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外の世界へ
第58話 甥っ子?
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「エリオ君……でいい?」
「呼び捨てでいいっすよ兄貴」
「じゃあ、エリオと呼ぶね。さっきから聞き流してたけど、なんで俺のことを兄貴と呼ぶの?」
「あ、そういえば言い忘れてましたね。実はあたし、兄貴の事は大分前から知ってたんすよ」
「……どういう意味?」
エリオの言葉にナオは不思議に思い、彼と会ったのは今日が初めてのはずである。しかし、エリオによればナオの事は数か月前から存在を知っていたという。
「どうしてあたしが兄貴の事を知っているのかというと、叔母さんからの手紙で教えてもらったんです。最近、面白い人間の子供を拾ったと書かれてました」
「叔母さんってまさか……はっ!?」
「ふふふ、ようやく気付いたようですね」
「そうか、君は三毛猫亭のおばあさんの甥!?」
「違います!!ていうか誰!?」
「……ナオ、あの人は普通の人間だった」
ナオのボケにエリオだけではなくミズネも突っ込みを入れるが、冗談はさておきエリオの叔母が「マリア」である事にナオは衝撃を受けた。
「君は先生の甥っ子なの!?」
「そうですよ。マリア叔母さんには小さいころから色々とお世話になってます。人間の少年を弟子にしたと聞いた時は驚きましたね」
「なるほど、言われてみれば確かに……」
エリオの顔立ちは叔母であるマリアとよく似ており、彼はマリアの姉の子供らしく、外見は若く見えるがナオ達よりもずっと年上である可能性が高い。そんな彼が自分の事を兄貴と呼ぶことにナオは不思議に思う。
「先生の甥だとは分かったけど、どうして俺のことを兄貴と言うの?多分、年齢は君の方がずっと年上だと思うけど……」
「むむっ、エルフだからって年寄りと思われるのは心外すね。私はまだピチピチの七十代っすよ」
「七十代!?」
「おばあちゃんじゃねえかっ!!」
「いやいや、エルフ基準ではまだまだひよっ子ですから」
実年齢が七十を超えていると知って全員が驚愕するが、人間よりも寿命が長いエルフの間では子供扱いを受けるらしく、百歳を迎えるまでは大人として扱われないらしい。
マリアの甥であるエリオは定期的に叔母と手紙のやり取りを行い、ナオの事は大分前から存在を知っていたらしい。マリアの弟子として古代魔法を習得し、自分が教えられることは全て教えたので修行の旅に出させたと聞いている。
「叔母さんの手紙を見て兄貴に興味がわいて会いに来たのに、当の昔に旅に出たと聞いて急いで追いかけてきたっす」
「俺を追いかけて?じゃあ、君は俺と会うために来たの?」
「実はそれだけじゃないっす。身寄りのない兄貴が一人で困っているんじゃないかと心配して、叔母さんからしばらくは一緒に旅をするように言付かってます。困ったときはあたしを頼ってくださいね」
「へ、へえっ……先生がそんな事を言ってくれたんだ」
涙ながらに別れを告げた師が自分のために甥を追いかけさせてくれたことにナオは嬉しく思う。その一方でエリオが「兄貴」と呼ぶことに違和感を抱く。
「それでなんで俺は兄貴なの?エリオの方が年上だよね」
「いやいや、あの堅物の叔母さんが人間の弟子を取るなんてありえない事っすよ。そんな叔母さんに認められた人を尊敬せずにはいられないっす」
「なるほど、兄ちゃんを尊敬してるから兄貴と呼んでるのか」
「な、なるほど?」
よくわからない理由で自分のことを兄貴と慕うエリオにナオは戸惑うが、マリアの甥となればぞんざいに扱えず、これからの旅に付いてきてもらうことにした。
