191 / 319
大きな贈り物
しおりを挟む
「そりゃ、もちろん寂しかったよ。この後どうなるかも分からず、恐怖もあった。でも、それより何とかしなきゃって思いのほうが強かったかな。とにかく動かなきゃ何も変わらない、って」
「私もめっちゃ寂しかったわよ。こんな頼りない男の人と二人きりなんだもん。でもまあ心強かった面があったのも事実。正直、私一人だったらどうなっていたか……」
わずか一ヶ月の前のことだが、もう遠い昔のことのように思える。
「じゃあ、私はラッキーだったってことですね。皆さんが待ってくれてて」
「そうだね。その点は、ある意味羨ましいかな。最初の孤独を知ってる分、新しく来る人には辛い思いをさせたくないって気持ちが強いのかもな」
そんな思い出話をしているうちに場に着いた。
「私、ここに来たんですね」
考えてみれば、陸が昨日来たときは誰もいなかったのだから、言わば僕の場合と状況は同じようなものだ。寂しい思いをさせたとあらためて思った。
「今日はどんな人かな」と桂坂さん。
「本当に一日も休むことなく規則的に新しい人が来てるんですか?」
「ええ、そうよ。一日たりともその規則性が崩れたことはないわ。なんでこんなことが起こるのかはさっぱり分からないけどね」
時間になった。陸もまっすぐ場を見つめている。白い靄がかかってきた。そして靄が晴れると……。
ドーン!
実際に音がしたわけではない。まさにそう言葉に表したくなるものが目に入ったのだ。
僕たちの目の前に、なんと箱車のトラックが現れたのだ。宅配王手のノライヌ便の運送用トラックだ。2トン車ぐらいか。
「あれれ、なんだ? ここ」
戸惑った風で運転席から降りてきたのは、帽子を被り制服を着た配達員の兄ちゃんだった。
「こんにちは」
僕はとりあえず挨拶した。
「はい? 君たち誰? ここは一体……」
「私たちは怪しいものじゃありません。ええと、落ち着いて聞いてくださいね」
「はあ……」
「あなたは、森の中に転移したんです」
「えっ? ど、どういうこと?」
「見れば分かると思いますが、ここは深い森の中です。実は日本かどうかも分かりません。それどころか、おそらくここは現在の日本ではなく、まったくの異世界だと推測されます」
「おいおい、俺をからかってるのか。そんなアニメじゃあるまいし……」
そう笑って受け流そうとした兄ちゃんだったが、トラックごと森の中にいるという現実は受け入れざるを得ないと悟ったらしく、急に押し黙った。
「話せばとても長くなります。とりあえず、車を置いて、僕らが住む家に来てください」
「私もめっちゃ寂しかったわよ。こんな頼りない男の人と二人きりなんだもん。でもまあ心強かった面があったのも事実。正直、私一人だったらどうなっていたか……」
わずか一ヶ月の前のことだが、もう遠い昔のことのように思える。
「じゃあ、私はラッキーだったってことですね。皆さんが待ってくれてて」
「そうだね。その点は、ある意味羨ましいかな。最初の孤独を知ってる分、新しく来る人には辛い思いをさせたくないって気持ちが強いのかもな」
そんな思い出話をしているうちに場に着いた。
「私、ここに来たんですね」
考えてみれば、陸が昨日来たときは誰もいなかったのだから、言わば僕の場合と状況は同じようなものだ。寂しい思いをさせたとあらためて思った。
「今日はどんな人かな」と桂坂さん。
「本当に一日も休むことなく規則的に新しい人が来てるんですか?」
「ええ、そうよ。一日たりともその規則性が崩れたことはないわ。なんでこんなことが起こるのかはさっぱり分からないけどね」
時間になった。陸もまっすぐ場を見つめている。白い靄がかかってきた。そして靄が晴れると……。
ドーン!
実際に音がしたわけではない。まさにそう言葉に表したくなるものが目に入ったのだ。
僕たちの目の前に、なんと箱車のトラックが現れたのだ。宅配王手のノライヌ便の運送用トラックだ。2トン車ぐらいか。
「あれれ、なんだ? ここ」
戸惑った風で運転席から降りてきたのは、帽子を被り制服を着た配達員の兄ちゃんだった。
「こんにちは」
僕はとりあえず挨拶した。
「はい? 君たち誰? ここは一体……」
「私たちは怪しいものじゃありません。ええと、落ち着いて聞いてくださいね」
「はあ……」
「あなたは、森の中に転移したんです」
「えっ? ど、どういうこと?」
「見れば分かると思いますが、ここは深い森の中です。実は日本かどうかも分かりません。それどころか、おそらくここは現在の日本ではなく、まったくの異世界だと推測されます」
「おいおい、俺をからかってるのか。そんなアニメじゃあるまいし……」
そう笑って受け流そうとした兄ちゃんだったが、トラックごと森の中にいるという現実は受け入れざるを得ないと悟ったらしく、急に押し黙った。
「話せばとても長くなります。とりあえず、車を置いて、僕らが住む家に来てください」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる