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外の世界へ
第19話 絡まれる
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「ぷるぷるっ」
「うわっ、鞄から出てきたら駄目だって!!他の人に見られたらどうするんだ!?」
「ははは、大丈夫ですよ。スライムならば人を怯えさせる事もありませんから」
「はあっ……大人しくしてるんだぞ」
「ぷるんっ♪」
鞄に閉じこもるのに飽きたのか勝手にスライムが飛び出し、ナオの頭の上に飛び乗る。見た目よりも軽いので大して負担は掛からないが、他の人間から注目を浴びてしまう。
「ねえねえ、お母さん!!あのお兄ちゃん可愛いの乗っけてるよ!!」
「あらあら、スライムなんて珍しいわね」
「見ていると癒されるわね~」
「ど、どうも……」
ドルトンの言う通りに街の人間はスライムを見ても大して驚かず、むしろ好意的な反応をしてくれた。魔物と言えどもスライムは見た目の愛らしさと人懐っこい性格から危険視されず、むしろ愛玩用の生物として認識されている。
ナオの頭の上が気に入ったのかスライムは離れようとせず、仕方ないので頭に乗せたままナオは街中を見渡す。村とは違い、自分の髪の毛の色を見ても反応する人はいない事に安堵した。
(本当に俺の髪の毛を見ても誰も反応しないな……村では不気味がられていたのに)
村で暮らしていた頃は家族以外の人間からは黒髪を不気味に思われ、他の子供から嫌がらせを受けていた。だが、街の人間はナオの黒髪を見ても特に反応はみせず、それどころか髪の毛を様々な色に染めた人間が多く見られた。
「ここ最近は王国全体に新しい染色剤が広まってから髪の毛を染める人が増加したのですよ。だから髪の毛の色で人を乏しめるような人物はおりません」
「良かった……じゃあ、俺はこれで失礼しますね」
「おや、もう行かれるのですか?せめて助けてくれたお礼がしたいのですが……」
「街まで連れて来てもらっただけで十分ですよ」
結果的にはナオはドルトンを助けた形になるが、そもそもナオの荷車での移動法は色々と無理があった。草原のような平坦な道のりならば問題ないが、山道や坂道では荷車と魔法を利用した移動法は危険が大きく、もしもドルトンの馬車に乗せてもらわなければ街に辿り着くまでの道中で転倒していた可能性もあった。
街に到着するまでの間、ナオはドルトンから色々な話を聞けて村の外の世界の事を知れた。それだけで十分であり、これ以上の礼は不要だった。
「ドルトンさんに会えて良かったです。じゃあ、俺はこれで失礼します」
「そうですか……私は三日ほどこの街の支店に滞在しますので用事がありましたらいつでもいらっしゃってください。この街の地図を渡しておきましょう」
「あ、ありがとうございます」
ドルトンは地図を取り出すと自分の店がある場所を記し、それをナオに手渡した。街の地図を手に入れたのは都合が良く、ついでに宿屋を探す事にした。
(ドルトンさんが道具を買い取ってくれたお陰でお金に余裕はあるし、今夜はちゃんとした宿屋に泊まれるな)
昨日は村で過ごす羽目になったが、今日こそはちゃんとしたベッドに休める事にナオは嬉しく思う。ドルトンと別れたナオは地図を頼りに宿屋がある方向へ向かう。
「地図によると……えっと、ここは何処だろう?」
「ぷるんっ(ここ)」
「あ、ありがとう……って、お前地図まで読めるの!?」
「ぷっるんっ(えっへん)」
現在地を示したスライムにナオは驚かされ、人語も理解できる点から想像以上にスライムは頭の良い生き物だと思い知る。その一方で名前がないのもあれなのでナオは名付けする事にした。
