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外の世界へ
第50話 まさかの再会
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――死体を埋葬した後、ナオ達は小屋で一晩過ごした。夜明けを迎えると山を下りるために行動を開始する。
「ふああっ……何もこんなに朝早くから出発する必要あんの?」
「また死霊使いが襲ってくるかもしれない。でも、明るい時間帯なら闇属性の魔法は弱まると聞いたことがある」
「じゃあ、移動するなら今のうちというわけか」
「ウォンッ!!」
「ぷるぷるっ……」
狼車を操作できるのはネココだけのため、まだ眠たそうな彼女を説得してナオ達は早朝に出発した。山を下りる間は警戒を怠らず、昨日のように襲われないようにナオとミズネは後退で魔力感知を行う。
「ふうっ……ちょっと疲れた。ナオ、交代して」
「分かった」
「スラミンは枕になって」
「ぷるんっ」
魔力感知は便利な技術ではあるが、長時間維持すると精神力を削られるためにミズネは疲れたら馬車の中で横になる。ナオは彼女の代わりに魔力感知で周囲を警戒し、死霊使いや魔物の襲撃を警戒しながら先へ進む。
「兄ちゃんたちは楽でいいよな、あたしはずっと車を運転するんだぞ」
「ごめんね、街についたら美味しいもの食べさせてあげるから」
「約束だぞ!!ウルの分も一緒に買ってくれよな!!」
「……私達も狼車を早く運転できるようにならないと、エサ代だけでお金が尽きそう」
「はははっ……」
獣人族であるネココは見た目のわりに大喰らいであり、魔物であるウルの餌代も馬鹿にならない。後者に関しては外にいる間は自分で獲物を狩ってくるが、街にいる間は餌はナオ達が用意しなければならない。
話し込んでいる間にも狼車は山の麓にたどり着き、そこで予想外の存在と遭遇した。まるで道をふさぐように数台の馬車が停止しており、しかもナオが見覚えのある人物がいた。
「貴方は……ドルトンさん!?」
「その声はもしやナオさん!?どうしてここに!?」
「誰だ?知り合いか?」
「そうみたい」
商団の主は以前にナオがイチノに向かう際に馬車に乗せてくれた商人のドルトンで間違いなく、まさかこんな場所で再開するとは思わずにナオは驚く。狼車に乗り込んだナオを見てドルトンも驚きを隠せず、取りあえずはお互いに馬車を下りて話を行う。
「また会えて嬉しいです!!でも、どうしてこんなところに?」
「ナオ殿もお元気そうで何より……実はこの先から通れなくて困っているのです」
「通れない?」
「実物を見れば分かりやすいでしょう」
ナオ達は狼車を降りて道を塞ぐ馬車を潜り抜けると、巨大な穴が出来上がっていた。道を大きな穴で完全に断たれており、迂回しようにも道の左右には木々が生い茂っており、馬車で進むのは不可能だった。
「先日にこの山を訪れたときはこのような穴は存在しなかったのですが、これでは先に進めずに困っていたんです」
「なんだこの穴……どっかで見覚えがあるな」
「あ、迂闊に近づいてはなりません!!その穴には……」
ネココは穴に近づこうとすると、慌ててドルトンが引き留めた。だが、彼女が穴に近づいた途端に穴底から全身が土気色の皮膚に覆われた巨大なミミズが出現した。
「ギュロロロッ!!」
「うわぁっ!?ま、また出た!!」
「サンドワーム!?」
「……でも、前に見かけたのと色が微妙に違う」
先日にナオ達が交戦したサンドワームの同種が穴底から出現し、全員が戦闘態勢に入ったが、ドルトンは慌てて荷物の中から燻製肉を取り出して放り込む。
「大丈夫です!!餌を与えれば大人しく帰りますので!!」
「ギュロロッ……」
燻製肉を口にしたサンドワームは穴底へと戻り、その様子を見ていた者たちは安堵した。サンドワームは怒らせなければ無暗に人を襲う魔物ではなく、餌がある限りは危険はない。
ナオ達が戦ったサンドワームは虫歯で苦しんでいたので暴れまわっていたが、本来は臆病で大人しい魔物である。見た目の気色悪さから害獣として認識されているが、大地に栄養を与える存在として一部の地域では飼育されている。
「見ての通り、サンドワームがこんな場所に巣を作ったせいで先に進めないのです。足音に敏感で穴に近づこうとしただけでこの有様です」
「はあっ……ここに以外に通れる道はないんですか」
「残念ながら馬車が通れる道はここ以外にはありません」
「どうするんだよ兄ちゃん、これだとあたしたちも通れないぞ?」
道が大穴で塞がれている以上は馬車も狼車も通過はできず、ドルトンたちも困り果てていた。ナオは大穴を確認して通過できる方法を考えた。
(サンドワームを倒せば通れるだろうけど、前の奴と違って別に人間に危害を加えるつもりはなさそうだしたな……いったいどうしよう)
大穴を覗きながらナオは困っていると、頭に乗っていたスラミンが飛び跳ねてミズネの胸の中に飛び込む。
「ぷるんっ!!」
「……スラミンが話があるみたい」
「話?」
「ぷるぷるぷるっ」
「な、なに言ってるか全然分からねえ……」
