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外の世界へ
第66話 一工夫
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――赤毛熊で街が大騒ぎになっている頃、ナオは先日にカジンに見せてもらった設計図の車輪を見て思いついた攻撃法の練習を行う。今回の魔法の実験にはミズネに協力してもらい、彼女は川辺に立つと魔力を流し込んで複数の「水柱」を生み出す。
「……こんな感じでいい?」
「おおっ!!流石はミズネ!!」
「なんか格好いいぞ姉ちゃん!!」
「へえ~人間さんは面白い魔法が使えるんすね」
「ぷるぷるっ♪(←水柱の上で浮かぶ)」
「ウォンッ(←離れた場所でくつろぐ)」
ミズネが立ち上げた水柱を見てネココは興奮し、エルフでも彼女ほどに巧みに魔法を扱える者は滅多にいないのでエリオも感心していた。ナオは水柱を確認して手元に画面を作り出し、危ないのでミズネには離れるように頼む。
「この水柱は壊しても大丈夫なんだよね?」
「問題ない。放っておいてもそのうちに消えるはず」
「分かった。なら、遠慮なくいかせてもらうよ」
「その前にあたしが耐久力を確かめさせて欲しいっす」
魔法で作り上げられた水柱にめがけてエリオは弓を構えると、矢を一本だけ放つ。水柱に的中した矢は水の勢いに乗って打ちあがり、あっさりと川の中に沈んでしまった。
「ほえ~結構強めに射たつもりなんですけどやりますね」
「えっへんっ」
「耐久力は問題なさそうだね。それなら……俺の番だ!!」
右手を大きく振りかざしてナオはステータス画面を高速回転させ、限界まで回転力を高めた状態で投擲した。縮小化された画面ほど回転率が高く、水柱の一つを切り裂いてかき消す事に成功した。
「おおっ!!一つなくなったぞ!?」
「流石はナオ……でも、全部は壊せなかった」
「まだまだ、ここからが本番だよ」
「どういう意味っすか?」
水柱を一つだけで消す事に成功したナオは魔法を解除すると、再び手元に画面を生み出して回転を加える。今度は全ての水柱の位置を確認し、一度の攻撃で全ての水柱を破壊する方法を試す。
高速回転を加えた画面は操作が難しく、一度投擲すれば術者のナオも簡単に引き寄せる事はできない。だから標的に当てた後は魔法を解除して新しい画面を展開して次の攻撃に備えるのがナオのやり方だった。しかし、大勢の敵を相手にする場合、一度の攻撃で複数の敵を倒す手段を思いついた。
(この方法なら上手くいけば大人数相手でも一気に倒せるはず!!)
ナオが狙いを定めたのは水柱の中でも真ん中に位置する柱であり、まずは回転力を限界まで高めた状態で投げ放つ。このままでは水柱を一つ破壊するのが精いっぱいだが、水柱に当たる寸前にナオは強く念じた。
(いけっ!!)
次の瞬間、ミズネ達の視界では川に浮かんでいた全ての水柱が全く同時に弾け飛んだ。先ほどの攻撃では水柱は一つしか破壊されなかったのに対し、今度は全ての水柱が吹き飛んだ光景を見て驚く。
「はうっ!?」
「うわっ!?」
「いやんっ!?な、なんすか今の!?」
「なんでエリオが一番可愛い悲鳴上げてるのさ……」
位置的にナオの傍にいたエリオは女の子のような悲鳴を上げて彼に抱き着き、そんなエリオの反応に戸惑いながらもナオは握り拳を作る。自分の想像通りに魔法を展開できたことに喜び、これならば先日のように大勢の敵に囲まれても一網打尽にできると確信した。
「私の水柱が全部壊された……なんだか悔しい」
「凄いな!!兄ちゃん何をしたんだ!?」
「いきなり全部の水柱が破裂したように見えましたね。しかも全く同時に……いったいどうやったんですか?」
「まあ、ちょっと工夫を加えただけだよ」
今回の実験はナオは最初から上手くいくと確信があった。これまでのように画面を複雑に扱うような手間はなく、攻撃時の際に一つだけ手順を加えたに過ぎない。いったいどうやって水柱を破壊したのかをナオは語ろうとした時、ウルが起き上がって唸り声をあげる。
「グルルルッ!!」
「ぷるんっ!?」
「ど、どうしたウル!?腹が減ってんのか!?」
「いえ、そういう感じじゃないです」
「……近くに魔物が現れたとか?」
「でも、魔力は感じないけど……」
野生の本能が働いたのかウルは戦闘態勢に入り、同じく魔物のスラミンも落ち着かない様子だった。ナオとミズネは魔力感知を行うが近くに彼らが警戒するような強い魔力は感じ取れない。しかし、現在の状況にナオは既視感を抱く。
(この状況、前にも覚えがあるような……まさか!?)
