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外の世界へ
第62話 ドワーフの鍛冶師
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「これって……ブーメラン?」
「へえ、こんな物までおいてあるんですね」
「なんか弱そうな武器だな」
「……デザインも微妙」
壁に飾られた武器の中に一つだけブーメランが混じっており、ナオが手に取って確認すると端の方に緑色に輝く魔石がはめ込まれていた。それに気づいたエリオが声をあげる。
「あれ?これって風属性の魔石ですね」
「え、これが?」
「随分と小さいので収納されている魔力は大したことはないと思いますけど、多分こいつを投げるときに風の魔力を解放して速度を上昇したり、軌道を変えて攻撃することができるんじゃないですかね」
「おっしゃる通りです。流石はエルフの方は風属性の魔石にお詳しいですな」
説明の途中でドルトンが現れ、もう魔石の査定を終わったらしく、小袋を持って戻ってきた。
「やはり私の見立て通り、ナオ殿が手に入れた地属性の魔石の品質は最上級の物でした。どうぞ、こちらが買取金です」
「え、こんなにいいんですか!?」
「凄いな兄ちゃん!!お金持ちじゃないか!!」
「おおっ……これぞサンドワームの恩返し」
「なんすかそれ?」
サンドワームから受け取った地属性の魔石はナオ達の予想を超えて高額で売れ、これだけの金があれば新しい馬車を買い替える事もできた。現在の馬車も使えなくはないのだが、やはり普通の馬が引く車として設計された乗り物では、魔獣であるウルが走行する際の負担が大きすぎて長続きはしないと思われた。
大金が手に入ったナオはこの際に今の車を売却し、新しい馬車の設計を頼めないか考える。魔獣を飼育して乗り物を移動させる話を聞いたことがあり、魔獣専用の車を開発してくれる店に心当たりがないかドルトンに尋ねた。
「ドルトンさん、この街で魔獣が引っ張っても壊れない車を作れる店はありますか?」
「ほほう、それならば私の知り合いの鍛冶師に頼んでみるのはどうでしょうか?」
「鍛冶師~?大工じゃないのか?」
「おっと、その者はただの鍛冶師ではありませんぞ。この街一番の腕利きで一流の設計士でもあります。性格に難はありますが、必ずや彼ならナオ殿が望まれる乗り物を作れるでしょう」
「じゃあ、その人を紹介してくれませんか?」
「それならばもう間もなくこの店に来るはずですのでお待ちください。都合がいい事に今日が彼の商品の受取日ですので……」
「おい、ドルトンはいるか!!」
会話の最中に店の扉が開き、建物中に男の大声が響く。驚いたナオ達は店の入り口に視線を向けると、そこには子供ぐらいの背丈の男性が立っていた。男性は胸元が隠れるほどの髭の長さを誇り、それでいながら筋肉は盛り上がっていて背中には鉄槌を抱えていた。
(この人もしかしてドワーフか!?初めて見たかも……)
ドワーフとは人間の背丈の半分程度の体躯の種族であり、彼らはエルフと同じく長命な種族であり、男性は特徴的な髭を生やす事で有名な種族だった。ドルトンの店に訪れたドワーフは彼の姿を発見すると、自分の背丈よりも大きな木箱を店の中に運び込む。
「ほらよ、これが今月分の武器と防具だ。さっさと中身を確認してくれ」
「カジン殿、いつも言っておりますが商品の受け渡しは店の裏手でお願いしたいのですが……」
「ふんっ、俺はさっさと仕事を終わらせて帰りたいんだ!!それに俺の商品に不良品があるわけがねえ!!いちいち確認しないでこのまま店に出す方が手っ取り早いだろうが!!」
「そういう訳には参りませんよ。決してカジン殿の腕を疑っているわけではありませんが、我々としても身で取り扱う商品の管理は怠れませんので……」
「全く相変わらず心配性な奴だな!!まあいい、さっさと運んで終わらせてくれ!!」
カジンと呼ばれたドワーフは自分の商品に絶対の自信があるらしく、販売前の商品の確認をされる事さえも心外だと思っている様子だった。だが、ドルトンも商人としてのプライドがあり、彼の運んできた木箱を従業員に命じて店の奥に移動させる。
(なんだか豪快な人だな。この人がドルトンさんの言っていたこの街一番の鍛冶師さんなのかな?)
