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外の世界へ
第31話 次の街へ
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――イチノを脅かしていたミノタウロスの討伐が果たされたという噂は瞬く間に広がった。しかも討伐したのが冒険者ではなく、ただの一般人の少年という話に街の人間達の間で話題となる。
噂では少年は魔術師であり、しかも普通の人間には見えない特殊な魔法でミノタウロスを打ち倒したという。その少年が始末したミノタウロスは兵士が回収し、冒険者ギルドに運び込まれた。
ギルドの職員や冒険者は首を両断されたミノタウロスの死骸を見て驚愕し、鋼鉄の剣さえも弾くと呼ばれる頑強な皮膚に覆われたミノタウロスの首を切り落とした少年は質問攻めされた。だが、当の本人は賞金を受け取ると早々に街から立ち去ったという。
「ふうっ……ようやく街を出られた」
「お疲れ様」
「ぷるぷるっ」
噂の少年であるナオはミズネとスラミンと共に草原を徒歩で移動していた。本当ならば街間を移動する馬車に乗り込む予定だったが、注目を浴びてしまったために街の何処に居ても人の視線に晒されて落ち着けず、結局は歩いて次の街に向かう事にした。
ミノタウロスの討伐を果たした事でナオは賞金を得られたが、彼が大金を持っていると知られて良からぬことを考える輩に絡まれもした。その時はミズネが魔法で追い払ってくれたので助かったが、もうイチノではナオは有名人であり、落ち着いて休む事もままならない。
「大分出発が遅れちゃった。ごめんね、二人にも迷惑かけて」
「気にしないでいい」
「ぷるんっ!!」
自分の後についてくるミズネとスラミンにナオは謝罪するが、二人共気にしていなかった。ちなみに街の外ではスラミンは外に出しており、久々に自由に動けてスラミンは嬉しそうだった。
「ぷるぷるぷ~る」
「……ナオ、スラミンが警告してる。私達の後を尾行している奴等がいる」
「え?まさか魔物?」
「ぷるるんっ」
「違うみたい、どうやら街の連中が私達を狙ってる」
「またか……」
街を抜け出す前にナオは金を狙った悪党に襲われた事を思い出し、面倒に思いながらも振り返ると、確かに自分達の後を追うように近付いてくる馬車が見えた。わざとらしく速度を落として一定の距離を保っており、どうやらナオ達が歩き疲れるのを待っている様子だった。
「どうする?今の内に攻撃する?」
「いや、逃げよう。魔物に見つかる前にさっさと行こう」
「でも、相手は馬車に乗ってるのに振り切れるの?」
「大丈夫、作戦はあるから」
「ぷるんっ?」
街から離れ過ぎると魔物に襲われる可能性が高まり、ナオ達を狙う輩も多少の危険を覚悟で追跡しているのだろう。だが、追跡中にもしも馬車が壊れた場合、尾行は断念せざるを得ない。
ナオは自然に歩いている感じを装い、右手を地面に構えてステータス画面を展開した。ナオは後ろを歩くミズネに話しかけるふりをしながら画面を空中に固定し、馬車が近付いてくるのを待つ。
「ミズネ、面白いのが見れるよ」
「面白いの?」
「ぷるぷるっ(わくわく)」
ある程度歩いたところでナオ達は振り返ると、馬車が丁度良く画面を設置した場所に辿り着く。ナオは右手を向けて画面を操作すると、車輪の一つに画面を割り込ませる。
「うわぁっ!?」
「な、何だぁっ!?」
「ヒヒンッ!?」
画面に車輪が乗り上げたせいで急に馬車の片側が傾き、馬車は横転してしまう。乗り込んでいた荒くれ者達は何が起きたのか分からず、ついでにナオは馬車と馬を繋いでいた紐を高速回転させた画面で切り裂くと、混乱した馬は草原を駆け抜ける。
「ヒヒンッ!!」
「う、馬が逃げたぞ!?」
「馬鹿、それどころじゃねえよ!!こんな所で騒いだら魔物が……って、もう来やがった!!」
「ガアアッ!!」
狼の魔物の群れが異変を察知して横転した馬車を取り囲み、荒くれ者達は馬車の上に移動して必死に応戦する。その様子を見ていたナオとミズネは顔を見合わせ、自分達も魔物に見つかる前に退散する事にした。
「あれは助けなくてもいいよね?」
「問題ない、街までそんなに離れてないから運が良ければ逃げ延びれるはず」
「ぷるんっ!!」
自業自得だとばかりにナオの頭の上に移動したスラミンは頷き、彼らは助けずに放置して先に進む事にした。荒くれ者達は必死に武器を振って魔物を追い払おうとするが、どんどんと狼の魔物は数を増やしていく。
「ひいいっ!?た、助けてくれっ!!」
「馬鹿野郎!!騒ぐんじゃねえよ!?もっと寄り付いて売るだろうが!!」
「お願いです神様!!もう追剥なんてしませんから助けてください!!」
「「「グルルルッ……!!」」」
狼の群れに取り囲まれた状態で泣き叫ぶ荒くれ者たちの姿は滑稽で流石のお人好しのナオでも助ける気はしなかった。自分達を襲おうとしたのが運の尽きであり、彼等を残してナオ達は先へ進む。
「次の街が楽しみだね!!」
「……うん」
「ぷるぷるっ♪」
