「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん

文字の大きさ
1 / 41

①私の結婚式

しおりを挟む



私の旦那様は皆様の憧れの的です。

旦那様の名前は、アルベルト・デルオ。
デルオ公爵家の三男としてお生まれになりました。
学園時代はプロ顔負けといった剣術の腕前に、整った容姿。
既に騎士道精神を持ち合わせていたのでしょう、困っていた生徒には身分も問わず手を差し伸べるその姿勢に、女性だけでなく男性からの人気もありました。
勿論私もその一人です。
こんな男性が将来の夫なら…、いえ、一定の期間だけでも付き合うことが出来たのならばと、憧れの眼差しで見ていた時もありました。
ですが、アルベルト様は公爵家の子息。
いくら三男で後継ぎではなくとも、商人から成り上がりの男爵令嬢の私では釣り合いが取れません。
憧れは憧れ。
結局一度も話をする機会もなかった私は、きっと親が決めた男性と結婚をするのだろうと、そう思っていました。

そんなアルベルト様と私がまさか結婚をするとは思いもよりませんでした。

学園を卒業した私の元に、一通の求婚届が届いたのです。
お父様に呼ばれた私は不思議に思いながらも、お父様の執務室へと向かい、そして驚きました。
憧れを抱いていたあのアルベルト様からの求婚届が、私に手渡されたからです。

ちなみにアルベルト様の人気は学園を卒業しても衰えることはありませんでした。
騎士団に入団したアルベルト様は、持ち前の実力でトントン拍子に上り詰め、小隊ではありますが隊長に上り詰めていたからです。

だからでしょう。
お父様もアルベルト様の事を求婚届が来る前から知っていて、「どうするかはお前に任せる」と言ってくださいました。
私は頷きました。
「はい」「是非」「お願いします」と語彙が乏しくなりながらもそのように返事をしました。
そして私とアルベルト様は婚約することになったのです。

ですが、次期団長候補に名が挙がるアルベルト様はとても忙しく、婚約したからといってあまり時間は取れませんでした。
その為会ってもあまり時間をとることが出来ないままではありましたが、アルベルト様からは婚姻を所望され、私もアルベルト様ならと受け入れました。

そして婚姻をしたのが先日です。

この頃には小隊の隊長から一隊の団長に昇格していたアルベルト様は、更に忙しくなっていて、流石に理想としていた結婚式を行いたいと我儘をいうことは渋られました。
というのもアルベルト様に差し入れと称して騎士団がある敷地に向かう途中、アルベルト様のお母様と偶然にも出会い、「今が大事な時なのだから」と釘をさされてしまったのです。
婚約時代からこのように言われてしまっては、流石に人生一度とはいえ結婚式でも我儘を言うわけにはいきません。
そしてアルベルト様のお母様…いえ、お義母様の言う言葉も間違ってはいません。
団長となったアルベルト様は私の目から見ても忙しそうにされていたのです。
だから、一生に一度の結婚式とは思いましたが、豪勢な物にせず、教会から司祭様を呼び、デルオ公爵家の庭園をお借りして身内だけの簡素な式と致しました。

これが私とアルベルト様の結婚式でした。



しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、 あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。 ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。 けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。 『我慢するしかない』 『彼女といると疲れる』 私はルパート様に嫌われていたの? 本当は厭わしく思っていたの? だから私は決めました。 あなたを忘れようと… ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらちん黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。 ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。 ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。 ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

【完結】お世話になりました

⚪︎
恋愛
わたしがいなくなっても、きっとあなたは気付きもしないでしょう。 ✴︎書き上げ済み。 お話が合わない場合は静かに閉じてください。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います

ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」 公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。 本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか? 義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。 不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます! この作品は小説家になろうでも掲載しています

〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……

藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」 大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが…… ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。 「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」 エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。 エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話) 全44話で完結になります。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

〖完結〗私はあなたのせいで死ぬのです。

藍川みいな
恋愛
「シュリル嬢、俺と結婚してくれませんか?」 憧れのレナード・ドリスト侯爵からのプロポーズ。 彼は美しいだけでなく、とても紳士的で頼りがいがあって、何より私を愛してくれていました。 すごく幸せでした……あの日までは。 結婚して1年が過ぎた頃、旦那様は愛人を連れて来ました。次々に愛人を連れて来て、愛人に子供まで出来た。 それでも愛しているのは君だけだと、離婚さえしてくれません。 そして、妹のダリアが旦那様の子を授かった…… もう耐える事は出来ません。 旦那様、私はあなたのせいで死にます。 だから、後悔しながら生きてください。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全15話で完結になります。 この物語は、主人公が8話で登場しなくなります。 感想の返信が出来なくて、申し訳ありません。 たくさんの感想ありがとうございます。 次作の『もう二度とあなたの妻にはなりません!』は、このお話の続編になっております。 このお話はバッドエンドでしたが、次作はただただシュリルが幸せになるお話です。 良かったら読んでください。

処理中です...