ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ

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外の世界へ

第26話 連携

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「……ナオ、私に合わせて」
「合わせてって……どうすればいいの?」
「とりあえずはこいつらから私を守って」
「わ、分かった」


ナオが何もせずともミズネ一人で悪党を捕まえるのは容易いと思うが、彼女は自分の傍に離れないようにさせる。一方で悪党達の中で唯一の獣人の男だけは水の鞭を回避しながらナオ達の元へ迫る。


「このガキがぁっ!!」
「うわっ!?」
「落ち着いて、今のナオなら負けない」


持ち前の身軽さを生かして鞭を回避ししながら迫る獣人に対し、冷静にミズネはナオの肩に手を置く。彼女の言葉にナオは獣人の動きを見て以前とは違う感覚を覚えた。


(今なら分かるぞ……魔力を感じるんだ)


眼で捉えるのではなく、獣人の体内に宿る魔力を感知してナオはステータス画面を構えた。獣人は普通の人間よりも魔力が大きいために感知しやすく、目を閉じた状態でもナオは獣人の動きを捉える事ができた。

獣人は鉤爪を装着しており、近づいて二人に攻撃を仕掛けるつもりだった。そこでナオは画面を操作して自分達と獣人の間に挟む。


「死ねぇっ……ぐはぁっ!?」
「あ、やばい……死んじゃったかな?」
「……大丈夫、魔力が消えてないなら死んでない」


不可視の画面に突っ込んだ獣人は地面に倒れ込み、顔面から鼻血を出しながら白目を剥く。死んでしまったかとナオは心配するが、ミズネによれば生きている限りは魔力が消える事は有り得ず、彼女の言う通りに男は負傷しながらも起き上がった。


「こ、このガキ共……ぶっ殺してやる!!」
「……いい加減に諦めたら?」
「大人しく自首するならこれ以上痛めつけたりしないけど……」
「舐めやがって!!」


獣人の男は完全に切れた様子で立ち上がるが、それを見てナオは右手を伸ばして画面を繰り出す。だが、画面に当たる直前で男は嫌な予感を抱いたのか上空に回避する。


「うおっと!?」
「避けた!?」
「……でも、私の魔法からは逃げられない」


自分の攻撃を躱した男にナオは驚くが、即座にミズネが杖を繰り出して水の鞭を放つ。空中では逃げ場がないために男は無数の鞭に叩きつけられて地面に落下した。


「ぐへぇっ!?」
「あっ……死んだかな?」
「……まだ生きてる」


今度こそ死んでしまったのではないかとナオは心配するが、男は全身痣だらけになりながらも起き上がり、顔がパンパンに腫れた状態で怒鳴りつけた。


「も、もうゆるふぁねえぞっ!!」
「え?なんて?」
「ぶっころひてやる!!」


顔面がひどく腫れたせいで男が何を言っているのかも分からないが、懐に手を伸ばすと男は緑色の液体が入った小瓶を取り出す。


「あれは……回復薬ポーション?」
「回復薬!?それって薬草を調合して作るあの薬?」
「ぐぅうっ!?」


回復薬とは特殊な薬草を数種類調合することで完成する薬であり、男が頭から回復薬を浴びた瞬間、顔の腫れが引いて全身の痣が消えてなくなる。回復薬は人体の回復機能を極限にまで高める効果があり、大抵の怪我は一瞬で治療できる優れ物だった。

ナオが森で暮らしていた時、怪我をしたらマリアが薬草を磨り潰して作ってくれた塗薬で治して貰った事があった。男が利用した回復薬はマリアが治療に利用した薬草を調合して生み出された薬であり、瞬く間に怪我は完治した。


「はあっ、はあっ……貴重な回復薬を使わせやがって!!絶対に捕まえて売り飛ばしてやる!!」
「……いい加減にしつこい。そろそろ終わらせる」
「待って!!」


ミズネは面倒くさそうに杖を構えるが、ナオは自分の魔法を避けた男に一人で戦いたいと思った。


「ここは俺に任せてくれない?」
「別にいいけど……大丈夫?」
「うん、この程度の奴に苦戦してたら一流の魔術師なんて目指せないからね」
「な、舐めやがって!!ぶっ殺してやる!!」


