「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん

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⑮メイドの気持ち

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(視点変更→メイド)



大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ大変だ!

本当に大変だ!!

私はサーシャ・クタという平民だ。
犯罪歴がなく、そして仕事が出来れば身分は問わないということでちょうど募集がかけられていたデルオ公爵家の使用人に応募し、見事合格。
そのまま問題もなく使用人生活が続くと思われた。

ある日のとても天気がいい日の事だった。
デルオ公爵家の三男であるアルベルト・デルオ様が妻を迎え公爵家の家を出るという理由から、数名使用人を募集していた。
私は私達メイドを取りまとめるメイド長から声を掛けられ、給料が変わらないとの話を聞いてその提案を引き受けた。
要は人事異動だ。

実際に働き場所を移動する前に、これから主となるアルベルト様とメアリー様から直接声を掛けられた。
どうやら私だけではないようで、これからよろしくと受け入れた他の使用人たちにも挨拶しているようだ。

アルベルト様のことは平民の中でもとても市民に寄りそって物事を解決してくれる騎士というイメージを基から持っていたことから好感をもっていたが、メアリー様とは初めてだった為ドキドキだった。
儚い容姿ってこんな感じの人をいうんだとか、アルベルト様とお似合いなくらい性格もいいとか、物静かででもアルベルト様の言葉にただ頷くだけじゃなくちゃんと受け答えをしていて、しっかり者でもあるんだなぁと、それはそれは好感しかなかった。

そしてアルベルト様とメアリー様の結婚式が行われている最中、私達使用人は二人の愛の巣である新居のお手入れをし始めた。
二人にとっていい思い出の初夜となってもらえるように、ベッドメイキングは完璧に。
同じメイド仲間と一緒に相談して、薔薇を買いに走りに行った。
香油はコレ、スケスケ衣装はこれ、アルベルト様は騎士だから体力だってあるだろうし、夜食も必要になるでしょう。
でも最中にこっそり出来立て料理を置きに侵入なんて出来ないから、使用人の手がいらない食べ物ということで、焼き菓子を用意した。
でもメアリー様が夜に焼き菓子を口にしなかったら?となったので、ぶどうとか手のかかる必要のない果物も用意した。

あれもこれもそれもと用意して、お二人には甘い初夜を迎えて貰えたと思っている。
何故なら仕事に向かうアルベルト様のお肌が艶々になっていたからだ。
そして気分も大変良さそうに見えた。
朝から晩まで働くアルベルト様は遠くからみても近寄りがたい印象を与えるのは、公爵家で少しでも働いていたことのある人物ならわかるだろう。
そんなアルベルト様がルンルンだったのだ。
私達メイドはよしっと密かに拳を握っていた。

これからメアリー様、いや奥様には気持ちよく過ごしてもらうぞっと気合をいれていたとき、デルオ公爵家の問題人である公爵夫人が現れたのだ。

「これからこの子には家事を行ってもらいます」

そう宣言した夫人に私達は騒めいた。
当たり前だ。
雇い主のお嫁さんに私達の仕事をやってもらうといっているのだ。
しかも私たち使用人が本格的に入る前に、アルベルト様から奥様の事を任せたとお言葉を承っているのだ。

でも夫人は怖い。
気分の上がり下がりが大きいのだ。
気に入らないことがあればすぐにキレる。
たかが使用人だ、といって手を挙げるような人なのだ。
だから公爵家にいたとき、先輩メイドたちは嫌な顔をしながらも『新人にはまだ酷だからね』といって夫人のもとに向かっていったくらいだ。

あのときは先輩ありがとうとしか思わなかったが、今思えばあの時先輩に行かせず、または先輩に付いていき耐性をつけておけばよかったとも思う。

私はバクバクと鼓動する心臓を必死で落ち着かせようとしながら、震える手を上げようとした。

そう、“あげようと”しただけだった。

結局意見を言うことができなかったのだ。
何故なら奥様は反論するどころか受け入れ態勢をみせたから。
その為私達は異を唱えることができなくなったのだ。




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