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第一章
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翌日の朝、西が設計担当の部下と共に、美奈子の家を訪ねてきた。
以前より関係者が2人も増えており、それが狭い家にぎゅう詰めになって作業しているのにまず驚いたのだが、なぜか関係無いはずの朱里までその場にいたことに非常に驚いていた。
西は25式のエンジンルームのスペースを確認しに来ただけだったのだが、こんなに集まっているならみんなで工場に移ったらどうだと提案した。
だが、そうなると美奈子の存在意義が希薄になってしまうので、彼女はちょっと不満げである。
「ならばウチで臨時のテストドライバーとして働くというのはどうだ?」と更に提案を重ねる。
現実的な美奈子は「お金がもらえるということなら」ということで、一時的に掛川に移動することに同意した。
この場合、諒子と亜希良は仕事がしづらくなるのだが、西の会社でコンピュータに一番詳しいのは諒子なので、何をやっているかバレることは恐らくあるまい。
万一バレたとしても、会社のためになると言えば難無く収められるだろうと考えていた。
突如として引っ越しを余儀なくされた美奈子だったが、スクラップの収集をしないのであれば、特にすることも無いし、荷物も着替と身の回りの物程度で済むので身軽ではある。
それれよりも、亜希良と長く居られる事が彼女にとっては重要であり、最初から選択肢など無かったと言えるだろう。
だが、彼女のそんな思いに気付いたのは小鳥遊朱里だけであったが、朱里は用済みとなってしまったため、後ろ髪を引かれながらも自分の店に戻るほか無かった。
引っ越しは25式と諒子のパトリアに分乗し、荷物はパトリアに全部載せた。
亜希良のビーストと麗子の82式は、掛川までの道が厳しいため、ここに置いておくことになった。
西の部下が操縦する89式の後に続き、土煙を上げながら続く軍用車の一団は、さながら戦時下のようであるが、各々が異なる思惑のもとで行動しており、ある意味内なる戦時下と言えた。
そしてその車列からかなり距離を置いて、1台のアメリカ製のストライカー8輪装甲車、それからまた少し距離を置いて旧式の73式装甲車が後を追っていた。
ストライカーには石黒とウォシャウスキー捜査官、73式は新城の雇った探偵たちだ。
1km以上距離を取って追っていたのだが、25式が少し高台に差しかかった時、鉄男は後続車が居ることに気付いた。
昔であれば同じ方向に向かう車が居たところで不思議に思うことは無いのだが、この時代では真っ直ぐ追けてくる車は強盗か警察のどちらかだ。
警察であれば回転灯を装備し、POLICEと横書きがある。
それが無いとなれば警戒をするに越したことは無い。
鉄男はいったん小休止を要求し、後続車があることを全員に伝えた。
25式の望遠スコープでも正体は不明だったが、車両が米軍のストライカーだということはすぐに分かったので、追ってくるのは外国人の可能性が出て来た。
アメリカの情報機関が絡んで来ることを予測出来たのは、亜希良と西だけだったが、西には確証が無かったし、亜希良は自ら明かすはずも無く、正体は不明のまま警戒だけは十分にしておくという話で、先を急ぐことになった。
*
25式とその一団を追うストライカー8輪装甲車の中では、高台で小休止する様子を見て、尾行に感づかれた可能性が高いという意見で一致していた。
その証拠に一度だけ、25式のレーザ測距器の光が見えたのだ。
間違いなく後続車両の存在に気付いたことだろう。
ウォシャウスキー捜査官は、このまま追尾を続けるか思案した末、恐らく行き先は西の工場だろうから、そこには道を変えて向かうことにして、先行させていた潜入調査員に、付近に対抗勢力が来ていないかだけ確認することにした。
一方、追尾を止めたアメリカ人とは対照的に、新城の雇った探偵は、そのまま追尾を続け、距離も800mくらいまで近づいていった。
そこまで近づけば、よほど油断してない限り気付かないということは無い。