「じゃあ、これからよろしくね」
「……私の方が先にナオの仲間になったから先輩と呼んで」
「どういうマウントの取り方だよ姉ちゃん!?」
「あははっ、面白い人たちっすね。これからよろしくお願いします!!兄貴、先輩、猫のお嬢ちゃん!!」
「お、お嬢ちゃんは止めてくれよ……ネココでいいよ」
旅の仲間がまた一人加わり、和気あいあいとした雰囲気の中、ナオは先ほどの赤毛熊のことを思い出す。山を下りたので流石に追いかけてくるとは思えないが、このまま放置すれば山を通ろうとした人間が被害を受けるかもしれない。
「さっきの奴、放っておいても大丈夫かな?」
「大丈夫とは言えないっすね。赤毛熊は生態系を荒らす事で有名な魔物ですから、ここら辺の獲物を狩りつくしたらまた別の地域に住処を移すでしょうね」
「そんなにやばい奴なのか!?」
「……私の魔法を受けてもぴんぴんとしていた。耐久力だけならミノタウロスにも匹敵すると思う」
自慢の魔法を受け止められたミズネは少し悔しげな表情を浮かべ、仮にナオがいなければ赤毛熊を追い払う事はできずに殺されていたかもしれない。
「おい、ウル!!お前あいつが現れたときにびびってたな?それでも白狼種かよ!!」
「ク、クゥ~ンッ……」
「仕方ないっすよ。その子はまだ子供でしょ?自分よりも大きい魔物に怯えるのはしょうがないっす」
「え、ウル君は子供なの?こんなに大きいのに?」
「白狼種の成体は赤毛熊よりも大きいですよ。それに大人の白狼種なら赤毛熊の方が怯えて近づかないぐらいですから」
「……知らなかった」
白狼種とはいえ、ウルはまだ子供であることから赤毛熊に対抗するだけの力を持ち合わせておらず、もしも成体の白狼種ならば赤毛熊に後れを取るはずがない。同じ魔獣でも白狼種と渡り合える存在はおらず、ウルが大人ならば赤毛熊は姿を現す事もなかったのかもしれない。
「呼び捨てでいいっすよ兄貴」
「じゃあ、エリオと呼ぶね。さっきから聞き流してたけど、なんで俺のことを兄貴と呼ぶの?」
「あ、そういえば言い忘れてましたね。実はあたし、兄貴の事は大分前から知ってたんすよ」
「……どういう意味?」
エリオの言葉にナオは不思議に思い、彼と会ったのは今日が初めてのはずである。しかし、エリオによればナオの事は数か月前から存在を知っていたという。
「どうしてあたしが兄貴の事を知っているのかというと、叔母さんからの手紙で教えてもらったんです。最近、面白い人間の子供を拾ったと書かれてました」
「叔母さんってまさか……はっ!?」
「ふふふ、ようやく気付いたようですね」
「そうか、君は三毛猫亭のおばあさんの甥!?」
「違います!!ていうか誰!?」
「……ナオ、あの人は普通の人間だった」
ナオのボケにエリオだけではなくミズネも突っ込みを入れるが、冗談はさておきエリオの叔母が「マリア」である事にナオは衝撃を受けた。
「君は先生の甥っ子なの!?」
「そうですよ。マリア叔母さんには小さいころから色々とお世話になってます。人間の少年を弟子にしたと聞いた時は驚きましたね」
「なるほど、言われてみれば確かに……」
エリオの顔立ちは叔母であるマリアとよく似ており、彼はマリアの姉の子供らしく、外見は若く見えるがナオ達よりもずっと年上である可能性が高い。そんな彼が自分の事を兄貴と呼ぶことにナオは不思議に思う。
「先生の甥だとは分かったけど、どうして俺のことを兄貴と言うの?多分、年齢は君の方がずっと年上だと思うけど……」
「むむっ、エルフだからって年寄りと思われるのは心外すね。私はまだピチピチの七十代っすよ」
「七十代!?」