ナオはカジンに視線を向けると、他の者もカジンに顔を向けていた。自分が見られている事に気付いたカジンは眉をしかめてナオ達に振り返った。
「何だお前ら?人の顔をじっと見やがって……俺は見世物じゃねえぞ!!」
「あ、すいません。えっと、カジンさんにお願いしたいことがあって……」
「おいこら坊主!!人の名前を気軽に口にするんじゃねえよ!!俺は自分が認めた相手にしか名前を呼ばせないんだよ!!」
「す、すいません!!」
名前を呼ばれただけでカジンは不機嫌そうな表情を浮かべ、ナオは少しなれなれしすぎたかと思ったが、そんな彼の態度にネココは突っかかる。
「何だよさっきから偉そうにしやがって!!名前ぐらい別にいいだろ!!」
「あん?なんだこのチビは?」
「チビだって!?そっちこそ身長はあんまり変わらねえだろ!!」
「何だとこのガキ!!俺がチビだと言いたいのか!?」
「ネ、ネココ殿!!彼に身長の事を口にしては……」
ネココの言葉にカジンは激怒すると、ドルトンは慌てて止めようとした。だが、その二人の間にミズネが割り込み、彼女は何故か先ほどのブーメランを手にしていた。
「へえ、こんな物までおいてあるんですね」
「なんか弱そうな武器だな」
「……デザインも微妙」
壁に飾られた武器の中に一つだけブーメランが混じっており、ナオが手に取って確認すると端の方に緑色に輝く魔石がはめ込まれていた。それに気づいたエリオが声をあげる。
「あれ?これって風属性の魔石ですね」
「え、これが?」
「随分と小さいので収納されている魔力は大したことはないと思いますけど、多分こいつを投げるときに風の魔力を解放して速度を上昇したり、軌道を変えて攻撃することができるんじゃないですかね」
「おっしゃる通りです。流石はエルフの方は風属性の魔石にお詳しいですな」
説明の途中でドルトンが現れ、もう魔石の査定を終わったらしく、小袋を持って戻ってきた。
「やはり私の見立て通り、ナオ殿が手に入れた地属性の魔石の品質は最上級の物でした。どうぞ、こちらが買取金です」
「え、こんなにいいんですか!?」
「凄いな兄ちゃん!!お金持ちじゃないか!!」
「おおっ……これぞサンドワームの恩返し」
「なんすかそれ?」
サンドワームから受け取った地属性の魔石はナオ達の予想を超えて高額で売れ、これだけの金があれば新しい馬車を買い替える事もできた。現在の馬車も使えなくはないのだが、やはり普通の馬が引く車として設計された乗り物では、魔獣であるウルが走行する際の負担が大きすぎて長続きはしないと思われた。
大金が手に入ったナオはこの際に今の車を売却し、新しい馬車の設計を頼めないか考える。魔獣を飼育して乗り物を移動させる話を聞いたことがあり、魔獣専用の車を開発してくれる店に心当たりがないかドルトンに尋ねた。
「ドルトンさん、この街で魔獣が引っ張っても壊れない車を作れる店はありますか?」
「ほほう、それならば私の知り合いの鍛冶師に頼んでみるのはどうでしょうか?」
「鍛冶師~?大工じゃないのか?」
「おっと、その者はただの鍛冶師ではありませんぞ。この街一番の腕利きで一流の設計士でもあります。性格に難はありますが、必ずや彼ならナオ殿が望まれる乗り物を作れるでしょう」
「じゃあ、その人を紹介してくれませんか?」
「それならばもう間もなくこの店に来るはずですのでお待ちください。都合がいい事に今日が彼の商品の受取日ですので……」
「おい、ドルトンはいるか!!」
会話の最中に店の扉が開き、建物中に男の大声が響く。驚いたナオ達は店の入り口に視線を向けると、そこには子供ぐらいの背丈の男性が立っていた。男性は胸元が隠れるほどの髭の長さを誇り、それでいながら筋肉は盛り上がっていて背中には鉄槌を抱えていた。
(この人もしかしてドワーフか!?初めて見たかも……)
ドワーフとは人間の背丈の半分程度の体躯の種族であり、彼らはエルフと同じく長命な種族であり、男性は特徴的な髭を生やす事で有名な種族だった。ドルトンの店に訪れたドワーフは彼の姿を発見すると、自分の背丈よりも大きな木箱を店の中に運び込む。
「ほらよ、これが今月分の武器と防具だ。さっさと中身を確認してくれ」
「カジン殿、いつも言っておりますが商品の受け渡しは店の裏手でお願いしたいのですが……」
「ふんっ、俺はさっさと仕事を終わらせて帰りたいんだ!!それに俺の商品に不良品があるわけがねえ!!いちいち確認しないでこのまま店に出す方が手っ取り早いだろうが!!」
「そういう訳には参りませんよ。決してカジン殿の腕を疑っているわけではありませんが、我々としても身で取り扱う商品の管理は怠れませんので……」
「全く相変わらず心配性な奴だな!!まあいい、さっさと運んで終わらせてくれ!!」
カジンと呼ばれたドワーフは自分の商品に絶対の自信があるらしく、販売前の商品の確認をされる事さえも心外だと思っている様子だった。だが、ドルトンも商人としてのプライドがあり、彼の運んできた木箱を従業員に命じて店の奥に移動させる。
(なんだか豪快な人だな。この人がドルトンさんの言っていたこの街一番の鍛冶師さんなのかな?)
ナオはカジンに視線を向けると、他の者もカジンに顔を向けていた。自分が見られている事に気付いたカジンは眉をしかめてナオ達に振り返った。
「何だお前ら?人の顔をじっと見やがって……俺は見世物じゃねえぞ!!」
「あ、すいません。えっと、カジンさんにお願いしたいことがあって……」
「おいこら坊主!!人の名前を気軽に口にするんじゃねえよ!!俺は自分が認めた相手にしか名前を呼ばせないんだよ!!」
「す、すいません!!」
名前を呼ばれただけでカジンは不機嫌そうな表情を浮かべ、ナオは少しなれなれしすぎたかと思ったが、そんな彼の態度にネココは突っかかる。
「何だよさっきから偉そうにしやがって!!名前ぐらい別にいいだろ!!」
「あん?なんだこのチビは?」
「チビだって!?そっちこそ身長はあんまり変わらねえだろ!!」
「何だとこのガキ!!俺がチビだと言いたいのか!?」
「ネ、ネココ殿!!彼に身長の事を口にしては……」
ネココの言葉にカジンは激怒すると、ドルトンは慌てて止めようとした。だが、その二人の間にミズネが割り込み、彼女は何故か先ほどのブーメランを手にしていた。
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