探偵はそれ以上近づくことはぜず、鉄男たちと同様に小休止を取るフリをしている。
その様子を見た西は「俺が行ってこよう」と言って、探偵の装甲車に近づいていった。
西が近づいてくることに気づいた探偵は、逃げることもせず、そのまま待っている。
いったい何を考えているのか。
西が89式から顔を出し、探偵に声を掛ける。
「アンタ、ウチの会社に入ったドロボウだね。探偵か何かか?」
「おや、気付かれてましたか」
「顔は写ってなかったけど、アンタのそのカバン。しっかり写ってたからね」
「ああ、そうか。このタグは見落としてた」
「雇い主は聞いても言わないだろうが、もしかしてアレか?石黒君かな?」
「あ~、そいつは前の雇い主だ。金払いは良かったが、ちょいと気味の悪いヤツだったな」
「今は違うのか」
「まあな」
「ふぅむ。まあ良い。どうせ目当てはAIなんだろう?」
「ああ」
「バカにあっさり白状するな」
「まあ、正直もう辞めたいんでね、今回の仕事」
「ほう、それはまた何故に」
「俺たちの前を走ってたアメリカ製の装甲車。あれはアメリカのエージェントだぜ」
「恐らくそうだろうな」
「アイツらと張り合う気は更々ねえんだが、このまま行くとどっかで鉢合わせることになりそうなんでね。ここらが潮時かなと」
「そうか。賢明な判断だな」
「てなわけで、十分ご注意ください」
そう言うと探偵は73式に乗り込み、帰って行った。
かなり旧式な車両だったため、加速する時に妙な音がしていたので、これ以上悪路を進むのは危険と判断したのかも知れない。
西は「あれはトランスミッションがもうダメだな」と独り言を漏らしながら、鉄男たちのところに戻った。
野外だったが緊急の作戦会議を開き、アメリカのエージェントにどう対処するかが話し合われた。
恐らくまだ事実関係を確認している段階と思われるが、連中の目的は25式の奪取、あるいはAI本体の取得だろう。
小鳥遊朱里から石黒が妙な動きをしている可能性があると聞いていたが、外交官だった人脈を使って、アメリカの情報局に情報を流したかも知れない。
だとしたら、石黒は美奈子を盗り、アメリカは25式を盗りに来る算段だろう。
破壊しては元も子もないので、実力行使に出ることは考えにくいが、何らかの暴力に訴える可能性は否定出来ない。
一番効果的な方策としては、西たちをこの件から手を引かせることで、そのために会社の方に揺さぶりをかけてくる事が考えられる。
どこまでやるかは、どこまで本気で盗りに来るかによる。
つまり、彼らがこのAIをどう評価するかに掛かっているのだ。
そこで連中の評価を下げるために「あえて完成度の低いAIをリークするというのはどうだ」という提案が鉄男からあった。
わざわざ人員を投入してまで奪い取るほどの物ではないと思ってくれれば儲けものというわけだ。
それはひとつの手として、あり得るかも知れない。
だが、アメリカは「全ての野良AIを認めない」という判断をするかも知れないため、それ以外の手段も用意しておくべきだろう。
すると、麗子が「飛騨の坑道ならそう簡単に見つからないんじゃない?」と言うので、最悪そこに身を隠すこともオプションとして考えておくことになった。
いずれにしても、このまま会社に帰るのは危険すぎるため、多少なりともセキュリティーの概念がある掛川の旧市庁舎の地下に補給のため向かうことにした。
ここには要人専用の出入り口があって、25式とパトリアを仕舞っておけるほどのスペースもある。
シャッターを閉めれば、すぐに見つかることも無いため、一時凌ぎには使えるかも知れないと考えたのだった。
地下駐車場に入り、件の専用駐車場の手前まで進んだ時に、鉄男は異変を察知した。
まさかの先客がいることに赤外線カメラで気付くことが出来たのだ。
「どうやら先回りされたようですね」と鉄男が西に伝えると、西は誰が潜んでいるか確認することすらせずに、その場で作戦を大幅に変更し、いきなり飛騨の山奥を目指すことを決断した。
予備の履帯も燃料も足らないが、山道であれば途中に清流や湧き水がある可能性が高いため、無謀ではあるが相手の予想を覆すためにも、あえて決行することにしたのだ。