三人は草原を元気よく駆け抜け、次の街の期待感を高める。ちなみに残された荒くれ者達は命からがら街へと逃げ帰れたが、魔物の群れに襲われて散々な目に遭い、もう悪事を働くのを辞めたという――
※前回が長すぎたので今回は短めになりました。
噂では少年は魔術師であり、しかも普通の人間には見えない特殊な魔法でミノタウロスを打ち倒したという。その少年が始末したミノタウロスは兵士が回収し、冒険者ギルドに運び込まれた。
ギルドの職員や冒険者は首を両断されたミノタウロスの死骸を見て驚愕し、鋼鉄の剣さえも弾くと呼ばれる頑強な皮膚に覆われたミノタウロスの首を切り落とした少年は質問攻めされた。だが、当の本人は賞金を受け取ると早々に街から立ち去ったという。
「ふうっ……ようやく街を出られた」
「お疲れ様」
「ぷるぷるっ」
噂の少年であるナオはミズネとスラミンと共に草原を徒歩で移動していた。本当ならば街間を移動する馬車に乗り込む予定だったが、注目を浴びてしまったために街の何処に居ても人の視線に晒されて落ち着けず、結局は歩いて次の街に向かう事にした。
ミノタウロスの討伐を果たした事でナオは賞金を得られたが、彼が大金を持っていると知られて良からぬことを考える輩に絡まれもした。その時はミズネが魔法で追い払ってくれたので助かったが、もうイチノではナオは有名人であり、落ち着いて休む事もままならない。
「大分出発が遅れちゃった。ごめんね、二人にも迷惑かけて」
「気にしないでいい」
「ぷるんっ!!」
自分の後についてくるミズネとスラミンにナオは謝罪するが、二人共気にしていなかった。ちなみに街の外ではスラミンは外に出しており、久々に自由に動けてスラミンは嬉しそうだった。
「ぷるぷるぷ~る」
「……ナオ、スラミンが警告してる。私達の後を尾行している奴等がいる」
「え?まさか魔物?」
「ぷるるんっ」
「違うみたい、どうやら街の連中が私達を狙ってる」
「またか……」
街を抜け出す前にナオは金を狙った悪党に襲われた事を思い出し、面倒に思いながらも振り返ると、確かに自分達の後を追うように近付いてくる馬車が見えた。わざとらしく速度を落として一定の距離を保っており、どうやらナオ達が歩き疲れるのを待っている様子だった。
「どうする?今の内に攻撃する?」
「いや、逃げよう。魔物に見つかる前にさっさと行こう」
「でも、相手は馬車に乗ってるのに振り切れるの?」
「大丈夫、作戦はあるから」
「ぷるんっ?」
街から離れ過ぎると魔物に襲われる可能性が高まり、ナオ達を狙う輩も多少の危険を覚悟で追跡しているのだろう。だが、追跡中にもしも馬車が壊れた場合、尾行は断念せざるを得ない。
ナオは自然に歩いている感じを装い、右手を地面に構えてステータス画面を展開した。ナオは後ろを歩くミズネに話しかけるふりをしながら画面を空中に固定し、馬車が近付いてくるのを待つ。
「ミズネ、面白いのが見れるよ」
「面白いの?」
「ぷるぷるっ(わくわく)」
ある程度歩いたところでナオ達は振り返ると、馬車が丁度良く画面を設置した場所に辿り着く。ナオは右手を向けて画面を操作すると、車輪の一つに画面を割り込ませる。
「うわぁっ!?」
「な、何だぁっ!?」
「ヒヒンッ!?」
画面に車輪が乗り上げたせいで急に馬車の片側が傾き、馬車は横転してしまう。乗り込んでいた荒くれ者達は何が起きたのか分からず、ついでにナオは馬車と馬を繋いでいた紐を高速回転させた画面で切り裂くと、混乱した馬は草原を駆け抜ける。
「ヒヒンッ!!」
「う、馬が逃げたぞ!?」
「馬鹿、それどころじゃねえよ!!こんな所で騒いだら魔物が……って、もう来やがった!!」
「ガアアッ!!」
狼の魔物の群れが異変を察知して横転した馬車を取り囲み、荒くれ者達は馬車の上に移動して必死に応戦する。その様子を見ていたナオとミズネは顔を見合わせ、自分達も魔物に見つかる前に退散する事にした。
「あれは助けなくてもいいよね?」
「問題ない、街までそんなに離れてないから運が良ければ逃げ延びれるはず」
「ぷるんっ!!」
自業自得だとばかりにナオの頭の上に移動したスラミンは頷き、彼らは助けずに放置して先に進む事にした。荒くれ者達は必死に武器を振って魔物を追い払おうとするが、どんどんと狼の魔物は数を増やしていく。
「ひいいっ!?た、助けてくれっ!!」
「馬鹿野郎!!騒ぐんじゃねえよ!?もっと寄り付いて売るだろうが!!」
「お願いです神様!!もう追剥なんてしませんから助けてください!!」
「「「グルルルッ……!!」」」
狼の群れに取り囲まれた状態で泣き叫ぶ荒くれ者たちの姿は滑稽で流石のお人好しのナオでも助ける気はしなかった。自分達を襲おうとしたのが運の尽きであり、彼等を残してナオ達は先へ進む。
「次の街が楽しみだね!!」
「……うん」
「ぷるぷるっ♪」
三人は草原を元気よく駆け抜け、次の街の期待感を高める。ちなみに残された荒くれ者達は命からがら街へと逃げ帰れたが、魔物の群れに襲われて散々な目に遭い、もう悪事を働くのを辞めたという――
※前回が長すぎたので今回は短めになりました。
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