異世界転移物語

月夜

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大きな贈り物

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「そりゃ、もちろん寂しかったよ。この後どうなるかも分からず、恐怖もあった。でも、それより何とかしなきゃって思いのほうが強かったかな。とにかく動かなきゃ何も変わらない、って」

「私もめっちゃ寂しかったわよ。こんな頼りない男の人と二人きりなんだもん。でもまあ心強かった面があったのも事実。正直、私一人だったらどうなっていたか……」

    わずか一ヶ月の前のことだが、もう遠い昔のことのように思える。

「じゃあ、私はラッキーだったってことですね。皆さんが待ってくれてて」

「そうだね。その点は、ある意味羨ましいかな。最初の孤独を知ってる分、新しく来る人には辛い思いをさせたくないって気持ちが強いのかもな」

    そんな思い出話をしているうちに場に着いた。

「私、ここに来たんですね」

    考えてみれば、陸が昨日来たときは誰もいなかったのだから、言わば僕の場合と状況は同じようなものだ。寂しい思いをさせたとあらためて思った。

「今日はどんな人かな」と桂坂さん。

「本当に一日も休むことなく規則的に新しい人が来てるんですか?」

「ええ、そうよ。一日たりともその規則性が崩れたことはないわ。なんでこんなことが起こるのかはさっぱり分からないけどね」

    時間になった。陸もまっすぐ場を見つめている。白い靄がかかってきた。そして靄が晴れると……。

ドーン!

   実際に音がしたわけではない。まさにそう言葉に表したくなるものが目に入ったのだ。

    僕たちの目の前に、なんと箱車のトラックが現れたのだ。宅配王手のノライヌ便の運送用トラックだ。2トン車ぐらいか。

「あれれ、なんだ?  ここ」

     戸惑った風で運転席から降りてきたのは、帽子を被り制服を着た配達員の兄ちゃんだった。

「こんにちは」

    僕はとりあえず挨拶した。

「はい?   君たち誰?  ここは一体……」

「私たちは怪しいものじゃありません。ええと、落ち着いて聞いてくださいね」

「はあ……」

「あなたは、森の中に転移したんです」

「えっ?  ど、どういうこと?」

「見れば分かると思いますが、ここは深い森の中です。実は日本かどうかも分かりません。それどころか、おそらくここは現在の日本ではなく、まったくの異世界だと推測されます」

「おいおい、俺をからかってるのか。そんなアニメじゃあるまいし……」

   そう笑って受け流そうとした兄ちゃんだったが、トラックごと森の中にいるという現実は受け入れざるを得ないと悟ったらしく、急に押し黙った。

「話せばとても長くなります。とりあえず、車を置いて、僕らが住む家に来てください」
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