ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ

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外の世界へ

第28話 出発

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――事情聴取を終えた後、ナオとミズネは夜遅くに宿屋へと戻った。二人の帰りが遅いことを心配していた店主は戻ってきた二人を見て安心する一方、心配かけさせたことを注意した。


「こら!!子供だけでこんな遅くまで出かけるなんて何を考えてるんだい!!兵士に捕まったらどうするの!?」
「……ごめんなさい」
「す、すいません」


まるで母親のように叱りつける店主にナオとミズネは頭を下げるが、そもそも帰りが遅れた原因は兵士のせいである。だが、下手に言い訳するとさらに怒られそうなため、素直に謝ると店主は握り飯を差し出す。


「もう夕食の時間は過ぎてるからちゃんとした物は作れないけど、握り飯は一応用意しておいたけど食べるかい?」
「あ、ありがとうございます」
「お腹空いてたから嬉しい」
「そうかい、たんと召し上がれ」


有難く握り飯を頂くと店主は自分の部屋へ戻った。事情聴取が長引いたせいで疲れていた二人は部屋に戻ろうとしたが、ここでナオはミズネに声をかける。


「あ、そうだ。ミズネ、そろそろ次の街に行きたいと思うんだけど……どうかな?」
「……分かった。私も準備しておく」


ナオの言葉にミズネは当たり前のように返事し、彼女もナオの旅に付いて行くつもりだった。一応は魔力感知の修行を終えたとはいえ、先輩魔術師であるミズネからは色々と学ぶべき点はあり、もうしばらくは一緒に旅する事にした。

二人で共に旅をすれば色々と利点も多く、特に夜営などでは見張り役を立てれば休む事ができる。これからの旅が楽になるのとミズネともう少し一緒に居られる事にナオは素直に喜ぶ。


(次の街はどんな場所だろうな)


明日に備えてナオはしっかりと身体を休めるため、部屋の中に入ろうとした。だが、入る直前に彼の魔力感知が作動した。


(何だ?中に誰かいる?)


自分の部屋の中に魔力を感知したナオは疑問を抱き、少なくとも覚えのある魔力ではない。彼は慎重に扉を開いて中の様子を伺うと、暗闇で何も見えなかった。


(出かける前は部屋のカーテンは閉めていなかったはず……やっぱり誰か中にいるな)


カーテンが開いていれば月明りが差しているはずであり、何者かは部屋を暗闇にするためにカーテンで窓を塞いだ。何が目的なのかは知らないが、ナオは手元に極小のステータス画面を展開して様子を伺う。


(くそっ……何処に居るんだ?魔力を辿ってもよく分からないな)


魔力感知の技術は完璧に習得したわけではないため、暗闇の中に隠れる相手を見つける事ができない。下手に灯りを灯せば相手が襲い掛かって来る可能性があるため、身長に行動しなければならない。


(こんな時に相手の居所やがあればな。まあ、そんな便利な魔法があるわけないか)


視界に収めただけで相手の正体を見抜ける便利な魔法など聞いた事もなく、そんなと思いながらナオは部屋の中に踏み込むと、天井から何者かが降り立った。


「死ねぇっ!!」
「くっ!?」


どうやら天井に張り付いて隠れていたらしく、襲って来た相手は右手に装着した鉤爪を振り下ろす。だが、ナオは事前に縮小化させた画面を展開しており、下りて来た相手に目掛けて放つ。


「吹っ飛べっ!!」
「ぐはぁあああっ!?」


画面を敵に目掛けて高速射出すると、相手はカーテンで塞がれた窓に衝突して外まで吹き飛ぶ。この時にナオは窓から外に身を乗り出すと、襲って来た相手が獣人だと知る。

恐らくは兵士に捕まった悪党の仲間だと思われるが、宿泊している宿屋まで突き止められていた事にナオは驚く。彼は画面で吹き飛ばされた男の元に向かうと、掌を構えながら尋ねた。


