機械仕掛けの殲滅少女

サンボン

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幕間⑤

愚者は嗤う

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■エリアル視点

「あ……う……」

 疲れ果てたロロがベッドの上でぐったりとしている。
 それはレジーナも同じで、スヤスヤと寝息を立てていた。

 だが、こんなものじゃ俺の怒りは収まらない。

「じゃあセシル、コッチに来い」
「う、うむ……」

 既に済ませていたセシルだったが、俺にまた求められて嬉しいのか、頬を赤く染めて傍に寄って来た。

「さあ……」
「あ……ん、んん……」

 俺の合図でセシルがゆっくり腰を下ろそうとした、その時。

 ——コンコン。

 ……不意に、俺の部屋をノックする音が聞こえた。

「……チッ、こんな夜中に誰だ一体!」
「あっ!?」

 俺は乱暴にセシルを払いのけると、彼女に目で合図して扉を開けに行かせる。
 セシルは裸なのが恥ずかしいのか扉を開けるのを少しためらうが、そんなことはお構いなしに俺は扉を開けるように顎で促す。

 そして、セシルがゆっくりと扉を開けると。

「カルラ……」

 現れたのは、カルラだった。

「カルラ、今さら何の用だ?」

 俺は吐き捨てるようにそう告げる。
 だってそうだろう? コイツはあの地下水路で、ハッキリと“黄金の旋風”を抜けた上に悪態まで吐いたんだからな。

「……『天国への階段』の調査の件だけど、私達で先行して潜ってしまわない?」
「はあ!?」

 カルラの言葉に、俺は思わず声を上げる。

「んう……何なの、一体……」
「ふあ……」

 その声で、レジーナとロロも起きたようだ。

「「……って、カルラ!?」」
「…………………………」

 二人も驚いて声を上げるが、カルラは一瞥もせずにただ俺だけを見据えている。

「なあ、俺がオマエのそんな提案に乗ると思うのか?」
「ええ、思っているわ」

 俺が馬鹿にするようにそう言い放つが、カルラは表情をピクリとも変えずに答えた。

「ハッ……ま、確かにオマエが裸で土下座したら、考えてやらんでもないがな」

 俺は口の端を持ち上げ、鼻で笑った。
 どうせプライドの高いカルラのことだ、そんな真似はしないのは分かってるがな。

「……そんなことはしないわ」
「フン! ならこの話はなしだ。とっとと立ち去……「だけど、私ならソフィア様に口添えできるわよ?」」

 カルラを追い出そうと手で払う仕草をすると、カルラが突然そんなことを言った。

「……どういう意味だ?」
「分からない? 私はあなた達とは別にソフィア様からこの依頼を受けているのよ」

 まあ、だろうな。
 じゃなきゃ、あんなにアッサリと“黄金の旋風”を抜けるとか言わないだろうからな。

 だが。

「それとさっきの話がどう関係があるんだ?」

 少しだけ興味が湧いた俺は、カルラにそう尋ねる。

「簡単よ……私はそれだけあの[聖女セイント]様に信頼されてるの。つまり、あなたをソフィア様の傍に置いてもらえるようお願いすることくらい、簡単だってことよ」
「…………………………」
「それに、あのアデル達を出し抜いて『天国への階段』を暴いたら、ソフィア様の覚えもめでたいだろうし、あれだけの遺跡だもの……ひょっとしたら、かなりの財宝も眠ってるかもしれないわよ?」

 ……確かに、カルラの言うことにも一理ある。

 先に潜って、財宝だけ俺達のものにした後、調査結果をソフィア様に報告すれば、アデルなんかよりも俺達に重きを置くようになってもおかしくはない。
 なにせ、ソフィア様はあの『天国への階段』にかなりご執心の様子だからな。

「で……どう? 一緒にやる?」
「……いいだろう」
「チョ、チョット!? エリアル!?」

 俺がカルラの話に乗る姿勢を見せると、レジーナが慌てて止めに入る。

「何だ?」
「分かってるの!? コイツは一度、私達を裏切ったのよ!? それなのに、そんな言葉を信用するの!?」
「信用?」

 フン……相変わらずレジーナもプライドが高いだけの馬鹿女だな。

「信用じゃないよレジーナ。これは、利用・・しているんだ。お互いに、な」

 そう言うと、俺はチラリ、とカルラを見やる。
 するとカルラも、こちらを見据えたままゆっくりと頷いた。

「だからレジーナ……それに二人も、どうか俺に協力してくれ!」

 俺は三人に対し、頭を下げた。

「っ! も、もう、しょうがないわね……」
「アハハー、ボクは大丈夫だよー!」
「うむ……誇り高いエリアルが我々に頭を下げてまで頼むのだ。私達はあなたに従おう」
「ありがとう……」

 優しく微笑む三人に、俺はもう一度礼を言う。
 本当に……チョロい奴等だ。

「そういうことだ。カルラ、すぐ支度するから、宿の外で待っていてくれ」
「分かったわ」

 そう告げると、カルラは部屋を出て行った。

「フ……まあ、『天国への階段』の一番下までたどり着いたら、カルラを散々なぶった後、罠にかかって死んだことにするがな」
「で、でもカルラは[剣聖ソード・マスター]よ!?」

 俺の言葉を耳聡く聞いていたレジーナが、困惑した表情でそう告げる。

「オイオイ、それを言ったら俺だって[英雄ヒーロー]なんだぞ? それに四対一の状況で、負ける訳ないだろ?」
「あ、そ、そっか……」
「そういうことだよ」

 俺は微笑みながらレジーナの頭を撫でてやると、彼女は目を細めた。

 まあ……無事にソフィア様とお近づきになれた暁には、コイツ等も切り捨てるがな。

「ハハハハハ! 楽しくなってきたぞ!」

 俺はこれからの輝かしい未来を思い、声を上げてわらった。
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