「よし、今日からお前の名前はスラミンだ。何だか不思議としっくりくるな」
「ぷるぷるっ♪」
スラミンと名付けられたスライムは嬉しそうに身体を跳ね上げ、地図を頼りに街中を進む。途中で路地裏を通り過ぎようとした際に急にスラミンが地面に下りた。
「ぷるぷるっ!!」
「うわっ!?急にどうしたんだ?」
「ぷるるんっ!!」
「……こっちに行きたいのか?まさかトイレか?」
「ぷるんっ!!」
「あいてっ!?」
ナオの言葉にスラミンは怒った風に体当たりを仕掛け、彼が何を伝えようとしているのか分からないが、路地裏の奥で何かが居るのは間違いなかった。
(よく分からないけど、とりあえず行ってみるか)
スラミンの誘導に従ってナオは路地裏を進むと、大量の木箱が積まれて路を塞いでいた。その中の一つにスラミンは飛び乗り、蓋を開けとばかりに跳び跳ねる。
「ぷるんっ!!ぷるんっ!!」
「えっと……これを開いてほしいのか?でも、勝手に人様の荷物を見るのは……」
「ぷるっくりんっ!!」
「うぐぅっ!?わ、分かったよ……開けばいいんだろ?」
的確にみぞおちに体当たりを仕掛けてくるスラミンにナオは渋々と従い、木箱の蓋を開く。すると、中に入っていたのは縄で口封じと身体を拘束された青色の髪の毛の女の子が閉じ込められていた。
「むううっ!?」
「うわっ!?だ、誰!?」
「ぷるんっ!!」
閉じ込められていた女の子を見てナオは驚くが、スラミンは彼女の拘束を解けとばかりに頭の上で跳ねる。ナオはすぐに彼女の縄を解いてやると、女の子は木箱から抜け出して安堵する。
「ふうっ……危うく出荷される所だった」
「あ、あの……」
「……助けてくれてありがとう」
「ぷるんっ♪」
少女は自分を救ってくれたナオとスラミンにお礼を告げると、彼女の言葉にスラミンはドヤ顔を浮かべる。どうやらスラミンは少女が木箱に閉じ込められていた事に気づいたらしく、ナオを連れて助けに来たらしい。
スライムは魔物であるために普通の人間よりも気配を感知する能力に長けているらしく、木箱に閉じ込められた少女に勘付いた。ナオはどうして少女が閉じ込められていたのかを尋ねようとしたが、後方から怒鳴り声が響く。
「おい、てめえ!!うちの商品に何をしてやがる!?」
「うわっ!?」
「ぷるるるっ!!」
「……むうっ、もうバレた」
ナオは後方を振り返ると、そこには動物のような耳を頭に生やした男が立っていた。一目見ただけでナオは相手がただの人間ではなく「獣人」と呼ばれる種族だと気が付く。
獣人とは人間と獣の特徴を併せ持つ種族であり、人間よりも運動能力に優れている。ナオ達の前に現れたのは犬や狼のような耳を生やしており、腰のあたりに尻尾も生えていた。
(獣人なんて初めて見た!!けど、なんだかやばい雰囲気だぞ……)
状況的に考えて少女を木箱に閉じ込めたのは路地裏に現れた獣人の男の仕業で間違いなく、恐らくは人さらいだと思われた。少女を木箱に閉じ込めて何をするつもりだったのかは知らないが、ナオは彼女を庇って前に立つ。
「こ、この娘を閉じ込めたのはあんたか!?どうしてこんな酷い真似を!!」
「ちっ……仕方ねえ、見られた以上は死んでもらうぞ」
「気を付けて……そいつは悪党」
少女はナオの後ろに隠れたまま獣人の男を睨みつけ、彼女を誘拐した犯人だと確定した。ナオは相手が犯罪者ならば容赦する必要はないと考え、右手を向けて魔法の準備を行う。しかし、男は急に掌を構えたナオに訝し気な表情を浮かべる。
「何だ?いったい何の真似だ?お手上げですってか!?」
「……ステータス」
「ああっ!?何を言って……ふぎゃっ!?」
「えっ?」
「ぷるんっ!?」
無詠唱で魔法を発動させたナオは縮小化させたステータス画面を獣人の男の画面に衝突させ、強烈な衝撃を受けた男は鼻血を噴き出しながら倒れ込む。それを見た少女とスラミンは驚愕し、二人の目には男が急に倒れたようにしか見えなかった。