飛騨の山奥の状況は麗子と諒子しか知らないが、2人の話を聞く限り、軌道が敷設された通路なら戦車2台を仕舞っておけるスペースはあると思われる。
諒子が思いつく限り、敵の知らないロケーションで、隠れられる拠点はあの岩扉の奥しかない。
諒子からすれば、つい先ほどまでAIで世間をアッと言わせるつもりだったものが、逆に追い詰められたような立場となって、逃げるようにして飛騨まで行くことになるとは思いもよらなかった。
とにかく、嵐が過ぎるまで、あそこで待つしかないのだ。
さいわいコンピュータの開発環境は整っているので、AIを安全な商品として開発を続けることは可能だろうから、それが唯一の救いとも言えたのだった。
飛騨への道のりは思った以上に長く、険しかった。
途中、瓦礫の間を25式が通れずに、その一部を主砲で撃って破壊し通過するという場面があった。
鉄男が主砲を発射したのは、これが初めてだったが、電磁式の発射音が予想以上に大きく、騒音という点では火砲と大差ないと感じた。
ただ、火薬の爆発を伴わないため、音のわりに振動は強くなく、純粋に弾丸発射に伴う物理的な反作用と、音速を超えた事による衝撃波だけである。
機械的な負荷という点では、火砲より少なく済むのは確かであるが、その分電力の消費が相当に大きく、連続の戦闘は厳しいと思われた。
特に機動をしながらの連続射撃は15分と持たない可能性が高いので、射撃の際はなるべく待ち伏せか、強固な擁壁に守られた状況でないと難しいと感じられた。
電磁砲の宿命ではあるが、これは要改善点であろう。
そして、意外なことに山に近づいて行くほど瓦礫は少なくなり、道はどんどん綺麗になっていく。
25式の車幅でも難無くに神岡町までたどり着けたが、最後の難関の坑道に続く細い道が車幅ギリギリで、90式だったら恐らく通れなかっただろう。
その細い道を抜けた先にも、重要施設を思わせる物は見あたらない。
しかし、麗子が電話で受付に連絡すると、ゴゴゴゴと地響きを上げ、岩扉が開いた。
まさにSFの世界の秘密基地である。
これには経験者以外の全員が度肝を抜かれていた。
さすがにアメリカのエージェントも、ここをすぐに発見することは無いだろうと思うのだった。
以前より関係者が2人も増えており、それが狭い家にぎゅう詰めになって作業しているのにまず驚いたのだが、なぜか関係無いはずの朱里までその場にいたことに非常に驚いていた。
西は25式のエンジンルームのスペースを確認しに来ただけだったのだが、こんなに集まっているならみんなで工場に移ったらどうだと提案した。
だが、そうなると美奈子の存在意義が希薄になってしまうので、彼女はちょっと不満げである。
「ならばウチで臨時のテストドライバーとして働くというのはどうだ?」と更に提案を重ねる。
現実的な美奈子は「お金がもらえるということなら」ということで、一時的に掛川に移動することに同意した。
この場合、諒子と亜希良は仕事がしづらくなるのだが、西の会社でコンピュータに一番詳しいのは諒子なので、何をやっているかバレることは恐らくあるまい。
万一バレたとしても、会社のためになると言えば難無く収められるだろうと考えていた。
突如として引っ越しを余儀なくされた美奈子だったが、スクラップの収集をしないのであれば、特にすることも無いし、荷物も着替と身の回りの物程度で済むので身軽ではある。
それれよりも、亜希良と長く居られる事が彼女にとっては重要であり、最初から選択肢など無かったと言えるだろう。
だが、彼女のそんな思いに気付いたのは小鳥遊朱里だけであったが、朱里は用済みとなってしまったため、後ろ髪を引かれながらも自分の店に戻るほか無かった。
引っ越しは25式と諒子のパトリアに分乗し、荷物はパトリアに全部載せた。
亜希良のビーストと麗子の82式は、掛川までの道が厳しいため、ここに置いておくことになった。
西の部下が操縦する89式の後に続き、土煙を上げながら続く軍用車の一団は、さながら戦時下のようであるが、各々が異なる思惑のもとで行動しており、ある意味内なる戦時下と言えた。
