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酒場でのイベント
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いつものように酒場に行くと、非常に騒がしい。
前の活気がよみがえったのかと思ったが、そうではないらしい。
酒場の中央で、冒険者達が輪を作って騒いでいるようだ。
「やれー!そこだ!」
「ぶっころせ!」
「なにやってんだ!」
(何が起こっているんだ?)
何が起こっているか聞こうと思ったが、酔っぱらいの上にテンション上がっている連中に会話など出来るはずがない。
普段なら面倒な事を避ける俺だが・・・ゲームであれば参加する気満々だ。
(現実では面倒でも、ゲーム内では普段出来ない事が出来るチャンスだ。祭りには積極的に参加しないとな!)
俺は人込みの中に体をねじ込んで、無理やり人をかき分けて中心へと進んで行く。
なんとか視界が開けた最前列にたどり着くと、予想通りの展開が待っていた。
二人の男が殴り合いをしていたのだ。
(酒場でのイベントといえば、些細な事で血気盛んな冒険者達が喧嘩をするというのが定番だな。)
そして主人公が喧嘩両成敗をするか、やられている方を助けるという展開がデフォルトである。
まあ・・・今の俺にはどちらも出来そうにないが。
喧嘩しているのは丸坊主のマッチョの大男と黒髪の中肉中背の男だった。
どちらの展開になるか彼らの戦いを見ていたが、あまりにも一方的な展開に見ていて心が痛くなった。
大男の方が相手を一方的に殴っていたからだ。
無抵抗の男の顔面を一方的に殴っている、立っているのが不思議なほどだ。
周りの観客はそれを楽しんでいるのか、無責任なヤジを飛ばしている。
「やれー!ころせー!」
「いつまでやってんだ!」
「もう一人も殴り返せ!チキン野郎!」
(おいおい、酷すぎるだろう。)
このままだと殴り殺されてしまうかもしれない。
助けに入るべきだろうか?
俺は迷いながら様子をうかがっていると、不思議な事がわかった。
殴っている方の顔は歪んで汗びっしょりなのに対し、殴られている方は涼しい顔をしていて疲れも見えない。
(どういう事だ?)
俺はさっきの感情的な見方とは違い、冷静に喧嘩の様子を確認する。
よく見ると大男の攻撃はぱっと見は顔面に当たっているように見えるが、実際はその瞬間攻撃に合わせて上半身を動かし威力を逸らしている。
ほとんど動かず上半身の動きだけで逸らすとは、強靭さと体のしなやかさを持っていないと難しい。
周囲の冒険者もその事に気付いてきたのか、ヤジを飛ばさなくなった。
しかし、一部の連中はそれがわからないのかまだ笑いながら暴言を吐いている。
「ダレス、だっせえなあ!」
「早くダウンさせろよ、ギャハハハハハ!」
名前を呼んでいるところを見ると大男の知り合いのようだ。
彼は知り合いに煽られた事に腹を立てて、気合を入れなおしたようだ。
「避けてばっかりのチキン野郎が!舐めるな!」
大男は呼吸を整えて渾身の右ストレートを放ってきた。
今までの攻撃とは違う相手を仕留めにかかる一撃だった。
渾身の一撃が相手の顔面に突き刺さる!
・・・ように見えたが、相手の拳が大男の腹に突き刺さっていた。
攻撃を左腕でさばき、その勢いのままボディにパンチを入れたのだ。
「おぎぇえええ!」
大男は床に転がり、苦悶の表情でのたうち回っている。
相手の男は、大男との対格差では致命傷は難しいと判断して、守りに徹し全力攻撃に対するカウンターを狙っていたようだ。
(強い。それに力ではなく技術で勝った。)
彼は冷徹な瞳で転げまわる大男を観察している。
その瞳と立ち振る舞いには何か心当たりがある気がした。
俺は思い出そうと、彼の容姿を細かく確認する。
黒いオカッパ頭に細く鋭い目。
大柄ではないが鍛えられた肉体に簡素な布の服を着用している。
・・・わからん。
(知っていると思ったのは気のせいか?)
彼は冷徹な声で敵対する者達に問いかける。
「まだやるのか?それとも代わりにお前らが相手をするのか?」
声を聞いてようやく俺は誰なのかやっと理解した。
(シュラ・・・忍者シュラか?)
