ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ

文字の大きさ
62 / 69
外の世界へ

第62話 ドワーフの鍛冶師

しおりを挟む
「これって……ブーメラン?」
「へえ、こんな物までおいてあるんですね」
「なんか弱そうな武器だな」
「……デザインも微妙」


壁に飾られた武器の中に一つだけブーメランが混じっており、ナオが手に取って確認すると端の方に緑色に輝く魔石がはめ込まれていた。それに気づいたエリオが声をあげる。


「あれ?これって風属性の魔石ですね」
「え、これが?」
「随分と小さいので収納されている魔力は大したことはないと思いますけど、多分こいつを投げるときに風の魔力を解放して速度を上昇したり、軌道を変えて攻撃することができるんじゃないですかね」
「おっしゃる通りです。流石はエルフの方は風属性の魔石にお詳しいですな」


説明の途中でドルトンが現れ、もう魔石の査定を終わったらしく、小袋を持って戻ってきた。


「やはり私の見立て通り、ナオ殿が手に入れた地属性の魔石の品質は最上級の物でした。どうぞ、こちらが買取金です」
「え、こんなにいいんですか!?」
「凄いな兄ちゃん!!お金持ちじゃないか!!」
「おおっ……これぞサンドワームの恩返し」
「なんすかそれ?」


サンドワームから受け取った地属性の魔石はナオ達の予想を超えて高額で売れ、これだけの金があれば新しい馬車を買い替える事もできた。現在の馬車も使えなくはないのだが、やはり普通の馬が引く車として設計された乗り物では、魔獣であるウルが走行する際の負担が大きすぎて長続きはしないと思われた。

大金が手に入ったナオはこの際に今の車を売却し、新しい馬車の設計を頼めないか考える。魔獣を飼育して乗り物を移動させる話を聞いたことがあり、魔獣専用の車を開発してくれる店に心当たりがないかドルトンに尋ねた。


「ドルトンさん、この街で魔獣が引っ張っても壊れない車を作れる店はありますか?」
「ほほう、それならば私の知り合いの鍛冶師に頼んでみるのはどうでしょうか?」
「鍛冶師~?大工じゃないのか?」
「おっと、その者はただの鍛冶師ではありませんぞ。この街一番の腕利きで一流の設計士でもあります。性格に難はありますが、必ずや彼ならナオ殿が望まれる乗り物を作れるでしょう」
「じゃあ、その人を紹介してくれませんか?」
「それならばもう間もなくこの店に来るはずですのでお待ちください。都合がいい事に今日が彼の商品の受取日ですので……」
「おい、ドルトンはいるか!!」


会話の最中に店の扉が開き、建物中に男の大声が響く。驚いたナオ達は店の入り口に視線を向けると、そこには子供ぐらいの背丈の男性が立っていた。男性は胸元が隠れるほどの髭の長さを誇り、それでいながら筋肉は盛り上がっていて背中には鉄槌を抱えていた。


(この人もしかしてドワーフか!?初めて見たかも……)


ドワーフとは人間の背丈の半分程度の体躯の種族であり、彼らはエルフと同じく長命な種族であり、男性は特徴的な髭を生やす事で有名な種族だった。ドルトンの店に訪れたドワーフは彼の姿を発見すると、自分の背丈よりも大きな木箱を店の中に運び込む。


「ほらよ、これが今月分の武器と防具だ。さっさと中身を確認してくれ」
「カジン殿、いつも言っておりますが商品の受け渡しは店の裏手でお願いしたいのですが……」
「ふんっ、俺はさっさと仕事を終わらせて帰りたいんだ!!それに俺の商品に不良品があるわけがねえ!!いちいち確認しないでこのまま店に出す方が手っ取り早いだろうが!!」
「そういう訳には参りませんよ。決してカジン殿の腕を疑っているわけではありませんが、我々としても身で取り扱う商品の管理は怠れませんので……」
「全く相変わらず心配性な奴だな!!まあいい、さっさと運んで終わらせてくれ!!」


カジンと呼ばれたドワーフは自分の商品に絶対の自信があるらしく、販売前の商品の確認をされる事さえも心外だと思っている様子だった。だが、ドルトンも商人としてのプライドがあり、彼の運んできた木箱を従業員に命じて店の奥に移動させる。


(なんだか豪快な人だな。この人がドルトンさんの言っていたこの街一番の鍛冶師さんなのかな?)


ナオはカジンに視線を向けると、他の者もカジンに顔を向けていた。自分が見られている事に気付いたカジンは眉をしかめてナオ達に振り返った。


「何だお前ら?人の顔をじっと見やがって……俺は見世物じゃねえぞ!!」
「あ、すいません。えっと、カジンさんにお願いしたいことがあって……」
「おいこら坊主!!人の名前を気軽に口にするんじゃねえよ!!俺は自分が認めた相手にしか名前を呼ばせないんだよ!!」
「す、すいません!!」


名前を呼ばれただけでカジンは不機嫌そうな表情を浮かべ、ナオは少しなれなれしすぎたかと思ったが、そんな彼の態度にネココは突っかかる。


「何だよさっきから偉そうにしやがって!!名前ぐらい別にいいだろ!!」
「あん?なんだこのチビは?」
「チビだって!?そっちこそ身長はあんまり変わらねえだろ!!」
「何だとこのガキ!!俺がチビだと言いたいのか!?」
「ネ、ネココ殿!!彼に身長の事を口にしては……」


ネココの言葉にカジンは激怒すると、ドルトンは慌てて止めようとした。だが、その二人の間にミズネが割り込み、彼女は何故か先ほどのブーメランを手にしていた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」 女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。 この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。 『勇者道化師ベルキッド、追放される』 『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。

目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。

桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

転生メイドは絆されない ~あの子は私が育てます!~

志波 連
ファンタジー
息子と一緒に事故に遭い、母子で異世界に転生してしまったさおり。 自分には前世の記憶があるのに、息子は全く覚えていなかった。 しかも、愛息子はヘブンズ王国の第二王子に転生しているのに、自分はその王子付きのメイドという格差。 身分差故に、自分の息子に敬語で話し、無理な要求にも笑顔で応える日々。 しかし、そのあまりの傍若無人さにお母ちゃんはブチ切れた! 第二王子に厳しい躾を始めた一介のメイドの噂は王家の人々の耳にも入る。 側近たちは不敬だと騒ぐが、国王と王妃、そして第一王子はその奮闘を見守る。 厳しくも愛情あふれるメイドの姿に、第一王子は恋をする。 後継者争いや、反王家貴族の暗躍などを乗り越え、元親子は国の在り方さえ変えていくのだった。

処理中です...