存在には認知できず、背後から攻撃を仕掛ければ避けられる可能性は低い。今のナオの力量ならば大岩をも切断する事もできる。いくら相手が怪物のような見た目をしていようと急所に当たれば致命傷を与えられる自信はあった。
幸いにもミノタウロスはナオ達から顔を背けた状態で寝そべっており、首元を狙って攻撃を当てる事ができれば勝機はあった。
「ドルトンさん、こいつの事を頼みます」
「ぷるんっ?」
「ナオ殿!?いったいなにを!?」
「まさか挑むつもりですか!?そんなの無理だ!!気付かれたら殺されちまいますよ!!」
スライムをドルトンに預けてナオは橋を渡り始めると、ドルトン達は慌てて止めようとした。だが、彼等を巻き込まないためにナオは魔法を発動してステータス画面で橋を塞ぐ。
「大丈夫です。ちゃんと作戦はありますから」
「作戦って……うわっ!?な、何だ!?」
「前に進めない……いったい何を!?」
「ぷるるんっ!!」
橋の上で画面に阻まれたドルトン達は訳も分からずに立ち往生し、その間にナオはミノタウロスへ接近した。攻撃を仕掛けるまでに画面を手元に戻せばいいだけであり、ドルトン達と十分に距離を離れると魔法を解除して再び画面を作り出す。
(回転力を限界まで上げるんだ……もっと小さく、早く、正確に切り付ける)
画面を縮小化させて回転速度を限界まで上昇させると、残像によって四角形の画面が円形へと変化したように見える。尤も見えるのは術者であるナオだけであり、彼は二十メートルは離れた距離からミノタウロスに右手を振りかざす。
(これだけ離れていればあいつが攻撃を避けたとしても、こっちに来る前に次の攻撃が仕掛けられる……大丈夫だ、先生の魔法を信じろ!!)
マリアの修業の日々を思い出しながらナオは画面を高速回転させた状態で放ち、寝そべっているミノタウロスの首元に目掛けて放つ。すると野生の本能で危機を察知したのか、ミノタウロスは起き上がると不可視の画面の刃を回避した。
「ブモォオオオッ!!」
「そんな!?」
衝突の直前に上空に跳躍して回避したミノタウロスにナオは愕然とするが、相手が逃げ場のない空に逃げたのを見て追撃の好機だと判断した。
(画面を引き戻す時間はない!!だったら新しく作り出す!!)
魔法を解除して画面を一旦消去させると、再び手元に画面を作り出して二度目の攻撃を仕掛ける。だが、空中に浮かんだ状態でミノタウロスは状態を仰け反らして直撃を回避した。
「ブモォッ!?」
「外した!?」
絶対に当たると思った攻撃が二度も失敗したナオは自信を失いかけるが、二度目の攻撃に関してはミノタウロスも完全には避け切れず、片方の角が折れてしまう。ミノタウロスは自分の折れた角を見て目を見開き、地上に着地すると落ちた角を拾い上げて鳴き声を上げた。
「オオオオオオオッ!!」
「な、何だ!?」
「いけません!!ミノタウロスにとっては角こそが戦士の証なのです!!もしも角を傷つけられた場合、ミノタウロスは怒り狂って暴れますぞ!!」
「ええっ!?」
ミノタウロスの習性を初めて知ったナオは慌てふためき、自慢の角をへし折られたミノタウロスは怒りと憎しみで血走った目を向ける。そして全身の毛を逆立たせてナオに目掛けて突っ込んできた。
――ウオオオオオッ!!
誇りを傷つけられたミノタウロスは全速力で橋を駆け抜け、瞬く間にナオの元に辿り着く。一瞬で距離を詰めて来たミノタウロスにナオは目を見開き、そんな彼にミノタウロスは拳を繰り出す。しかし、直前にナオの後方からスライムが飛び出してミノタウロスの顔面に体当たりを仕掛けた。
「ぷるんっ!!」
「ブモォッ!?」
「ひえっ!?」
スライムがミノタウロスの顔面に当たったお陰で攻撃が逸れてナオの頭上に拳が空振りする。ナオは隙を見せたミノタウロスに掌を構えて縮小化させた画面を押し込む。
「うわあああっ!?」
「ブモォオオッ!?」
ミノタウロスの胸元に四角形の窪みが生まれる程の強烈な一撃がさく裂し、画面に押し込まれたミノタウロスは橋の外まで吹き飛ばされる。その光景を見てナオは回転させずともミノタウロスを押し込めるだけの力がある事に気が付く。
(そ、そうか……小細工なんて必要ない!!この魔法ならミノタウロス相手にも通じるんだ!!)
ミノタウロスの力でも画面を押し返す事はできないと確信したナオは画面を拡大化させ、怯んでいるミノタウロスに目掛けて繰り出す。先ほどの十倍以上の大きさの画面が押し寄せられ、ミノタウロスは訳も分からずに必死に押し留めようとした。
「ブフゥッ!?」
「無駄だ……力比べなら負けないぞ!!」
画面を押し返そうとしてくるミノタウロスに対してナオは両手を構えた状態で意識を集中させ、さらに画面を押し込む力を増す。遂にミノタウロスは惜し負けて吹き飛ぶ。
「ブモォオオオオッ!?」
「おっしゃあっ!!」
「ぷるるるんっ!!」
ナオの魔法でミノタウロスは無様に地面に転がり込み、それを見ていたスライムは喜んでいるのか彼の頭の上で跳び跳ねる。ミノタウロスは鼻血を流しながらも立ち上がり、戦意を喪失したのか背中を向けて逃げ出した。
――ブモォオオオッ……
悲し気なミノタウロスの鳴き声が響き渡り、去っていくミノタウロスの後ろ姿を見てナオは呆然と見送る。あれほど恐ろしい魔物が自分の魔法に恐れを為して逃げ出す有様が信じられなかった。
「は、ははっ……逃げちゃったよ」
「ぷるんっ♪」
「す、すげぇっ!!」
「なんという事だ……あの化物を追い返すとは!!」
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