「何者だ!!どうして俺を襲った!?」
「ぐぐっ……て、てめえのせいで俺達はお終いだ!!ぶっ殺してやる!!」
「やっぱりあいつらの仲間か……もう諦めろよ。お前の仲間は全部白状したぞ」
「黙れ!!俺達はまだ終わってねえ!!」


兵士に拘束された悪党達は尋問を受けており、彼等と内通していた兵士も既に捕まっている。芋づる式で他の悪党の仲間も捕まるのは時間の問題であり、逆恨みした悪党がナオに復讐するために宿屋まで忍び込んだらしい。


「おい、クソガキ!!俺に逆らえば宿屋の祖母さんもお前の女も仲間が殺すぞ!!大人しく捕まりやがれ!!」
「嘘つくなよ。この宿屋には俺達以外に人はいない」
「な、何を根拠に!?」
「俺には分かるんだよ」


この期に及んで脅迫を仕掛けてくる男にナオは呆れ、魔力感知を覚えたナオは男の言葉が嘘だと見抜く。もしも仲間が隠れているのならば魔力に気づかぬはずがなく、だから手加減せずに男の額に縮小化させた画面を放つ。


「監獄で反省しろ!!」
「うぎゃあっ!?」


強烈な一撃を受けた男は白目を剥いて気絶し、それを見届けたナオは鼻を鳴らす。魔力感知を覚えていなければ不意打ちを受けていたかもしれない。


(ミズネのお陰で助かったな……でも、また兵士を呼ばないといけないのか)


ようやく帰って休めると思ったのに宿屋まで悪党が乗り込んだ事により、仕方なくナオは悪党を捕まえて屯所に戻る事にした――





――翌日の朝、街では大きな騒ぎになっていた。これまで起きた事件の犯人が次々と捕まり、兵士の何名かが懲戒処分となった。イチノで悪行を働いていた悪党の大半は兵士と繋がりがあり、彼等の悪事を見逃す代わりに兵士が裏で賄賂を受け取っていた事が判明した。

悪党と交流関係があった兵士は即座に解雇され、捕まった悪党達も酷い拷問を受けた後に仲間の居所を吐かせる。二人の魔術師のお陰で街は平和を取り戻したが、その肝心の魔術師達は街から去ろうとしていた。


「お婆さん、お世話になりました」
「……ご飯美味しかった。またこの街に来たら泊まらせて」
「あら、嬉しいことを言ってくれるね。二人とも旅をするのは気を付けるんだよ。それとこれ良かったら持って行っておくれ」


宿屋にて店主と最後の別れの挨拶を行うと、彼女は二人のために作っておいた弁当を差し出す。二人は有難く弁当を受け取ると、手を振って別れを告げた。


「ありがとうございました!!」
「……ずっと元気でいてね」
「さようなら。また来ておくれよ」


三人は姿が見えなくなるまで手を振り、ナオとミズネは次の街に向かうために街間を移動する馬車へ向かう。


「……ニノの街は私も行った事があるから案内できると思う。でも、次の街に着いたらしばらくは滞在して欲しい」
「え?どうして?」
「ナオの修業の面倒を見てたから働く暇がなかった。次の街に到着したら仕事を探してお金を稼がないといけない」
「な、なんかごめん……」
「気にしないで良い。ナオが宿泊代まで出してくれたからお礼もしたい」


魔力感知の修業に付き合っていたせいでミズネは働く暇がなく、次の街から本格的に金を稼ぐ必要があった。ナオも今の所は路銀は有り余っているが、今後の事を考えてお金はもう少し稼ぎたいと思っていた。


「魔術師はどうやって稼ぐのが一番かな?」
「一番簡単なのは魔法を役立てる事ができる仕事、特に一番稼げるのは魔物退治だと思う」
「魔物退治……なんだか冒険者みたいだね」
「実際に冒険者をやる魔術師は多い。ナオも冒険者には興味がある?」
「あるといえばあるけど……」
「なら、街を出る前に冒険者ギルドに寄ってみる?」
「冒険者……ギルド?」


ミズネの思いがけない提案にナオは驚き、この街にも存在する「冒険者ギルド」に立ち寄る事にした――
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