ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ

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外の世界へ

第33話 白狼種の恩返し

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「えっと、ここに移動して欲しいんだけど……」
「ぷるるんっ」
「ウォンッ……」


ナオの言葉をスラミンが白狼に伝えると、指定した場所に移動を行う。画面の上に白狼が乗り込むと、コオリは焦らず慎重に画面を浮上させた。


「ウォンッ!?」
「あ、落ち着いて!!大丈夫だから!!」
「ぷるんっ!!」
「おお、飛んでる……ちょっと羨ましい」


画面に乗り込んだ白狼からすれば自分の身体が急に浮き上がった事に驚き、危うく飛び降りようとするのをスラミンが引き留めた。ミズネは空を飛んでいる白狼を見て楽しそうな表情を浮かべるが、画面を操作するナオにとっては精神をすり減らす作業だった。

物を乗せた状態での画面の操作は難しく、かつてナオは画面を乗り物に利用して移動手段を考えた事もある。しかし、上下に移動するだけならばなんとかなるが、前後や左右に移動させると体勢を保つのが難しく、結局は画面での移動は諦めた。


(落ち着いてゆっくりと移動させればいいんだ)


白狼を刺激しないようにナオは慎重に画面を移動させ、橋の反対側まで運び込む。最初は空を飛ぶ事に不安がっていた白狼だが、慣れ始めると呑気に画面に上に寝そべる。


「クゥ~ンッ」
「ぷるぷるっ」
「よし、あともうちょっと……着いた!!」
「……お疲れ様」


橋の反対側まで到着すると、画面を地上に下ろしてナオは額の汗を脱ぐ。どうにか白狼を運びこむ事に成功し、そんな彼にミズネは拍手を行う。これで橋を通過できるようになったが、問題は移動させた白狼をどうするかだった。


(この子、怪我をしてるな。人間用の薬ならあるけど魔物に利くかな……)


旅に出る前に傷薬なども購入しておいたが、魔物の怪我にも有効なのかは分からない。ナオは困っていると、白狼の怪我を見てミズネが杖を取り出す。


「……スラミン、怪我を治すから大人しくしてるように伝えて」
「ぷるん?」
「え?何をするつもりなの?」
「回復魔法で治す」


ミズネは白狼の怪我の箇所を確認すると、杖先を構えて意識を集中させるように目を閉じる。彼女が水属性の魔法の使い手なのは知っているが、まさか回復魔法まで扱えるとはナオも聞いてなかった。


「ウォーターヒール」
「キャインッ!?」
「うわっ!?」
「ぷるるんっ!?」


杖先から水色の魔法陣が展開されると、白く光り輝く液体が流れ出て白狼の身体に降り注ぐ。最初は驚いた白狼だが、傷口に液体が注がれた途端、血が洗い流されて傷口が塞がっていく。

怪我が完璧に治ると白狼は立ち上がり、その様子を見てミズネは魔法を解除した。相当に魔力を消費したのか彼女は額に汗を流し、疲れた様子でナオに寄りかかる。


「……疲れたから支えて」
「うわわっ!?だ、大丈夫?」
「回復魔法は魔力の消費が激しい、だから滅多な事では使わない」
「クゥ~ンッ♪」


自分を助けてくれた事に白狼は感謝しているのか、ナオとミズネに擦り寄る。柔らかな毛皮を押し付けられた二人は気持ち良く感じ、特にミズネは毛皮に埋まって眠たそうな表情を浮かべた。


「この毛皮、気持ち過ぎて眠りたくなる……決めた、この子を飼う」
「飼うって……魔物だよ?」
「じ~」
「ぷるんっ!?」


ナオはミズネの言葉に驚くが、彼女はナオの頭の上にいるスラミンを見つめる。確かにナオは既に魔物であるスライムをペットにしているが、スライムと白狼では危険度が違いすぎる。

スライムの場合は人畜無害な存在として世間に広まっているが、白狼種の場合は無暗に人間を加えない存在として認知されているが、見た目が巨大な狼なので一般人には恐れられる危険性が高い。そもそも白狼が連れて行く事に納得しているのかが問題だった。


「君はどうしたいの?俺達と一緒に旅をしても大丈夫なの?」
「ぷるぷるぷるんっ(←翻訳)」
「クゥンッ?」


白狼はナオ達の話を聞いて首を傾げ、いくら傷を治したからといっても白狼が人間であるナオ達の言う事を聞くとは限らない。しばらく二人の事を見つめた後、白狼は身体を屈めて鳴き声を上げた。


「ウォンッ!!」
「ぷるんっ?」
「……背中に乗れと言ってるみたい」
「え?いいの?」


スラミンを通じてミズネは白狼の言葉を理解すると、二人は背中に乗り込む。スラミンは落ちないように鞄の中にしまうと、二人を背中に乗せたまま白狼は立ち上がって鳴き声を上げる。


「ウォオオンッ!!」
「うわぁっ!?」
「にゃうっ!?」
「ぷるんっ!?」


二人を乗せた白狼は馬よりも早く駆け抜け、あっという間に橋が見えなくなってしまった。橋に残してきた人たちからお礼を貰い損ねた事を考える暇もなく、ナオとミズネは背中から落ちないようにしがみつくのが精いっぱいだった。


「ちょ、ちょっと!?早過ぎるよ!?」
「……でも、気持ちのいい走り方」
「ウォオンッ!!」


最初は落ちないようにしがみつくのに必死だったが、ミズネの言葉を聞いてナオは顔を上げる。疾風の如く駆け抜ける白狼の背中の上は爽快感があり、自分が風になったような気分だった。

白狼は草原を駆け抜けると次の目的地の街である「ニノ」が見えてきた。あっという間に目的地まで運んでくれた白狼にナオ達は感謝した。


「あ、ありがとう。もうここらで停まっていいよ」
「ウォンッ!!」
「……ふうっ、落ちるかと思った」
「ぷる~んっ(←鞄の中で揺られ過ぎて酔った)」


流石に白狼に乗り込んだまま街に近付くのはまずく、少し離れた場所でナオ達は白狼から降りた。すると白狼はその場に座り込み、ここから先は付いてくるつもりはないのか尻尾を振って鳴き声を上げた。


「ウォンウォンッ!!」
「えっと、何て言ってるのかな?」
「ぷるぷるっ……」
「……街には入りたくないと言ってる」


ここまで乗せて来てくれた白狼だが、ニノの街には近づきたくないらしく、残念ながらお別れとなった。


「ここまでありがとう」
「じゃあね、ワンタロウ」
「ウォンッ……」
「ぷるぷるっ!!」


勝手に名付けられた白狼はジト目を向け、ミズネが付けた名前は気に入らなかったらしい。しかし、二人には感謝しているのか身体を擦り寄せて別れを惜しむ。


「クゥ~ンッ」
「よしよし、元気でね」
「またね、ワンジロウ」
「ウォンッ!?」
「ぷるぷるっ(止めなさい)」


隙あらば名付けようとするミズネに白狼は困った表情を浮かべるが、彼はナオ達に背中を向けてゆっくりと立ち去る。しばらくはナオ達も後ろ姿を見送るが、先ほどの回復魔法と白狼に振り回されたせいで疲れが限界を迎えたミズネが街を指差す。


「……早く街に行って宿を取る。流石に眠気が限界」
「分かった。じゃあ、行こうか」
「ぷるんっ」


ナオは最後に白狼を振り返り、また何処かで会える事を祈って街へと向かった――
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