百物語 ーヒャクモノガタリー ♦︎3分以内に読める怪談のショートショート集♦︎

いくいえむ

文字の大きさ
42 / 100

第42夜 透けている

しおりを挟む
僕には、隣の家に住む同い年のS君という幼馴染がいました。
家族ぐるみで仲が良かったので、僕の親が仕事で遅くなる日は、S君の家で夕飯をご馳走になることもありました。
ある日、S君の家で夕飯を食べていると、S君がテレビに出ていた俳優さんを指差して言いました。
「ねぇ、あの人の身体、透けてない?」
僕はテレビ画面に近づいて確認してみましたが、透けているようには見えませんでした。
S君の両親も透けているようには見えないと言っていました。
S君は不思議そうな顔をして、テレビをじっと見つめていました。
次の日の朝、その俳優さんが亡くなったことをニュース速報で知りました。
僕は昨日のこともあり、
「S君は死ぬ人が分かるんだ!すごいんだ!」
と興奮気味に学年中に言いふらしました。
それが思いの外盛り上がってしまい、S君は
「また透けている人がいたら教えて」
とみんなから言われていました。

S君はそれから何人もの人の死を予言しました。
有名人だけでなく、学区内にある駄菓子屋のおばあちゃんの死も見事に言い当て、S君はちょっとした人気者になっていました。
すると、それが面白くない人も出てきます。
クラスの委員長が帰りの集会で
「S君の行為は不謹慎だ」
と糾弾したのです。
S君は先生に
「もう二度と人の死で盛り上がらないように」
と言われ、それからは死の予言を一切しなくなりました。

S君は僕と同じ中学、高校に進みましたが、大学は僕は地元、S君は県外と別れてしまいました。
S君はお盆とお正月以外は帰ってこなくなり、僕たちはだんだんと疎遠になっていきました。

しかし、大学4年の6月のある日、S君が突然帰ってきたのです。
僕はS君に会えたのが嬉しくて、
「久しぶりに遊ばないか」
とS君を誘いました。
すると、S君は悲しそうな顔で言いました。
「今日は家族と過ごしたいんだ。ごめん」
僕が
「何かあったの?」
と聞くと、S君は言いました。

「僕の身体が透けてるんだ」

翌日の朝、救急車のサイレンの音で目を覚ましました。
僕は
「あぁ、S君だな……」
と思って、涙が止まらなくなりました。
S君は、寝室で眠るように亡くなっていたそうです。

あれからずっと独りで人の死を見続けていたんだなぁと思うと、S君が気の毒に思えてなりません。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

残酷喜劇 短編集

ドルドレオン
ホラー
残酷喜劇、開幕。 短編集。人間の闇。 おぞましさ。 笑いが見えるか、悲惨さが見えるか。

三分で読める一話完結型ショートホラー小説

ROOM
ホラー
一話完結型のショートショートです。 短いけれど印象に残るそんな小説を目指します。 毎日投稿して行く予定です。楽しんでもらえると嬉しいです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

処理中です...