「おばあちゃんじゃねえかっ!!」
「いやいや、エルフ基準ではまだまだひよっ子ですから」
実年齢が七十を超えていると知って全員が驚愕するが、人間よりも寿命が長いエルフの間では子供扱いを受けるらしく、百歳を迎えるまでは大人として扱われないらしい。
マリアの甥であるエリオは定期的に叔母と手紙のやり取りを行い、ナオの事は大分前から存在を知っていたらしい。マリアの弟子として古代魔法を習得し、自分が教えられることは全て教えたので修行の旅に出させたと聞いている。
「叔母さんの手紙を見て兄貴に興味がわいて会いに来たのに、当の昔に旅に出たと聞いて急いで追いかけてきたっす」
「俺を追いかけて?じゃあ、君は俺と会うために来たの?」
「実はそれだけじゃないっす。身寄りのない兄貴が一人で困っているんじゃないかと心配して、叔母さんからしばらくは一緒に旅をするように言付かってます。困ったときはあたしを頼ってくださいね」
「へ、へえっ……先生がそんな事を言ってくれたんだ」
涙ながらに別れを告げた師が自分のために甥を追いかけさせてくれたことにナオは嬉しく思う。その一方でエリオが「兄貴」と呼ぶことに違和感を抱く。
「それでなんで俺は兄貴なの?エリオの方が年上だよね」
「いやいや、あの堅物の叔母さんが人間の弟子を取るなんてありえない事っすよ。そんな叔母さんに認められた人を尊敬せずにはいられないっす」
「なるほど、兄ちゃんを尊敬してるから兄貴と呼んでるのか」
「な、なるほど?」
よくわからない理由で自分のことを兄貴と慕うエリオにナオは戸惑うが、マリアの甥となればぞんざいに扱えず、これからの旅に付いてきてもらうことにした。
「じゃあ、これからよろしくね」
「……私の方が先にナオの仲間になったから先輩と呼んで」
「どういうマウントの取り方だよ姉ちゃん!?」
「あははっ、面白い人たちっすね。これからよろしくお願いします!!兄貴、先輩、猫のお嬢ちゃん!!」
「お、お嬢ちゃんは止めてくれよ……ネココでいいよ」
旅の仲間がまた一人加わり、和気あいあいとした雰囲気の中、ナオは先ほどの赤毛熊のことを思い出す。山を下りたので流石に追いかけてくるとは思えないが、このまま放置すれば山を通ろうとした人間が被害を受けるかもしれない。
「さっきの奴、放っておいても大丈夫かな?」
「大丈夫とは言えないっすね。赤毛熊は生態系を荒らす事で有名な魔物ですから、ここら辺の獲物を狩りつくしたらまた別の地域に住処を移すでしょうね」
「そんなにやばい奴なのか!?」
「……私の魔法を受けてもぴんぴんとしていた。耐久力だけならミノタウロスにも匹敵すると思う」
自慢の魔法を受け止められたミズネは少し悔しげな表情を浮かべ、仮にナオがいなければ赤毛熊を追い払う事はできずに殺されていたかもしれない。
「おい、ウル!!お前あいつが現れたときにびびってたな?それでも白狼種かよ!!」
「ク、クゥ~ンッ……」
「仕方ないっすよ。その子はまだ子供でしょ?自分よりも大きい魔物に怯えるのはしょうがないっす」
「え、ウル君は子供なの?こんなに大きいのに?」
「白狼種の成体は赤毛熊よりも大きいですよ。それに大人の白狼種なら赤毛熊の方が怯えて近づかないぐらいですから」
「……知らなかった」
白狼種とはいえ、ウルはまだ子供であることから赤毛熊に対抗するだけの力を持ち合わせておらず、もしも成体の白狼種ならば赤毛熊に後れを取るはずがない。同じ魔獣でも白狼種と渡り合える存在はおらず、ウルが大人ならば赤毛熊は姿を現す事もなかったのかもしれない。
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