前の活気がよみがえったのかと思ったが、そうではないらしい。
酒場の中央で、冒険者達が輪を作って騒いでいるようだ。
「やれー!そこだ!」
「ぶっころせ!」
「なにやってんだ!」
(何が起こっているんだ?)
何が起こっているか聞こうと思ったが、酔っぱらいの上にテンション上がっている連中に会話など出来るはずがない。
普段なら面倒な事を避ける俺だが・・・ゲームであれば参加する気満々だ。
(現実では面倒でも、ゲーム内では普段出来ない事が出来るチャンスだ。祭りには積極的に参加しないとな!)
俺は人込みの中に体をねじ込んで、無理やり人をかき分けて中心へと進んで行く。
なんとか視界が開けた最前列にたどり着くと、予想通りの展開が待っていた。
二人の男が殴り合いをしていたのだ。
(酒場でのイベントといえば、些細な事で血気盛んな冒険者達が喧嘩をするというのが定番だな。)
そして主人公が喧嘩両成敗をするか、やられている方を助けるという展開がデフォルトである。
まあ・・・今の俺にはどちらも出来そうにないが。
喧嘩しているのは丸坊主のマッチョの大男と黒髪の中肉中背の男だった。
どちらの展開になるか彼らの戦いを見ていたが、あまりにも一方的な展開に見ていて心が痛くなった。
大男の方が相手を一方的に殴っていたからだ。
無抵抗の男の顔面を一方的に殴っている、立っているのが不思議なほどだ。
周りの観客はそれを楽しんでいるのか、無責任なヤジを飛ばしている。
「やれー!ころせー!」
「いつまでやってんだ!」
「もう一人も殴り返せ!チキン野郎!」
(おいおい、酷すぎるだろう。)
このままだと殴り殺されてしまうかもしれない。
助けに入るべきだろうか?
俺は迷いながら様子をうかがっていると、不思議な事がわかった。
殴っている方の顔は歪んで汗びっしょりなのに対し、殴られている方は涼しい顔をしていて疲れも見えない。
(どういう事だ?)
俺はさっきの感情的な見方とは違い、冷静に喧嘩の様子を確認する。
よく見ると大男の攻撃はぱっと見は顔面に当たっているように見えるが、実際はその瞬間攻撃に合わせて上半身を動かし威力を逸らしている。
ほとんど動かず上半身の動きだけで逸らすとは、強靭さと体のしなやかさを持っていないと難しい。
周囲の冒険者もその事に気付いてきたのか、ヤジを飛ばさなくなった。
しかし、一部の連中はそれがわからないのかまだ笑いながら暴言を吐いている。
「ダレス、だっせえなあ!」
「早くダウンさせろよ、ギャハハハハハ!」
名前を呼んでいるところを見ると大男の知り合いのようだ。
彼は知り合いに煽られた事に腹を立てて、気合を入れなおしたようだ。
「避けてばっかりのチキン野郎が!舐めるな!」
大男は呼吸を整えて渾身の右ストレートを放ってきた。
今までの攻撃とは違う相手を仕留めにかかる一撃だった。
渾身の一撃が相手の顔面に突き刺さる!
・・・ように見えたが、相手の拳が大男の腹に突き刺さっていた。
攻撃を左腕でさばき、その勢いのままボディにパンチを入れたのだ。
「おぎぇえええ!」
大男は床に転がり、苦悶の表情でのたうち回っている。
相手の男は、大男との対格差では致命傷は難しいと判断して、守りに徹し全力攻撃に対するカウンターを狙っていたようだ。
(強い。それに力ではなく技術で勝った。)
彼は冷徹な瞳で転げまわる大男を観察している。
その瞳と立ち振る舞いには何か心当たりがある気がした。
俺は思い出そうと、彼の容姿を細かく確認する。
黒いオカッパ頭に細く鋭い目。
大柄ではないが鍛えられた肉体に簡素な布の服を着用している。
・・・わからん。
(知っていると思ったのは気のせいか?)
彼は冷徹な声で敵対する者達に問いかける。
「まだやるのか?それとも代わりにお前らが相手をするのか?」
声を聞いてようやく俺は誰なのかやっと理解した。
(シュラ・・・忍者シュラか?)
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