そしてその車列からかなり距離を置いて、1台のアメリカ製のストライカー8輪装甲車、それからまた少し距離を置いて旧式の73式装甲車が後を追っていた。
ストライカーには石黒とウォシャウスキー捜査官、73式は新城の雇った探偵たちだ。
1km以上距離を取って追っていたのだが、25式が少し高台に差しかかった時、鉄男は後続車が居ることに気付いた。
昔であれば同じ方向に向かう車が居たところで不思議に思うことは無いのだが、この時代では真っ直ぐ追けてくる車は強盗か警察のどちらかだ。
警察であれば回転灯を装備し、POLICEと横書きがある。
それが無いとなれば警戒をするに越したことは無い。
鉄男はいったん小休止を要求し、後続車があることを全員に伝えた。
25式の望遠スコープでも正体は不明だったが、車両が米軍のストライカーだということはすぐに分かったので、追ってくるのは外国人の可能性が出て来た。
アメリカの情報機関が絡んで来ることを予測出来たのは、亜希良と西だけだったが、西には確証が無かったし、亜希良は自ら明かすはずも無く、正体は不明のまま警戒だけは十分にしておくという話で、先を急ぐことになった。
*
25式とその一団を追うストライカー8輪装甲車の中では、高台で小休止する様子を見て、尾行に感づかれた可能性が高いという意見で一致していた。
その証拠に一度だけ、25式のレーザ測距器の光が見えたのだ。
間違いなく後続車両の存在に気付いたことだろう。
ウォシャウスキー捜査官は、このまま追尾を続けるか思案した末、恐らく行き先は西の工場だろうから、そこには道を変えて向かうことにして、先行させていた潜入調査員に、付近に対抗勢力が来ていないかだけ確認することにした。
一方、追尾を止めたアメリカ人とは対照的に、新城の雇った探偵は、そのまま追尾を続け、距離も800mくらいまで近づいていった。
そこまで近づけば、よほど油断してない限り気付かないということは無い。
探偵はそれ以上近づくことはぜず、鉄男たちと同様に小休止を取るフリをしている。
その様子を見た西は「俺が行ってこよう」と言って、探偵の装甲車に近づいていった。
西が近づいてくることに気づいた探偵は、逃げることもせず、そのまま待っている。
いったい何を考えているのか。
西が89式から顔を出し、探偵に声を掛ける。
「アンタ、ウチの会社に入ったドロボウだね。探偵か何かか?」
「おや、気付かれてましたか」
「顔は写ってなかったけど、アンタのそのカバン。しっかり写ってたからね」
「ああ、そうか。このタグは見落としてた」
「雇い主は聞いても言わないだろうが、もしかしてアレか?石黒君かな?」
「あ~、そいつは前の雇い主だ。金払いは良かったが、ちょいと気味の悪いヤツだったな」
「今は違うのか」
「まあな」
「ふぅむ。まあ良い。どうせ目当てはAIなんだろう?」
「ああ」
「バカにあっさり白状するな」
「まあ、正直もう辞めたいんでね、今回の仕事」
「ほう、それはまた何故に」
「俺たちの前を走ってたアメリカ製の装甲車。あれはアメリカのエージェントだぜ」
「恐らくそうだろうな」
「アイツらと張り合う気は更々ねえんだが、このまま行くとどっかで鉢合わせることになりそうなんでね。ここらが潮時かなと」
「そうか。賢明な判断だな」
「てなわけで、十分ご注意ください」
そう言うと探偵は73式に乗り込み、帰って行った。
かなり旧式な車両だったため、加速する時に妙な音がしていたので、これ以上悪路を進むのは危険と判断したのかも知れない。
西は「あれはトランスミッションがもうダメだな」と独り言を漏らしながら、鉄男たちのところに戻った。
野外だったが緊急の作戦会議を開き、アメリカのエージェントにどう対処するかが話し合われた。
恐らくまだ事実関係を確認している段階と思われるが、連中の目的は25式の奪取、あるいはAI本体の取得だろう。
小鳥遊朱里から石黒が妙な動きをしている可能性があると聞いていたが、外交官だった人脈を使って、アメリカの情報局に情報を流したかも知れない。
だとしたら、石黒は美奈子を盗り、アメリカは25式を盗りに来る算段だろう。