「うわっ、鞄から出てきたら駄目だって!!他の人に見られたらどうするんだ!?」
「ははは、大丈夫ですよ。スライムならば人を怯えさせる事もありませんから」
「はあっ……大人しくしてるんだぞ」
「ぷるんっ♪」
鞄に閉じこもるのに飽きたのか勝手にスライムが飛び出し、ナオの頭の上に飛び乗る。見た目よりも軽いので大して負担は掛からないが、他の人間から注目を浴びてしまう。
「ねえねえ、お母さん!!あのお兄ちゃん可愛いの乗っけてるよ!!」
「あらあら、スライムなんて珍しいわね」
「見ていると癒されるわね~」
「ど、どうも……」
ドルトンの言う通りに街の人間はスライムを見ても大して驚かず、むしろ好意的な反応をしてくれた。魔物と言えどもスライムは見た目の愛らしさと人懐っこい性格から危険視されず、むしろ愛玩用の生物として認識されている。
ナオの頭の上が気に入ったのかスライムは離れようとせず、仕方ないので頭に乗せたままナオは街中を見渡す。村とは違い、自分の髪の毛の色を見ても反応する人はいない事に安堵した。
(本当に俺の髪の毛を見ても誰も反応しないな……村では不気味がられていたのに)
村で暮らしていた頃は家族以外の人間からは黒髪を不気味に思われ、他の子供から嫌がらせを受けていた。だが、街の人間はナオの黒髪を見ても特に反応はみせず、それどころか髪の毛を様々な色に染めた人間が多く見られた。
「ここ最近は王国全体に新しい染色剤が広まってから髪の毛を染める人が増加したのですよ。だから髪の毛の色で人を乏しめるような人物はおりません」
「良かった……じゃあ、俺はこれで失礼しますね」
「おや、もう行かれるのですか?せめて助けてくれたお礼がしたいのですが……」
「街まで連れて来てもらっただけで十分ですよ」
結果的にはナオはドルトンを助けた形になるが、そもそもナオの荷車での移動法は色々と無理があった。草原のような平坦な道のりならば問題ないが、山道や坂道では荷車と魔法を利用した移動法は危険が大きく、もしもドルトンの馬車に乗せてもらわなければ街に辿り着くまでの道中で転倒していた可能性もあった。
街に到着するまでの間、ナオはドルトンから色々な話を聞けて村の外の世界の事を知れた。それだけで十分であり、これ以上の礼は不要だった。
「ドルトンさんに会えて良かったです。じゃあ、俺はこれで失礼します」
「そうですか……私は三日ほどこの街の支店に滞在しますので用事がありましたらいつでもいらっしゃってください。この街の地図を渡しておきましょう」
「あ、ありがとうございます」
ドルトンは地図を取り出すと自分の店がある場所を記し、それをナオに手渡した。街の地図を手に入れたのは都合が良く、ついでに宿屋を探す事にした。
(ドルトンさんが道具を買い取ってくれたお陰でお金に余裕はあるし、今夜はちゃんとした宿屋に泊まれるな)
昨日は村で過ごす羽目になったが、今日こそはちゃんとしたベッドに休める事にナオは嬉しく思う。ドルトンと別れたナオは地図を頼りに宿屋がある方向へ向かう。
「地図によると……えっと、ここは何処だろう?」
「ぷるんっ(ここ)」
「あ、ありがとう……って、お前地図まで読めるの!?」
「ぷっるんっ(えっへん)」
現在地を示したスライムにナオは驚かされ、人語も理解できる点から想像以上にスライムは頭の良い生き物だと思い知る。その一方で名前がないのもあれなのでナオは名付けする事にした。
「よし、今日からお前の名前はスラミンだ。何だか不思議としっくりくるな」
「ぷるぷるっ♪」
スラミンと名付けられたスライムは嬉しそうに身体を跳ね上げ、地図を頼りに街中を進む。途中で路地裏を通り過ぎようとした際に急にスラミンが地面に下りた。