山の中で赤毛熊と遭遇した時の事を思い出し、慌てて周囲を見渡すが森の中と違って現在のナオ達がいる場所は見晴らしの良い草原である。仮に赤毛熊が存在感を消して近づいていたとしても姿が見えなくなるわけではなく、赤毛熊が接近していたとしたら気付かないはずがない。
前の時のように川の中に潜んでいる可能性も低く、街の近くに流れている川は赤毛熊の巨体が隠れられるほどの深さは存在しない。しかし、ウルとスラミンの反応から敵が近くに潜んでいるのは間違いなく、ナオ達は一か所に集まって周囲の警戒を怠らない。
「……こんな感じでいい?」
「おおっ!!流石はミズネ!!」
「なんか格好いいぞ姉ちゃん!!」
「へえ~人間さんは面白い魔法が使えるんすね」
「ぷるぷるっ♪(←水柱の上で浮かぶ)」
「ウォンッ(←離れた場所でくつろぐ)」
ミズネが立ち上げた水柱を見てネココは興奮し、エルフでも彼女ほどに巧みに魔法を扱える者は滅多にいないのでエリオも感心していた。ナオは水柱を確認して手元に画面を作り出し、危ないのでミズネには離れるように頼む。
「この水柱は壊しても大丈夫なんだよね?」
「問題ない。放っておいてもそのうちに消えるはず」
「分かった。なら、遠慮なくいかせてもらうよ」
「その前にあたしが耐久力を確かめさせて欲しいっす」
魔法で作り上げられた水柱にめがけてエリオは弓を構えると、矢を一本だけ放つ。水柱に的中した矢は水の勢いに乗って打ちあがり、あっさりと川の中に沈んでしまった。
「ほえ~結構強めに射たつもりなんですけどやりますね」
「えっへんっ」
「耐久力は問題なさそうだね。それなら……俺の番だ!!」
右手を大きく振りかざしてナオはステータス画面を高速回転させ、限界まで回転力を高めた状態で投擲した。縮小化された画面ほど回転率が高く、水柱の一つを切り裂いてかき消す事に成功した。
「おおっ!!一つなくなったぞ!?」
「流石はナオ……でも、全部は壊せなかった」
「まだまだ、ここからが本番だよ」
「どういう意味っすか?」
水柱を一つだけで消す事に成功したナオは魔法を解除すると、再び手元に画面を生み出して回転を加える。今度は全ての水柱の位置を確認し、一度の攻撃で全ての水柱を破壊する方法を試す。
高速回転を加えた画面は操作が難しく、一度投擲すれば術者のナオも簡単に引き寄せる事はできない。だから標的に当てた後は魔法を解除して新しい画面を展開して次の攻撃に備えるのがナオのやり方だった。しかし、大勢の敵を相手にする場合、一度の攻撃で複数の敵を倒す手段を思いついた。
(この方法なら上手くいけば大人数相手でも一気に倒せるはず!!)
ナオが狙いを定めたのは水柱の中でも真ん中に位置する柱であり、まずは回転力を限界まで高めた状態で投げ放つ。このままでは水柱を一つ破壊するのが精いっぱいだが、水柱に当たる寸前にナオは強く念じた。
(いけっ!!)
次の瞬間、ミズネ達の視界では川に浮かんでいた全ての水柱が全く同時に弾け飛んだ。先ほどの攻撃では水柱は一つしか破壊されなかったのに対し、今度は全ての水柱が吹き飛んだ光景を見て驚く。
「はうっ!?」
「うわっ!?」
「いやんっ!?な、なんすか今の!?」
「なんでエリオが一番可愛い悲鳴上げてるのさ……」
位置的にナオの傍にいたエリオは女の子のような悲鳴を上げて彼に抱き着き、そんなエリオの反応に戸惑いながらもナオは握り拳を作る。自分の想像通りに魔法を展開できたことに喜び、これならば先日のように大勢の敵に囲まれても一網打尽にできると確信した。
「私の水柱が全部壊された……なんだか悔しい」
「凄いな!!兄ちゃん何をしたんだ!?」
「いきなり全部の水柱が破裂したように見えましたね。しかも全く同時に……いったいどうやったんですか?」
「まあ、ちょっと工夫を加えただけだよ」
今回の実験はナオは最初から上手くいくと確信があった。これまでのように画面を複雑に扱うような手間はなく、攻撃時の際に一つだけ手順を加えたに過ぎない。いったいどうやって水柱を破壊したのかをナオは語ろうとした時、ウルが起き上がって唸り声をあげる。
「グルルルッ!!」
「ぷるんっ!?」
「ど、どうしたウル!?腹が減ってんのか!?」
「いえ、そういう感じじゃないです」
「……近くに魔物が現れたとか?」
「でも、魔力は感じないけど……」
野生の本能が働いたのかウルは戦闘態勢に入り、同じく魔物のスラミンも落ち着かない様子だった。ナオとミズネは魔力感知を行うが近くに彼らが警戒するような強い魔力は感じ取れない。しかし、現在の状況にナオは既視感を抱く。
(この状況、前にも覚えがあるような……まさか!?)
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前の時のように川の中に潜んでいる可能性も低く、街の近くに流れている川は赤毛熊の巨体が隠れられるほどの深さは存在しない。しかし、ウルとスラミンの反応から敵が近くに潜んでいるのは間違いなく、ナオ達は一か所に集まって周囲の警戒を怠らない。
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