ナオの言葉に男は激怒すると、鉤爪を振りかざして向かって来た。それに対してナオは右手を構えると、男は慌てて立ち止まる。


「おっと!?てめえの魔法はもうお見通しなんだよ!!」


これまでの戦闘で男はナオが得体の知れない魔法を扱える事は把握しているが、彼は攻撃を仕掛ける際に右手を構える事には気付いており、右手が向けられた方向にいなければ魔法は当たらないと確信していた。

ナオが魔法を繰り出す際に右手を構えるのは癖であり、感覚的には右手を向けた方が画面を早く動かせる気がした。だが、獣人のように人間よりも身体能力が高い相手には不利となる。


(やっぱり気付かれてるか……別に右手を動かさなくても画面は操作できるけど、狙うのは難しいな)


あちこちに動き回る獣人を狙いを定めずに攻撃を仕掛けるのは至難であり、今のナオでは右手に頼らずに獣人に攻撃を当てる自信はない。そこでナオは自ら動いて攻撃を仕掛ける事にした。


「うおおおっ!!」
「ナオ!?」
「馬鹿がっ!!」


自ら突っ込んだナオにミズネは驚きの声を上げ、男は鉤爪を振りかざす。ナオが魔法を繰り出す前に仕留めるつもりのようだが、既にナオは画面をある場所へと移動させていた。


「ここだっ!!」
「はっ!?」


突っ込んだと見せかけて立ち止まったナオは右手を引く動作を行うと、彼の行動に男は戸惑う。だが、次の瞬間に男の背中に強烈な衝撃が走り、そのまま吹き飛ぶのと同時にナオの横をすり抜けた。


「ぐはぁあああっ!?」
「わっ!?」
「……ふうっ、成功した」


先の攻撃の際、ナオは画面を密かに男の背後へ移動させていた。もしも自分が突っ込めば男は迎え撃つために足を止めるか、あるいは自分に近付こうと迫る。それを狙ってナオは最初に繰り出した画面を手元に戻さずに停止させていた。

最初に男に右手を向けた時に画面は離れた位置に移動させ、男と自分の立ち位置が直線状になると、画面を磁石のように引き寄せる事で背後から攻撃を仕掛ける事も可能だった。


「ぐへぇっ!?」
「よし……もう観念しろ!!」
「おおっ……格好良い」


男は地面に倒れ込むとナオは画面を手元に手繰り寄せて怒鳴りつける。その光景を見ていたミズネは拍手するが、彼女の魔法で倒れた者達が起き上がる。


「く、くそがっ……」
「ガキがっ……舐めるなよ!!」
「ぶっ殺してやる!!」
「うわっ……まだ起き上がれるのか!?」
「……動けないぐらいに痛めつけると、兵士に突き出すのに苦労すると思って手加減してたから」


どうやらミズネは水の鞭の威力を調整していたらしく、倒したと思われた男達は起き上がって武器を構えた。ミズネは再び魔法を繰り出そうとするが、彼女が生み出した水の塊が唐突に崩れて地面に染み込む。


「はあっ、はあっ……時間切れ、魔法の効果が切れた」
「ええっ!?」
「ははっ!!こいつはいいぜ、もう逃がさねえぞ!!」
「全員で囲め!!」
「魔法が使えないなら俺達のもんだ!!」


魔法が切れた途端にミズネは疲れた表情を浮かべ、そんな彼女を庇ってナオは男達と向かい合う。敵も手負いだがミズネを守りながら戦うのは不利であり、そこでナオは彼女だけでも安全な場所に避難させる事にした。


「ミズネ、ちょっとごめん」
「はわっ!?」
「な、何だ!?」
「逃げるつもりか!?」


ミズネの両手で抱きかかえたナオは画面を足元に操作すると、彼女を抱き上げたまま飛び乗る。ナオが逃げようとしていると気付いた悪党達は一斉に駆けつけるが、画面を上昇させて建物の屋根の上に逃げ込む。


「とうっ!!」
「わわっ!?」
「と、飛んだ!?」
「嘘だろおい!?」
「どうなってるんだ!?」


建物の屋根にミズネを抱えたまま着地したナオは彼女を下ろすと、空き地から呆然と自分達を見上げる男達に視線を向けた。このまま彼等を逃すわけにはいかず、街の平和のためにもナオは一人残らず捕まえるつもりだった。
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