破壊しては元も子もないので、実力行使に出ることは考えにくいが、何らかの暴力に訴える可能性は否定出来ない。
一番効果的な方策としては、西たちをこの件から手を引かせることで、そのために会社の方に揺さぶりをかけてくる事が考えられる。
どこまでやるかは、どこまで本気で盗りに来るかによる。
つまり、彼らがこのAIをどう評価するかに掛かっているのだ。
そこで連中の評価を下げるために「あえて完成度の低いAIをリークするというのはどうだ」という提案が鉄男からあった。
わざわざ人員を投入してまで奪い取るほどの物ではないと思ってくれれば儲けものというわけだ。
それはひとつの手として、あり得るかも知れない。
だが、アメリカは「全ての野良AIを認めない」という判断をするかも知れないため、それ以外の手段も用意しておくべきだろう。
すると、麗子が「飛騨の坑道ならそう簡単に見つからないんじゃない?」と言うので、最悪そこに身を隠すこともオプションとして考えておくことになった。
いずれにしても、このまま会社に帰るのは危険すぎるため、多少なりともセキュリティーの概念がある掛川の旧市庁舎の地下に補給のため向かうことにした。
ここには要人専用の出入り口があって、25式とパトリアを仕舞っておけるほどのスペースもある。
シャッターを閉めれば、すぐに見つかることも無いため、一時凌ぎには使えるかも知れないと考えたのだった。
地下駐車場に入り、件の専用駐車場の手前まで進んだ時に、鉄男は異変を察知した。
まさかの先客がいることに赤外線カメラで気付くことが出来たのだ。
「どうやら先回りされたようですね」と鉄男が西に伝えると、西は誰が潜んでいるか確認することすらせずに、その場で作戦を大幅に変更し、いきなり飛騨の山奥を目指すことを決断した。
予備の履帯も燃料も足らないが、山道であれば途中に清流や湧き水がある可能性が高いため、無謀ではあるが相手の予想を覆すためにも、あえて決行することにしたのだ。
飛騨の山奥の状況は麗子と諒子しか知らないが、2人の話を聞く限り、軌道が敷設された通路なら戦車2台を仕舞っておけるスペースはあると思われる。
諒子が思いつく限り、敵の知らないロケーションで、隠れられる拠点はあの岩扉の奥しかない。
諒子からすれば、つい先ほどまでAIで世間をアッと言わせるつもりだったものが、逆に追い詰められたような立場となって、逃げるようにして飛騨まで行くことになるとは思いもよらなかった。
とにかく、嵐が過ぎるまで、あそこで待つしかないのだ。
さいわいコンピュータの開発環境は整っているので、AIを安全な商品として開発を続けることは可能だろうから、それが唯一の救いとも言えたのだった。
飛騨への道のりは思った以上に長く、険しかった。
途中、瓦礫の間を25式が通れずに、その一部を主砲で撃って破壊し通過するという場面があった。
鉄男が主砲を発射したのは、これが初めてだったが、電磁式の発射音が予想以上に大きく、騒音という点では火砲と大差ないと感じた。
ただ、火薬の爆発を伴わないため、音のわりに振動は強くなく、純粋に弾丸発射に伴う物理的な反作用と、音速を超えた事による衝撃波だけである。
機械的な負荷という点では、火砲より少なく済むのは確かであるが、その分電力の消費が相当に大きく、連続の戦闘は厳しいと思われた。
特に機動をしながらの連続射撃は15分と持たない可能性が高いので、射撃の際はなるべく待ち伏せか、強固な擁壁に守られた状況でないと難しいと感じられた。
電磁砲の宿命ではあるが、これは要改善点であろう。
そして、意外なことに山に近づいて行くほど瓦礫は少なくなり、道はどんどん綺麗になっていく。
25式の車幅でも難無くに神岡町までたどり着けたが、最後の難関の坑道に続く細い道が車幅ギリギリで、90式だったら恐らく通れなかっただろう。
その細い道を抜けた先にも、重要施設を思わせる物は見あたらない。
しかし、麗子が電話で受付に連絡すると、ゴゴゴゴと地響きを上げ、岩扉が開いた。
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