「ぷるぷるっ!!」
「うわっ!?急にどうしたんだ?」
「ぷるるんっ!!」
「……こっちに行きたいのか?まさかトイレか?」
「ぷるんっ!!」
「あいてっ!?」
ナオの言葉にスラミンは怒った風に体当たりを仕掛け、彼が何を伝えようとしているのか分からないが、路地裏の奥で何かが居るのは間違いなかった。
(よく分からないけど、とりあえず行ってみるか)
スラミンの誘導に従ってナオは路地裏を進むと、大量の木箱が積まれて路を塞いでいた。その中の一つにスラミンは飛び乗り、蓋を開けとばかりに跳び跳ねる。
「ぷるんっ!!ぷるんっ!!」
「えっと……これを開いてほしいのか?でも、勝手に人様の荷物を見るのは……」
「ぷるっくりんっ!!」
「うぐぅっ!?わ、分かったよ……開けばいいんだろ?」
的確にみぞおちに体当たりを仕掛けてくるスラミンにナオは渋々と従い、木箱の蓋を開く。すると、中に入っていたのは縄で口封じと身体を拘束された青色の髪の毛の女の子が閉じ込められていた。
「むううっ!?」
「うわっ!?だ、誰!?」
「ぷるんっ!!」
閉じ込められていた女の子を見てナオは驚くが、スラミンは彼女の拘束を解けとばかりに頭の上で跳ねる。ナオはすぐに彼女の縄を解いてやると、女の子は木箱から抜け出して安堵する。
「ふうっ……危うく出荷される所だった」
「あ、あの……」
「……助けてくれてありがとう」
「ぷるんっ♪」
少女は自分を救ってくれたナオとスラミンにお礼を告げると、彼女の言葉にスラミンはドヤ顔を浮かべる。どうやらスラミンは少女が木箱に閉じ込められていた事に気づいたらしく、ナオを連れて助けに来たらしい。
スライムは魔物であるために普通の人間よりも気配を感知する能力に長けているらしく、木箱に閉じ込められた少女に勘付いた。ナオはどうして少女が閉じ込められていたのかを尋ねようとしたが、後方から怒鳴り声が響く。
「おい、てめえ!!うちの商品に何をしてやがる!?」
「うわっ!?」
「ぷるるるっ!!」
「……むうっ、もうバレた」
ナオは後方を振り返ると、そこには動物のような耳を頭に生やした男が立っていた。一目見ただけでナオは相手がただの人間ではなく「獣人」と呼ばれる種族だと気が付く。
獣人とは人間と獣の特徴を併せ持つ種族であり、人間よりも運動能力に優れている。ナオ達の前に現れたのは犬や狼のような耳を生やしており、腰のあたりに尻尾も生えていた。
(獣人なんて初めて見た!!けど、なんだかやばい雰囲気だぞ……)
状況的に考えて少女を木箱に閉じ込めたのは路地裏に現れた獣人の男の仕業で間違いなく、恐らくは人さらいだと思われた。少女を木箱に閉じ込めて何をするつもりだったのかは知らないが、ナオは彼女を庇って前に立つ。
「こ、この娘を閉じ込めたのはあんたか!?どうしてこんな酷い真似を!!」
「ちっ……仕方ねえ、見られた以上は死んでもらうぞ」
「気を付けて……そいつは悪党」
少女はナオの後ろに隠れたまま獣人の男を睨みつけ、彼女を誘拐した犯人だと確定した。ナオは相手が犯罪者ならば容赦する必要はないと考え、右手を向けて魔法の準備を行う。しかし、男は急に掌を構えたナオに訝し気な表情を浮かべる。
「何だ?いったい何の真似だ?お手上げですってか!?」
「……ステータス」
「ああっ!?何を言って……ふぎゃっ!?」
「えっ?」
「ぷるんっ!?」
無詠唱で魔法を発動させたナオは縮小化させたステータス画面を獣人の男の画面に衝突させ、強烈な衝撃を受けた男は鼻血を噴き出しながら倒れ込む。それを見た少女とスラミンは驚愕し、二人の目には男が急に倒れたようにしか見えなかった。
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