スラミンは何かを訴えようとしているがナオ達には理解できず、ミズネがスラミンの伝えたいことを翻訳してくれた。
「ふああっ……何もこんなに朝早くから出発する必要あんの?」
「また死霊使いが襲ってくるかもしれない。でも、明るい時間帯なら闇属性の魔法は弱まると聞いたことがある」
「じゃあ、移動するなら今のうちというわけか」
「ウォンッ!!」
「ぷるぷるっ……」
狼車を操作できるのはネココだけのため、まだ眠たそうな彼女を説得してナオ達は早朝に出発した。山を下りる間は警戒を怠らず、昨日のように襲われないようにナオとミズネは後退で魔力感知を行う。
「ふうっ……ちょっと疲れた。ナオ、交代して」
「分かった」
「スラミンは枕になって」
「ぷるんっ」
魔力感知は便利な技術ではあるが、長時間維持すると精神力を削られるためにミズネは疲れたら馬車の中で横になる。ナオは彼女の代わりに魔力感知で周囲を警戒し、死霊使いや魔物の襲撃を警戒しながら先へ進む。
「兄ちゃんたちは楽でいいよな、あたしはずっと車を運転するんだぞ」
「ごめんね、街についたら美味しいもの食べさせてあげるから」
「約束だぞ!!ウルの分も一緒に買ってくれよな!!」
「……私達も狼車を早く運転できるようにならないと、エサ代だけでお金が尽きそう」
「はははっ……」
獣人族であるネココは見た目のわりに大喰らいであり、魔物であるウルの餌代も馬鹿にならない。後者に関しては外にいる間は自分で獲物を狩ってくるが、街にいる間は餌はナオ達が用意しなければならない。
話し込んでいる間にも狼車は山の麓にたどり着き、そこで予想外の存在と遭遇した。まるで道をふさぐように数台の馬車が停止しており、しかもナオが見覚えのある人物がいた。
「貴方は……ドルトンさん!?」
「その声はもしやナオさん!?どうしてここに!?」
「誰だ?知り合いか?」
「そうみたい」
商団の主は以前にナオがイチノに向かう際に馬車に乗せてくれた商人のドルトンで間違いなく、まさかこんな場所で再開するとは思わずにナオは驚く。狼車に乗り込んだナオを見てドルトンも驚きを隠せず、取りあえずはお互いに馬車を下りて話を行う。
「また会えて嬉しいです!!でも、どうしてこんなところに?」
「ナオ殿もお元気そうで何より……実はこの先から通れなくて困っているのです」
「通れない?」
「実物を見れば分かりやすいでしょう」
ナオ達は狼車を降りて道を塞ぐ馬車を潜り抜けると、巨大な穴が出来上がっていた。道を大きな穴で完全に断たれており、迂回しようにも道の左右には木々が生い茂っており、馬車で進むのは不可能だった。
「先日にこの山を訪れたときはこのような穴は存在しなかったのですが、これでは先に進めずに困っていたんです」
「なんだこの穴……どっかで見覚えがあるな」
「あ、迂闊に近づいてはなりません!!その穴には……」
ネココは穴に近づこうとすると、慌ててドルトンが引き留めた。だが、彼女が穴に近づいた途端に穴底から全身が土気色の皮膚に覆われた巨大なミミズが出現した。
「ギュロロロッ!!」
「うわぁっ!?ま、また出た!!」
「サンドワーム!?」
「……でも、前に見かけたのと色が微妙に違う」
先日にナオ達が交戦したサンドワームの同種が穴底から出現し、全員が戦闘態勢に入ったが、ドルトンは慌てて荷物の中から燻製肉を取り出して放り込む。
「大丈夫です!!餌を与えれば大人しく帰りますので!!」
「ギュロロッ……」
燻製肉を口にしたサンドワームは穴底へと戻り、その様子を見ていた者たちは安堵した。サンドワームは怒らせなければ無暗に人を襲う魔物ではなく、餌がある限りは危険はない。
ナオ達が戦ったサンドワームは虫歯で苦しんでいたので暴れまわっていたが、本来は臆病で大人しい魔物である。見た目の気色悪さから害獣として認識されているが、大地に栄養を与える存在として一部の地域では飼育されている。
「見ての通り、サンドワームがこんな場所に巣を作ったせいで先に進めないのです。足音に敏感で穴に近づこうとしただけでこの有様です」
「はあっ……ここに以外に通れる道はないんですか」
「残念ながら馬車が通れる道はここ以外にはありません」
「どうするんだよ兄ちゃん、これだとあたしたちも通れないぞ?」
道が大穴で塞がれている以上は馬車も狼車も通過はできず、ドルトンたちも困り果てていた。ナオは大穴を確認して通過できる方法を考えた。
(サンドワームを倒せば通れるだろうけど、前の奴と違って別に人間に危害を加えるつもりはなさそうだしたな……いったいどうしよう)
大穴を覗きながらナオは困っていると、頭に乗っていたスラミンが飛び跳ねてミズネの胸の中に飛び込む。
「ぷるんっ!!」
「……スラミンが話があるみたい」
「話?」
「ぷるぷるぷるっ」
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スラミンは何かを訴えようとしているがナオ達には理解できず、ミズネがスラミンの伝えたいことを翻訳してくれた。
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